2026 竹の情報発表会

「竹の情報発表会」の開催



(1)演題「茶道の過去・現在・未来〜利休の創意から考える〜」
(2)演題「インドの竹文化の紹介 :そこから考えた事」

竹の情報発表会の開催
  一般社団法人 竹文化振興協会・京都商工会議所

今回のテーマは、日本の茶道の竹文化とインドの竹文化を比較することにより新しい竹文化のあり方を探ることで2名の講師の講演を開催した。最初に、本会の柴田理事長より開会挨拶があり、小林慧人氏(森林総合研究所関西支所研究員)の司会進行により始まった。 

柴田理事長
柴田理事長
小林慧人氏
小林慧人氏

演題「茶道の過去・現在・未来〜利休の創意から考える〜」

講師:茶道総合資料館 副館長 伊住禮次朗 氏

伊住禮次朗氏
伊住禮次朗氏

 最初に、伊住氏は、「稽古照今」という言葉の意味について説明された。稽古は、方法及び型にとって必要であり、照今は、目的かたちである。茶道(ちゃどう/さどう)の言葉の初見は、江戸時代初頭であり、以前は「茶の湯」もしくは「数寄(すき)」が一般的であった。歌論書「正微物語」(1450年頃成立)には、「歌の数寄についてあまり有り、茶の数寄にも品々有」と記されており、茶数寄とは、茶の具足をきれいにして天目・茶釜水差などの色々の茶の具足を心の及ぶ程たしなみ持ちたる人は、茶数寄也」また、茶飲みとは、闘茶で茶の銘柄を飲み分ける人のこと、茶くらいとは、茶の寄合があるといえば、何はともあれ参加する人のことを言うと記されている。茶の湯の大成者である千利休は、利休宗易(りきゅうそうえき)で和泉国・堺に生まれた商家の息子であり、利休と名乗ったのは、最晩年の数年のみであったと言われている。茶の湯の文化の大成は客の眼前で湯を沸かし、茶を点てて差し上げてコミュニケーションの手段としてのお点前・作法である。
 ジョアン・ロドリゲスの「日本教会史」(1622)によれば、数寄と呼ばれるこの新しい茶の湯の様式は、堺の都市ではじまった。この都市にあるこれら狭い小屋では、お互いに茶に招待し合うことによって、この都市がその周辺に欠いていた穏やかな隠退の場所の補いをしていた。都市そのものの中に隠退所を見出して楽しんでいたからであって、そのことを彼らの言葉で、市中の山居といっていた。堺の商人のオアシスになっていたと考えられる。 また、茶人の役割は、大名の茶演、各藩の茶道指南役などであったが、幕藩体制の崩壊により、民間や大衆への研究会等の組織化・学校教育での茶道への普及として変化し、当時の文化を包括的に牽引する役割から伝統文化を担う継承者・指導者としての役割へと変遷していったことが考えられる。現在では、茶道・茶道教室の事業者や従事者数は、減少しており、遊芸的な側面より教育的な側面に重点が置かれている。
 伝統文化の「あそび」や現代社会と伝統文化・産業の接点は、@家庭A学校Bサードプレイス(おけいこ場)がある。私たちは、「あそび」の意義を矮小化していないか、生前に千玄室様と対談した際に「The Enjoyment of tea」という言葉が印象に残っている。現代における茶道の役割とは、異なる存在をつなぐ顔で「和」イコール「あそび」である。日本の伝統文化は、異なる場所で受け継がれており、新しい価値は、「あそび」から生まれてくると考えている。
  

演題「インドの竹文化の紹介 :そこから考えた事」

竹細工作家 松本裕和 氏

松本裕和氏
松本裕和氏

 引き続いて、松本氏から、JICAの海外協力隊としてインドに滞在して、日本の竹細工の技術指導を行なったことや、インドでの竹の事例を紹介された。大きなコンセプトとして石油に依存から竹に依存する暮らしの確立、自らの手で作る暮らしをすることによって他者依存ではなく自らの暮らしを創ることである。インドは、6ケ国と国境を接しており、インドの4つの州とニューデリーを訪問した。インドの竹は、基本的にバンブー系で植林して増やし、竹苗や竹の種が流通している。
 最初に、竹の建築利用であるが、住居にも使用され、竹を使って布を織る(腰機)もある。一方、筍は、食用にもなっている。さらに、川では、竹製のいかだが造られ荷物の輸送に使用され、また、野菜栽培のつる性野菜の棚や苗木獣害防除カバーにも活用されている。建築物には、竹橋もあり竹の強さを活用している。竹細工には、かごやざるといった運搬具が多い。生活の中に根付いている。
 日本は、海外の資源に依存しているため、今回のイラン情勢を見てわかるように自国の資源に依存した暮らしをすべきである。インドの竹活用の現状を紹介したが、我が国でも竹を使用して自分で暮らしに使っていくことが大切であると思う。
 今後の私の活動として屋号「+竹(プラスチク)」での竹製品作りを再開し、今まで竹を扱ったことがない人に竹の利活用を伝える仕事をしたいと思っている。竹を通して人々の暮らしが豊かになるようになるため私の話が皆様の一助になれば嬉しく思う。 

 

会場全景
会場全景