e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第7A冊[61号〜65号]
通巻061号 2002.11.27発行 通巻066号  2003.06.29発行
通巻062号 2003.01.01発行 通巻067号  2003.08.03発行
通巻063号 2003.02.10発行  通巻068号 2003.09.17発行
通巻064号 2003.03.11発行 通巻069号 2003.11.17発行
通巻065号 2003.05.05発行 通巻070号 2003.12.31発行       
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[061]  
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2002/11/27[04-09-61]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 061号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 「ハリー・ポッター4」は仕入れた3冊が無事にその日のうちに
   売れました。世間でも予想以上に出足がよかったようで、近所の
   紀伊国屋とかブックファーストでも数日後には在庫を切らしてい
   ました。その間、うちの店では問い合わせが1件しかなく、売り
   損ねはたぶんその1冊だけでしょう。11月9日に追加2冊仕入
   れましたが、現在1冊売れ残ってます。まあうちとしてはこんな
   ものでしょう。他店ではあまりにも出足がよかったために、「買
   切」を忘れたかのような追加発注をしたとこが多かったとのうわ
   さですが、その後もちゃんと売れているのかどうか、ひとごとで
   すから、結果が楽しみです。

   ハリポタのすごいところは、これだけ売れているのに、いまだに
   1も2も3も、ほとんどブックオフで見かけないことです。きっ
   とどなたも本棚に並べて次巻を楽しみに待っているのでしょう。
   過去の巻がブックオフに溢れない限りは、5回以降も間違いなく
   同じ部数が売れることになるはずです。

   ハリポタのしわ寄せで、その他の配送が遅れるのではと心配して
   いましたが、何の問題もありませんでした。ちかごろ、日販の配
   送状態は、数年前から比べると、格段によくなっています。そん
   なこともあって、鈴木書店が消えてぼちぼち一年になりますが、
   予想していたよりは、悪影響が少なかったようでした。あと2社
   の常備が入れ替わると、鈴木関係の伝票もすべて処理が終わるは
   ずです。ここ数年、柳原、駸々堂、鈴木と続いた破綻も、今年は
   今のところ小康状態のようですが、どことも経営状態はますます
   悪化しているはずですから、いずれまた何かあるでしょう。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「内臓が生みだす心」西原克成 日本放送出版協会
 ◆「(歌集)〈テロリズム〉以後の感想/草の雨」岡井隆 砂子屋書房
 ◆「生活骨董」麻生圭子 PHP研究所
 ◆「(歌集)一点鐘」岡部桂一郎 青磁社
 ◆「野口体操 感覚こそ力」羽鳥操 春秋社
 ◆「シュタイナー仏教論集」西川隆範 編訳 アルテ
 ◆「本箱」本箱編集室
 ◆「超『戦争論』上・下」吉本隆明 アスキー・コミュニケーション
 ◆「ひきこもれ」吉本隆明 大和書房
 ◆「DOCUMENT 1」吉本隆明ほか 弓立社
 ◆「夏目漱石を読む」吉本隆明 筑摩書房
   
   <吉本>本の異常とも言える新刊ラッシュです。「戦争論」は先
   月ですが、今月の22日に「ひきこもれ」「DOCUMENT」
   が、27日に「漱石」と「猫々堂資料集28」が入荷しました。
   一週間足らずの間に4冊もの純然たる新刊が出たことは、吉本氏
   はもちろんとして、他の著者でもめったにないことでしょう。
   あきらかに過剰とはいえ、今のところ売れ行きはどれも好調です。
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「(歌集)井泉」春日井建 砂子屋書房
 ◆「刑務所の前」花輪和一 小学館
 ◆「青山二郎文集 上・下」筑摩学芸文庫
 ◆「喫茶遺産」沼田元氣 平凡社
 ◆「はじめてのシュタイナー」志賀くにみつ 小学館スクウェア
 ◆「あたまを育てる からだを育てる」シュタイナー 風濤社
 ◆「野口体操 からだに貞く」野口三千三 春秋社 ※入荷済み
 ◆「野口体操 おもさに貞く」野口三千三 春秋社 
 ◆「続・お父さんは急がない」倉多江美 小学館


[#03]<天に唾する>京都の書店のうわさ(その29)

  ○12月に大垣書店が烏丸三条に200坪級の支店を開店されます
   が、おそらくその余波で、三条烏丸西入るの明治書房が去る10
   月31日付けで閉店されました。1994年1月の開業のはずで
   すから10年持たなかったということになります。20坪くらい
   の路面店で、土地柄染織関係の本などを揃えたりされていたよう
   ですが、開店当時に見学に行ったきりなので、その後の様子は一
   切知りません。しかし、シャッターに貼ってあった閉店のご挨拶
   文は達筆で、行き届いた文章でしたから、きっと余裕があるうち
   に見切りをつけられたのでしょう。
   
  ○会社再生中のマイカルの河原町ビブレは、ほぼ全館LOFTを入
   れて1月にリニューアルするそうです。地上6階地下1階のうち
   の1階から5階までがLOFTになるそうですが、LOFTとし
   ては近畿では梅田店に次ぐ規模になるとのこと。6階には現在H
   MVが入っていますが、これがそのまま残るのか、あるいはリブ
   ロやWAVEもどこかの階に入るのかはまだ不明です。いずれに
   しろ、ハンズもLOFTもなかった京都市内としては、待望の店
   なのできっと歓迎されるでしょう。北大路ビブレがどうなるのか
   はまだ聞いていませんが、あまり明るい見通しはなさそうです。
   
  ○京都てくてくとかいう学生団体が、ネットなどを利用した学生限
   定の教科書中心フリーマーケット事業を始めるそうです。
   我々が学生だった頃はどこの大学の前にも、教科書や辞書参考書
   がメインの古本屋があったものですが、高度成長期に入ってから
   その手の店はほぼ絶滅しました。学生も景気が悪くなってきたの
   で、古本教科書の需要がまた復活してきているのでしょう。この
   事業がうまくいっても、影響をうける古本屋はすでにないわけで
   すが、出版社にはちょっとは影響があるかもしれません。
   この記事は「週刊京都経済」のサイトで読めます。
  http://www.kyoto-keizai.co.jp/search/view.phtml?report_no=314


[#04] 雑、雑、雑、…

   ○「さん(※舟偏に山)板」第3期3号 700円 EDI発行
    第79頁に書肆アクセスと三月書房の広告を載せてもらってい
    ます。これは版元のご厚意による無料宣伝です。いまのところ
    この2店だけがEDIの刊行書を全部揃えているからだそうで
    す。うちのEDI本の在庫は下記を見てください。
    http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sangatu/sumus.htm

   ○「ブッキッシュ3号:特集木山捷平」700円 ビレッジプレス
    にも、1号2号に引き続き新刊案内を無料で載せてもらってます。
    これは有料広告が集まるようになるまでのサクラ的な意味もある
    そうです。新刊屋ではうちのほか、恵文社、タコシェ、ピースラ
    ンド、書物の森、模索舎の案内が載っています。どこもうちと微
    妙に似ている部分があり、かなり仕入れの参考になっています。
    
   ○「本箱」(布装・和綴じ)700円 本箱編集室 
    本と本屋に関する小冊子といような本ですが、古書店マップの寺
    町二条の部にアスタルテ書房と一緒に紹介してもらってます。も
    ちろん[新刊]と註がついています。
    本箱編集室http://www.nk.rim.or.jp/~apricot/honbako/
    
    以上の親切な3冊の本がなぜかどれも700円なのは、この種の
    リトル・マガジンにとって妥当な価格帯ということでしょうか?
   
