e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第6A冊[51号〜55号]
通巻051号 2001.10.15発行 通巻056号 2002.05.06発行
通巻052号 2001.12.10発行 通巻057号 2002.06.18発行
通巻053号 2002.01.10発行 通巻058号 2002.07.31発行
通巻054号 2002.02.10発行 通巻059号 2002.09.16発行
通巻055号 2002.03.10発行 通巻060号 2002.10.19発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[051]  
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2001/10/15[03-09-51]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 051号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 当時はみんなが何となくバカにしていましたが、湾岸戦争時の海
   部首相のグズ振りが、ちかごろ妙に懐かしいような気がします。
   小田嶋隆センセの「パソコンゲーマーは眠らない(朝日文庫)」は
   当時のコラム集ですが、湾岸戦争における政府の対応について、
   「(外交で)勝利をおさめるのは、いつでも『場当たり的』で『及
   び腰』な、『目立つまいとしているだけ』の、『いくじのない』
   『間抜けくさい』『うじうじした』戦略をとる国なのだ」と肯定
   しています。そこへいくと、小泉政府はあいかわらず『場当たり
   的』で『間抜けくさく』て『及び腰』ではあるものの、『うじう
   じとせず』に『目立とうとして』、『いくじなしではない』と思
   われたがっているようなので、どうやらろくな結果にはならない
   ような気がします。

   そんな状況では今さらとも思いますが、マイカルがこけ、いよい
   よダイエーもこけそうという状況ですから、出版業界でも、かね
   てより危ないといわれているところが、次々にこけることになる
   でしょう。出版業界の現状は、再販制度のおかげで、辛うじてデ
   フレに耐えているだけというところです。定価があるから、6年
   連続の前年割れではあっても、帳簿上の在庫価値は下がらないし、
   牛丼やハンバーガーのような値下げ競争をしなくても済んでいま
   す。マクドの藤田社長の予想では、来年はハイパーインフレにな
   る可能性が大きいそうですが、ハイパーインフレになると再販制
   が逆に邪魔になることは、石油ショック時に安易なシール貼りで
   便乗値上げして倒産した、某辞書出版社の例でも明らかです。
   
   インフレが大借金を吹き飛ばしてくれるのを期待している向きも
   少なくないようですが、ふた桁程度のインフレ率ならば、大借金
   がすぐにただ同然になるわけではなくて、少なくとも数年はかか
   りますから、その間を持ちこたえるのはさらに困難でしょう。3
   桁以上のインフレ率というのは終戦直後の数年間以外にはなかっ
   たことなので見当もつきませんが、預貯金封鎖とか新円切り替え
   とかが当然予想され、ふつうの商売は上がったりになり、闇屋が
   繁盛することになるはずです。そうなれば田舎に引っ込んで芋で
   も作るのが一番かもしれません。積んだままの本やCDが大量に
   あるので、1年や2年は新刊や新譜が出なくても退屈しなくて済
   むでしょう。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「斉藤史歌文集」 講談社(文庫)
 ◆「追悼・島成郎(精神医療別冊)」批評社
 ◆「須賀敦子のヴェネツィア」河出書房
 ◆「品定め」杉本秀太郎 展望社

 ◆「神々の不幸」エリュアール&エルンスト ペヨトル工房
 ◆「夜想21:天使」 ペヨトル工房
 ◆「2マイナス(1)飴屋法水」ステュディオ・パラボリカ
   0号は取次を通さずに5000部を売り切ってちょっと話題にな
   りましたが、この1号は今のところ、0号に比べると、あまり出
   足がよくありません。それでも1週間で10冊売れましたから、
   まずまずでしょう。0号は重版もされてまだまだ売れています。
   ペヨトル本は「興亡史」刊行以来また一段と売れ行きが上昇して、
   8月106冊、9月116冊と月間記録を更新中です。刊行前の
   月間平均が70冊程度でしたから、この上昇は「興亡史」とその
   書評などによって、ペヨトルの解散とうちの通販をはじめて知っ
   た方々がたくさんおられたからに違いありません。

 ◆「今に生きる親鸞」吉本隆明 講談社(新書)
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年(6)」三交社
 ◆「考える人びと」入澤美時(吉本隆明・網野善彦他) 双葉社 
 ◆「吉本隆明全講演CD(1)」地方小センター扱い
   ますます吉本本の新刊が増えていますがどれも順調に売れていま
   す。「考える人びと」は入澤氏によるインタビュー本で、吉本氏
   は全10名の一人に過ぎないのに2500円の本が20冊近く売
   れました。9500円もする「CD(1)」ですが、これも20
   冊売れました。さすがに全数10冊にもなるという全巻を予約さ
   れた方は多くありませんが、(1)は最終的には30冊弱、(2)
   も10冊強は売れるでしょう。
   
 
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「日本の伝統美を訪ねて」白洲正子 河出書房
 ◆「白洲正子<ほんもの>生活」新潮社
 ◆「淫剣花」佐伯俊男 河出書房
 ◆「食べもの探訪記」吉本隆明 光芒社 
 ◆「こくう物語」鈴木翁二 青林工藝舎
 ◆「愛蓮の家族/聖書」安部慎一 青林堂
 ◆「ドルメン:月と蛙」中沢新一&港千尋 せりか書房
 ◆「日本のシュタイナー教育とオイリュトミー」学陽書房
 ◆「歌集E/T」岡井隆 書肆山田
 ◆「石神井書林 日録」内堀弘 晶文社
 ◆「別冊太陽:白川静」平凡社
 ◆「基娘伝」諸星大二郎 潮出版社
 ◆「レコスケ」本秀康 ミュージック・マガジン


