e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第5A冊[41号〜45号]
通巻041号 2000.11.29発行 通巻046号 2001.04.08発行
通巻042号 2000.12.31発行 通巻047号 2001.05.07発行
通巻043号 2001.01.26発行 通巻048号 2001.06.10発行
通巻044号 2001.02.09発行 通巻049号 2001.07.15発行 
通巻045号 2001.03.11発行 通巻050号 2001.09.09発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[041]  
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2000/11/29[02-15-41]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 041号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 朝日新聞夕刊にペヨトル工房の記事が載りました

   11月9日の夕刊文化面「単眼複眼」に、「解散後も元気『ペヨト
   ル工房』の出版物 ネット使い読者らが支援」という記事が載りま
   した。うちの店の名前も出ているので、おかげで一週間ほどは、ネッ
   トでも地べたでも、目立ってペヨトル本の売上げが増えました。
   なお、記事中に「七万冊の在庫の一部を、京都の『三月書房』や、
   静岡の『あべの古書店』などがそれぞれ数千冊づつ、委託販売分と
   して引き受けた」とありますが、数千部も置いておく場所は残念な
   がらありません。現在、うちでは売上げが300冊強で、在庫が5
   00冊くらいですが、店には置く場所がないので、徒歩十分の実家
   に5箱程預けてあります。あべの古書店さんは、さすがに立派な倉
   庫をお持ちのようで、みかん箱詰を1立方米分引き受けられたそう
   ですが、それでも、とても数千冊はないとのことでした。
   
   それにしても、新刊屋の在庫置き場の貧弱なことは、うちに限らず、
   大型店でも同じのようです。とくに最近は、余分な在庫を抱えない
   のが正しい経営法とされていますし、また、現在の正味体系では、
   その余裕もありません。しかし、今後は再販制が崩壊せずとも、新
   本特価セールなどが増加することが予想されますから、在庫倉庫が
   あるかないかで、徐々に差がつくことになるでしょう。それに、ち
   かごろは重版率が目に見えて下がっていますから、必ず売れそうな
   本は、従来よりも多い目に在庫する必要もあるでしょう。そして、
   万一再販制が崩壊すれば、古書店との境がほとんどなくなり、専門
   書類は、新刊屋に比べると巨大な倉庫を持っている古書店に、かな
   り食われることになるでしょう。


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「小さなヴァイオリンが欲しくて」永井陽子 砂子屋書房
 ◆「人類のヴァイオリン」大滝和子 砂子屋書房
 ◆「中井久夫選集:分裂病の回復と養生」 星和書店
 ◆「プロレタリア文学はものすごい」荒俣宏 平凡社
 ◆「親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育」学陽書房
 ◆「神遊び」杉本秀太郎 展望社
 ◆「シュタイナーに<看護>を学ぶ」大住祐子 春秋社
 ◆「シュタイナー入門」小杉英了 筑摩新書
 ◆「真贋」小林秀雄 文化出版局
 ◆「春夏秋冬帖」加藤静允 湯川書房
 
 
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」椹木野衣 筑摩書房
   岡崎京子論。岡崎京子さんの本はどんどん品切れになりつつあるが、
   この本がきっかけとなって、また重版されるといいと思う。
   
 ◆「歌集『風翩翻』」斎藤史 不識書院
   2月予定だったのが遅れていたが、ついに12月に出るらしい。
   「秋天瑠璃」以来久々の歌集だから、大量に売れるだろう。
   
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年」全12巻 三交社
   「月刊吉本隆明」として予告されていたのが、半年ほど遅れてやっ
   と出ることになった。全巻予約もすでに20名近くあり、あとは無
   事に毎月出てくれるのを期待するだけだ。ただし、これには、@2
   000円で合計24000円のところを、20000円に割り引く
   一時払い特価というめんどうな制度がある。もちろん、一時払いか
   各巻払いかを選択するのはお客だが、うちとしては、現在の出版業
   界の情況から考えると、いささかリスクがあるので、毎回払いをお
   奨めしている。リスクとは、いうまでもないが、出版社が潰れる、
   取次が潰れる、書店が潰れる可能性である。今月無事に完結した、
   平凡社の「白川静全集」では、取次の柳原や、駸々堂その他の書店
   倒産で、一瞬、肝を冷やされた読者や書店もあったはずだ。その上、
   大事にはならなかったからよかったものの、平凡社そのもののリス
   トラすらあった。うちはほぼ絶対潰れないし、三交社もよくは知ら
   ないが大丈夫だとしても、出版業界全体が崩壊する可能性が、これ
   からの一年は皆無とはいえないから、やはり毎回払いが安心だろう。
   
 
[#03] 「三月書房 販売速報(仮題)56号」発行のお知らせ

   56号も1ヶ月以上遅れの11月19日にやっと発行しました。
   主な記事は下記の通り
   
   ●「最近1年刊のTOP12(99/10〜00/09)」
    1位「吉本隆明資料集1」猫々堂      62冊
    2位「回思九十年」    平凡社     41冊
    2位「だいたいで、いいじゃない」文藝春秋 41冊
    以下あまり変わりばえしないので略
    
