ラオスの世界遺産
 
ルアンパバーンの町

ルアンパバーンの町の寺は、コンクリートで改修されたりペンキで塗り直されたりと、「世界遺産がこれでいいのか」と疑問に思う部分も少なくなかった。だが、ラオスでは、寺は今も心の拠り所として健在で、人々は毎朝僧への喜捨を欠かさず、新年には昔ながらの祈りの儀式に身をゆだね仏の加護に感謝する。
建造物の保存状態云々よりも、いわば人々の暮らしそのものが世界遺産。そしてグローバリゼーションの波が世界を席巻する今、この手の世界遺産のほうが伝え継ぐのが困難だろう。わが日本の正月は、スキーや海外旅行など、レジャーのパッケージを選択するだけの「単なる休暇」に変わろうとしている。

『イヤイヤ訪ねた世界遺産だったけど』 第5章「変わらない、という豊かさ」より