7.製品実現 7.製品実現 7.1 製品実現の計画 受注から引き渡し、契約にあるならば引き渡し後の活動を含めて「計画=どうやって行うのか」を決めましょうという要求事項です。具体的には7.1-7.5で決めると良いと思います。次を明確化して、組織として使いやすい形式(様式)にまとめます。 a)製品に対する品質目標は、5.4.1で対応していただいてもいいですし、製作上の「ねらい目」とした目標を製品ごとに入れてもいいです。 a)製品に対する要求事項は、7.2.1や7.2.2で明確にします。 b)設計開発プロセスは7.3で、購買や外注プロセスは7.4で、工程管理は7.5で、文書化の必要性も含めて明確にします。資源については6.2,6.3,6.4,7.6で具体的な管理方法を決めてください。 c)7.3,7.5.1で明確にします。 d)7.5.3のトレーサビリティにも関連します。 上記は、社内的にも社外的(顧客)にも重要な関心事ですから、品質保証体系図(受注から引き渡し)やQC工程表(資材受入から出荷まで)などでまとめておくとわかりやすいかな? 7.2 顧客関連のプロセス 7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化 a)顧客との契約内容、顧客からの注文内容をまとめます。見積書、契約書、注文書、注文請書、受注票、打合せ簿等。 b)顧客に確認しておかないといけない事項を確認してまとめます。見積書、契約書、注文書、注文請書、受注票、打合せ簿等。 c)設計開発業務があるならば、7.3.2b)にも関連します。 d)製品別ならば見積書、契約書、注文書、注文請書、受注票、打合せ簿など。共通しているならば品質マニュアルや手順書などで明確にします。 7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー 以下を確認(レビュー)しましょう。 a)まずは、顧客との契約内容や顧客からの注文内容。 b)顧客との契約内容や顧客からの注文内容が、打合せ(以前に確認)した内容と違う場合。 c)顧客との契約内容や顧客からの注文内容に応えることができるかどうか。 上記の結果は記録しておきます。7.2.1にいろいろと記録となるものを列挙しています。 もし、顧客が書面で注文してくれない場合は当社で記録しておきます。 注文内容が変更された場合、顧客から再度、注文を書面でいただくか、または、当社で記録しておきます。変更内容は確実に関係者(社内や外注先)に伝えます。 7.2.3 顧客とのコミュニケーション 顧客とのコミュニケーションをまとめてくれているところですから、b)など他と重複しているところもあります。 a)製品や業務内容紹介用のツール(カタログ、パンフレット、メニューなど) b)ここは、7.2.2を簡単にまとめたところです。 c)苦情は8.5.2、その他は8.2.1で対応できます。 メーカーのお客様お問い合わせ窓口には、a)やc)に関する連絡が多いです。 7.3 設計開発 7.3.1 設計開発の計画 設計開発のスケジュールや内容を決めましょう(計画しましょう)という要求事項です。スケジュールや内容が変わった場合は、計画も更新します。 新規設計と類似品の設計は、その進め方や内容が違うと思います。あらかじめ設計開発の計画をパターン化しておける場合は個別の設計開発毎に計画を策定する必要はないかもしれません。 a) 概要設計、詳細設計などの段階。いきなり詳細設計を行う場合もあります。7.3.6の妥当性確認(例えば製品の作動チェック)までを含みます。 b) どの段階で、誰が、どんな内容で7.3.4、7.3.5、7.3.6を行うのか。7.3.4、7.3.5、7.3.6は個々に、又はどのような組み合わせで実施して記録しても良いです。 c) 責任(行うべき仕事)と権限(承認、決定、認可の権利)は誰にあるのか決めておきます。 7.3.2 設計開発へのインプット 設計担当者に情報、資料(インプット)を提供します。情報、資料は内容を確認し、漏れや曖昧さがある場合は、設計の成果物(アウトプット)を作成するまでに解決しておきます。 7.3.3 設計開発からのアウトプット 設計開発からのアウトプット(設計図、計算表、部品図、組立図、完成図、購買品表、試作品等)は、リリース(配付等)の前に承認を受けます。設計開発からのアウトプットに対しては7.3.5設計開発の検証を行いますので、検証によって設計にミスが無いことが証明され、承認されたうえでリリース(配付等)します。 7.3.4 設計開発のレビュー 7.3.1で計画したとおりに実施して記録を残します。設計した結果(途中結果を含む)を他部門の関係者も呼んでチェックしてもらいます。 7.3.5 設計開発の検証 7.3.1で計画したとおりに実施して記録を残します。検証の対象は設計開発からのアウトプットで、アウトプットにミスが無いことを証明します。 ISO9000の3.8.4注記2では、検証は別法による計算を行う、新しい設計仕様書を類似の証明済みの設計仕様書と比較する、試験及び実証を行う、発行前に文書(設計仕様書等)をレビューするとなっています。 なお、設計からのアウトプットには試作品などもありますので、食べてみる、洗濯してみるなども検証とする場合があります。 7.3.6 設計開発の妥当性確認 7.3.1で計画したとおりに実施して記録を残します。