デルタにはいろいろな使い方がありますが、ここでは、デルタの基本概念を解説します。
まず、デルタを定義します。日経平均のオプションを例に考えます。日経平均が1円上がったとしましょう。例えば、現在15,000円の日経平均が15,001円になったとします。コール・オプションはいくら上がるでしょうか?この問題に答えてくれるのが、デルタなのです。デルタはギリシャ文字のひとつですから、この言葉は定義しなければ何の意味もありません。では、どのように定義すればよいのでしょうか。
もう一度、日経平均が1円上がると、コールの価格がどうなるかを考えましょう。現在15,000円の日経平均が15,001円になった場合、1円の上昇は以下のように計算されます。
ここで、K'SoftのソフトSpaceを使います。現在15,000円の日経平均のコールの理論価格を計算します。(ブラック・ショールズ式を使います。)行使価格を15,000円、ボラティリティーは25%で、満期までの残存日数は20日としましょう。短期金利ですが、新聞などを見て、CD3カ月物の0.7%とします。計算結果はコールの理論価格が352.97円、コールのデルタが0.5143です。
デルタ=0.5143ということは、日経平均がほんの少し上がると、コールの価格が51.43%上がるということです。ということは、日経平均が1円上がると、コールはその54.43%上がることになります。つまり、日経平均が15,000円から15,001円に上がると、コールの価格は352.97円から0.5143円上がることになります。ですから、日経平均が15,001円のときの、コールの理論価格は、
となります。
が、この理論価格はあくまでも、アバウトな話しなのです。日経平均がほんの少し動いたときにしか、デルタを使って理論価格を求めることはできません。本当の理論価格はブラック・ショールズ式を使って、計算しなければなりません。以下の表はデルタを使って近似したコールの価格とブラック・ショールズ式を使ってきちんと計算したコールの価格を比較したものです。誤差=近似値-真値です。100円以上の動きからは、近似値が使えないことが、わかります。
日経平均 |
近似値 |
真値 |
誤差 |
\15,000 |
\352.97 |
\352.97 |
\0.00 |
\15,001 |
\353.48 |
\353.48 |
\0.00 |
\15,010 |
\358.13 |
\358.11 |
\0.02 |
\15,020 |
\363.26 |
\363.34 |
-\0.08 |
\15,030 |
\368.40 |
\368.59 |
-\0.19 |
\15,040 |
\373.54 |
\373.90 |
-\0.36 |
\15,050 |
\378.69 |
\379.24 |
-\0.55 |
\15,060 |
\383.83 |
\384.64 |
-\0.81 |
\15,100 |
\406.65 |
\404.40 |
\2.25 |
\15,200 |
\464.80 |
\455.83 |
\8.97 |
\15,500 |
\610.12 |
\664.47 |
-\54.35 |
\16,000 |
\1,066.79 |
\867.27 |
\199.52 |
これから、もっと内容を増やします。ご期待ください。