いま考えていること 58(2000年11月;12月)
――きのうのこと――
昨20日は衆議院予算委員会の審議が中継されました。野党の代表者と森首相のやりとりを少し聴きましたが、議論がかみ合わないのです。民主党の日野氏が質問にあたりKSDかKDSかもはっきりしていなかったのは不勉強というか付け焼き刃を振りかざしているとしか見えませんでしたが、首相の北朝鮮拉致疑惑をめぐっての第三国発言に対する答弁も言わでものことが長々と述べられて、この人の頭の回転に疑問を持たざるを得ず、ひいては首相としての資質について首を傾げたくなりました。予算の大きいテーマであるITについてAPECで森首相は電気がなくてもiモードの携帯電話でインターネットは未開発国でも可能だと発言したということですが、一体この人の頭に将来を任せられるのでしょうか?今日のワシントンポスト特派員D.Struckが世界に発信した記事にはこんな文章も見られます。
Although Mori boasts that his government has embraced the era of information technology or IT, the public has little reason to believe a prime minister who pronounced the abbreviation like the
word "it".(森は自分の政府は情報技術、つまりITの時代をリードする政府だと言っているが、国民は首相の言葉を信じてはいない。彼は略語「IT」を“イット”と発音したからだ)
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加藤氏も状況分析と判断が出来ない人だという実績を残してしまいました。これでは次期首相たる器でないことは明らかです。大体、橋本内閣時代の幹事長として、あの時期に財政再建を焦り、消費税のアップを実行した判断からして頂けない人です。やはり二世議員として苦労知らずのお坊ちゃんの持つ弱点があるのでしょう。民主党の鳩山さんにも同じ危惧を持っています。
持つべき着眼点を新聞テレビが流す情報に振り回される私自身も情けないのですが、所詮は加藤氏も自民党の人です。巨大な古くなった体質の欠陥をはらんだ自民党の有力者に首相交代の期待をもつのが愚かなのです。森首相を倒しても自民党政治の本質は何も変わる筈がありません。昨日の動きは与野党すべて自分の権力欲の産物でした。野党にとっても、通るはずのない不信任案の通過を加藤氏や山崎氏の動きに託して、うつつを抜かすよりも、例えば予算委員会で具体的にKSDと政官の癒着の姿を明らかにすることにエネルギーを裂いた方が、自由党の体質を明らかにする上で遙かに意味のあることだったでしょう。KSD事件の証人・参考人喚問は緊急のことだったのです。森首相のもとでは経済の復興も出来ないと内外ともに考えています。その指標として、早く日経平均株価が1万4000円を割り込んだ方が財界・政界とも目が覚めるだろうと思って、自分の資産の減価を嘆きながらも、毎日の株価の低下していく推移を楽しんでいます。
12月20日日経平均株価が1万4000円を割り込みました。銀行の含み資産がマイナスになったところも多いでしょう。内閣の顔ぶれは変わりましたが、首相は替わらず、予算に対する自民党の姿勢も基本的に変わっていませんから、日本への投資は減っていくのです。
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