   ○「DOCUMENT1号」1600円 弓立社
    これは1冊だけ出た「document 吉本隆明」の改題で、通算2冊
    目になります。(なぜこんな紛らわしい変更をしなくてはならな
    いのかよくわかりません。将来、吉本隆明の書誌を作成する人が
    きっと混乱するでしょう)
    この号には前号に引き続き、宮下代表が同社30年を回顧された
    した文が掲載されています。初期の主な取引書店の一覧が載って
    いるのですが、そこにあげられている新刊書店の半分以上がすで
    に消えていることに、今さらながら驚きます。関西では古書店を
    除くと、神戸・イカロス書房/コーベブックス、京都・京都書院/
    大宮書房/三月書房と並んでいます。大宮書房についてはよく知ら
    ないのですが、現在は電話帳に載ってないようですから、うち以
    外はおそらく全滅なのでしょう。他の地方も似たような情況です。
    鈴木書店のこともたくさん出てきますが、このころが全盛期終盤
    だったのではないでしょうか。
    なおこの文章は「彷書月刊」連載を弓立社のサイトに加筆転載の
    上で「神保町通信」として公開されているものに、さらに加筆さ
    れているようです。
    http://www.yudachi.net/jinbocho/index.html

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★勝手に広告★

  小田光雄「文庫、新書の海を泳ぐ」1600円 編書房  
  
   とても面白かったので、紹介されてる本を読みたくなったり、店に
   並べたくなったりしたのですが、残念なことに大部分が品切れか絶
   版でした。著者も「読者よ、ただちに古書店に走れ、言いたくはな
   いがブックオフでもいい」と書いておられます。
   したがって古書ガイドの趣のほうが強いですが、出版社がこの本を
   参考にして、いろいろ復刊してくれるといいと思います。
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 (おまけ)
 きのうタワーレコードでマリオ・デル・モナコの4枚組1990円とい
 う安CDを買ってごきげんに歩いていたら、自転車を押したホームレス
 らしきご婦人にお金を貸して欲しいといわれました。空腹だと言うし、
 まだ慣れてない人みたいだったので、つい千円進呈してしまいました。
 しかし、いつか返すから住所と名前を教えてくれと言われるのには閉口
 し、お金だけ押しつけて逃げました。まだわれわれ日本人には、施し金
 を授受する習慣が身に付いていないので、あげるほうももらうほうも何
 か気恥ずかしくていけません。インドとかイスラーム圏ですと、施しは
 持つ者の宗教的義務だそうで、乞う者の側が堂々ともらってくれるよう
 です。貰ってあげる者がいるから金持ちでも宗教義務をはたせて、天国?
 へ行けるのだから感謝されてもいいくらいとの論理らしいです。10年
 程前に韓国へ行ったときには、意外とたくさんの乞う人々を見かけまし
 たが、ちゃんとスタイルが決まっているようでした。ご老人は堂々とし
 て手を出しているし、比較的若い人には平伏しつつ片手で顔を覆い空き
 缶を差し出すという芝居がかった型が決まっているようでした。また、
 バスターミナルで出会った中年の人はあまりに堂々と列の端から順に回っ
 てくるので、てっきり救世軍とか赤十字の人だろうと思って500ウォ
 ン玉をあげましたが、あれは単なる個人的な集金だったとあとでわかり
 ました。いまの経済状況ですと日本でも遠くないうちに、新たな物乞い
 スタイルが発生することでしょう。小生も散歩のたびに千円づつ配れる
 ほど金持ちではないので、今度からは安レコードを買っても、うれしそ
 うな顔をせず、不景気な顔で歩くように努力する必要があるような気が
 してます。 

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三月書房販売速報[062]  
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2003/01/01[05-01-62]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 062号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 今年もよろしく

   昨年の出版業界は年初の予想ほどにはひどいことにならずに終わっ
   たようです。これは日本国の先送り政策がまたもやうまく行ったか
   らでしょうが、今年も先送りが可能なのかどうかは何とも言えませ
   ん。デフレは止まりそうにないし、増税は確実だしということで、
   よいことは何もなさそうです。出版業界は前年割れが止まらず、不
   良債権解消の目途はつきそうにありませんが、再販制度のおかげで、
   デフレにだけは比較的抵抗力があるようですから、これでも他の業
   界よりはまだましなほうなのかもしれません。
   
   2年連続で微増していたうちの店の売上ですが、昨年は1%程度の
   微減だったようです。しかし、臨時休業が3日もありましたから、
   実質的には横這いだったようです。ただ、夏頃までは前年を少々上
   回っていた売上が、10月ころから落ちてきています。ネット通販
   は1割強の増加でしたが、これも10月ごろから完全に頭打ちです。
   この調子だと今年の出足はさえないでしょう。
   
   昨年はっきりと伸びたのは、八木書店から仕入れている新本特価の
   販売でした。まだ売上の1割には達しませんが、粗利益では1割を
   越えています。八木社長から今年の東京ブックフェアにて、新刊書
   店における特価本販売についての講演をしてほしいと頼まれました
   が、講演など趣味じゃないし、店を臨時休業にしないと行けそうに
   ないのでお断りしました。
   
   鈴木書店の一周忌も過ぎました。一部の出版社を除いては、たいし
   て不便にはなりませんでしたが、それでも余分な手間がかかるよう
   になってはいます。とはいえ、日販の注文品の配送はこの一年間で
   驚くほど改善されましたし、大手の出版社がインターネットで受注
   してくれるシステムも急速に充実してきましたし、多くの中小出版
   社にはメールで発注もできます。もし鈴木書店が無事に続いていた
   としても、あのアナログ的職人技の優位性はかなり低下していたに
   違いありません。
   
   うちの場合は、八木のほか、従来の短歌や人智学以外の直取引がど
   んどん増えつつあり、仕入れの2割近くになっているようです。直
   はめんどうといえばめんどうですが、それゆえに手を出す書店が少
   ないので、他店との差異を出すにはこれが一番効果的です。とくに
   ネットで売れている本の半分以上が、直で仕入れた本のような感じ
   ですが、これらはアマゾンなどでも売ってないことが多いからに違
   いありません。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「(歌集)no news」島田幸典 砂子屋書房
 ◆「漱石研究 15」吉本隆明ほか 翰林書房
 ◆「(文庫)武術の新・人間学」甲野善紀 PHP研究所
 ◆「別冊太陽:白磁」平凡社
 ◆「近代の奈落」宮崎学 解放出版社

