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back.gif013 ヘルメース・トリスメギストスの道具

ギリシア語錬金術文献集成

錬金術断片集

014
諸々の金属から







諸々の金属から
(=Ek tw:n metallikw:n)

(e. cod. Paris. B.N. 2327, fol.280r)



014 2 24 1t
諸々の金属から
 。密陀僧。livqoi mhlivtaiつまりガガテース石。klaudianovV〔銅と鉛の合金〕、そういったものら。
 。珊瑚。あらゆる白い石。鶏冠石。硫黄、そういったものら。
 magnivthVyhfivVlivqakeV purroi;、そういったものら。
 。紅玉。藍玉。金剛石。savmfuroV、そういったものら。
 。真珠。縞瑪瑙。紫水晶。ナフサ。ピッチ。砂糖。瀝青。蜂蜜。そして岩塩(ajmmwniakovn)。岩塩?(qumivama)。
25.1
 翠玉。碧玉。黄玉。hJsuvcioV。水銀。琥珀。乳香と乳香樹livbanoV kai; mastivxh
 。硝子。硫化アンチモン。zinivciacavndra。白石、等しいものら。

2009.04.10. 訳了。





[註]

 金属に結びつけられた物体と,その物体からつくり出された誘導体のリスト<……>このリストではすべての物体は,現代の化学の書物のように,金属の基本の記号に含まれている。このリストはたいへん古いようである。というのは,写本2327(280菓)のエジプト月のリストのすぐ前に位置するからである。このリストには,七つの星に比べられ,それと同じであるとされた金属の七つの記号がある。そこでは,奇妙な比較が記録されている。

 書かれているままに見ていくと,鉛という言葉の次が,密陀僧とクラウディアノン(鉛とスズの合金)で,それらは密接に結びついている。そして鉄の次は,磁鉄鉱と黄鉄鉱である。

 しかし,他方,スズの記号は,同時に珊瑚,あらゆる白い石,エナメルを想起させるものすべてを含んでいる。次にサンダラック樹脂,硫黄,その他類似のものを含む。

 金の記号のところには,金はもちろんのこと,柘榴石,風信子石,ダイヤモソド(?)サファイヤ,その他類似のものが現われる。すなわち,最 も輝かしく,最も貴重な宝石である。

 銅の記号のところには,真珠,縞瑠璃,紫水晶,石油,松脂,砂糖,アスファルト,蜜,ゴム樹脂,香料などが読まれる。

 エメラルドの記号は,碧玉,椰欖石,水銀,琥珀,乳香,マスチックの樹脂を含む。この位置でエメラルドの記号が水銀に与えられたのは興味深い。実際,水銀は,古い錬金術リストでは初めの位置には現われていないで,古い見出し,エメラルドの見出しに結びつけられたのである。この水銀は遅れて,象徴的な記号法の中にエメラルドの位置を得たようである。

 最後に銀の記号は,ガラス,白い土,それに似たすべてのものを含む。

 繰り返すが,このリストは,奇妙な結びつきの関係を示す。その理由は,現在のわれわれの考えでは説明しがたい。そこには金属の名をもとにしたいくつかの見出しに従って並べられた物質のありきたりな一覧表のようなものがあったようである。それは,おそらくデーモクリトスの手になるとされる白と黄のカタログに似ている。

 同類のものを分類する仕方が何を意味するかは,今日では知る由もない。包括的記号と名前を使ったことは,化学には常に存在していたことを思い起こそう。数世紀の間,普通のエーテル,鯨脳,油,ニトログリセリソ,棉火薬,ショ糖など,似ても似つかぬものが,これらのものの作用が似ているだけで結びつけられ,エーテルという分析の名を与えられているのをみると,金属とそれから導かれた物質を分析する理論を知らずに読む者は,とまどいを感じることであろう。

 何はともあれ,古代エジプト人の基本的リストと錬金術の古いリストでは,宝石が金属に結びつけられているのである。この中では,金属の名には,鉛,スズ,鉄,金,銅,エメラルド,銀が含まれる。レプシウスによれば,これは,エジプトの金属と同じ組み合わせである。
 (ベルトゥロ『錬金術の起源』p.216-218)

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