    次回には、「刑務所の中」「河野裕子歌集『家』」「北園町九十
    三番地」あたりがランク入りしそうだ。

   ●インターネット通販300件資料集

    今年1月以来のネット通販が11月15日に300件に達した。
    しかし、1月の2件から8月の52件まで、順調に伸びていたの
    が、9月42件、10月41件と、少し頭打ちの傾向になってい
    る。それでも、11月は60件をかなり越えそうだから、まだ伸
    びる余地がないわけでもなさそうだ。1件あたりの平均冊数は3
    冊強で平均金額が6000円強。
    
    ジャンル別TOP3は、「人智学&三木成夫」85.5件、「消えた
    出版社」84.5件、「漫画」49.5件となっている。人智学はふつう
    に流通していないものが少なくなく、在庫点数も在庫量も、おそ
    らくどこの大書店にも負けていないはずだし、ペヨトル工房など
    消えた出版社の本も、わざわざ揃えている新刊書店はほとんどな
    いから、人気があるのはわかるのだが、漫画がこれだけ売れるの
    が不思議である。うちの在庫はごくふつうに流通しているものが
    ほとんどだし、まんだらけをはじめ専門店も数多あるのになぜか
    と思うが、おそらく、漫画のお客というのは、人智学の何百倍も
    存在するからだろう。ようするに、ネット通販におけるうちのシェ
    アが、仮に人智学は1%とすれば、漫画は0.01%位ということだ
    と思う。それにしても、郵便電話FAX通販だと人智学と同じく
    らい売れている「短歌」が、いまだに18.5件でしかないのは、や
    はり、読者のインターネット率が圧倒的に低いからだろう。

   ●ペヨトル工房さよならセール
    6月から10月までの売上げ上位は、「夜想35」15冊、「同
    02」「同05」各13冊、「クラッシュ」「猫のムトンさま」
    各10冊、「エステル」「リリカ」「夜想15」「同22」「同
    33」各9冊となっている。全体としては、圧倒的に夜想の各号
    の売れ行きがよい。
   
   ●主なシリーズものの定期予約数 '00秋
    9名「蕪村全集」「日本文藝史」、7名「新日本古典文学全集」
    6名「辻まこと全集」「塚本邦雄全集」「白川静全集」「須賀
    敦子全集」以下略

    小西甚一の文藝史はあと別巻が出る予定なのだが、10年ほど
    音沙汰がない。いまさら出ても、予約者の所在を確認するのが
    けっこう面倒だが。去年までこのリストの上の方にあった「前
    川佐美雄全集」は、小沢書店倒産のため、4年程前に1冊出た
    だけで途絶してしまった。どこかの出版社が引き継いでくれる
    といいのだが。辻まことはバラでもよく売れていて、1は10
    冊を越えている。
    
   なお、いつもお伝えしていますように、この販売情報紙は返信用
   封筒をお送りくださった出版社様にのみお送りしています。
   
   
[#04] Book-Oorder.Netについて

   小学館などのs-books、角川書店などのKADOKAWA.Web.Hot.Lineに
   続いて、文藝春秋がBook-Oorder.Netにて、書店向けの受注サイト
   を立ち上げた。この3つのサイトは同じ書店データベースを使用
   しているらしくて、うちのIDはすべて同じだ。この文藝春秋の
   サイトのよいところは、取次を選択できることである。これは先
   の二つのサイトにはなかった機能である。角川では鈴木から仕入
   れたいと思っても、日販しか選べなかったが、文藝春秋の場合は
   鈴木を指定することができた。ただ、残念というか、当然という
   か、いままで一番仕入れにくかった新刊は、サイトでも調整中と
   か品切ればかりで、ほとんど用を足せなかった。旧刊はいままで
   でも、鈴木に注文すれば、たいして時間がかからずに入荷してい
   たから、いまのところではたいして使い道がないようだ。
   

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三月書房販売速報[042]  
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2000/12/31[02-16-42]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 042号
     