   前回に引き続きあまり目立つ本がありません。それでも、12月の
   店頭現金販売は前年同月比3%強の増加でしたから、それなりに売
   れた本がいろいろあったのでしょう。
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「(歌集)太陽の壺」川野里子 砂子屋書房
 ◆「野口体操入門」羽鳥操 岩波書店
 ◆「趣味は読書」斎藤美奈子 平凡社
 ◆「日々を味わう贅沢」吉本隆明 青春出版社
 ◆「吉本隆明講演ライブビデオ<1>」 吉本隆明全講演CD化計画
 ◆「復刻版『試行』16号」 猫々堂
 ◆「(歌集)流転」前登志夫 砂子屋書房 ※入荷済み
 ◆「(歌集)横断歩道/若月祭」梅内美華子 雁書館 ※入荷済み


[#03]<天に唾する>京都の書店のうわさ(その30)

  ○このコーナーの読者が妙に多いようなのでひとことお断りしておき
   ますが、筆者の行動範囲は極めて狭く、しかも書店組合からは50
   年程前に脱退したままのため、書店仲間の交際もほとんどありませ
   ん。したがって、ごくごく狭い範囲のうわさしか収集できていませ
   ん。例えば阪急西院駅の周辺にはTUTAYAとか上新電機を含め
   ると5店以上の書店が密集しているようですが詳しいことはぜんぜ
   ん知りません。また、千本通りのいわゆる西陣というあたりにも、
   書店が多いような気がするのですが、バスの窓から見た程度で、い
   ちいち確かめて回ったことがありません。ようするに京都とは言っ
   ても、そこそこ詳しいのは河原町二条〜四条、四条河原町〜烏丸、
   そして京都駅前あたりだけです。京都は狭いようでもけっこう広く
   て、旧一乗寺村の恵文社あたりだと、時間的にも交通費的にも大阪
   梅田の方が近く感じるくらいですから、めったに行くことはありま
   せん。というようなわけですから、とくに他都市の方は、このコー
   ナーに出てくるのは京都の極々一部地域に過ぎないということを十
   分にご注意ください。

  ○11月末にオープンした大垣書店烏丸三条店をちょっとだけ覗いて
   来ました。元が銀行だけに建物の土台がしっかりしていて、入り口
   付近とかショウウインドウなどはかなりの高級感がありました。同
   じ建物の南半分は2年程前からスタバが入っていて、並んだ感じは
   なかなかけっこうなものです。このレベルの店が御池から四条にか
   けて並んでいるのならよい街になることでしょうが、烏丸通りは元
   々が金融機関の支店街であり、現状は倒産や合併やリストラのため
   に町並みがボロボロです。ワンフロア210坪の店内は、ごちゃご
   ちゃしていなくて、ゆっくりと落ち着いた雰囲気で本が探せそうで
   した。こういう店の品揃えについては、あまり興味も知識もないの
   でいいかげんな感想ですが、学参類とか児童書がやや多いようでし
   た。しかし、この地域では、10校以上あった小学校が2校に、4
   校あった中学校が1校に集約されたように、子供のいる家庭の数は
   ごくわずかなものですから、たいして期待できないように思うので
   すがどうなのでしょう。いずれにしろ、半径一キロ程度のお客には
   大歓迎されていることでしょうが、さりとて京都駅前とか河原町三
   条あたり、あるいは四条のジュンク堂のお客を奪えるほどのパワー
   や魅力はないでしょう。
   
  ○河原町蛸薬師上がる、丸善京都支店向かい側に、京都を代表する古
   書店のひとつである赤尾照文堂があります。ここは文学系全集の品
   揃えで有名な店ですが、岩波を筆頭に全集物の値崩れが激しく、在
   庫がデフレに陥っているのでしょう。昨年も12月初めから、全店
   30%引きセールをされてました。今回で2年目か3年目だと思い
   ますが、昨年は「好評につき1月末まで延長」されてました。今年
   も延長されているかどうかはまだ確かめてませんが、さすがに古書
   店らしくわかりやすくて豪快なセールでけっこうなことだと思いま
   す。もし再販制がなくなっても、新刊書店ではなかなかこうはいか
   ないでしょう。ついでながらデフレといえば、先日タワーレコード
   で購入したビリー・ホリデイの10枚組CDは、1枚づつプラケー
   スに入り、写真豊富なブックレットも付き、化粧箱入りで何と驚い
   たことに税抜き1890円でした。これが録音も正規盤よりもいい
   ぐらいでしたからまったくうれしい話です。
   

[#04] 雑、雑、雑、…

  ○「出版ニュース」の毎月中旬号に一年間コラムを連載しました。けっ
   こうめんどうだったのでもう降りたかったのですが、断り損ねて、
   何となくもう一年引き受けてしまいました。1年12回、乏しいネ
   タをやりくりしてでっちあげていましたが、残念なことに、読者か
   らの直接的な反応はわずかに2件しかありませんでした。このメル
   マガだとすぐにいろんな返信をいただけるのですが、紙メディアは
   そんなものなのでしょう。1月上中旬合併号も発売済みですから、
   どこかで立ち読みでもしてください。そして、何かネタがあったら、
   ぜひお知らせください。
   
  ○先だって、うちで不祝儀がありましたが、その際インターネットで
   検索して、各種届けの書式から忌み明けの挨拶文の文例まで、すべ
   て無料で簡単に入手できました。もはやインターネットがあれば、
   実用書の類は不要になりつつあることが実感できました。取次筋の
   話でも「現代用語の基礎知識」の類の売上は激減しつつあるようで
   すし、「会社四季報」の類もネット証券の利用者には必要がないで
   しょう。パソコン関係書籍の売れ行きも悪化しつつあるようですが、
   これも常時高速接続が増えて、オンライン・ヘルプの使い勝手がよ
   くなって来たからでしょう。まだインターネットの使えない人も多
   いようですが、辞書類や実用書は、そう遠くないうちに書店の棚か
   ら消えることになるかもしれません。もともとうちは、その手の本
   はほとんど置いていないので何ら影響がありませんが。

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 ★戴き本 勝手に広告★

  柴田敬三著「売れない本にもドラマがある:ある小出版社の16年」
             1200円 ほんの木  
  
   ちかごろはシュタイナー関係書が多く、うちも「シュタイナーを学
   ぶ本のカタログ」ではとてもお世話になった出版社の社長の本です。
   帯には「雑誌、単行本 編集と出版16年 ただいま50勝80敗」
   とあります。そして1冊づつの本の出版経緯や内容の説明などがあ
   り、初版5000部実売400部というようなデータがついてます。
   こういうのを他の出版社、あるいは編集者も正直に発表してくれる
   と面白いでしょう。
   