[#03] 最近ほんとうに売れた本 

 ●最近1年間の売上げTOP15(00/10〜01/09)
 
 ↓ 1 家(河野裕子)            74冊 短歌研究社
 ↓ 2 風翩翻(齋藤史)           72冊 不識書院
 ↑ 3 心とは何か(吉本隆明)        70冊 弓立社
 ↓ 4 幸福論(吉本隆明)         56冊 青春出版社
 ↓ 5 <老い>の現在形(吉本&三好)    51冊 春秋社
 ↑ 6 日輪(永田紅)            50冊 砂子屋書房
 ↓ 7 悪人正機(吉本&糸井)        49冊 二見書房
 ↓ 7 吉本隆明が語る戦後55年<1>    49冊 三交社
 ↓ 9 日本近代文学の名作(吉本隆明)   47冊 毎日新聞社
 ↑ 10 夜想トゥマイナス 0号 (重版入荷) 46冊 パラボリカ
 ↑ 11 夜想35[チェコの魔術的芸術]    45冊 ペヨトル工房
 ↓ 11 吉本隆明資料集<06>         45冊 猫々堂
 ↓ 13 刑務所の中(花輪和一)        44冊 青林工藝舎
 ↓ 14 資料・米沢時代の吉本隆明<5>    43冊 齋藤清一
 ↑ 15 夜想02[ベルメール]        41冊 ペヨトル工房
 ↓ 15 北園町九十三番地(山田稔)     41冊 編集工房ノア

  このリストは上記の1年間に売れた冊数です。したがって、それ以
  前に発行された本の累計はもっと多くなります。
  ↑・↓は売れ行きの上昇下降を何となくあらわしています。
    
   このリストは紙版の「販売情報(仮題)」に掲載する予定でした
   が、忙しくて出せそうにないのでこちらに載せました。もはや紙
   版を定期的に出すのは無理なようですし、さすがにメールを使え
   ない出版社もほとんど無くなって来たようですから、今後は年に
   1回だけ、2月頃に年刊紙を出すだけにします。


[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その23)

   マイカルが倒産しましたが、市内には河原町ビブレ、北大路タウ
   ンのビブレ、そして行ったことはないのでよくは知りませんが、
   伏見にサティなどがあるようです。河原町はCDショップのHM
   Vが少々の音楽雑誌などを並べているだけですし、伏見には実用
   書中心の極小売場があるだけとの話ですから問題はありませんが、
   気の毒なのが北大路にテナントで入っておられる大垣さんです。
   保証金は戻らないかもしれないし、直近の売上金は保留されてい
   るらしいし、全体の集客は落ちるしで、ひどい目にあっておられ
   るようです。しかし、結果論ではありますが、京都市の第3セク
   ターの開発ビルなどに入店した事自体が間違いだったような気が
   します。ゼスト御池、醍醐のダイゴロー、ラクト山科とどれも景
   気のよい噂は皆無ですし、それ以前でも成功しているのは京都駅
   の地下ポルタだけといってもいいでしょう。アヴァンティは書籍
   売場のみ奇跡的に成功しましたが、全体としてはひどいものです。
   近所なのでゼスト御池の驚くべき惨状についてはよく知っていま
   すが、なぜ紀伊国屋さんが見切りをつけられないのかが不思議で
   なりません。
   
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■■勝手に宣伝■■ (いわゆる)絶賛発売中!! 
http://www.thought.ne.jp/html/adv/peyotl/index.html
 「ペヨトル興亡史」ペヨトル工房解散日記 今野裕一ほか著 
   2000円 冬弓舎<地方小センター扱い>
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三月書房販売速報[052]  
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2001/12/10[03-10-52]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 052号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] ついに鈴木書店がご臨終になりました。

   このメルマガは業界向けですが、ちかごろは業界外の「読者・消費
   者」の皆様にもかなり読んでいただいています。先日来の朝日新聞
   の大報道をごらんになって、外の方々にはご理解いただけたでしょ
   うか?ゼネコンの青木建設の倒産が一面に5段見出しで、そのすぐ
   下に資本金わずか1200万円の鈴木の倒産が3段見出しで載って
   ました。朝日がこの手の記事を書くと、未だに旧制高校の如き教養
   主義や選民意識が露骨に出てくるので、うんざりしてしまいます。
   (高田理恵子氏いうところの「文学部をめぐる病い」と同病です)
   いいかげん「良書」だとか、「良心的出版社」だという、厚顔無恥
   な看板を自称他称するのはやめにしてほしいものです。たとえば、
   音楽の分野なら50年以上も前にデューク・エリントンが「ジャン
   ルに貴賤はない」と言い、チャーリー・パーカーは「よい音楽も悪
   い音楽もない。よい演奏と悪い演奏があるだけだ」と言ってます。
   この話は切りがないのでここまでにしておきますが、うちはこの鈴
   木書店と50年近く取引していました。それも、先月までは全体の
   半分近くを仕入れている重要取引先だったので、ちょっとだけめん
   どうなことになっています。

