SPringー8について



平成10年京都理化学協会夏季研修会として兵庫県播磨科学公園都市にあるSPringー8の施設見学会があり 参加しました。その報告を行います。

原雅弘先生(副主席研究員)から放射光発生の原理や輝度を高める工夫、放射光を利用しどのような研究がなされているのか等の説明後施設を見学しました。 原先生には多忙にも関わらず、我々のため時間を割いて下さり、また1時過ぎから2時間30分もぶっ続けで講義、施設案内等していただき大変感謝をしている次第です。ありがとうございました。    

Springー8とは
大形放射光施設の愛称で、SuperPhoton ring-8GeV(スーパー・フォトン・リング・8ジェブ)の略です。


放射光とは
ほぼ光速で直進する電子が、その進行方向を磁石などによって変えられた際に発生する電磁波を、放射光と呼び 、1947年に初めてアメリカで観測されました。放射光は、電子の速度が速く、その進む方向の変化が大きいほど、より絞られた明るい光となり、また、X線などの短い波長の光を含むようになります。
電子の進行方向を変えるために用いる磁石のタイプとしては、電子をリング状の加速器に閉じこめるために必要な偏向磁石と、特定の形に組み合わせた磁石(ウィグラー、アンジュレータの2種があり、これらは電子の進路に挿入して用いられるため、挿入光源とも呼ばれる)があり、それぞれ特徴ある放射光が得られます。

偏向電磁石:赤外線からX線までの連続した波長の光(白色光)が得られる。

ウィグラー:電子を大きく複数回蛇行させることにより、より明るく波長の短い白色光が得られる。

アンジュレータ:電子を周期的に小さく蛇行させ、蛇行の都度発生する放射光を干渉させることにより、極めて明るい特定波長の光が得られる。


SPring-8の放射光の特徴
1.真空紫外線からX線までの広い波長範囲(0.01〜2nm)

2.優れた指向性(100m先で2.4mmの拡がり

3.挿入光源を多数設置でき(38台)、これらの光を同時に利用可能

4.長い磁石列を持つ挿入光源の設置(30m)が可能




放射光の利用
1.物質科学への利用
物質構造と物性の研究、化学反応・物理変化過程の研究、新物質・新材料の創製

2.地球科学への利用
地球内部は高温・高圧の世界です。SPring-8ビームラインには、高温・高圧 発生装置が設置されており、地球内部の温度・圧力に相当する条件を作り出すことができ 、SPring-8の高輝度で光エネルギーのX線を利用すれば、頑丈な高圧容器の中の試料の様子を直接 観察することができます。

3.医学、生命科学への利用
安全で確実な医学診断、生体物質の構造・機能の研究、薬理作用の研究・新薬の開発など

(SPring−8のパンフレットより)

実験ハッチでの原先生による説明
蓄積リングの実験ハッチの様子です。蓄積リングの周長はなんと1436mもあり いかに大きな施設かうかがえると思います。移動には自転車を利用されています。



実験ハッチ内部の様子
放射光を取り出す窓が左端にありその後ろに色々な機器が並んでいます。
これは放射光は様々な波長の光があるため分光器等で必要な光だけを取捨選択して試料にあてるようにしてあります。



6極電磁石の展示品
電子が蓄積リングをずれることなく回転し続けるため6極電磁石や4極電磁石で軌道を調整しているとのことです。
これはシンクロトロンにも使われています。



アンジェレーターの強力磁石の様子
アンジェレーターには超強力磁石がSNSNと並んでいます。 鉄をくっつけるととれなくなるためアルミニウムの板をこの磁石につけました。 手を離しても渦電流がアルミの板に発生するためすぐには落っこちません。
ビックリしました。




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