   (うちの店のことも少し出てきますが、「三月書房に立ち寄り、シュ
   タイナー書の棚を数えてみた。が、棚にして約2段、数にして約1
   00冊であった。」とありますが、これは間違いで、氏が来店され
   た当時でも4段以上200冊以上はありました。今はさらに増えて
   5段以上になっています)
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三月書房販売速報[063]  
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2003/02/10[05-02-63]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 063号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 昨年の出版業界の推定販売金額は前年比0.6%減だったそうです。
   これで6年連続前年を下回ったことになりますが、少なくとも1%
   強はあるらしいデフレ率を考えると、意外にも健闘していて実質的
   には微増だったわけです。いろんな経費も合計すれば確実に下がっ
   ていますから、書店や出版社は単年度の営業成績だけを見るならば、
   そこそこ黒字のところが多かったのではないでしょうか。もちろん
   これでは右肩上がりを想定してこしらえた負債の返済は困難ですか
   ら、過大な負債があるところはますます苦しくなっているでしょう。
   そういえば、今月初めに民再法を申請された姫路の新興書房につい
   て、業界紙サイトに「バブル期の不動産投機の失敗、書店部門は黒
   字」とありました。
   
   日本経済の先行きは、延々とデフレが続くか、あるいは国債が暴落
   して国家破産になるかのどちらかしかないようになってきたようで
   す。今回の大不況の原因は、為替や資本や貿易の自由化によって、
   割高な日本の物価や賃金の下落が避けれらないこと、バブル期にヤ
   クザがらみの不良債権が大量に発生したこと、そして、特権階級化
   した官僚が既得権にしがみついていることが主なものです。現状は
   すでに政治家や銀行の手に負える段階ではなくなっていますから、
   早い話が一度全部が崩壊するしかないでしょう。おそらく誰もがそ
   れに気づいてはいるものの、崩壊を促進するわけにもいかないので、
   行けるところまで先送りするしかなく、ただただ閉塞感に覆われて
   いるということでしょう。
   
   いしいひさいちさんの「となりの山田くん」の1995年3月13
   日付漫画にて、ののちゃんのおばあさんが「10年もしたらキャリ
   ア官僚が生き残って日本が絶滅してるか、日本が生き残ってキャリ
   ア官僚が絶滅してるかどっちかやで」と予言してます。あと2年先
   のことですが、この予言はきっと当たるでしょう。もちろん生き残
   るのは、大日本帝国が崩壊してもソビエト連邦が崩壊しても生き延
   びた官僚に決まっています。この東京創元社文庫版「となりの山田
   くん」には、すべての漫画に掲載年月日が入っていて、それがまた
   面白さを倍加させています。そして日付を見ると驚いたことに、新
   聞に掲載されたすべての漫画が収録されているようなのに、今読ん
   でもそのほぼすべてが面白いのです。これはちょっと信じられない
   くらいの打率というべきでしょう。姉妹社版の「サザエさん」は、
   全回分ではなくて選択されていましたが、それでもちっとも面白く
   ないのがたくさんありました。ちかごろはブックオフの100円コ
   ーナーで、いしいひさいちの絶版本を「保護」するのがちょっとし
   た楽しみです。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「吉本隆明講演ライブCD(5)」吉本隆明全講演CD化計画
 ◆「(歌集)東北」大口玲子 雁書館
 ◆「つげ義春の温泉」つげ義春 カタログハウス
 ◆「辻まこと全集(4)」 みすず書房
 ◆「日々を味わう贅沢」吉本隆明 大和書房
 ◆「趣味は読書」斎藤美奈子 平凡社
 ◆「みすず 1/2合併号:読書アンケート特集」みすず書房
 ◆「(歌集)横断歩道/若月祭」梅内美華子 雁書館
 
   冊数はまだまだですが、重量なら「<民主>と<愛国>」とか「帝国」
   もかなり売れています。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「古武術に学ぶ身体操法」甲野善紀 岩波書店
 ◆「天水(上・下)」花輪和一 講談社 
 ◆「こどものやまい」鈴木翁二 ふゅーじょんぷろだくと
 ◆「森のおひめさま」オルファース 平凡社
 ◆「同和利権の真相(2)」宝島社
 ◆「本音」埴谷雄高 光文社
 ◆「川崎ゆきお全集 7」幻堂出版
 ◆「戦後関西詩壇回想」杉山平一 思潮社
 ◆「(歌集)水をひらく手」横山未来子 短歌研究社


[#03]たいへんよく売れた本 2002年TOP10

   01 130冊「旅する少女の憩い」沼田元氣 京都書院
   02  81冊「黄色い本」高野文子 講談社
   03  53冊「夜想35:チェコの魔術的芸術」ペヨトル工房
   04  52冊「老いの流儀」吉本隆明 NHK出版
   05  48組「超『戦争論』上・下」吉本隆明 アスキー・コム
   06  48冊「夜想02:ベルメール」ペヨトル工房
   07  47冊「ひきこもれ」吉本隆明 大和書房
   08  41冊「TOKYO STYLE」都築響一 京都書院
   09  40冊「ドキュメント吉本隆明(1)」弓立社
   09  40冊「米沢時代の吉本隆明(6)」編集/発行 斎藤清一
   09  40冊「吉本隆明が語る戦後55年 別巻1」三交社
   
   ごらんのとおり「吉本」本と京都書院とペヨトル工房が大部分で
   す。いつもは雑誌扱いのコミックは集計していないのですが、高
   野文子はいままで書籍扱いのコミックばかりだったので、この新
   刊も集計しました。昨年は短歌本に大ヒットがなかったのが少し
   残念ですが、10冊〜20冊程度売れたのは例年と変わらずたく
   さんありました。短歌本の売上げランキングは次号に掲載の予定。
   
   
[#04] 2002年出版社別売上冊数TOP10

   01(01)岩波書店 ↓
   02(02)筑摩書房 ↑
   03(03)講談社 ↑
   04(07)小沢書店 ↑
   05(05)新潮社 →
   06(04)ペヨトル工房 ↓
   07(06)平凡社 ↑
   08(08)中央公論新社 →
   09(09)河出書房 ↓
   10(--)京都書院 ↑↑↑

   ※( )内は2001年の順位
   ※↑は前年比増加、↓同減少、→同ほぼ横ばい
     
   今回も「消えた出版社」の小沢書店、ペヨトル工房、京都書院と3
   社がランクインしているのが目立ちます。これらの出版社の本は地
   べたでよりもネット通販でのほうが多く売れているようです。「消
   えた出版社」としては、ほかにも22位のリブロポート、26位の
   博品社、そして50位以下ですが十月社も好調でした。ペヨトル工
   房の本は残念ながら人気商品が売り切れ続出のため、急速に売上げ
   が落ちつつあります。おそらく今年は10位以下に落ちてしまうで
   しょう。小沢書店ものも売り切れが多くなってきましたが、それで
   もまだまだ大量にあるので、今年も横ばい程度は売れるでしょう。
   
   出版社別の統計を取り始めて今年でちょうど10年ですが、ずっと
   1位を続けている岩波書店の売り上げは落ちる一方です。この調子
   が続くと、早ければ今年筑摩書房と首位が交代するかもしれません。
   