   しかし鈴木書店に対しては、うちは支払う側であって、債権を抱え
   ているわけではないですから、商品さえ日販から入荷するようにな
   れば、ほとんど問題はありません。それも先月下旬以来、日販に切
   り替えつつあったのでほぼ正常に入荷するようになっています。当
   然のことながら、少しは返品不能品が発生しそうですが、一昨年に
   柳原書店がこけたころから、ぼちぼちと在庫を減らして準備してい
   たのでわずかなものです。その減らした普通流通本の替わりに棚に
   並べた、ペヨトル工房の本や、新本特価卸から仕入れた小沢書店な
   どの非流通本の売れ行きがたいへんによくて、うちの目玉分野のひ
   とつになったのは予想外の成果でした。
   
   手間が増えたのは、日販から仕入れる場合は鈴木と違って、いちい
   ち出版社にFAXしたりして直接注文しないと、早く入荷しないこ
   とだけです。しかし、これも最近の急速なネット化で、以前よりは
   かなり楽になりつつあります。また取次の物流機能も、鈴木が本社
   売却で都心から離れた上に、店売縮小で調達速度を落としていたの
   に対して、日販はここ1年ほど心を入れ替えたのか、小口の荷物で
   もかなりの頻度で送ってくれるようになっています。これが10年ほ
   ど前なら、うちにとってはかなりの打撃だったはずですが、いまは
   本当にたいした影響は無さそうです。そのあたりにも、近年の鈴木
   の弱体化が現れてます。10年ほど前までは鈴木の入荷スピードを自
   慢すると、よその帳合い出版社や書店がびっくりしてくれたものだっ
   たのですが。
   
   しかし、鈴木の倒産はまったく特殊ではなく、出版業界大崩壊の過
   程における小エポックにすぎないでしょう。数年前に小田光雄さん
   が指摘された、業界の不良債権のごく一部が、柳原や鈴木の崩壊で
   表面化したに過ぎません。小田氏の主張は出版社の売掛債権に対す
   る、取次と書店の在庫が釣り合わないということでした。たとえ帳
   簿上では釣り合っているように見えても、これは再販制度による見
   せかけだけの釣り合いであって、時価評価すれば、数千億円の在庫
   不足が確実に発生していると指摘されてました。他に長期委託品等
   の早期返品による在庫不足も指摘されてますが。柳原の場合も、締
   めてみると、在庫金額は帳簿の1割以下の評価になり、書店に対す
   る売掛債権も、実際は回収不能のものが大量に混じっていました。
   これはいずれ明らかになる鈴木の最終決算でも同じことでしょう。
   なにしろ20年以上も債務超過だったというのですから。
   
   そして、業界全体で3000億とも5000億ともいわれる不良債
   権は、鈴木の40億を処理したくらいでは1%しか減りません。
   総売上は5年連続で落ちているし、会計基準は変わるし、銀行は貸
   し剥がしにかかるしで、もし、金利が上がるとか、再販制がなくな
   るとか、鈴木よりも大きな中取次がこけるとかしたら、もう耐えき
   れないでしょう。その大波を生き延びるためにも、さしあたっては
   鈴木の倒産処理を注視して、学習する必要があるでしょう。少くと
   も、鈴木のこけかたには、柳原の経験に学んだような形跡はまった
   く見られませんでしたから
   
 
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「白洲正子<ほんもの>生活」 新潮社
 ◆「文士の魂」車谷長吉 新潮社
 ◆「食べもの探訪記」吉本隆明 光芒社 
 ◆「石神井書林 日録」内堀弘 晶文社
 ◆「碁娘伝」諸星大二郎 潮出版社
 ◆「別冊太陽:古民家再生術」 平凡社
 ◆「続・小池光歌集」 砂子屋書房
 ◆「京都カフェ案内」 平凡社
 ◆「バーボン・ストリート・ブルース」高田渡 山と渓谷社
 ◆「現代短歌最前線 上・下」 北溟社
 ◆「現代短歌100人20首」 邑書林
 ◆「読書の方法」吉本隆明 光文社
 ◆「ミッドナイト・プレス 14 追悼・川上春雄」吉本隆明ほか
 ◆「歌集E/T」岡井隆 書肆山田
 ◆「宮柊二」高野公彦 本阿弥書店
 ◆「三茶日記」坪内祐三 本の雑誌社
 
   2月近くさぼっていたので思い出せない本も多いが、10月11月
   とけっこう売上はよかった。とくにペヨトル工房の本は、「ペヨト
   ル興亡記」が出て以来一段と売れ行きが上昇していて、それ以前の
   1年間が月平均70冊弱だったのに8月からは100冊を越える勢
   いである。それから、新本特価の小沢書店も好調で、こちらも、月
   に100冊近く売れるようになってきた。この調子で行くと、今年
   の出版社別売上冊数は、岩波、講談社、筑摩の次ぎあたりにペヨト
   ルと小沢書店が来ることになりそうで、ちょっと愉快である。
   

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「(復刻版)緋色のマニエラ」山本タカト エディション・トレヴィル
 ◆「縁は異なもの」白洲正子/河合隼雄 河出書房
 ◆「誰も文字など書いてはいない」石川九楊 二玄社
 ◆「辻まこと・父親辻潤」平凡社
 ◆「歌集 いろせ」水原紫苑 短歌研究社
 ◆「9.11」チョムスキー 文藝春秋 
 
