Roland VSシリーズの最上位モデルです。ずっとVS-880を使っていたのですが、雑誌でVS-1680が発売されたのを知って楽器屋に直行し、いろいろさわってみて、次の週には買い替えてしまいました。(^_^;)
で、VS-1680のことを書くわけなんですが、その前にやっぱりVS-880のことを書かずにはいられません。
1996年春に発売されたRoland VS-880は、ホームユースのパーソナルレコーディングにとって、まさに「革命」と呼ぶにふさわしいマシンでした。「画期的」なんていう生易しいものではなくて、やっぱり「革命」だったんですよね。
あれだけの高機能をあれだけの低価格に詰め込んだVS-880の登場で、パーソナルレコーディングの世界も一気に「デジタル」に突入しました。オーディションやレコード会社に送られてくるデモテープのクオリティも一変したという話もあるようです。確かに私の場合もそれまでのアナログカセットMTRでは考えられないような贅沢な曲作りができるようになりました。
VS-880は世界的にも爆発的なヒットを記録し、他の追撃をものともせず、VS-880だけでCDを作るミュージシャンも出てくるぐらい、プロの世界にも浸透した、まさしく歴史に残る名器ですね。
(私は別にRolandのまわし者ではありませんが、VS-880を2年間使い続けた一ユーザー、一愛用者として絶賛せずにはいられないです(^_^))
で、VS-1680はそのVS-880の上位機種で、大幅な機能強化が加えられています。
VS-880からの変更点を中心にVS-1680の特徴を書くと...
- 16×16Vトラックの計256トラック
同時録音8トラック、同時再生16トラックとトラック数がVS-880の2倍になっています。でも、Vトラックも2倍の16トラックずつになっているので、総トラック数は今までの4倍、256トラックもあります。実際にこんなに使うことはまずありませんが、トラック数が増えたことで自由度も大きくなっています。
なお、チャンネルフェーダーは上の写真で見てもわかる通り、マスターフェーダーを除くと12本しかありません。トラック9〜16はステレオトラックになっていて、9/10、11/12、13/14、15/16がそれぞれ1本のフェーダーに割り当てられているんです。でも、トラック9〜16も、それぞれボリュームやPANやEQなどすべて独立してコントロールすることができるので、ちゃんとした16トラックレコーダーになってます。
- 24ビットデジタル
なんと24ビットデータをレコーディングすることができます。DA/ADは20ビットですが、内部処理とデジタルIN/OUTは24ビットデータを扱えるようになっています。CD・DATをも超える高音質、まさに「プロ」の領域に踏み込んだハイクオリティマシンです。
- わかりやすいユーザーインタフェース(1) − スーパーEZルーティング
レコーディング/ミックスダウン/トラックバウンシング時に、ウィザードに答えていくだけで各種設定ができるようになってます。また、それをテンプレートとして、カスタマイズしたものを記憶させておくことも可能になってます。
ちなみに「EZ」は「イージー」と読ますんですね。まさにeasyに設定ができてしまいます。
- わかりやすいユーザーインタフェース(2) − 直感的にわかるボタン操作
あるボタンを押すと、それに関連したボタンが自分で光ってくれるので、次にどのボタンを押せばいいのか、がとってもわかりやすくなってます。
また、入力チャネルとレコーディングトラックの設定なども、IN側とOUT側のボタンを押すだけでアサインすることができて、全体的にとても直感的にわかりやすい作りになってます。
- わかりやすいユーザーインタフェース(3) − 320×240の大画面液晶
この手のマシンとしては、大変大きな320×240のバックライト付き液晶画面を持ってます。画面が大きいということは、そこに表示される情報も多くなるということで、わかりやすくなってます。
たとえば、各チャネルのパラメータなんかも、一画面ですべて表示されるようになっているので、VS-880のようにカーソルキーを押してパラメータを順に表示させていかなくても、一目ですべて見渡せるようなデザインになってます。
- 24ビット対応エフェクトボードを2枚装着可能
VS-880でも驚きのクオリティを持っていたエフェクトボードが、24ビット対応のボードに生まれ変わって、本体に2枚内蔵できます。
ステレオ2系統が2枚なので、合計ステレオ4系統のエフェクトを同時に使うことができます。またモノラルのエフェクトにすれば8系統使えることになるので、何をやるにもすべてこれだけで事足りてしまいますね。
VS-880で始まったRolandの「パーソナルレコーディング革命」は、このVS-1680でもって1つの完成形を見た、と言っても過言ではないでしょう。まさに今までのすべてを超越したプロ仕様マシンです。
このVS-1680にもV-Xpandedのような機能拡張が計画されているようですが、この先Rolandは一体どんな高みにまで、私達を連れていってくれるんでしょうね? とっても楽しみです。
VS-1680がV-Xpandedになった!!
