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e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第11冊[101〜110号]
通巻101号 2008.10.21発行 通巻106号 2009.12.31発行
通巻102号 2008.12.31発行 通巻107号 2010.03.30発行
通巻103号 2009.03.10発行 通巻108号 2010.06.30発行
通巻104号 2009.06.09発行 通巻109号 2010.10.26発行
通巻105号  2009.09.29発行 通巻110号 2011.03.30発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[110]
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2011/03/31[13-01-110]  (c)SISIDO,Tatuo    *転送歓迎* 

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 110号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] たいしたネタがなかったのと、少しこのメルマガに飽きてきたのと
   で、5ヵ月ぶりの発行となりました。1990年代に発行していた紙版
   の販売情報も、最初はほぼ月刊だったのがほぼ隔月刊、ほぼ季刊、
   そして最後は年刊となって現在は休刊中です。このメルマガに限ら
   ず、おそらくメルマガという形式が世間一般でもかなり落ち目にな
   りつつあるのではないでしょうか。とはいえ、10年前から送信して
   いる「<吉本隆明>本 新刊のお知らせ」と「人智学関係書新刊速
   報(仮題)」はいまだに順調で、読者もさほど減らず通販への寄与度
   も少なくありません。これら2つのメルマガは、ネタが入り次第す
   みやかに発行することを基本としています。この販売速報ももとも
   とはそのような編集方針だったのですが、いつのまにか固定したス
   タイルになってしまい、しだいに記事を揃えるのがめんどうくさく
   なりました。というわけで、このスタイルで発行するのは今回で最
   後にして、次号からは1つか2つネタがあればすぐに送信するとい
   うスタイルにして、送信回数を増やしたいと思います。
   
   あいかわらず、出版業界の景気は下降を続けていて、まったく底が
   見えません。東北大震災や原発事故の影響もあり、今年はさらにひ
   どいことになるでしょう。出版業界の不況の原因については、イン
   ターネット、リサイクル書店、電子本、Amazon、その他いろいろあ
   げられていてますが、それらは些細なことであり、もっとも根本的
   な問題は、生産年齢人口(15〜64歳)が1995年をピークに減少過程
   に入っていることです。出版業界の売上げが、同じ時期から右肩下
   がりを続けていることをみても、この先回復するどころか、まだ当
   分はさらに落ち続けると思うべきでしょう。この件については角川
   新書の「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く(藻谷浩介・著)」
   がたいへん参考になりますので、未読の方はぜひお読みください。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「自閉症論再考」小澤勲 批評社
  ◆「巨大仏!!」中野俊成 河出書房新社
  ◆「夜想復刊第7号 特集・ベルメール」ステュデイオ・パラボリカ 
  ◆「みすず 2011年1-2月合併号」読書アンケート特集
  ◆「日本の医者」中井久夫 日本評論社
  ◆「竹久野生の絵」ギャラリーゆめじ ※売り切れ
  ◆「辻まことマジック」琴海倫 未知谷
  ◆「ぽかん 01」編集・真治彩  発行・ぽかん編集室
  ◆「アナキズム・カレンダー2011」アナキズム文献センター※売り切れ
  ◆「パンとペン 社会主義者・堺利彦と「賣文社」の闘い
  ◆「家族の歌:河野裕子の死を見つめた344日」産経新聞出版
  ◆「京都うた紀行」永田和宏・河野裕子 京都新聞出版
  ◆「(歌集)薄い街」佐藤弓生 沖積舎
  ◆「黒船前夜」渡辺京二 洋泉社 
  ◆「古本屋名簿 古通手帖2011」 古書通信社
  ◆「雲よ−原点と越境− 第5号」谷川雁研究会
  ◆「いまそかりし昔」築添正生 りいぶる・とふん
  ◆「ぼくが真実を口にすると 吉本隆明88語」勢古浩爾 筑摩書房
  
  
[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「底辺から新聞を撃つ:小説毎日新聞不正経理事件他」
      サワダオサム いちい書房※入荷済み
  ◆「シュタイナー 魂について」高橋巌・訳 春秋社※入荷済み
  ◆「私たちの中の目に見えない人間」シュタイナー 涼風書林
  ◆「(歌集)十階」東直子 ふらんす書院※入荷済み
  ◆「(歌集)地の世」竹山広 角川書店※入荷済み
  ◆「(歌集)ひとさらい」笹井宏之 書肆侃侃房※入荷済み 
  ◆「(歌集)てんとろり」笹井宏之 書肆侃侃房※入荷済み 
  ◆「マトリョーシカ大図鑑」沼田元氣 二見書房※入荷済み
  ◆「河野裕子遺歌集(仮題)」青磁社
  ◆「永田和宏「もうすぐ夏至だ(仮題)」白水社
  ◆「別れの手続き:山田稔散文選」みすず書房
  ◆「老いの幸福論」吉本隆明 青春出版社
  ◆「吉本隆明と柄谷行人(仮題)」合田正人 PHP研究所
  
  
[#03] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その72)   

  ○五条坂の「都堂書店」が昨年末で閉店されました。聞いたところで
   は、店主がお亡くなりになったからとのことです。一昔前、日販京
   都支店に店売所があったころにはよく顔を合わせ、少しは話もした
   ことがあったのですが、店売がなくなってからはお会いしたことが
   ありませんでした。都堂書店は京阪五条駅を東に3分位の商店街に
   あり、二昔ほど前に新築されたらしい建物の1階と2階が売場で、
   街の独立系書店としてはけっこう立派と言えるお店でした。ご多分
   にもれず、売上げは下降中とはいえ、まだ閉めなくてもよい程度だっ
   たようですが、ご家族にも外部にも経営の引き継ぎ希望者がおられ
   なかったそうです。これで東山区の書店は、書店組合のサイトによ
   れば残り5店となりましたが、五条近辺としては東大路松原の「東
   山書院」が残るのみです。