 
[#03] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その24)

   良いのも悪いのも、ここ2ケ月ほどはほとんど聞いてません。こん
   なコーナーをはじめてから、バイクで町を走っているときに、シャッ
   ターを閉めた書店を見ると、わざわざ遠回りしても見に行く習性に
   なってしまいました。単なる定休日だったり、臨時休業だったりす
   ると、ちょっとがっかりしてしまうので、ますます人間が悪くなり
   そうだと少し自戒してます。

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■■勝手に宣伝■■ 
 「季刊 本とコンピュータ:2001冬号」
 ルポ「『街の古本屋』が生き残るために」という記事に三月書房が少し
 出てきます。編集長直々の取材でしたが、こういう記事に載るのは、
 近々載せて貰う予定の「ブルータス」や「エスクワィア」なんかより
 も、よほど場違いでなくて、居心地がいいような気がします。
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■■勝手に宣伝■■ (いわゆる)絶賛発売中!(ではなくなってきて)
          (いわゆる)ロングセラー化(というところです)
  http://www.thought.ne.jp/html/adv/peyotl/index.html
 「ペヨトル興亡史」ペヨトル工房解散日記 今野裕一ほか著 
   2000円 冬弓舎<地方小センター扱い>
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三月書房販売速報[053]  
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2002/01/10[04-01-53]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 053号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] (いちおう)あけましておめでとうございます

   今年の景気はだれにでも予想できる通り悪化することが確実です。
   そして、この一年を我慢しても、次の年はさらに悪化するだろうこ
   ともまた確実です。デフレスパイラルは止めようもなく、それが、
   行きつくところまで行けば、突然ハイパーインフレになり、すべて
   が崩壊するらしいです。われわれ戦後生まれは、戦争も恐慌も知ら
   ずに来たので、たまにはこのような目に遭うのも変化があっていい
   かもしれません。死なずにすめばまた少しはいいこともあるでしょ
   う。現在の子どもたちはたいへんですが、バブル期に育った現青年
   たちよりは、よっぽどしっかりした人間になるでしょう。たぶん。
   
   昨年は最後に鈴木書店の崩壊もありましたが、うちの店はなぜか奇
   跡的に売上も横這いを維持できたのでけっこうなことでした。しか
   しさすがに今年はそうは行かないでしょう。昨年もホントは現金売
   上がほんの少し落ちたのですが、ネット通販が2倍以上伸びたので、
   何とかトータルで横這いになっただけです。ネットも今年で3年目
   ですから、2倍はとても無理で、横這いか微増がせいぜいでしょう。
   とにかくここ数年のインターネットの波に乗り損ねていたら、1割
   か2割は落ちていたでしょうから、これまでのところはとても運が
   良かったようです。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「歌集:いろせ」水原紫苑 短歌研究社
 ◆「独特老人」後藤繁雄・編著 筑摩書房
 ◆「地ひらく」福田和也 文藝春秋
 ◆「幻の漂泊民・サンカ」沖浦和光 文藝春秋
 ◆「(復刻版)緋色のマニエラ」山本タカト エディション・トレヴィル
 ◆「縁は異なもの」白洲正子&河合隼雄 河出書房
 ◆「誰も文字など書いてはいない」石川九楊 二玄社
 ◆「辻まこと・父親辻潤」折原脩三 平凡社
 ◆「アフガニスタンの診療所から」中村哲 筑摩書房
 ◆「歌集:世界が海におおわれるまで」佐藤弓生 沖積舎
 ◆「吉本隆明全講演CD(2)」地方小センター扱い
 

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「10代の真ん中で」村瀬学 岩波書店
 ◆「歌集:青卵」東直子 本阿弥書店
 ◆「水玉の幻想」沼田元氣 青山出版社
 ◆「迫真の美を求めて」安部慎一 青林工藝舎
 
 
[#03] 2001年の売上データ速報

  ●出版社別売上(冊数)TOP10 

    01 岩波書店
    02 筑摩書房
    03 講談社
    04 ペヨトル工房
    05 新潮社
    06 平凡社
    07 小沢書店
    08 中央公論新社
    09 河出書房新社
    10 小学館
  
   何といっても、消えた出版社であるペヨトル工房の4位と、小沢書
   店の7位が、昨年のうちの傾向をよく現しています。その売上の8
   割ほどがネットだったペヨトルと、昨年から本格的に始めた新本特
   価の小沢書店の本が、角川や文春や集英社などよりも上に来ている
   のですから。もともと他店があまり扱わない本を、多く揃えること
   によって差異化を図り続けてはいましたが、ここまで見事に成功し
   たのはとても気分がよろしい。ペヨトル本は次第に在庫が減少しつ
   つあるので、昨年をピークとしてあとは下がって行くのはしようが
   ありませんが、小沢を代表とする新本特価のほうは、出版不況が続
   く限り、まだまだ伸びるでしょう。
   

  ●たいへんよく売れた本 TOP10 (※文庫/新書/コミックを除く)

