京都俳句推敲指導経過とその解説 | |||
磯 野 香 澄 | |||
原句二枚帆の間に風鳴る初ヨット 白 行 | |||
この原句で問題なのは「初ヨット」です。俳句で初とは年が明けて初めての事をいいますが、この頃では冬でも乗る人があり本来はヨットと言えば夏の季語ですので、そこで混乱して切角上五中七でよく分かるのに下五でばらばらになりました。又「間」はいりません。そこで | |||
二枚帆に風が鳴るなり初ヨット |
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「間」を先ずとって「鳴るなり」これでも嬉しさが出てよいのですが、これではまだ作者だけの範囲で、言うべき事が書けません、読み手からすれば勝手に楽しんで下さいと言ったよそ事になります。そこで無駄な「なり」と「初」を省いて何をしているのかはっきり書いて、読み手を句の世界へ引き込む書き方にする必要があります。そこで | |||
二枚帆のヨット練習風の音 |
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ヨット操縦の練習をしているのだとした事で、初めてだろうが二回目だろうがヨットで風を受けて進んでいる時に、風の音が無音の水上に聞こえると分かりましたが、しかしこれでもまだその時の感動が書けていません。そこで | |||
◎二枚帆のヨット練習風が鳴る |
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「風の音」で弱かったのでもう一度「風が鳴る」にしてみます。これでヨットの稽古をしていて思わぬ現象に感激しながら水面を滑っているその爽快感も伝わってきます。 |