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[#00] 来年もよろしく

   今年は景気が良かったというほどではなかったですが、やっと、
   うちの店は3年連続の低下から立ち直って、96年の売上げにほ
   ぼ戻ったような感じです。しかし、おそらく来年は日本国の先送
   りも、出版業界の先送りも限界に達して、大不況が避けられそう
   にありません。日本経済の先送り策は、消費税30%かハイパー
   インフレのどちらかを選択しないと解決しない時期が近づいてい
   るそうです。とはいえ、そんな解決策をとる度胸はなさそうなの
   で、さらに傷を深くする先送り策を続けるのでしょう。どうも、
   日本国のこの先送り策は、米国経済のバブル崩壊を待って、その
   どさくさに紛れてしまおうと期待しているようにしか思えません。
   そして出版業界もまた同様に、日本経済崩壊のどさくさに紛れよ
   うとしているようにしか思えません。いまわれわれがとりうる唯
   一の自衛策は、新たな借金をしないことくらいでしょう。そして、
   みんなが借金をせずに、浪費を慎むという<正しい>行動をとれ
   ば、ますます全体経済の首を絞めることになるという悪循環に陥
   ります。それゆえに、自分は無駄遣いしないが、世間の人たちは
   なぜか浪費に走ってくれる、という都合のよい状況になることを、
   期待するしかないのですが、これでは、鬼もあほらしくて、笑っ
   てくれないでしょう。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「吉本隆明が語る戦後55年 1」 三交社
 ◆「三角寛選集1:山窩物語」現代書館
 ◆「女には向かない職業2」いしひさいち 東京創元社
 ◆「歌集:風翩翻」齋藤史 不識書院
 ◆「歌集:静物」小池光 砂子屋書房
 ◆「京町屋の四季」杉本節子 展望社
 ◆「漁生の浪漫戦記 青春の墓場」鈴木漁生 幻堂出版
 ◆「NOBARA」森元暢之 幻堂出版
 ◆「文庫本を狙え!」坪内祐三 晶文社
 ◆「天皇の戦争責任」加藤典洋・橋爪大三郎・竹田青嗣 径書房
 ◆「日本の歴史00:<日本>とは何か」網野善彦 講談社
 ◆「長谷川利行画文集:どんとせい」 求龍堂
 ◆「ニッポン昔話」花輪和一 小学館
 ◆「別冊太陽:読み語り絵本100」 平凡社
 ◆「情況1-2合併号:特集・追悼 島成郎」 情況出版
 ◆「白痴群」車谷長吉 新潮社
 
 
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「モダンガール論」齋藤美奈子 マガジンハウス
 ◆「歌集:水苑」高野公彦 砂子屋書房
 ◆「歌集:夏至」森岡貞香 砂子屋書房
 ◆「歌集:恐山からの手紙」辰巳泰子 ながらみ書房
 ◆「歌集:夢の階段」伊藤一彦 雁書館
 ◆「歌集:臓器(オルガン)」岡井隆 砂子屋書房
 ◆「歌集:日輪」永田紅 砂子屋書房
 ◆「現代短歌と天皇制」内野光子 風媒社
 
   12月の歌集ラッシュはちょっと異常でした。なぜ一斉に駆け込
   み出版されたのか不明ですが、まさか20世紀を代表する歌集に
   選ばれようとされたわけではないでしょう。
   

[#03] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その14)

   9月末に閉店された河原町蛸薬師角のサワヤ書房さんは、靴下屋
   になられたようです。12月始めに見たところ、看板にtutuanna
   とかいう靴下専門?チェーン?の名とサワヤという屋号?が並ん
   で表示してありました。場所を貸されたのか、ご自分で経営され
   ているのかは不明ですが、とても繁盛しているように見えました。
   
   11月末オープンの洛北高野のショッピングセンターは、まだ見
   に行く閑がありません。イズミヤBCがイズミヤ内にオープンし
   たようですが、160坪とごく小規模なのでたいしたことはなさ
   そうです。なお、アヴァンティBCの名で出るというのは結果的
   に誤報でした。
   
   ここもまだ未見ですが、ブックファースト四条大宮店が、12月
   中旬に80坪でオープンしたとのこと。場所は阪急の駅ビル1階
   ですが、BFは阪急電車の急行停車駅すべてに出店を考えている
   とのうわさです。京都だと次は西院駅ビルではないかと思います
   が、最近あのあたりは妙に書店が過剰なので、どうなるかはわか
   りません。

   これもまだ未確認ですが、京都市内に数十店展開している、コミッ
   ク専門の新古本店チェーンが倒産したようです。これは、最近は
   やりの民事再生法らしくて、数日間閉店していた後、現在は営業
   を再開しています。このチェーンの本部は、京都ではこの手の業
   態のはしりだったと思いますが、マンガ喫茶チェーンも経営して
   いたはずです。うわさでは経営不振の原因を、新刊業界における、
   コミック販売不振の影響としているそうで、本当ならちょっと面
   白い話です。よーするに、書店組合などが目の敵にしているブッ
   クオフを潰したければ、もっと新刊業界が不振になればいいとい
   うことになりますから。もちろん再販制度を廃めれば、たちまち
   ブックオフは潰れると、経営者本人が言ってるようですが。
   
   今年、うちの店は覚えきれないくらいたくさんの雑誌や新聞に紹
   介記事を載せてもらいましたが、こんどは「Title」と「spoon.」
   という雑誌に載せてもらいました。うちは雑誌販売が極端に弱い
   ので、両誌とも入荷したことがなくて初耳でしたが、文藝春秋と
   角川書店が発売元のおしゃれな雑誌でした。
   この「Title」は読書の特集号で、書店の紹介記事も多く、京都で
   はこの手の記事の常連店以外にも、洛風書房、レブン書房、朝日
   堂書店、小坂青雲堂など、ぜんぜん知らなかった書店が面白く紹
   介されていて珍しかったです。「spoon.」のほうはサイトの紹介
   記事でしたが、うちのおしゃれでないHPと店頭写真は、やや場
   違いな感じでした。
   
