京都俳句推敲指導経過とその解説    
磯 野 香 澄
原句拝観の椿爛漫谷の御所  盤 圭
この原句の欠点は「拝観の椿爛漫」とした為に椿を拝観していて、どんな立派な椿でも拝むと言う事は有り得ないので、谷の御所の拝観とする必要があります。そこで

拝観や椿爛漫谷の御所
「拝観や」と一旦切ってみます。「椿爛漫谷の御所」として椿が一杯咲いているとはっきり書いてみます。しかしこれでも椿を拝観している事になります。発想をがらりと替えて、拝観と言う言葉を止めて、別の言い方で表現する事を考える必要があります。

谷の御所千の椿に門開き
「千の椿に門開き」と椿を中心に書きます。これで一応意味は分かるのですが「谷の御所」では言葉の持つ雰囲気が相反して拒絶反応を感じますので「谷の御所」も普通の言い方にする必要があります。

◎尼寺は千の椿に門開き
そこで「尼寺」とします当然助詞が「は」になるのですがこの「は」が一挙にすべての事を表現してくれる結果になり、常々門は閉まっている事も推測出来ますし、何故門を開いたか、そしてそれを見に行ってうっとり観賞している人達で溢れている様子も尼寺のやさしさも書けました。

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