    01 79冊「心とは何か」(吉本隆明)弓立社
    02 61冊「歌集:日輪」(永田紅)砂子屋書房
    03 58冊「夜想2−:+ 0号」ステュディオ・パラボリカ 
    04 56冊「幸福論」(吉本隆明)青春出版社
    05 49冊「悪人正機」(吉本隆明・糸井重里)二見書房
    06 47冊「歌集:風翩翻」(齋藤史)不識書院
    06 47冊「夜想35:チェコの魔術的芸術」ペヨトル工房
    06 47冊「日本近代文学の名作」(吉本隆明)毎日新聞社
    09 46冊「米沢時代の吉本隆明 5」監修・斎藤清一 
    10 45冊「読書の方法」(吉本隆明)光文社
    
   こうして見ると歌集と吉本本とペヨトルだけで、あまりバラエティ
   がなく、面白味がありません。うちの店の特長は10冊前後売れた
   本のリストのほうに良く現れるような気がしますから、次号にでも
   載せてみたいと思います。
   

[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その25)

   あの京都書院が復活しました。といってもいまのところネットの上
   だけです。現状は2001年12月24日更新となっていますが、どうやら
   昨年の秋ごろから、このサイトは再起動していたようです。
   
  「京都書院は、1999年5月31日にて営業活動を停止いたしました。整理
   中ですが、多数のお客様のお問い合わせや、いろいろな方のご協力
   のおかげで在庫出版物の販売を開始することになりました。一般の
   書店には並びませんが、京都書院が通信販売にてK−SHOINと
   改名してご提供させていただきます。
   1冊からでもご注文を承ります。
   在庫もほとんどの書籍に対してございます。」とあります。

   ようするに書店というよりは、出版社の直販部門が復活したという
   ことのようです。ここの出版物は、倒産直前から市内の古書店で、
   大量に安く売られていましたが、近頃では目ぼしい本は見かけなく
   なっていました。しかし、まだほとんどの書籍の在庫があるという
   のは驚きです。上の説明だと整理中となっていますから、債権者と
   の話し合いの結果でしょう。どうも出版社の倒産とか任意整理とい
   うのはよくわかりません。しかし、在庫があるのはけっこうなこと
   ですから、書店にも卸してくれるのか、すぐに問い合わせメールし
   ましたが、いまのところ返信がありません。
   
 
[#05] お知らせ

  ●月3回発行の「出版ニュース」中旬号に今年1年コラムを書かせて
   いただくことになりました。すでに、昨年末発行の1月上・中旬合
   併号に第1回が掲載されています。内容は、このメルマガをお読み
   いただいている方々には、まったく目新しくないことばかりと思い
   ますがよろしく。「ブックストリート・書店」欄です。

  ●うちもやっとADSLにしたので、いままで敬遠していた出版社サ
   イトをあちこち覗いていますが、晶文社のサイトが知らない間に、
   とても充実したものになっていたので驚きました。とりあえず、石
   神井書林氏と月の輪書林氏の対談をお読みください。トップページ
   下方の「著者インタビュー目次」から行けます。
   http://www.shobunsha.co.jp
   

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三月書房販売速報[054]  
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2002/02/10[04-02-54]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 054号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00]  鈴木書店が消えて2ヶ月過ぎました。うちの店としては、いろ
   いろめんどうなこともありましたが、結果的には、12月も1月
   も売上が前年よりも下がらなかったので、なんとか乗り越えられ
   たようです。日販の悪口を期待している読者がおられたら申しわ
   けありませんが、たまたま担当者が優秀だったこともあって、い
   まのところまったく問題ありません。常備の切替も順調に進んで
   いますし、定期配本の切替も、とろくさい某買切出版社以外は、
   すぐに完了しました。このように切替がすんなり行ったのは、も
   ともと日販と鈴木でほぼ半分づつの取引があったのを、たんに一
   本化しただけだからであることは言うまでもありませんが、それ
   よりも、パターン配本を以前から断っていたことが大きかったよ
   うです。従来から仕入れは、鈴木も日販も、基本的には事前予約
   と追加注文だけでしたから、パターンの申込という、ややこしい
   ことをしなくてすみました。今のところ、以前よりも出版社に直
   接FAXする回数が増えていますが、いずれはどこの出版社も、
   受注サイトやメールで受けてくれるようになるでしょうから、こ
   れは次第に解消されるはずです。
   
   日販の一番安いNOCSを申し込もうと思って資料を取り寄せた
   り、評判を採集したりして研究しましたが、かなり古いシステム
   で、費用のわりにはあまり役に立ちそうになかったので保留して
   います。とくにADSLに対応していないのが致命的で、ダイア
   ルアップの通話料と1分10円だったかのプロバイダ料がかかり、
   そのためには「破綻懸念先」の某ノンバンクに口座を開く必要が
   あるのが気が進みませんでした。「本やタウン」の検索はだれで
   も無料で使えますし、小学館、文春、新潮、角川、そして講談社
   と、大手が続々と無料で使える受注サイトをオープンしていて、
   さらに参加出版社が増加確実ですから、発注用としても使う機会
   が減る一方でしょう。
   