  ○京都駅前の近鉄百貨店跡地の「ヨドバシカメラ京都店」は、11月上
   旬に開店しましたが、たいへんに繁盛しているようです。1月に見
   学してきましたが、新築だけあって広いわりにはすっきりとした売
   場でした。6階の「大垣書店」(240坪)もなかなか見やすくてよい感
   じでした。「ヴィレッジ・ヴァンガード」も5階にあるようですが、
   この日は見落としてました。
   京都駅前ではいまのところ、このヨドバシが一人勝ちで、昨年の5月
   に南口に開店した「イオンモールKyoto」は、出足は良かったものの
   リピーターが少なく、現状はあまり良くないらしいとのうわさを聞
   きました。
   
  ○昨年閉店した「四条河原町阪急百貨店」の跡に入る「京都マルイ
   は4月27日に新装開店との発表がありました。ここの6階に「ふたば
   書房」が80坪で出るそうです。四条河原町交差点は北東角のビルに
   「ブックファースト」、南西角の高島屋に「大垣書店」そして、南
   東角のマルイに「ふたば」と、さして大きくもない空中店舗ばかり
   が揃います。品揃えなら四条を北への「ジュンク堂BAL」か、河原
   町を西への「ジュンク堂京都」に勝てっこないし、雑誌や文庫を1
   冊買うだけなら、わざわざ上の階へ昇るのはとてもおっくうです。
   残った西北角に雑誌と売れ筋の本だけの路面書店があれば、きっと
   他の三書店よりも効率よい商売ができそうですが、しょせん落ち目
   の書店業界なので、今あるメガネショップを退かしてまでもという
   パワーはどこにもないでしょう。

  ○京都市内5店目の「ヴィレッジ ヴァンガード 京都西院」が2月末
   に開店してました。この店は「TSUTAYA 西院店」が1階売場を4分
   の1ほど減らして誘致したインショップです。「TSUTAYA 西院店」
   は同社としては京都一番の規模だそうですが、なぜか数年前から書
   籍の扱いをやめていました。しかし、CD/DVDのセルもレンタルも低
   落が止まりそうにないので、広過ぎる店舗を持てあましたのかもし
   れません。最近のヴィレッジヴァンガードは、目に見えて書籍雑誌
   の割合が減りつつあるようですが、この店でも雑貨類に埋もれてほ
   とんど目立ちませんでした。
  
  ○昨年末に古書通信社から「古本屋名簿 古通手帖2011」が出ました
   が、これに載っている京都市内の古書店は107店。手元にある「新版
   古書店地図帳」(図書新聞.1991)では101店ですから、京都市内の古
   書店は、新刊書店とは逆にやや増えているようです。ただし、全体
   としてはふつうの古本屋は減少気味で、ネットなど無店舗販売の店
   と骨董・古美術系とおぼしき店の割合が増えているような感じです。


[#04] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など

  ○昨秋の理論社以降、ピクト・プレス、日本スポーツ出版社などの破
   綻があったようですが、うちの店としてはほぼ無関係でした。
   
  ○「新文化」のサイトによれば、「編書房」がこの3月末日で廃業され
   るようです。インターネットが普及しはじめた、1998年の創業で、
   初期の頃には「出版クラッシュ!?」とか「古本屋サバイバル」等、
   小田光雄氏や永江朗氏のたいへん面白い出版業界本を何冊も出版さ
   れましたが、その後はうちの店とはあまり関係のなさそうな本を、
   年に1冊程度のペースで出版されていました。おそらく総出版数も
   20点未満のようですから、流通在庫もさほど多くないでしょう。
   なお、在庫は今後も星雲社扱いにて販売を続けるとのことです。
   
[#05]  雑、雑、雑、……

  ○2010年の出版社別売上げ冊数 TOP10
  
   1(1) 講談社 ↑ 
   2(2) 筑摩書房 ↓
   3(3) 岩波書店 ↓ 
   4(4) 河出書房新社 ↓
   5(5) 新潮社 ↓
   6(9) 角川書店 ↑
   7(6) 中央公論新社 ↓
   8(8) 文藝春秋 →
   9(7) 平凡社 ↓
  10(10) 小学館 ↓
 ※( )内は前年の順位。↑↓→は冊数の増・減・ほぼ横這い。

  ○日販への返品率
  
   2006年   書籍17.4% 雑誌28%
   2007年   書籍18.6% 雑誌26.8%
   2008年   書籍22.6% 雑誌29.1%
   2009年   書籍21.9% 雑誌28.0%
   2010年   書籍23.5% 雑誌28.4%


[#おまけ]

  ○現在進行中の原発事故については、テレビや新聞よりもネットのほ
   うが有益な情報が多いようです。いろいろ見た中では、中部大学の
   武田邦彦氏のブログが、読みやすく親切で、更新も早いのでおすす
   めです。
   この方は「無駄なリサイクルは害の方が多い」という主張の新書類
   を数冊出し、テレビではさんまの番組などに出ている、面白いけど
   いまいち信用しきれないという印象のひとでしたが、おおいに見直
   しました。原子力の専門家としての知識はもちろんですが、データ
   の出どこと考え方の筋道を明らかにした上で、わかりやすく説明し
   ようとされていて、しかも、専門家仲間のチェックも受けて必要な
   らあとで訂正もされるという、まことに誠実な仕事ぶりです。その
   ブログの技術レベルの低さも、ヒモ付きでなく自力でアップされて
   いるらしく思えて好感が持てます。
  
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  長岡義幸
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜107号)」はHPにて公開中です。
     
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