1999年3月末に、VS-1680がV-Xpandedにバージョンアップしました。このバージョンアップでは、既存ユーザーはアップデータをRolandのホームページからダウンロードしてきて、ExclusiveデータとしてVS-1680に転送すればそれでアップデートOK、というとっても簡単な方法で無償バージョンアップができるのです。私もアップデータが掲載されたその日にさっそくダウンロードしてアップデートしてみました。
VS-1680 V-Xpandedで追加になった機能は主にマスタリング機能を充実させるということなんですが、これがまたいい!!
- マスタリング用トラックを2トラック追加
Rolandには私の思っていることが筒抜けになっているようです(^_^)。本当に欲しい欲しいと思っていた機能がなんとV-Xpandedで実現されています。
これは、同時再生で16トラック全部使っていても、2トラックミックスダウン用にもう2トラック使えるようにする、という機能なのです。
CD-88RWというVスタジオ専用のCD-Rライタが登場してVスタジオから直接オリジナルCDが作れるようになってはいたのですが、CDに焼くデータはVS-1680に置いておかないといけないため、いったんDATに2トラックのマスタを作っておいてそれを改めて読み込ませるか、マスタ用に2トラック空けておいてそこにマスタをミックスダウンするかしないといけなかったのです。
それが、16トラックをフルに使って、なおかつミックスダウン用にさらに2トラック使える、つまり18トラックみたいに使えるわけです。
とにかく、これはいい!!
ほんとに欲しかったんですよねぇ、この機能。ミックスダウン用に2トラック空けとかなくてもいいんだから!!
- マスタリング用エフェクトを追加
2トラックミックスダウン用のトータルコンプとかのエフェクトが追加されてます。パラメータもいっぱいあって、かなり細かいことができるようです。ミックスダウン用に2トラック追加するだけでも万歳ものなのに、さらにトータルエフェクトまで用意してくれている。まさに使う側の気持ちに立ったもの作りをしてくれています。このあたりがやっぱりRolandの偉いとこなんですよね。
- CD書きこみスピードの選択が可能に
できあがった曲を音楽CDとしてCD-Rに焼くときや、VS-1680の録音データをCD-Rにバックアップするときに、書きこみスピードが指定できるようになりました。パソコンにつなぐCD-Rの今の主流は4倍速〜6倍速の書きこみなのですが、VS-88RWでも書きこみスピードが選択できるようになって、書きこみ時間を短くすることができるようになってます。十数曲入りのオリジナルCDを作ろう、なんていうときにはとっても重宝しますね。
と言うわけで、VS-1680 V-Xpandedはまたもや使う側が欲しい欲しいと思っていたことを実現してくれてます。Rolandっていう会社は本当に使う側のことをよくわかってくれてます。きっとRolandにはミュージシャンがうようよしてるんでしょうね(^_^;)。使う側のミュージシャンマインド(!?)を見事にくすぐってくれます。(無償でアップできてよかった(^_^;))
さて、Rolandは次はどんなマジックを見せてくれるんでしょう? ぜひともまた酔わせて欲しいものです。
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