   11位以下は、朝日新聞社、文藝春秋、小学館、集英社、砂子屋書
   房、角川書店、猫々堂、思潮社、青林堂、みすず書房と続きます。
   青林堂がここに出てきたのは、昨秋、丸尾末広などの人気商品を一
   気に特価本に放出されたのを仕入れることができたからです。


[#05] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その31)

  ○もはやどうしようもないように見える「ゼスト御池」ですが、開業
   以来初めて前年比微増と聞きました。しかし、開業以来残っている
   数少ないテナントのひとつであった新星堂が、ついに2月23日に
   撤退します。このお店はいつ見てもほとんど客がいないのに、よく
   続いているなとしか思えない状態でしたから、ぜんぜん不思議では
   ありません。筆者はちかごろ年に数百枚も安CDを買っていますが、
   ここでは新星堂レーベルの999円ものを1枚買っただけです。プ
   ラッツ近鉄の新星堂だと、行くたびにいつも何か買うものがあるの
   ですが。あとは紀伊国屋書店さんがどこまで辛抱されるかだけが注
   目ですが、もし逃げられたらゼストは完全にお終いでしょう。
   
  ○河原町ビブレの1階から5階がLOFTになりましたが、WAVE
   もリブロも来なかったのでこのコーナーのネタにはなりません。も
   とから6階にあるHMVはごく少し音楽雑誌も置いてますが、全体
   に中途半端な店でちっとも面白くなく、いまだに1枚もCDを買っ
   たことがありません。
   
  ○三省堂書店が3月にJR京都駅ビル地下1階に130坪で出店予定
   だそうです。京都駅では地下鉄改札口がある、東側地下通路しか利
   用しないので、駅ビル地下の地理がよくわかりませんが、関空行き
   のホームそばの、チェックイン・オフィスがあった場所の転用らし
   いです。しかし、もとは関空に用事の無いひとが紛れ込まないよう
   に、わざわざ隔ててあった場所のはずですから、駅ビル側が大改造
   をしない限り人寄せは難しいのではないでしょうか。一般の通勤客
   はポルタと地続きの東側地下通路か、伊勢丹の2階に接する西側の
   跨線橋自由通路を利用することが多く、しかも関空行きのホームへ
   は1階の正面入り口から直接行けますから、その地下あたりにどの
   程度の人通りがあるのかよくわかりません。伊勢丹の地階が人気あ
   るのでしょうか。
   ポルタ地下街には駸々堂書店の跡を継いだくまざわ書店があり、地
   下連絡通路を北に行けばプラッツ近鉄の旭屋書店、南に行けばアバ
   ンティBCと、京都を代表する大型書店があります。駅ビル開業時
   には、中央部のキューブ地下街にふたば書房がありましたが、人の
   流れの乏しい場所だったらしくて1年足らずで撤退されました。
   

[#04] 雑、雑、雑、…

  ○リクルートの旅情報誌「いい旅みつけた」の1月上旬発売号にて、
   俳優の内藤剛志さんが「私のいい旅みつけた」という1頁記事で、
   うちの店を紹介してくださいました。内藤さんは取材ではなく、個
   人的に去年の秋に来店されました。「ブルータス」だったかで知っ
   たからとのことでしたが、ほんとの本好きの人でしたから、この記
   事自体はとてもけっこうなものです。いいかげんだったのはこの雑
   誌の編集プロのほうで、電話で取材をすまして、写真までこちらで
   用意させられました。しかし、ほぼ全体が広告という雑誌に、ただ
   で載せてもらったのですからぜいたくは言えないでしょう。
   
  ○潮出版社の「潮」3月号、「書店の店長に聞く『おすすめ本』」と
   いうコーナーに出ました。どんな本でもどうぞといわれたので、三
   木成夫の「海・呼吸・古代形象」(うぶすな書院)、寺島珠雄の
   「南天堂」(皓星社)、そして、きだみのるの「気違い部落周游紀
   行」(冨山房)の3冊を推薦しました。自分で言うのも何ですが、
   じつによい選書だと思います。きだみのるの本は書名が誤解されや
   すいので忌避されるかもと思い「ペヨトル興亡史」も推薦しておき
   ましたがこれははずされました。「気違い部落周游紀行」は毎日出
   版文化賞もとった名著ですが、氏の死亡記事にも当然載るべき代表
   作なのに書名が載らなかったくらいですから、一般雑誌に書影付き
   で紹介されたのは久しぶりではないでしょうか。冨山房文庫は新刊
   も出ず、売り切れも続出という、もはや「終わった」かのようなシ
   リーズですが、この本だけは昨年7月に重版されています。蛇足で
   すが、先日読んだ「不思議な国のクラシック(鈴木淳史著/洋泉社)」
   という本に、きだみのるが援用されていてちょっと驚きました。き
   だみのるは作家としても、フランス系の社会学者としても再評価が
   可能でしょう。ぜひ筑摩文庫か平凡社ライブラリーあたりで、10
   冊ほどまとめてど〜んと出していただきたいものです。
   
  ○甲野善紀さんは昨秋の朝日新聞の桑田投手記事のおかげで、突如メ
   ジャーになりました。おかげで新刊や復刊や文庫化の大ラッシュに
   なっていますが、うちの店は10年ほど前から甲野さんの本はすべ
   て揃えていて、ネットにも在庫リストを載せています。その結果、
   キーワード検索のGoogleやinfoseekで「甲野善紀」を検索すると、
   「三月書房」がご本人の「武術稽古研究会松聲館」の次かその次に
   出てくることになっています(なぜかgooではさっぱりですが)。こ
   れは過去2年くらいの検索ヒットの積み重ねであり、急に狙ってで
   きることではありません。もちろん甲野氏がメジャーになってしま
   われたので、遠くない内に10位以下に陥落することは確実ですが。
   このGoogle検索では、たとえば三木成夫だと堂々の1位、きだみの
   るが2位、小沢書店1位、ペヨトル工房4位、黒色戦線社1位、リ
   ブロポート2位というように、うちの人気商品は軒並み検索1頁目
   の目立つところに出てきます。これはようするにうちの隙間狙い商
   法とネットとの相性が極めてよいということのわかりやすい表れで
   す。ただ、ひとつまずいことには、こうなってしまうとプロバイダ
   をもっと上等のに変えられなくなってしまったことです。URLが
   変わると過去の蓄積がチャラになってしまいます。それゆえ、ただ
   ただ安くて縛りがゆるいということだけで契約した、うちのプロバ
   イダさんの事業がいつまで無事に継続するのか心配になってきます。
   ひまなときにミラーサイトの研究をする必要があるでしょう。
   