検証の対象は製品で、完成品の状態で実際の使用環境で使えるのかをチェックします。例えば、小ロットでも工場で生産し、動くものならば動かしてみて妥当性を確認します。実環境が無理なら模擬で行う場合もあります。 7.3.7 設計開発の変更管理 変更の理由を明確にし、変更によって想定されるリスクを特定して必要なレビュー、検証、妥当性確認を行います。 7.4 購買 7.4.1 購買プロセス 供給者の評価選定、再評価の基準を決めて、評価選定します。供給者に何をお願いしているかによって評価選定の基準は違ってくるはずです。不具合が発生したならば、発生した不具合の処置の適切性で再評価すれば良いでしょう。 7.4.2 購買情報 供給者に対する「お願い(注文=仕様、納期、品名、納品場所、納品時間など)」を明確に伝えます。お願いする内容は、供給者に伝える前に、その内容の妥当性を確認します。 必要ならば、次を購買情報に含めます。 a) お願いした仕様の製品しか受け取らないよ(製品仕様を購買情報に含める)というのは毎回だと思います。手順、プロセス、設備の承認(承認=これで、それでやってくださいね)まで要求する場合は、QC工程表を提出してもらったり、それらの変更があった場合には連絡してもらうなどの管理が必要になるでしょう。 b) お願いした製品は、免許や資格を持った、資格認定された方が製造してくださいね。 c) QMSに関する要求は、7.5.1あたりが多いですが、ISO9001に含まれる他の要求事項をお願いする場合もありますよね。 7.4.3 購買製品の検証 受入時の確認や検査方法を決めて、「お願いした仕様の製品しか受け取らないよ」という状態にします。 当社や顧客が供給者先で検証(購買製品の検証です。ISO監査ではありません)する場合は、検証の要領と購買製品のリリースの方法を購買情報の中で明確にします。検証の要領を伝えていないと、供給者先に行っても検証になりません。また、中間工程で検証することもあるのでリリースの方法と、最終工程で検証に行った場合も、あくまでもリリースの責任は供給者にあることを伝えます。 7.5 製造及びサービス提供 7.5.1 製造及びサービス提供の管理 昔は工程管理という表題でした。c)適切な設備については、点検やメンテナンスによって適切とみなすならば6.3b)で具体的な方法を決めてください。 7.5.1はe)監視及び測定で不具合が確認できて発見できる工程、7.5.2は監視や測定で検証することが不可能な工程で適用します。 7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認 監視や測定で検証することが不可能な工程で、その結果、製品が使用され、又はサービスが提供された後でしか不具合が顕在化しない場合は、妥当性の確認を行います。 a)工程(プロセス)や基準を決めます b)使用する設備や、作業を行う方の適格性(力量)を決めます ↑ここで妥当性の確認(実環境又は模擬)を行い、a)b)で決めたとおり作業すれば問題ないことを確認します。 c)上記のa)とb)で決めたとおり作業を行います d)決めたとおり作業したことを証明できる記録を残します e)妥当性の再確認を行います 7.5.3 識別及びトレーサビリティ 必要な場合に行う製品の識別(完成品だけでなく、材料、部品、半製品なども含める場合があります。)と、必ず行う監視や測定に関連する識別(検査前、検査中、検査後、合否など。最低、検査したかしていないかは、見てわかるようにしておきましょう。)があります。 トレーサビリティは追跡できるように記録を残しておきます。追跡は製造日単位なのかロット単位なのか1品単位なのか、自社で決めます。 7.5.4 顧客の所有物 所有物は材料、ロゴマーク、包装資材、計測器、設備、図面、手順書、ノウハウ、組織情報、個人情報など、いろいろあります。保護(傷つけない)するのか、防護(洩らさない)のか適切に決めてください。 7.5.5 製品の保存 材料受入から加工、組立、作動チェック、引渡しまで、必要な識別、取扱い、包装、梱包、保管、保護の方法を決めて行います。対象は完成品のみではなく、必要ならば半製品、部品、材料までも含めます。 7.6 監視機器及び測定機器の管理 測定値の正当性が保証されなければならない場合に、測定機器や監視機器について次の事項を行います。 a) 一定の間隔で校正(ISO/IEC17025で認定された試験所、校正機関で実施)や検定(計量法に基づき、計量検定所で実施)を行います。必要ならば使用前に検証(点検など)も行います。 自社で独自に点検や検証を行う場合は、その方法(基準)は文書化しておかないといけません。 b) 機器を調整した場合は、調整前と調整後の試験成績書を残しておいてください。 c) 校正、検定、検証の対象でない機器がある場合は、見やすい識別をしておかないと誤使用の原因となります。 d)は、きちんと防護、e)は、きちんと保護。 校正、検定、検証の結果は記録します。 もし、外れがあった場合は「それまでの測定結果は正しいのかどうか」を評価して記録します。測定結果が正しくなかった場合は、リコールなどの処置が必要になる場合があります。なお、外れがあった機器は修理、調整、廃棄などを行って、外れたままで使用されないようにします。
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