   京都の某書店のチーフがメルマガを始めました。某書店と匿して
   も、業界関係者あるいは地元の読者が読めば丸わかりでしょうが。
   一部の関係者に転送したところたいへん好評でしたから、興味の
   ある方は購読してみられるといいでしょう。
   ■□■不定期刊行「書店員 井の中の蛙通信」*転送歓迎*■□■
   ■□■(C)YASUKI Takehito (kokukire@mediawars.ne.jp) ■□■
   

[#04] 「八百長リクエスト通信(仮題)」休刊のお詫び

   もう忘れてしまわれた方がほとんどでしょうが、昨年でっちあげ
   た「図書館で八百長リクエストをする会(仮称)」は、通信を2号
   出したままで、1年以上ほったらかしになっています。また、4
   月に刊行の「本とコンピュータ12号」掲載の拙文にて、秋刊行
   予定の「ず・ぼん7号」に活動報告を載せていただくと予告して
   しまいましたが、これも取り止めにしてもらいました。
   このように活動が停滞してしまったのは、筆者の怠慢はもちろん
   ですが、筆者を含む数名の会員が、実際に八百長リクエストした
   結果がぜんぜん芳しくなく、めんどうなばかりで、ほとんど効果
   が上がらなかったからです。
   
   実際に活動してみて、一番やっかいだったのが、ある館で検索し
   てみて所蔵がないと確認した本をリクエストすると、図書館のネッ
   トワークがあって、どこか近くの館から借りてきてくれることが
   多いことでした。本当に読みたかったのなら、それでよいわけで
   すが、読みたくもない本であり、新たに購入してもらうことだけ
   が目的だったのですから、これでは無意味です。それでも、いら
   ないとは言えないので、うれしそうなふりをして、重い本を借り
   て帰らなくてはならないのがとてもめんどうでした。
   
   それと、最近では文藝春秋に林望氏も書いておられましたが、ベ
   ストセラー本の複数購入を優先して、利用率の少なそうな本は購
   入しない傾向が、ますます顕著になってきたようです。そして、
   自治体の財政悪化により、図書購入費は減少しつつありますから、
   固い本は敬遠され、リクエストしても、無視されるか、どこかか
   ら借りてきてくれるかということがさらに増加するでしょう。
   
   それから、こういう冗談ぽいことを嫌う図書館関係者が少なくな
   いような雰囲気があり、あまり活発に活動すると、すでに以前か
   ら、こういう活動をしておられるらしい、いくつかのグループの
   迷惑になりそうな気がしました。よそのグループとは、具体的に
   は書けませんが、たとえばある種の教育研究の会のようなとこで、
   一般向けの出版物も出しているところが、全国の会員に呼びかけ
   ているのを見たことがありますし、それとは別の会のうわさを聞
   いたこともあります。当然のことながら、一部の出版社の方々も、
   故郷の親兄弟や友人などに依頼しておられることでしょうし。
   
   そういうわけで、この会はこれにて休止させていただきます。
   会員の皆様のご協力に感謝いたします。
   ただし、この八百長リクエストという方法は、面倒さえ厭わなけ
   れば間違いなく有効ですから、専門書を出されている出版社の方
   々が、各自で組織されれば、少しは売上げの足しになることでしょ
   う。なお、「八百リク通信」のバックナンバーは、HPにて再公
   開しておきますからご参考にどうぞ。

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三月書房販売速報[043]  
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2001/01/26[03-01-43]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 043号
     
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[#00] 今年もよろしく

   前世紀最後の大晦日の朝日新聞の読書ページに、ちょっとかっこ
   よく載りましたが、業界関係者のかたはたぶんご覧いただいたと
   思います。近所の知り合いは誰一人見なかったようですが、さす
   がに、うちのお客さんはかなり見てくださったようです。ちかご
   ろ新聞や雑誌に取り上げられる機会が目立って増えていますが、
   昔から、世間が不景気な時には、うちの評判は少し上がり、好景
   気の時は無視されがちな傾向があります。そのことから考えます
   と、昨今の不景気は近年にない深刻なものであり、今年もうちの
   名前が目立つようなら、景気は当分上向かないでしょう。


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「歌集:水苑」高野公彦 砂子屋書房
 ◆「歌集:夏至」森岡貞香 砂子屋書房
 ◆「歌集:日輪」永田紅 砂子屋書房
 ◆「身体感覚を取り戻す」齋藤孝 NHK出版
 ◆「金色のお城から」塩見佳子 虹のアトリエ出版
 ◆「不過視なものの世界」東浩紀 朝日新聞社
 ◆「はじめての三線」漆畑文彦 晩声社
 ◆「アラステア画集」生田耕作編 サバト館
 ◆「モリニエ、地獄の一生涯」P.プチ 人文書院
 
