令和3年度 竹の情報発表会


「竹の情報発表会」の会場風景

 令和3(2021) 年度の竹文化振興協会主催「令和3年度竹の情報発表会」は、当初6月4日に京都市勧業館(みやこめっせ)において開催の予定でしたが、新型コロナウイルスの急激なまん延により第三次緊急事態宣言が発出・延長されたため、公共施設を会場とすることが難しくなり、急遽会場をホテル京都オークラに移し、6月4日(金)午後2時30分から午後5時まで開催しました。

 発表会場は三密を避けるため、ソーシャル・ディスタンスを採用して入場者数を厳しく制限せざるをえなかったが、初めての試みとしてZoom によるオンライン開催とし、参加希望者を広く募りました。その結果、会場での接見参加者は20数名にとどまりましたが、オンラインによる参加者が80名を超えたことから、合計して100名を超す参加者となり、盛大な開催となりました。


竹の情報発表会 プログラム


 本発表会では、本会会誌「竹」・研究誌「Bamboo Journal」編集委員の小林慧人氏がオンラインの設定、Zoomによる参加者への種々連絡したうえ、さらに本会の司会・進行を担当していただきました。

 開催にあたり、sh会進行の小林氏が開会宣言と注意喚起事項を説明のあと、竹文化振興協会を代表して柴田昌三理事長(京都大学大学院教授)が開会の挨拶をして開会しました。

 発表者はプログラムに基づき、三橋 玄氏、井上定治氏、小松嘉展氏、そして渡邊政俊氏が順次登壇し、それぞれのテーマについて約30分(内質疑5分間)の発表で進行しました。

以下に順次お名前、所属、発表要旨、発表時の写真によりご紹介します。
   
司会・進行の小林慧人氏   柴田昌三理事長の開会の辞






@三橋 玄氏 (竹アーティスト/「竹の國」)
 演題:竹アートから竹林茶会、お水取り・・ 竹の役割と可能性への挑戦
〔要旨〕
 竹を使った巨大造形を作る中で「竹は人に切られることを必要としている」と気づいた私は、美しい竹林を作り、そこから出る竹材の用途を研究する団体「竹の國」を設立しました。
 竹林の整備をしながら、竹の活用を進めるために茶道を学び始め、竹の茶道具を作り、竹林茶会を毎年開催し、スタッフ育成のために稽古を開催しています。
 調達が困難になってきている東大寺「お水取り」の竹松明探しにも加わり、毎年奉納しています。
 竹は広い分野に使われ、人と人、文化と技術をつなぐ役目を持っているように思われます。
 竹を入り口に子どもから女性、お年寄りまでがそれぞれのスタンスで参加でき、自然を楽しみながら創造する場を作っていきたいと思っています。

三橋 玄氏
A井上定治氏  (株式会社 竹定商店 専務理事)
 演題:竹材の安定供給に向けた新たな取り組みについて
【要旨】
・竹業界においては、原竹の供給不足が深刻な問題となっている。
・その一方で、放置竹林の拡大が社会問題化している。
・そこで、放置竹林問題を解消しつつ原竹の安定供給を実現するプロジェクト「竹コミュティ事業」を紹介する。
・本事業は、SDGsの取り組みとして、竹のP Rに繋がる可能性もある。

井上定治氏
B小松嘉展氏  (株式会社 うお嘉 代表取締役・5代目)
 演題:竹のニュースタンダード発想
【要旨】(詳細は会誌「竹」146号:17-18 参照)
・アニメ「鬼滅の刃」で鬼になったネズ子の口にはめているのが竹で、竹が危害防止の道具と描かれており、誇りに思います。
・現在、新型コロナウィルス感染症拡大防止に国民に最大限の協力が求められ、我々の生活様式は様変わりしない状況下でアフターコロナやウィズコロナから、今やニュースタンダード時代です。
・現況として我が国の竹文化の特殊性や伝統技術は最高峰、匠の技や茶道や建築における竹道具や銘竹など、他に追随を許さない貴重なものばかり。
・しかし、後継者問題を始め、文化継承やその価値に見合う対価が減少、日本の竹産業自体、格調高く、技術的蓄積が豊かで世界に誇る船なのに、航海する為の資金も乏しく、未来の乗組員が乗船できず、世界や新時代に出航できない状態です。
・脱プラスチック政策は竹素材をポストプラスチックとして返り咲くチャンス到来か。
・大市場規模分野への竹素材の提供を積極的に提案したい。例えば、ドローンの部品であったり、プログラム学習に使用されるLEGOや小型ロボットなどに竹素材を。未来ある子ども達の教育現場に竹素材を。また、消耗部品のプラスチックの代替品として、産業化を期待する。
・私的ですが、我社は竹の子料理の本を今年2月に出版しました。この本は竹の子料理がメインですが、ナビゲートするのは子猫です。タイトルも『タケノコとネコノコとかいせき』として、小さなお子様にも見て頂ける絵本の様なタイトルや作りにしました。これは若い世代が竹の子を食べない傾向にあることへの危惧と新規開拓のための狙いです。
・本業では、竹の子料理の地方発送商品(竹の子花見鍋)が好調です。そのほか種々な商品開発しており、次のステップとして、キッチンスタジオをつくり、世界に竹の子料理をLIVE配信できればと進めております。

小松嘉展氏
C渡邊政俊氏  (竹文化振興協会 専門員)
 演題:上田弘一郎先生の業績とお人柄
【要旨】
・上田弘一郎先生のご経歴
・上田弘一郎先生との出会い
・上田弘一郎先生の知られざる業績
・上田弘一郎先生の知られざる台湾時代
・上田弘一郎 竹の研究に ・今に生きる名言
 「竹は、木のようで木でなく、草のようで草でなく、竹は竹」
・上田弘一郎先生の著書・出版物
・上田弘一郎先生のお人柄
・私への戒めのお言葉
 「君はまだキ○○イになっとらん。もっとキ○○イにならんとアカン!」と。

渡邊政俊氏

◇むすび
 本年度の竹の情報発表会は接見会場とZoomによるオンライン開催だったことから、会場には20数名、またオンラインには80名を超す視聴者があり、合計で100名を超す参加者となった。
会場では長机に1名着席のため、大きな空間があったが、会場には複数のビデオカメラがセットされ、撮影されていたため、緊張感が漂い、きわめて有意義で効果的な発表会となった。

 会場およびオンライン参加の皆様に感謝するとともに、オンライン設定のみならず司会・進行にご尽力いただいた小林慧人氏、またご発表の三橋玄氏、井上定治氏、小松嘉展氏、渡邊政俊氏に深い謝意を表します。

 なお、本年度の発表会の模様をYoutubeにアップしていますので、下の「令和3年度 竹の情報発表会」をクリックすると視聴できます。多数の皆様がご視聴されますことを期待します。

Youtube で視聴可能 → 令和3年度 竹の情報発表会


会場での活発な質疑応答風景