初めから語ればこそおどろきである


 イエス・キリストの十字架の出来事を、

 初めから語ればこそおどろきである。

 初めから語るのと、途中から語るのとでは、その違いは大きい。

 おおむね日本のキリスト教の教会は途中から語り始められ、

 ことの起こりから語り始められることは少なくて珍しい。

 キリスト教の信仰は、2000年前におきたある出来事にその始まりがあります。

 それは、”ひとりの人がすべての人のために死んだ”という出来事です。

 神のひとり子イエス・キリストの十字架の死による贖いの業(あがないのわざ)という出来事に始まるのです。

 ひとりの人が、罪人として、

 すべての人の罪をその身に負い、

 十字架刑により死なれた・・・。

 そして葬られ、三日の後に死人のうちから復活した。

 すべての人間たちに代わって、

 神の怒りをその身に受けてくださったイエス・キリスト。

 イエス・キリストは、私たちのために、

 神の怒りに打たれて、十字架に死なれたのです。

 本来なら私たち人間が、神の作品としての人間が、

 神によって罪人として裁かれる定めだったのです。


 「そこで、一人の罪によってすべての人に有罪の判決が下されたように、

 一人の正しい行為によって、

 すべての人が義とされて命を得ることになったのです。」

 (新約聖書・ローマの信徒への手紙・5章18節・新共同訳聖書)


 ひとりの罪とは、人間の始祖であるアダムが神に背いたことにより、

 後に続く人間は、ことごとく罪の性質を負って生まれて来ることになったのです。

 すなわち、生まれながらに負っている罪・・原罪(げんざい)なのです。

 一人の正しい行為とは、

 神のひとり子イエス・キリストの十字架の死による、

 罪の贖いの出来事なのです。

 私たちの罪の性質を、

 神への罪を贖う(あがなう)ために、

 そのイエス・キリストが自分のために、

 その命を、自分に代わってささげてくださったと信じるなら。

 もちろん、自分こそ罪深い存在だと認めなければなりませんが。

 私たちがときどき過ちを犯すから罪深いのではなくて、

 もともと罪深いから、常に罪深いからときどき過ちを犯すのです。

 生まれながらに負っている性質としての罪深さが、

 思いとなって、言葉となって、行為行動となって、

 神にたいして、人にたいして、自分にたいして罪を犯すのです。


 「しかし、わたしたちがまだ罪人であったとき、

 キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、

 神はわたしたちに対する愛を示されました。」

 (新約聖書・ローマの信徒への手紙・5章8節・新共同訳聖書)


 この神への背きの罪にたいしては、

 やがて、必ずやって来る、

 イエス・キリストが再びこの世界に来られるときに、

 神の審判・裁きが待っています。


 「そして、一度だけ死ぬことと、

 死んだ後さばきを受けることとが、人間に定まっているように、

 キリストもまた、多くの人の罪を負うために、

 一度だけご自身をささげられた後、

 彼を待ち望んでいる人々に、

 罪を負うためではなしに二度目に現れて、

 救を与えられるのである。」

(新約聖書・ヘブル人への手紙・9章27〜28節・口語訳聖書)


 キリスト教が言うところの救いとは、

 イエス・キリストが再び来られるとき、

 その日は、神の怒りの日でもあるわけです。

 イエス・キリストこそ、

 やがて来る、必ず来る、

 神の怒りから私たちを救ってくださるお方なのです。

 救いに必要な力は私たちにはありません。

 救いは神から来るのであって、

 主イエス・キリストこそが、

 主イエス・キリストのみが、

 救いを完成されたのです。

 その、イエス・キリストへの信仰によって。

 私たちは、神の怒り裁きから救われるのです。


 「口でイエスは主であると公に言い表し、

 心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、

 あなたは救われるからです。」

 (新約聖書・ローマの信徒への手紙・10章9節・新共同訳聖書)


 キリスト教が言わんとしている事柄は、

 私たちは神から救われなければならないのです。

 しかし、救ってくださるのも神ご自身なのです。

 そこに神へのおそれと信仰があります。

 神への畏敬の念・・・・。

 罪の贖いを完成してくださったイエス・キリストへの、

 自分の主であるイエス・キリストへの信頼なのです。


北白川 スー

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Wrote up on 26 February 2011.