   このコーナーは実売データに基づいているわけではなくで、あく
   までも、「売れてるような気が」した本をあげているだけです。
   したがって、売れて当たり前の本が数冊売れたぐらいでは載せる
   気になりませんが、たいして売れないだろうと思った本が、出足
   良く2、3冊売れたら、よく売れてるような気がして載せてしま
   います。今回でいうと「アラステア画集」と「モリニエ」は、ま
   だ3冊くらいしか売れてませんが、定価などから考えると、よく
   売れてると言ってもいいでしょう。
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「歴史を考えるヒント」網野善彦 新潮社
 ◆「批評の時」新保祐司 構想社
 ◆「色彩論」ゲーテ 筑摩学芸文庫

   気のせいか、今年に入って新刊がやや減少しているような気がす
   るが、もう少し様子を見ないと何ともいえない。もし、水膨れ体
   質を改善するために、出版点数を減らしているのなら結構なこと
   だが、自転車操業すらおぼつかなくなってきたのなら、いよいよ
   破局が近いのではと思われる。いずれにしろ、無事には済みそう
   にない年度末が迫っているので、まだ余裕が残っている出版社は、
   無理に点数を増やさずに、様子を見ているのが正解だろう。
   

[#03] 昨年ほんとうに売れた本 

 ●2000年の売上げTOP15
 
   1 吉本隆明資料集<01>         68冊 猫々堂
   2 回思九十年(白川静)         49冊 平凡社
   2 刑務所の中(花輪和一)        49冊 青林工藝舎
   4 だいたいで、いいじゃない(吉本&大塚)46冊 文藝春秋
   5 超「20世紀論」上(吉本&田近)   45冊 アスキー
   6 写生の物語(吉本隆明)        43冊 講談社
   7 家(河野裕子)            39冊 短歌研究社
   8 資料・米沢時代の吉本隆明(4冊セット)37組 齋藤清一
   9 <老い>の現在形(吉本&三好)    34冊 春秋社
   9 グーグーだって猫である(大島弓子)  34冊 角川書店
   11 吉本隆明が語る戦後55年<1>    33冊 三交社
   12 海・呼吸・古代形象(三木成夫)    31冊 うぶすな書院
   12 中学生のための教科書:美への渇き  31冊 四谷ラウンド
   14 夜光(吉川宏志)           30冊 砂子屋書房
   15 北園町九十三番地(山田稔)      28冊 編集工房ノア
   
   これは、「売れた気がした」というあてにならないデータではな
   くて、売上げカードを集計したものですから、ほぼ正確です。例
   年は吉本隆明本ばかりで、あまりおもしろいリストになりません
   が、昨年はこれでもややバラエティがあったほうです。そのあた
   りが、4年ぶりに売上げが増加した理由のひとつでしょう。16
   位以下は「風翩翻」「A遠」「海のタッチ」「夜想35」「笑う
   吸血鬼」などが続きます。ただし、猫々堂の資料集は9まで出て
   いて、いちいち載せると占領されてしまうので、1のみで代表さ
   せました。それから「超20世紀論」は下も同時発売で、同じだ
   け売れているのですが省略しました。なお、このリストでは、文
   庫、新書、雑誌扱いのコミックスなどは除いてあります。
   

[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その15)

   9月末のサワヤ書房さんに続いて、昨年末に四条河原町東入るの
   老舗書店、海南堂書店さんが廃業されました。山の本に強い店と
   して有名で、市電が走っていたころには、店の前に祇園方面行き
   の停留所があり、大繁盛していたように見えました。店頭告知に
   よると、今世紀からは新事業に乗り出されるとのことです。ここ
   も、サワヤさんよりはやや落ちるものの、それでも京都一の繁華
   街の路面店ですから、なにをされても本屋よりは儲かるでしょう。
   これで、河原町通りの三条〜四条で20年以上続いている新刊書
   店は文祥堂、丸善、河原書店の3店だけになりました。もちろん
   新たにブックファースト、メディアショップ、ヴィレジヴァンガ
   ード、アニメイトなどが進出していますが、売り場面積はともか
   くとして、軒数では半減と言えるでしょう。このあたりの書店業
   界唯一の救いは、京都を代表する古書店、キクオ書店、京阪書房、
   大学堂、平安堂、赤尾照文堂が不変なことだけです。
   
   洛北高野のショッピングセンターを正月に見てきました。イズミ
   ヤのスーパー部分とユニクロなどの専門店がうまいこと組合わさっ
   ているようで、周辺の人には便利でしょう。しかし、市内中心部
   からわざわざ行くほどのことはありません。ブックセンターは、
   それなりのものとしか言いようがなく、個人的にはまったく興味
   が持てませんが、こういう店の経営については素人なので、上出
   来なのか不出来なのかさっぱりわかりません。残念だったのは期
   待していた京都初のHMVが、小さな店でPOPな品揃えだった
   ことです。このショッピングセンターは、商圏を今出川以北に設
   定しているようで、その地域を無料シャトルバスが回っています。