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三月書房販売速報[064]  
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2003/03/11[05-03-64]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 064号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 国内も国外もひどいことになってきましたが、まだまだ序の口でしょ
   う。株式が暴落しつつあるようですが、うちは一株も持ってないの
   で直接には関係ありません。しかし政府が勝手にわれわれの国民年
   金や郵貯の資金を流用してボロ株を買い支えているので、間接的に
   は株を持っているのと同じことです。年金受給年齢になったとき受
   け取るのは、予定よりも大幅に減額された額か、あるいは予定通り
   の額ではあっても、ハイパーインフレで端金にすぎなくなっている
   かのどちらかでしょう。もちろんそれ以前に預貯金封鎖とか一部没
   収とかも、ありえないことではありません。
   
   デフレを世界に輸出している中華人民共和国には、現在日本の人口
   よりも多い1億5千万人ほどの失業者がいて、これがさらに5億人
   あたりまで増加する可能性も少なくないといわれています。この人
   たちの求職圧力があるかぎり労賃は上がりそうになく、元が本来の
   実力よりも割安のレートでドルに固定されていることもあって、当
   分は世界的にデフレ傾向が続くことが確実視されています。これは
   日本政府がたとえ有能であったとしても、まずは避けがたいことで
   しょう。しかし、住はともかく衣食や事務用品や雑貨類の価格は確
   実に安くなっているので、デフレも悪いことばかりではありません。
   先日タワーレコードで買ったバッハのオルガン曲大全集は、20枚
   組でなんと2200円位でした。演奏者はけっこう有名な人(ウォ
   ルフガンク・ストックマイヤー)だし、録音も古くなくて音もよく、
   どうしてこんな値段で販売できるのかわかりませんが、1枚200
   0円前後のLPやCDをちびちびと買っていた者としては、うれし
   くてしかたがない価格です。あとはゆっくりと聴く時間があるとい
   いのですが。

   うちの店にはBGM装置がなく、利用したいとも思っていませんが、
   2階でCDを鳴らして、下で店番しながら、漏れ聞こえる音を楽し
   んでいます。そういう環境ですから大音量が必要な交響楽とかハー
   ドバップやヘビメタとかはだめですが、古いジャズや室内楽などは
   けっこう気分良く聴けます。ちかごろのお気に入りは、CD5枚組
   で3000円位だった「ザ・カーター・ファミリー」の1927年
   から34年の録音集です。大恐慌時代のアメリカのポップスですが、
   淡々と憂鬱で諦観的な明るさに満ちた、まさに現在の雰囲気にぴっ
   たりの音楽です。コーエン兄弟の「オー・ブラザー」という映画に
   も効果的に使われてました。
   
   さてかんじんのうちの店の景気ですが、これはさすがに年初から確
   実に下り坂です。総売上はまだほぼ横ばいですが、景気にもっとも
   敏感な店頭現金販売が前年比10%ほど落ちています。今後当分は
   落ちることはあっても上向くことはないでしょうが、うちはデフレ
   経済にぴったりの、新本特価販売が軌道に乗りつつありますから、
   まだしばらくは何とかなるでしょう。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「語るには若すぎますが」古舘謙二 河出書房
 ◆「森のおひめさま」オルファース 平凡社
 ◆「同和利権の真相(2)」宝島社
 ◆「古武術に学ぶ身体操法」甲野善紀 岩波書店
 ◆「文藝別冊:森茉莉」河出書房
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年(10)」三交社
 ◆「ルドルフ・シュタイナーの生涯におけるクリスマス会議の意味」
    セルゲイ・プロコフィエフ シュタイナーの庭
 ◆「らせん教室通信:1〜5号セット」 編集/発行/制作…らせん教室
 ◆「(歌集)水をひらく手」横山未来子 短歌研究社
 

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「私家版鳥類図譜(1)」諸星大二郎 講談社
 ◆「少年西遊記」/「少年自雷也」杉浦茂 河出文庫 ※入荷済み
 ◆「僕はサラ金の星です!」安部慎一 青林工藝舎
 ◆「一日一書02」石川九楊 二玄社 ※入荷済み
 ◆「文字講話2」白川静 平凡社
 ◆「昆虫稼業」秋山亜由子 青林工藝舎
 ◆「霧の向こうに住みたい」須賀敦子 河出書房


[#03] 昨年の短歌本の売上げ

 ○歌書売上げTOP10
   01 前登志夫「存在の秋」28冊 小沢書店
   02 前登志夫「山河慟哭」24冊 小沢書店
   03 川野里子「未知の言葉であるために」21冊 砂子屋書房
   04 河野裕子「日付のある歌」18冊 本阿弥書店
   04 東直子「青卵」18冊 本阿弥書店
   06 「竹山広全歌集」17冊 雁書館+ながらみ書房
   06 永田紅「北部キャンパスの日々」17冊 本阿弥書店
   08 渡辺松男「歩く仏像」16冊 雁書館
   08 真中朋久「雨裂」16冊 雁書館 ※完売
   08 葛原妙子「孤宴」16冊 小沢書店 ※完売
   
   昨年はあまり目立って売れた歌集がありませんでした。00年末から
   01年にかけて有力な歌集が大量に出た反動だったのでしょう。ちな
   みに00年の1位は「家(河野裕子)」39冊、02年は「日輪(永田紅)」
   で61冊。これらはその後も売れ続けていて、どちらも80冊前後売れ
   ています。小沢書店の3点は旧刊ですが、新本特価として再入荷し
   た本です。「竹山広全歌集」は7000円と高価なわりには健闘してい
   ますが、それでも5年ほど前に、軽く50冊以上売れた「増補版 齋
   藤史全歌集」12000円には、はるかに及びません。しかし全体とし
   ては10冊以上売れた歌書が30冊近くあったのでまずまずだったよう
   です。
   
   「出版社別売上TOP10」は、01 砂子屋書房、02 雁書館、03 
   短歌新聞社、04 本阿弥書店、05 ながらみ書房、06 小沢書店、
   07 短歌研究社、08 不識書院、09 柊書房、10 青磁社となって
   います。この10位までの売上げ部数の合計は1125冊、昨年が1122冊
   で一昨年が940冊でした。平均定価が2000円として、200万円以上の
   売上げになりますから、「ハリポタ4」が5組しか売れないような
   うちの店にとっては、かなり大きな売上げのあるジャンルです。
   
   
[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その32)

  ○蛸薬師通り烏丸西入るにあった「アルケミーブックストア」さんが、
   3月15日に閉店されます。この店の噂は聞いていたのですが、結局
   一度も見物に行く機会がないままになってしまいました。烏丸三条
   角に出来た大垣書店の余波かどうかはよくわかりません。ペヨトル
   本も置いておられた関係で、下記のサイトに閉店間際のレポートが
   掲載されていますからご覧ください。このサイト記事で見るとたい
   へん趣味のよい書店だったようですが、いまいち場所がよくなかっ
   たのでしょう。御幸町三条あたりだとぴったりだったのではないで
   しょうか。
   http://www.thought.ne.jp/peyotl/alchemy/alchemy.html

