俳句絵解き草子(7)    
磯 野 香 澄
高山寺岩折れ曲がり紅葉樹下 香 澄

紅葉の名所は沢山ありますがやはり高雄三尾と言われる高尾栂の尾槙の尾は群を抜いていると思います。中でも佳いのは一番奥の栂の尾です。栂の尾は高山寺と言う天皇の住居だったお寺があって、建物の特徴や当時の侭の保存維持等それに国宝の鳥獣戯画の展示とか、谷紅葉の美しさに溶け込んで素朴で優雅で、それに他の二尾に比べて観光者が一番少ないのでその味わいを堪能出来る事です。登り口が二つありますが途中で一つになっていて上り詰めた処で岩に突き当たります。右に折れてお寺え入って行くのですがその突き当った岩に凄い物を見つけたのです。その突き当たりの岩は道が直角に曲がるだけの三平方程の平坦な、階段で言うならば踊り場みたいな処で、地層に感心の無い人にはそんなのどうと言う事では無いかもしれませんが、それでも場所がこんな処にと、まるで意識的にそこに展示してある様に岩が二つ折れになって、矢の様な層が絵の様にして露出しているのです。関係者の方にも知られずせいぜい岩の模様程度に思われているのかも?。そして訪れる人は紅葉に目を奪われて岩の模様等見ていない様に思えるのですが。しかしこれは地質学ではシュウ曲と言うのだそうで、岩が地震等で押されて盛り上り二つ折れになって引っ付いて終い、そのうちにその侭倒れて三つ折れになると言う事ですが、その盛り上って二つ折れになっている一番先端がその踊り場を飾る様にして現れているのです。ポイントである一番剣先の処が目の高さで真上に向かってくっきりと現れているのです。『こんな処にシュウ曲しているとは。三尾と言われるだけあって地形の複雑さはこんな地層から成っているのだ』高雄から下流は川沿いには行けず峠を越えてでないと京都へ出られないのも、この辺りの地下が異常な動きをしている結果だと思えました。そしてその地形の変化のお陰で美しい紅葉が楽しめるのだと、そして動く大地の上に生きている事を実感した紅葉狩りでした。

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