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三月書房販売速報[044]  
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2001/02/09[03-02-44]  (c)SISIDO,Tatuo      

        e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 044号
     
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[#00] 去年の今頃は、あの駸々堂の倒産と、それに伴う日販の危機報道
    があって、このメルマガを1週間に3号も連発してしまうほどの
    <盛り上がり>でしたが、今年はまだ変に静かです。しかし、廃
    業・転業・倒産される書店や出版社は増加しつつあるようですし、
    また、毎日の新刊の質量が、かなり落ちつつあるような気もしま
    す。店舗過剰と生産過剰が調整されて、出版業界の体質が改善さ
    れつつあるのならけっこうなことですが、いまの状況で縮小均衡
    に耐えられる出版社・取次・書店がそう多くあるとは思えません。
    こちらにも、どんなとばっちりがあるか、わかったものではあり
    ませんが、スリル満点の年度末になりそうです。


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「文藝別冊:赤軍」 河出書房
 ◆「内田魯庵山脈」山口昌男 晶文社
 ◆「日本の歴史文学」新保祐司&富岡幸一郎 朝文社
 ◆「南回帰線」ヘンリー・ミラー 講談社
 ◆「喜劇駅前花嫁」駕籠真太郎 太田書店
 ◆「歴史を考えるヒント」網野善彦 新潮社
 ◆「モダンガール論」齋藤美奈子 マガジンハウス
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年 2」 三交社
 ◆「みすず 1月号:アンケート特集号」

 ◆再掲:「金色のお城から」塩見佳子 虹のアトリエ出版
   この絵本は14冊売れているが、すべてがネット通販で、店頭で
   はなぜかまだ1冊も売れない。こんなことは初めてだが、うちの
   サイトでは、この絵本に限らず、画像情報は一切ないので、文字
   情報だけで買ってくださっているわけである。現物を手にとって
   見ることが可能な店頭で、1冊も売れないことと考え合わせると、
   何か不思議な気がしないでもない。ただ、ひとつ言えることは、
   「シュタイナー教育」に熱心な人たちの方面では、人智学関係の
   絵本に対する潜在需要が大きいにもかかわらず、現在のところ、
   適当な絵本が少ないらしいということである。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「過ぎてゆく歌」齋藤史 河出書房
 ◆「哀愁のストーカー」松岡祥男 ボーダーインク
 ◆「日本書史」石川九楊 名古屋大学出版会 ※4月刊予定
 
 
[#03] 「三月書房 販売情報(仮題)第57号」発行のお知らせ

   57号は2月4日付けで発行しました。今年も年4回発行の予定
   です。この号の内容は下記の通り。
   
   ●たいへんよく売れた本・2000年のTOP20 ※前号で速報済み
   ●わりとよく売れた本 (略)
   ●かなりよく売れた本 (略)
   ●2000年の<吉本隆明>本 (略)
   ●2000年の<三木成夫>本 (略)
   ●2000年 出版社別総合売上冊数TOP50

    01:岩波書店   万年1位だが冊数は減少傾向が続く
    02:筑摩書房   売上が3割も上昇し2位に躍進。原因不明
    03:講談社    筑摩に抜かれたが冊数は横這い
    04:新潮社    ここも冊数は横這い
    05:平凡社    絶好調。前年9位から。リストラが不思議
    06:河出書房新社 若干上昇気配
    07:中央公論新社 長期低落中
    08:文藝春秋   横這い。安定しているというべきか。
    09:小学館    横這い。同上。
    10:角川書店   傘下出版社が増えたため、いちおう上昇
    11:ペヨトル工房 売上げ1000%増加!!!!!!
    12:集英社    ほぼ横這いながら少し上昇
    13:朝日新聞社  不調。順位も売上げも低下
    14:砂子屋書房  順位は前年と変わらないが冊数は上昇
    15:イザラ書房  年度中に独立のインパクト出版局分を含む
    (以下略)
    
   お断り:いつもお伝えしていますように、この情報紙は返信用封
       筒をお送りいただいた出版社様に限り配布しています。
       書店関係者は、出版社の営業さんからコピーをもらって
       ください。


[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その16)