   鈴木書店の最終処理は、予想以上のスピードで進んでいるようで
   す。とくに追加の返品をとってくれたのがありがたく、現金で支
   払う部分が大きく減少しました。そのかわりに返品を受ける出版
   社は5%を管財人に提出することになっています。ようするに、
   1000万円の債権があった出版社が500万円分返品を受ける
   と、25万円の拠出は必要ですが、帳簿上の債権が半減するわけ
   です。これが、出版業界以外の通常の処理だと、債務者は追加返
   品なしで現金を請求されるし、倒産会社所有の在庫はたたき売っ
   て債権者に分配されるので、50%も回収することはほぼ不可能
   です。出版物の場合は時価がどの程度に目減りしていようとも、
   定価でやりとりできるわけで、これが再販制度による偽金化の効
   用です。そのかわり、うちも、一箱約20キロで定価10万円位
   の商品を、何個も返送しましたが、キロあたり約5000円です
   から、他の書店や生協の返品を合計すると、その総重量は数十ト
   ンを越えたことでしょう。南太平洋のどこかの島では、何トンも
   ある石の貨幣を、いまでも祝いごとなどに使用しているようです
   が、わが業界の貨幣も重さでは負けないようです。こうなるとメ
   ガトン級の倒産というのも、単なる比喩ではなくて、いずれ現実
   にありうることかもしれません。
   
   ところで朝日新聞社の「アエラ 01/21号」に、佐野眞一さんが
   紀伊国屋の松原会長にインタビューした記事がのってましたが、
   その中で、会長が鈴木書店の破産について「原因は岩波的高賃金
   と岩波的労組です」と断定していました。しかし、複数の消息筋
   によると、これはかなりいいかげんなはなしだということです。
   岩波が講談社並の高賃金だったのは1970年代までであり、以
   後はかなり落ちているそうです。そして、鈴木書店が岩波並の高
   賃金だったことはなく、日販やトーハンよりも悪かったが、栗田
   などよりは少しよかった程度ということです。やはりここも70
   年代には東日販並だったことがあるそうですが、それでもせいぜ
   い中堅出版社並であって、とうてい岩波並ということはなかった
   そうです。やはり倒産の責任は、常識的に考えると、長年にわた
   る債務超過を放置し続けていた経営者にあるというべきでしょう。

   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「みすず:2002/01 読書アンケート特集」みすず書房
 ◆「10代の真ん中で」村瀬学 岩波書店
 ◆「歌集:青卵」東直子 本阿弥書店
 ◆「迫真の美を求めて」安部慎一 青林工藝舎
 ◆「秋山清詩集」 思潮社
 ◆「吉本隆明をよむ日」岡井隆 思潮社
 ◆「水玉の幻想」沼田元氣 青山出版社
 ◆「字書を作る」白川静 平凡社
 ◆「オックスフォード教育講座」シュタイナー イザラ書房

 ◆「竹山広全歌集」ながらみ書房+雁書館
   これはライバル2社による共同出版という不思議な本で、実物に
   は2社名が並んで表示されていますが、広告は別々に自社名だけ
   でしていたたために、うっかりと両社から仕入れてしまいました。
   しかし、高価にもかかわらず予想以上に出足がよくて、すでに5
   冊も売れています。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「暖炉 野溝七生子全短編集」 展望社
 ◆「文章読本さん江」斎藤美奈子 筑摩書房
 ◆「黄色い本」高野文子 講談社
 ◆「清陰星雨」中井久夫 みすず書房
 ◆「(文庫版)中井英夫全集:黒衣の短歌史」東京創元社


[#03] 2001年のネット通販

   およそ2年前の、2000年1月ごろからなしくずし的に始まっ
   たネット通販だが、ぜんぜん期待していなかったのに、いまのと
   ころ順調に伸びている。なにしろ元手はゼロだし、電話代やプロ
   バイダ代がかかるといっても、専用のパソコンがあるわけでもな
   いから、実質的には、荷造り資材と送料のサービス分少々だけが
   主な経費だからけっこうなことである。
   
   2000年第1四半期  22件
        第2四半期  70件
        第3四半期 136件
        第4四半期 177件(2000年 計405件)

   2001年第1四半期 231件
        第2四半期 256件
        第3四半期 253件
        第4四半期 306件(2001年 計1266件)
   
   これが販売件数だが、2001年になってからは明らかに伸びが
   鈍化していることがわかるだろう。金額は平均5000円程度だ
   から、ここ数ヶ月はおよそ100件で50万円位というところだ。
   もちろんこの程度ではあっても、設備投資なしで売上が増加する
   のはけっこうなことだが、それ以上に大きいのは売れている本の
   内容である。
   
   たとえば先月(02年1月)は110件あったのだが、そのうち
   の実に半分程度が、ペヨトル工房、小沢書店、リブロポート、博
   品社など消えた出版社の本だった。そして、その他も、直仕入れ
   の短歌本、スチュディオ・パラボリカ本、人智学本、新本特価な
   ど、他店ではあまり見かけない本が圧倒的に多い。これらの本は
   うちの地べたの店よりもネットのほうで多く売れることも珍しく
   なく、おかげでこの手の本の仕入れがたいへんに楽になってきた。
   そして、それにつれて地べたの棚の品揃えも充実しつつあり、こ
   れはまことに好循環といえるだろう。
   