  ○「週刊京都経済新聞」3月3日号によると、ふたば書房の子会社で
   神戸大丸などに3店舗あるアンジェという雑貨屋は、オンラインで
   は楽天に参加していて、ネットだけで月商3000万円も売ってい
   るそうです。数年後には月商1億が目標だそうですが、いまどき実
   に景気のよい話です。京都では数年前に、子会社に新古書店をやら
   せて、取次ルートで返品するという悪事が露見した書店が複数あっ
   たと聞いていますが、それとは大違いで、こんな副業ならまことに
   たいしたものだと思います。
   アンジェのサイト→http://www.rakuten.co.jp/angers/
   
   
[#06] 雑、雑、雑、…

  ○「東京ブックマップ 2003−2004年版」が出ました。東京本なので
   関係ないと思ってましたが、三月書房も[オンライン書店(専門)]の
   部に載っていたのでちょっと得した気分です。
   
  ○うちが小沢書店とかペヨトル工房など、消えた出版社の本を扱って
   いることは少し世間に知られて来たようでけっこうなことですが、
   よその書店さんやマスコミ関係者にはあわてものの人が多いようで、
   うちのサイトをリブロポートや小沢書店のサイトと勘違いして、問
   い合わせてこられることがよくあります。サイトに掲示してない本
   を探しておられるのはまだ理解できるのですが、とくに多いのが著
   者や写真家やイラストレイターの連絡先を教えてほしいという依頼
   です。どの頁にも(三月書房:古本屋ではありません)という表示
   を何カ所もべたべた貼ってあるのですが、(出版社でもありません)
   という掲示も必要なのかもしれません。
   
  ○この手の勘違いの最高傑作は、先日MZ札幌店さんから来たFAX
   です。うちを博品社と間違えて返品入帳の依頼をしてきました。博
   品社が消えてぼちぼち3年近くなるのにまだ知らなかったのでしょ
   うか。FAX料金こちら持ちで北海道まで返信するのもばからしかっ
   たのですが、返品入帳依頼の書式がなかなか参考になったので、
   「あきらめて、バーゲン本にする」ようにと返信しておきました。
   うちは入帳依頼書は日販から購入した往復はがきを使用しています。
   うちの都合で依頼するときはこれが妥当だろうと思いますが、日販
   または出版社のミスなのに了解書が必要なときに、こちら持ちの往
   復はがきはちょっとむかつくので、そういうときには、今後はMZ
   さんの書式を参考にして、FAXにするつもりです。
   
  ○文化出版局の「ミマン(美満)」4月号の「今年の花見は京都!」
   特集に載せてもらいました。うちと花見はまったく無縁と思うので
   すが、京都御所から平安神宮までの散歩コースの途中にあるという
   ことで、骨董屋さんやレストランなどといっしょに出てます。  
_________________________________

 ★戴き本 勝手に広告★

  「イロハからわかる 編集者入門:
    今日からすぐ役に立つ基礎の基礎」
           櫻井秀勲 編書房 1600円

  ※せっかくいただいたのですが、まだ読むひまがありません。
_________________________________
 

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三月書房販売速報[065]  
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2003/05/05[05-04-65]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 065号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] SARSはこのまま日本を避けてくれるのか、いずれはたっぷりと
   暴れてくれるのかどちらでしょうか。日本国の厚生官僚が突然優秀
   になったとも思えませんから、現在の状況はたまたま奇跡的に運が
   よいだけだと考えるべきでしょう。いずれは日本も感染地域になる
   可能性が少なくないようですが、ワクチンとか予防法とかの開発は
   間に合うでしょうか。今のところ隔離政策と徹底消毒以外には有効
   な手だてがないようです。北京ではやたらに香を焚いたりしている
   ようですが、これでは中世のペスト予防法と大差がありません。
      
   テレビや新聞で北京などの報道を見ても、書店業界がどうなってる
   のかはわからないようです。デパートにお客がいないとか、繁華街
   が閑散としている様子とかは見ましたから、書店も閉めているか開
   店休業のどちらかでしょう。しかし、外出を避けている人々には読
   書時間がたっぷりありそうなので、繁華街の大書店でなく、地場の
   小書店は繁盛しているかもしれません。(ようするに、もし日本で
   も流行ったら、ふだんは超満員の梅田の紀伊国屋さんなんかは売上
   げが激減するでしょうが、うちのように店番とお客を合わせても、
   店内人口が2人以下のときが多い店は、打撃が少ないのではなかろ
   うかと、都合のよいことを考えているわけです)
   
   もちろん中国にもネット書店があるのなら大繁盛していることでしょ
   うが、宅配便や郵便等の物流が機能しているのかどうかがわかりま
   せん。中国の出版社のことはよく知りませんが、東京のごとく北京
   にも出版社が集中しているのなら、その活動もマヒしているかもし
   れません。新刊や雑誌類の発行が滞り、既刊書の出庫も難しくなっ
   ているようなら、SARSが流行っていない地方の書店にも悪影響
   があることでしょう。「新文化」か「文化通信」あたりの業界紙が
   記者を特派して、SARS下の中国出版業界の様子を報道してくれ
   ると、いずれ日本が感染地域になったときの参考になるのではない
   でしょうか。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「吉本隆明講演ライブ・ビデオ(1)」吉本隆明全講演CD化計画
 ◆「私の絵日記」藤原マキ 学研
 ◆「私家版鳥類図譜(1)」諸星大二郎 講談社
 ◆「老人介護とエロス」三好春樹/芹沢俊介 雲母書房
 ◆「吉本和子句集 七耀」 七耀企画
 ◆「ヘルタースケルター」岡崎京子 祥伝社
 ◆「次の時代のための吉本隆明の読み方」村瀬学 洋泉社
 ◆「吉本隆明資料集29:『試行16』(復刻版)」 猫々堂
 ◆「映画/革命」足立正生 河出書房
 ◆「現代の短歌:100人の名歌集」篠弘・編著 三省堂
 ◆「過客」小中英之 砂子屋書房
 ◆「セクシーボイスアンドロボ#2」黒田硫黄 小学館
 

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「季刊 短歌VS. 創刊号」穂村弘、東直子、ほか 風媒社
 ◆「前川佐美雄全集2」 砂子屋書房
 ◆「茂吉を読む」小池光 五柳書院
 ◆「うさぎのくに」オルファース 平凡社 ※入荷済み
 ◆「うたかたの日々」岡崎京子 宝島社
 ◆「根っこの子どもたち目をさます」オルファース 童話館 ※入荷済み
 ◆「関西フォーク70'sあたり」中村よう 幻堂出版
 ◆「いずくへか:矢川澄子エッセイズ」 筑摩書房
 ◆「〈癒し〉のナショナリズム」小熊英二/上野陽子 慶応大出版会
 ◆「つげ義春初期傑作短編集(1)(2)」 講談社

 
[#03]  「三月書房販売年報(仮題) 第02号(通巻60号)」発行のお知らせ

   紙の「販売年報(仮題)」をやっと4月に発行しました。忙しくて
   なかなかはかどらず、前号の8頁から4頁に減らして出しました。
   このメルマガがあるので紙のはやめてもよいようなものですが、紙
   のほうがまとまりがよく、読みやすい利点もありますから、もうし
   ばらく年刊で続けてみるつもりです。