   京都の有名な漫画専門店ビッグボスが、先月?廃業された。経営
   者は元駸々堂書店河原町店(倒産時よりもかなり以前に閉店)に
   て、20年ほど前に、当時としては質量共に京都一のコミックコ
   ーナを成功させた人として有名だった。このコーナーはのちコミッ
   クランドとして朝日会館の2階に拡大移転したが、たしか、その
   ころに脱サラして、河原町七条東にビッグボスをオープンされ、
   おりからのコミック・ブームに乗って、一時は大繁盛しているよ
   うなうわさを、業界紙などでよく見かけたものだった。このよう
   な筋金入りのプロの店でもこけるほど、現在のコミック業界は落
   ち込んでいるのだろう。同店は負債を残して閉店されたとはいえ、
   店舗を手放さねばならないほどの金額ではなかったらしく、今後
   は飲食店に転業して借金を返済されるといううわさだ。これで、
   京都のコミック専門店は、寺町四条上がるの喜久屋書店の一人勝
   ちということになるのだろうか。
   うちは元々コミックには手を出さず/出せず、細々と書籍扱いの
   漫画本を売っているだけなので、コミック業界のことはほとんど
   わからないが、コミックに限らず、単一分野の専門店はそのジャ
   ンルが落ち込むと、個店の頑張りだけでは支え切れない危険性が
   常にあるようだ。ついでながら、ちょうど一年前に潰れた駸々堂
   書店の京都圏5店中、いまだに後継書店が決まらないのは、朝日
   会館の元コミックランド店だけである。
   
   ヴィレッジヴァンガードの京都市内ではたぶん2店目が、先月末
   に烏丸通姉小路の「新風館」2階にオープンした。ここは、元電
   話局の大正時代の3階建て局舎を複合商業施設に改築したものだ
   が、現在では考えられないくらい贅沢に敷地を使っている。口の
   字型の建物なのだが、建物部分はごくわずかで、中庭は千人位が
   盆踊りでも出来そうなくらいに広い。27店のテナントは、野外
   ステージが設けられた、その中庭に面した通路沿いに並んでいる。
   V.V.は30坪くらいあり、河原町オーパ店よりは少し広くて、
   ややましな品揃えのような気がしたが、ほかのV.V.を一切知ら
   ないので何ともいえない。
   
   ヴィレッジヴァンガードはもう1店、北山通りで開店準備中だが、
   駐車場もある郊外型の単独店らしいから、ここが一番本来のコン
   セプトに近い店舗になるのではと思われる。この北山店は既存書
   店を丸ごと改装するものと聞いた。店の名前も聞いたのだが、も
   ともと知らない書店のため覚えられなかった。
   
   
[#05] 営業時間短縮のお知らせ

   平日の営業時間は、午前10時半から午後7時半までだったが、
   2月から11時〜7時までに短縮することにした。開店当初の1
   950年代には、10時から10時までの12時間営業だったが、
   その後徐々に短縮して、ここ20年程はずっと同じだったような
   記憶がある。
   閉店時間といってもそんなに厳密ではなく、お客がおられれば、
   8時過ぎまで閉められない時もあったから、7時と書いておけば、
   7時半には閉められるだろうという程度のことである。その逆に、
   雨が降ったりして、まったくお客が来そうになくても、7時半ま
   でと書いてある以上は、その時間まで閉められなくてめんどうだっ
   たから、そういう点は楽になりそうだ。まあようするにその程度
   のことだから、売上げが落ちるとしても、せいぜい1%位だろう。
   なお、日祝日は午後1時半から5時半で変わりません。
   
   
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☆受贈御礼 勝手に広告☆

 「消える本、残る本」永江朗著 編書房 本体1600円
 
 <本の偽金化が進んでいる!!いったい生き残るのはどんな本なのか>
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三月書房販売速報[045]  
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2001/03/11[03-03-45]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 045号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 「版元ドットコム N E W S」でほめてもらいました。

   版元ドットコムの沢辺均[ポット出版]さんが、うちのサイトを
   <絶賛>してくれました。

  「(前略)ウェブサイトといってもデータベースも何もない。ただの
   商品目録の羅列みたいな、1番原始的な、本当に素人が作ったとい
   うウェブサイトだ。(中略)。町の書店がネット書店にたいして、
   そんなにビビル必要ないといったけれども、逆に3月書房ができる
   範囲のささやかなウェブサイトと電子メールで通信販売をのばす
   こともできる。ということは過大なビビリはいらないけれども、
   知らん振りするのも、状況として違うだろうと。なにやら立派な
   システムが必要なのではなくて、3月書房のあのボロボロのウェブ
   サイトでも、その書店のムード、イロ、営業方針を反映している
   ものであればインターネットを活かすことができるんだと思う。
   (後略)」
   
   全文は http://www.hanmoto.com/diary/diary010228.htmlで読めま
   すが、それにしても<スゴク>ほめていただいて、ありがたいことで
   す。きっと、どんなにボロボロなのかと、見学者が増えることでしょ
   う。中途半端なおしゃれサイトを無理して作るよりも、ボロボロが
   特色ということにしておいて、当分手抜きで行こうと思います。
   
   ところで、ふと考えると、これは、古書店に間違えてもらう方がい
   いといいつつ、ボロボロの店で営業している地べた部門と、まった
   く同じ言い訳のような気がします。もっとも近頃は古書店のほうが
   こぎれいになりつつあるようなので、この手もいつまで続けられる
   か不明ですが。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「精神の氷点」大西巨人 みずす書房
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年 3」 三交社
 ◆「幸福論」吉本隆明 青春出版社 
 ◆「吉本隆明資料集 11」猫々堂
 ◆「哀愁のストーカー」松岡祥男 ボーダーインク