   
[#04] お知らせ

  ●月3回発行の「出版ニュース」の毎月中旬号、「ブックストリー
   ト/書店」欄にコラムを書いてます。立ち読みでもしてください。

  ●PARCO出版のメルマガ「書店魂:4号」の「独立系書店の謎を追え!
   3」に掲載してもらいました。何かのついでだったようですが、
   編集長がわざわざ東京から取材に来てくれるという、立派なメル
   マガで、ほかのコーナーもたいへんに面白いです。次号発行まで
   http://www.parco-city.co.jp/magazines/index.htmlで読めます。
   このパルコのページには、他にも大量のメルマガがあり、むかし栄
   えたセゾン系の最後の避難所のような雰囲気です。

  ●沼田元氣センセが案内役の某テレビ番組の収録がうちの店であり、
   ちょっと顔も出しましたが、これは衛星デジタル日本TVとかいう、
   まだだれも見ていないようなものでしたから気楽なものでした。沼
   田センセの本は、現在入手可能なすべてを在庫していますから、本
   の宣伝にはなっているはずですが、まず効果はないでしょう。
   
  ●好評連載中の「<天に唾する>京都の書店のうわさ」ですが、
   今月はまったくネタが拾えなかったのでお休みです。
   
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■■受贈御礼広告■■ 

  「出版時評 ながおかの意見 1994-2002」 長岡義幸著 

      四六判296頁 2200円 ポット出版
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■■勝手に宣伝■■ (いわゆる)絶賛発売中!(ではなくなってきて)
          (いちおう)ロングセラー化(というところです)
http://www.thought.ne.jp/html/adv/peyotl/index.html
 「ペヨトル興亡史」ペヨトル工房解散日記 今野裕一ほか著 
   2000円 冬弓舎<地方小センター扱い>
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三月書房販売速報[055]  
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2002/03/10[04-03-55]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 055号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 営業時間変更のお知らせ

   昨年の2月に平日の開店を30分遅らせ、閉店を30分早めること
   によって1時間短縮しました。週に6時間減らしたわけですが、店
   頭現金販売は1%弱しか落ちませんでしたし、総売上はむしろ数%
   伸びてましたから、ほとんど影響はなかったようです。逆に言うな
   らば、うちの店は少々営業時間を延ばしたところで、そうは売上が
   増えないということになります。
   
   ここ数年、うちの店のある寺町二条界隈の人通りが増えつつあり、
   とくに日曜日はそれが目立ちます。全国的に商店街の沈下がいわれ
   て久しいですが、うちの界隈では5年前の地下鉄開通や、3年前の
   歩道整備後、新規開店や改装店が数十店以上もあり、ほとんど空き
   店舗が見あたらなくなりました。新らしい店は大部分が骨董・アン
   ティーク関係ですが、しゃれた飲食店も増えました。(古書店の進
   出を待望しているのですがさっぱりです)。雑誌やテレビで紹介さ
   れることも増え、そのおかげでか、お天気のいい日祝日にはかなり
   の人通りがあります。もちろん元がほぼゼロだったのに比べてとい
   うことですからたいしたことはありませんが。
   
   そういう状況なので、日祝日は4時間しか営業していないのに、平
   日の8時間並の売上があることが珍しくなくなってきました。うち
   は日曜日が定休ということになっていたのですが、以前からお勤め
   とかの関係で、休みの日にしか来られない常連客のために、当番を
   ひとり置いて、シャッターを1枚だけ開けて半営業しています。そ
   れがちかごろ忙しくなりすぎて、定休日ともいえなくなってきまし
   たから、4月から火曜日を完全定休にし、そのかわり、日祝日の営
   業を6時間に増加することに決めました。差し引き週に6時間、ま
   たまた営業時間が減少しますが、火曜日は常連さんが中心なので、
   慣れてさえいただけば、それほど売上は落ちないであろうと期待し
   ています。
   ※昨年1月以前は週58時間→現在は52時間→4月から46時間
   
   火曜日を定休にしたのは、月曜は振替休日が多いことと、日販から
   の入荷が一番少ない日だからです。日販は基本的に注文品は明後日
   到着になります。たとえば王子からの金曜発が月曜に着きますから、
   日曜発がない火曜日が、一番少なくなるわけです。いまは亡き鈴木
   書店は、日販よりも1日早かったので、月曜発が火曜に届いていま
   した。火曜を定休に決めることが可能になったのは、日販一本になっ
   て流通が簡素化されたおかげといえないこともありません。たしか
   に鈴木の消滅によって不便になったことも多いのですが、返品作業
   とか伝票処理とかの手間が、日販一本になったことによって少し減
   りました。
   
   ※2002年4月からの営業時間は下記のとおりです。よろしく。
   
    ●平日11:00am〜19:00pm(火曜定休)
    ●日祝12:00pm〜18:00pm


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「文庫版:黒い文学館」生田耕作 中央公論新社
 ◆「怪盗スパンコール」佐々木マキ 福音館
 ◆「ドキュメント吉本隆明 1」 弓立社
 ◆「無限の本質」カスタネダ 二見書房
 ◆「文章読本さん江」斎藤美奈子 筑摩書房
 ◆「電気菩薩」根本敬 径書房
 ◆「日本盤ROCK&POPSプレミアレコード図鑑」
    シンコーミュージック
 ◆「黄色い本」高野文子 講談社
 ◆「戦争とプロパガンダ」サイード みすず書房

