これから書いていく飼育方法は私の経験【けいけん】より書いていくので、必ずしも最適【さいてき】な方法ではなく、参考【さんこう】にしていだくようにおねがいします。それぞれの環境【かんきょう】ステージにおいて飼育していくので全ての結果がおなじになるわけではありません。それぞれの環境ステージにおいてよりベターな飼育をめざして、ともにがんばりましょう。
1. オオクワガタが住むところ。
日本のオオクワガタは、日本中に広く生息【せいそく】しています。その生息域は、高さでは、標高【ひょうこう】1000メートル前後より低いところで、クヌギやコナラやエノキなどの広葉樹【こうようじゅ】が多い地域です。成虫は、あまり遠【とう】くまで移動【いどう】しないで、大きなクヌギなどの穴で♂と♀が、生活しています。オオクワガタは、たいへん用心深【ようじんぶか】くて、なれていない音や光や振動【しんどう】にとても敏感【びんかん】で、すぐに穴のおくへ隠【かく】れてしまいます。そして、一度隠れるとなかなか出てきません。そのためにオオクワガタは、簡単【かんたん】に捕【つか】まえることができないのです。近くにある生息域は、京都府亀岡市より大阪府能勢町にかけてですが、最近【さいきん】は、マニアによる乱獲【らんかく】で、採集情報【さいしゅうじょうほう】は、ほとんどはいらなくなりました。
2. オオクワガタの飼育ケースを置く場所。
オオクワガタは、「1. オオクワガタが住むところ。」で説明【せつめい】したようなところに住んでいます。だから、夏の虫ではありますが、あまり高い気温を好きでは有りません。高くても32〜33度くらいまでです。オオクワガタは、高い温度が嫌【きら】いだから7月〜8月の暑いときは、真夜中の活動が多いようです。そして、昼間や明るいうちは、隠れ家【かくれが】のクヌギの穴から出てこないように、太陽の光が嫌いなのです。このように考えると、オオクワガタが活動する温度帯は、25度を中心とした温度です。したがって飼育ケースを置くところの温度は、23度〜28度くらいがいいようで、そして、太陽の光があたらない場所を選んでください。
3. 飼育ケースのなか。
「1. オオクワガタが住むところ。」で説明した環境【かんきょう】を作ってやらなければなりませんが、それはむりな話です。しかし産卵材【さんらんざい】やマットなどでオオクワガタが隠れるところや食事をするところや産卵するところを作ってやりましょう。産卵材(左の写真)は、十分に水につけて他の昆虫【こんちゅう】の幼虫などをころします。(電子レンジでチンしても害虫【がいちゅう】をころせますが、臭いがきついです。)そして、マットは、「手でぎゅっとにぎると、その形がのこる。」ぐらいに水分を含ませます。そして、ケースの中にセットして産卵材がかくれるくらいにマットをいれてください。次に、食事をする場所もつくってください。(ゼリーやバナナやリンゴを食べる場所)これで飼育ケースのなかには、「1. オオクワガタが住むところ。」が(右の写真)いちおうできあがります。これは、産卵材を2本使っています。そして2本の間【あいだ】が、オオクワガタの隠れ家になり、ゼリーのエサ場を作って食事場所にしました。
4. それからどうするの?
「オオクワガタが住むところ。」ができました。さあ、オオクワガタのペアーを中に入れて飼育のはじまりです。♂と♀の相性【あいしょう】がよくて、共食【ともぐ】いや殺し合いがはじまらないように観察【かんさつ】して、より、「1. オオクワガタが住むところ。」にちかいオオクワガタのペアーが落ち着いて生活していけるように、考えてやってください。そして、小バエやショウジョウバエが発生したら、少しこまめにエサを交換【こうかん】してください。なぜなら、小バエやショウジョウバエは酸化【さんか】(エサがくさること)したエサに発生するからです。また、まれにオオクワガタにダニがつきます。ダニは歯ブラシでこすって水洗いしてください。オオクワガタは清潔【せいけつ】好きであるそうですが、「ダニが原因で死んだ」と言う話は、聞いたことがありません。しかし、清潔にこしたことはありませんので清潔にしましょう。
5. 交尾と産卵。
「オオクワガタが住むところ。」が、うまく守られていると5月頃〜9月頃まで交尾と産卵をくりかえします。(ほとんど夜間に行われるのでなかなか確認【かくにん】できない。)産卵材をセットして1ヶ月くらいたつと、産卵材が左の写真のようになったり、産卵痕【さんらんこん】をのこしたりします。そうなれば、きっと産卵しているはずです。あまり長くそのままにしておくと、次の産卵のために前に産卵した幼虫をころしてしまうので、できるだけ早く産卵材を交換【こうかん】してください。そして、すぐに「オオクワガタが住むところ。」を元どうりにしてください。そして、交換した産卵材は1ヶ月〜1ヶ月半の間に乾燥【かんそう】しないように保管してください。
