ゆるせない・・・と思うとき
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職場や学園や地域などで、人間が共同社会を形作り、協力しあって作業にあたっているとき、
決まって人間関係のトラブルが持ち上がってきます。
いかなるところでも、基準となる目標や予算や効率や生産高などが明らかにされているはずですが、
もちろん福音も基準とされるものです。
それらを追及する中で、人間である以上、感情というものが邪魔をしてきます。
自分の期待した結果が得られなかったとき、冷静さを失い、声を荒げたり、
ふだんの落ち着きはどこかへ行ってしまったように、同僚や友人にたいして「許せない」と思ったり、
信用できなくなったり、その存在を憎むときさえあります。
自分の感情に正直だと言えばそうなのですが、たぶんに思い上がっているのかもしれません。
しかし、なかなかそうとは気づかせてはくれません。
まわりがというよりも自分の心がそうさせます。
自分が正しいと思えばこそ、人をさばいてしまっているわけですから。
「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。」 (31節)
「自分を愛してくれる人を愛したからからといって、あなたがたにどんな恵みがあろうか。
罪人でも、愛してくれる人を愛している。」 (32節)
(新約聖書・ルカによる福音書・6章31〜32節・新共同訳聖書)
31節の言葉は、有名なイエス・キリストの「黄金律」と呼ばれるものです。
しかし、自分が正しいと思っている以上、それにこだわっているかぎり、そうはできないものです。
人をゆるすとかゆるさないとかいうことは、
どちらにしても人間自身の高ぶりに過ぎないのかもしれません。
イエスは続けて言っています。
「あなたがたの父があわれみ深いように、あなたがたもあわれみ深い者となりなさい。
人をさばくな。そうすれば、あなたがたもさばかれることがない。
人を罪人だと決めるな。そうすれば、あなたがたも罪人だと決められることがない。
ゆるしなさい。そうすれば、あなたがたもゆるされる。」
(新約聖書・ルカによる福音書・6章36〜37節・新共同訳聖書)
人をゆるすにしてもゆるさないにしても、
結局は、自分のはかるハカリではかり返されるということでしょうか。
ゆるして恵みを受け取るか、ゆるさずして恵みを逃すのか・・・。
自分の心をコントロールすることは難しいことかもしれません。
なかなかできないものです。
自制してこそ人の話しを聞くことができるのですから。
「わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、
互に愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。」
(新約聖書・ヨハネによる福音書・13章34節・口語訳聖書)
とイエスは言われました。
イエスの愛、すなわち十字架刑による死にまで従われた出来事、
十字架に命までささげられたイエス・・・。
それが私たちに示された神の愛なのだと語られたのです。
「キリストは神の身でありながら、神としてのありかたに固執しょうとはせず、
かえって自分をむなしくして、しもべの身となり、人間と同じようになった。
その姿はまさしく人間であり、死にいたるまで、十字架の死にいたるまで、へりくだって従う者となった。
それゆえ、神はこの上なく彼を高め、
すべての名にまさる名を惜しみなくお与えになった。
こうして、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるものはすべて、
イエズスの名においてひざをかがめ、
すべての舌は『イエズス・キリストは主である』と表明し、父である神の栄光輝かす。」
(新約聖書・フィリピ人への手紙2章6〜11節・フランシスコ会訳)
私たちは常に個人的なレベルで物事を見、かつ判断します。
それが人と人との意見の違いを引きおこし、争いのもとになっているのです。
神は、はるかから私たちをみわたしておられます。
神の視野は、私たちのそれに比べれば、はるかに大きく広いものです。
ですから、神は、自らを低くして人間と同じになり、私たちに変わって、
私たちの罪深さというものを十字架につけて葬り去ってくださったのです。
聖書・バイブルが語るように、
人間は本来的に本性的に罪深さという性質を負っていると考えられます。
自らを自制し冷静に自分の罪深さというものを認識できる人なら、
同時にイエス・キリストの十字架もその視野にあります。
生まれながらに負っている罪深さには、神の裁きが待っています。
その裁きを代わって受けてくださった神のひとり子イエスを、
自分の救い主として受け入れるなら。
自分の罪深さというものの本質を認識できる人は、それを取り扱ってくださった、
イエス・キリストの十字架の出来事にたいして、
キリストにたいして、ひざまづき、「イエスは、主です。」と言うことができるのです。
北白川 スー
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