 ◆「旅する少女の憩い」沼田元氣 京都書院
   前々号にてちょっとお知らせしたような事情によって、再入荷し始
   めた京都書院本の中でも圧倒的に人気がある本。これは倒産寸前の
   発行だったためにあまり世間に出回らなかったことと、沼田氏の人
   気が当時よりもかなり上昇中であることが大きい。再販契約は消滅
   しているからいくらで売ってもいいのだが、利幅が新刊とたいして
   変わらないので旧定価で販売している。

 ◆「観察者の系譜」グレーリー 十月社
 ◆「ヨーロッパのエロティック蔵書票」中井昇ほか つくし館
   この2点は新本特価部門の最近の人気商品。定価でも年に数冊は売
   れていたから、半額なら売れるのが当たり前だ。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「東京喫茶店案内ガイドブック」沼田元氣 ギャップ出版
 ◆「文豪春秋」いしいひさいち 東京創元社
 ◆「戦後歌謡の<夢>」村瀬学 春秋社
 ◆「世界音痴」穂村弘 小学館
 ◆「マンガ狂につける薬2002」呉智英 メディア・ファクトリー
 ◆(再掲)「こくう物語」鈴木翁二 青林工藝舎
 ◆「自殺サークル」古屋兎丸 ワンツーマガジン
 

[#03] 紙版の「販売情報(仮題)」を「販売年報(仮題)」に改題します

   1992年に創刊した出版業界向け情報紙「三月書房販売情報(仮
   題)」は、昨年5月に出した58号以来、ず〜っとさぼり続けてい
   ます。これは、このネット版の速報が順調に出ているので、あまり
   出し続ける意味がなくなってきたためです。そこで、紙のほうは、
   年に1回だけ、前年のデータをまとめた年報を出すことにしてみま
   した。現在、ぼちぼちと編集中ですが、従来の4頁から一挙に8頁
   になりそうなのでなかなか進みません。おそらく今月下旬には発送
   できるはずです。これは返信用の封筒をいただいた出版社さんにの
   みお送りします。※料金受取人払い封筒歓迎。切手貼付は80円。
   
   この紙の情報紙を出し始めたおかげで、従来つきあいがなかった出
   版社の方々とのつながりが増え、この10年はかなり仕入れがしや
   すくなりました。現在のこのメール版もその延長にあるわけですが、
   配布範囲の広さや人数、そしていただく反響は、紙の比ではありま
   せん。しかも、手間や費用は格段に少ないのですから、まったくい
   うことなしですが、まだ細かいデータは印刷物のほうが読みやすい
   ような気がしますので、いきなり廃刊にせずに年刊化を計画してみ
   たわけです。
   
   その、年刊化を記念して、情報紙のバックナンバーを、ホームペー
   ジで読めるように作業中です。元版はワープロ専用機で作成してい
   たので、テキスト部分はパソコンにコンバートできるのですが、の
   りとハサミで貼りつけた、図表や写真などはコンバートできません。
   スキャンして貼りつけると重くなるし、その技術もないので、とう
   ぶんはダイジェストということになります。
   
   いま読んでもたいして面白くないのですが、その時代の資料にはな
   るでしょう。このメルマガのバックナンバーは、けっこう読んでい
   ただいているようなので、その横のページに貼りつけました。きょ
   う現在は創刊号だけですが、数ヶ月で全号アップできると思います。
   (
★ここ
   
[#04] お知らせ

  ●月3回発行の「出版ニュース」の毎月中旬号、「ブックストリー
   ト/書店」欄にコラムを書いてます。立ち読みでもしてください。
   今週発売の3月中旬号で3回目です。

  ●「エスクァイア日本版 4月号」の京都特集に載せていただきまし
   た。きれいな雑誌に、写真うつりの悪いうちの店はちょっと場違い
   のような感じです。ほかには写真うつりが抜群によいアスタルテ書
   房のほか、恵文社一乗寺、メディアショップ、竹苞書楼などが載っ
   てます。
   「メンズエクストラ 4月号」の書店特集頁にも載せていただきま
   した。京都ではほかにメディアショップが載ってます。
   先日は「ブルータス」にもちょっと載ってましたし、来月はなぜか
   「装苑」に載せてもらうことになってます。以前から年に何回かは
   新聞や雑誌に載せてもらっていましたが、最近はその機会が大幅に
   増加しています。もともと世間の景気がよいと無視されがちで、不
   景気になると、ちょっとだけ注目されることを繰り返してきました
   が、最近はちょっと度が過ぎてきたようなので、たんなる大不況か
   ら、いよいよ大恐慌にいたる兆しであろうと思います。

  ●鈴木書店関係の記事を見かけることが多くなりました。
  「週刊金曜日:3月8日号」に<座談会:鈴木書店倒産が語るもの>、
  「本とコンピュータ:春号」に<ルポ「最後の専門取次」が消えた日>
   が掲載されています。読書感想文は別の機会にどこかに書くかもし
   れません。

  ●今回も「<天に唾する>京都の書店のうわさ」はネタがないのでお
   休みです。無事でおめでたいというべきでしょう。
   
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■■勝手に宣伝■■ (いわゆる)絶賛発売中!(ではなくなってきて)
          (いちおう)ロングセラー化(というところです)
http://www.thought.ne.jp/html/adv/peyotl/index.html
 「ペヨトル興亡史」ペヨトル工房解散日記 今野裕一ほか著 
   2000円 冬弓舎<地方小センター扱い>
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