006 錬金術断片
ギリシア語錬金術文献集成
TLG1379
錬金術断片集
007
錬金術断片
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テオドーロスへの献辞
(Dedicatio ad Theodorum)
(e cod. Venet. Marc. 299, fol. 5v)
2.3.1
幸いなる書、秘匿されたるものを
有するがごときこの書を、ムーサたちの友は見つめる。
いや、この〔書の〕黄金に富める鉱脈、
賢明に隠された鉱脈を探ろうとするなら、
理性の輝く眼を、神的な自然に向けて上げよ、
至堅の明視の力によって開眼して、
そうして、この至堅の書き物を読め、
そうすれば、三倍幸せな自然を求め尋ねる者ならば、
超越的覚知(gnwvsiV)の数多を見出すであろう、
これ〔三倍幸せな自然〕のみが、入神状態という仕方で諸々の自然に勝利し、
これのみが、きらめく金を産み、万有を創造する。これを見出すのは、
ムーサたちの部隊である心によって、神的な覚知(gnwvsiV)の愛求者たちのみである。
これを見いだした者 それが誰であるかをわたしは謂わない は、
入神状態にある人々の理性(nou:V)を、
すなわち、諸体と諸霊の造物主の知慮(frovnhsiV)を讃歎せよ、
覚知(gnwvsiV)のいかほど大いなる高みを有しているかを。
〔その程度たるや〕入魂し、死なせ且つ生かし、
2.4.1
よそよそしく形成し且つよそよそしく形造するほどである。
何という奇跡かな、幸いなる女王たる質料は!
その内に謎めかして隠された
出口を見分け、学んで、
万有に敬われる理性、評判高き心、
入神状態という仕方に富めるテオドーロス、
主人たちの信実なる助力者として成就した〔テオドーロス〕のそれ は、
結束して、この書の中に、至堅の思想の
よそよそしい要約を書き留めた、
これを覆い、守りたまえ、万有の主クリストスよ。
2009.09.22.
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