   主な内容は
   「2002年の概況」(略)

   「店頭現金販売指数:1993〜2002」
     2002年は前年比0.3のマイナスでしたが、下水工事などで計3
     日臨時休業したこともあり、実質的には横ばいでした。

   「返品率について」1993〜2002
     昨年の書籍返品率は11.8%と異常な低さでした。これは低すぎ
     てちょっと問題があるのではなかろうかと心配になるくらいの
     数字です。ひょっとしたら仕入れを絞りすぎていて、仕入れ損
     ねや売り損ねが発生している可能性があるのかもしれず、少々
     返品率が上がっても、もう少し積極的に仕入れた方がよいよう
     な気がします。このように返品率が下がったのは、鈴木書店の
     崩壊による一時的な要因もありましたが、日販の京都支店や西
     日本流通センターの店売がなくなったことも大きいようです。
     店売で現物を見るとついつい余計なものも仕入れがちですが、
     ネットやDMや情報誌等では見落としていた重要な新刊本が見
     つかることも珍しくありません。今年は今のところ、ややがん
     ばって仕入れたためか、17%くらいになってますが、もう少し
     様子を見ないとどうなるかはわかりません。
     雑誌は5%下がって25.9%でしたが、減ったという印象はぜん
     ぜんなくて、むしろ増加しているような感じがあります。今年
     はとくに売れそうにない週刊分冊ものやムック類などがやたら
     に入荷してますから、きっとまた30%台に戻るでしょう。
   
   「2002年出版社別総合売上冊数☆TOP50」
     このメルマガの63号にて上位10社は速報済みです。
     以下では15位の砂子屋書房、17位の猫々堂、18位の青林
     堂、22位のリブロポート、24位の新学社、25位の雁書館、
     26位の博品社、27位の短歌新聞社、42位の黒色戦線社、
     48位の本阿弥書店あたりが、他店の同種リストだとあまり上
     位には出てこないであろう出版社です。
     
   「新本特価について」八木書店からの仕入れ(00/10〜02/12)
     2001年と2002年を比べると、
     仕入冊数が2914冊→4011冊(37.6%増)
     売上冊数が1627冊→2700冊(65.9%増)と順調に伸びてますが
     年末在庫も1328冊→2639冊(98.7%増)とほぼ倍増してます。
     とにかくいくらよく売れても重版される可能性がありませんか
     ら、売れ筋を早目多目に在庫を抱え込む必要があります。しか
     し古書店のように倉庫を持っているわけではないので、在庫置
     き場が一番の問題になっています。
     
   「たいへんよく売れた本:1年間のTOP20」
     これも63号にて10位まで速報済み。
    
   「2002年の『吉本隆明』本」(略)

   「2002年の『三木成夫』本」(略)

   「2002年の現代短歌の本」
     『出版社別』ランキングは砂子屋書房(335冊)以下雁書館→短
     歌新聞社→本阿弥書店→ながらみ書房→小沢書店→短歌研究社
     →不識書院→柊書房→青磁社。

   「2002年のネット通販」
     これは完全に頭打ちで、01年に比べると件数は21.2%伸びま
     したが、金額では11.9%しか伸びていませんでした。それも夏
     頃がピークで以降は前年割れの月も珍しくありませんでした。
     今年は横ばいならいいほうでしょう。このように伸び悩んでい
     るのは稼ぎ頭だったペヨトル工房や小沢書店の売れ筋が次々に
     売り切れになってしまったことが一番の原因のようです。
     
    
   ※この「年報」は返信用封筒をお送りくださった出版社様にのみ送
    付しています。書店の方は出版社の営業の人にコピーをもらって
    ください。「無断複写&配布大歓迎。無断転載は不可」です。


[#04] 雑、雑、雑、…

  ○4月15日の定休日、ほぼ1年振りに神田方面に出張しました。
   八木書店→ふくろうブックステーション→岩波ブックサービスセン
   ター→弓立社→人文・社会科学書流通センター→出版ニュース社→
   書肆アクセス→タワーレコード渋谷店と回りましたが、今回の「東
   下りの記」は5月中旬号の「出版ニュース」に掲載しましたのでそ
   ちらをお読みください。5月12日頃発売です。大型書店か図書館
   でなら読めるでしょう。
   「出版ニュース」にはサイトもあり、これはなかなか便利です。会
   費無料の登録会員になればバックナンバーの記事も読めます。残念
   ながらまだ2001年分までしか読めませんが、いずれは昨年の分
   も読めるようになるでしょう。
   http://www.snews.net/index.html
   
  ○京都新聞4月22日夕刊の「ねっとこだわり派」とかいうコラムに、
   このメルマガが紹介されました。その記事を見て購読を申し込んで
   くださった方が8名ほどおられました。これが多い数なのか少ない
   のかは何ともわかりません。現在の読者数の正確なところは、勘定
   するのがめんどくさくて不明ですが、アドレス帳をざっと見たとこ
   ろ500から800の間あたりのような感じです。いちおう出版業
   界向けと断っているのですが、半分くらいが業界外の読者のようで
   す。ただし、関係者の方が匿名で申し込まれた分もここに分類され
   てます。出版業界の所属を明記して申し込んでいただいた方には、
   ときどき出版関係者限定版を送信しています(このごろはネタがな
   いので発行してませんが、以前発行した日販の書籍正味特集号はな
   かなかの評判でした)
   このコラムは京都新聞のサイトのどこかにもアップされてるらしい
   ので閑な方は探してみてください。
   http://www.kyoto-np.co.jp/

  ○前号でMZ札幌南一条店さんから、うちを博品社と間違えて返品入
   帳の依頼のFAXが来た件を取り上げましたが、さっそく別の書店
   さんから「MZの『返品入帳依頼の書式』ってのを教えては貰えま
   せんか?北海道は返品の運賃もバカにならないので、苦労してるん
   ですよ。」というメールが来たのでFAXしてあげました。
   北海道といえば、最近出た坪内祐三編の「文藝春秋八十年傑作選」
   収録の「出版界批判座談會」に、「…北海道の小売店といふものは
   全然金を払はぬのです。此方では兎に角少しの本を売って、旅費を
   使って北海道まで金を取りに行けない(笑)取りに来ないと高を括っ
   て居るから、却々払はぬといふことです。…だから北海道でやって
   居れば、商品をたゞ取って売ってるようなものですね」とありまし
   た。これは昭和四年の記事ですが、なんとものんびりしたよい時代
   だったようです。
   北海道のことはともかく、この座談会には、大取次批判とか、岩波
   の高正味批判とか、荷ほどきもせずに返品する小売店批判とか、今
   もそのまま通じそうな話題がたくさん出てます。

  ○「 <天に唾する>京都の書店のうわさ」は、ネタがまったく何もあ
   りませんのでお休みです。

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