 ◆「誰が本を殺すのか」佐野眞一 プレジデント社
   この本はまだゆっくり読んでいないのだが、再販制に対する佐野
   氏の意見は、以前に週刊現代で読んで以来、信用出来そうだと思っ
   ている。佐野氏は、週刊現代96年6月1日号で、「なぜ『読売』
   は再販論議の中身を報じないのか」と題して、読売新聞の再販問
   題についての強硬姿勢を「…威嚇的軍事演習を行った中国の覇道
   的行動を思い起こさせるほどだった」とか「さながら戦時中の大
   政翼賛会を連想させる」と批判していた。これは、当時も今も、
   再販制護持以外の言論をほとんど掲載しない新聞・出版業界の中
   にあっては、かなり画期的なエライ発言だったと思う。
   うわさでは、この3月末に予定されている再販についての、公取
   委の見解は、<覇道的>新聞社の<ワンマンマン>の政治力によって、
   ほぼ自動延長のような結論になるらしい。
   再販制についての個人的な意見としては、新聞と雑誌については
   もはや完全に不要だと思っている。そして、書籍にのみ再販制を
   残せば、雑誌の流通が変わることによって、書籍と雑誌の流通が
   分離され、MOOKのような曖昧形態も淘汰され、かなりすっき
   りするのではと考えている。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「増補 齋藤史歌集(文庫判)」齋藤史 不識書院
 ◆「別冊太陽:京の町屋暮らし」 平凡社
 ◆「木 いのちの寓話」村瀬学 平凡社
 ◆「フィロソフィア・ジャポニカ」中沢新一 集英社
 ◆「女獣心理」野溝七生子 講談社
 ◆「山形道場」山形浩生 イースト・プレス
 
 
[#03] 昨年末の歌集ラッシュの中間報告

   昨年の秋から年末にかけては、実に大量の歌集が出たが、とくに
   12月の砂子屋書房はすごかった。あまり一度に有力な歌集が出
   たために、まだ読者が買い切れていないような感じだ。
   最近の売上げ上位は下記のようになっている。2001/02末現在。
   
 1 「風翩翻」 齋藤史 不識書院  56冊 
 1 「家」 河野裕子 短歌研究社  56冊
 3 「夜光」 吉川宏志 砂子屋書房 34冊
 4 「小さなヴァイオリンが欲しくて」 永井陽子 砂子屋書房 27冊
 5 「希望」 小島ゆかり 雁書館 19冊
 6 「静物」 小池光 砂子屋書房 18冊
 7 「日輪」 永田紅 砂子屋書房 16冊
 8 「人類のヴァイオリン」 大滝和子 砂子屋書房 14冊
 9 「豆ごはんまで」 坪内稔典 ながらみ書房 12冊
 10 「水苑」 高野公彦 砂子屋書房 11冊
 
   例年だと20冊以上売れる歌集は1、2冊程度だから、とにかく
   昨年末のラッシュはすごかった。これらの歌集の大部分の売れ行
   きは、まだ止まっていないので、売上げ部数はさらに増加するだ
   ろう。この表の下にも、いずれは10冊を越えそうな歌集が多数
   並んでいる。そして、特筆すべきことは、これらの歌集の本体価
   格が、3000円平均もするということである。
   昨年末から現在まで、うちの店の景気が妙によい原因の一つが、
   この歌集ラッシュだったことは間違いない。
   
   いま、うちの店で、3000円で50冊も売れる本は、他の分野
   ではごくまれだし、30冊でも吉本本か漫画本ならたまにはある
   という程度である。ましてや、詩集や小説だったら、1000円
   でもこんなに売れる本はない。世間でもさすがに「風翩翻」は売
   れているらしく、版元の話では目標2万部ということだが、他の
   歌集がどの程度売れているのかはわからない。
   しかし、3年分位の歌集が一挙に出てしまったような気がするか
   ら、今年は、その反動で売れる歌集がほとんど出ないのでは、と
   少し心配である。
   
   
[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その17)

   また河原町から本屋が1軒減りました、とは言っても、こんどは、
   河原町オーパのヴィレッジ・ヴァンガードが北山に移転しただけ
   です。前号にて、京都で3軒目とお知らせしたのが、実はこの移
   転のことでした。したがって、京都のV.V.は2店舗のままです。
   なお、この2店とも直営と聞きました。
   
   それから、アニメイト京都店がいつの間にか移転していました。
   以前は、河原町蛸薬師の丸善京都支店の向側、清水屋レコード店
   ビルの上階にあったのですが、現在は新京極の京都吉本ビル(パッ
   サージオ)2Fにあります。いつ移転したのかは不明ですが、ハロ
   ーページでは旧住所なので、ここ1年以内でしょう。近所に移転
   とはいえ、これで河原町通りから、もう1軒消えたことになります。
   
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●ペヨトル工房ファン・サイト http://www.thought.ne.jp/peyotl/
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