〔幼虫の飼育へつづく〕
1. 幼虫の回収。
「5. 交尾と産卵。」のところで説明した1ヶ月〜1ヶ月半の間に乾燥しないように保管している産卵材から、幼虫を回収します。保管していた飼育材は、飼育ケースにセットしてから2ヶ月〜2ヶ月半がたっています。順調【じゅんちょう】に産卵されて、産卵後【さんらんご】の保管がうまくいっていたら、早く生まれた幼虫は、亜終令幼虫【あしゅうれいようちゅう】(2令幼虫)になっています。そして、遅い幼虫も1ヶ月〜1ヶ月半の間、保管していたので卵ではなくて、初令幼虫【しょれいようちゅう】(1令幼虫)になっているはずです。さあ、「6. 幼虫の回収。」の始まりです。産卵材を慎重【しんちょう】に少しづつ割【わ】っていきます。そうすると、左の写真のように幼虫や幼虫の食痕【しょっこん】(幼虫の食べあとのこと)が見つかります。幼虫をつぶさないように取り出して飼育してください。幼虫は、2本の産卵材を使うとよく片方に集中【しゆうちゅう】します。それは、親♀がよりよい条件【じょうけん】の産卵材に集中して産卵するからです。小さな産卵材から十匹ぐらい出てくることもよくあります。一時的に幼虫を仮飼育する入れ物を用意しておきましょう。
2. 幼虫の飼育方法
幼虫を飼育していく方法は、大きく分けると三つになります。
a. 材飼育。
b. マット飼育。
c. 菌糸ビン飼育。
a. 材飼育。
うまく幼虫の回収ができたら、つぎは、その幼虫を無事に成虫にするために幼虫飼育をしていきます。まず、一番自然に近い形として、飼育材を使った材飼育について説明していきます。 (市販の飼育材をつかって。)
オオクワガタの材飼育サイクル | |
ペアリング開始 | 相性がいいと一週間ぐらいで交尾する。 |
交尾後10日〜14日 | ♀の産卵が始まる。 |
産卵後14日〜20日 | 孵化が始まる。 |
孵化後30日 | 幼虫の回収をする。 |
一本目の飼育材にいれる。 | |
2ヶ月〜3ヶ月後に飼育材を確認する。食べ尽くしていたら交換する。 | |
飼育材交換後2ヶ月ぐらい | 飼育材の状況を確認する。 |
2回から3回の交換でオオクワガタは、成虫になります。 | |
材飼育は、幼虫の食欲とともに進行していきます。食欲があるのと大きくなるのとは、直接つながりませんが幼虫のエサが無くなると材の交換です。いい材を使っていると幼虫は、ゆっくりと落ち着いて材を食べていきます。複雑な話になりますが、普通は、2〜3ヶ月で材を交換します。ところが、いい材をいい条件で食べていると、一本の材でオスの60mmオーバーやメスの40mmオーバーが羽化する事があります。逆に、悪い材では、1ヶ月もしないうちに食べ散らかしてエサが無くなることもあります。ケースbyケースなのでそれぞれ確認して飼育してください。
b. マット飼育。
添加剤マットや発酵マットの飼育は、あとで説明していきます。そこで、簡単マット飼育について説明していきます。最近は、品質のいい飼育材がありません、その代わりにマットを使って飼育していくのが簡単マット飼育です。飼育材の表を使って説明していきます。
オオクワガタのマット飼育サイクル | |
ペアリング開始 | 相性がいいと一週間ぐらいで交尾する。 |
交尾後10日〜14日 | ♀の産卵が始まる。 |
産卵後14日〜20日 | 孵化が始まる。 |
孵化後30日 | 幼虫の回収をする。 |
一本目の飼育マットにいれる。 | |
2ヶ月〜3ヶ月後に飼育マットを確認する。食べ尽くしていたら交換する。 | |
飼育マット交換後2ヶ月ぐらい | 飼育マットの状況を確認する。 |
2回から3回の交換でオオクワガタは、成虫になります。 | |
幼虫の回収までは、材飼育と同じです。 飼育マットは、ビン・飼育ケース・プラボトル・そのほか、何に入っていても結構です。だた、マットは、飼育材のかわりですので硬くつめてください。(木の代わりですのでカチカチにつめてください。)水分は、多い目です。握るとその形が残るくらいの水分が必要です。くれぐれも、乾燥に気をつけて飼育ケースならふたに通気穴を開けたビニールをはそんで下さい。ビン・プラボトルなら、口に紙をはそんで下さい。そうすると、ショウジョウバエやコバエも防げて乾燥にも役立ちます。
工事中・・・・・・・。
著作権情報
: by Shigeaki Ogawa
最終更新日 : 2000/04/26.