title.gifBarbaroi!
back.gif「黄金の華の秘密」註解(6/7)

C・G・ユング
「錬金術研究」I

黄金の華の秘密

(7/7)





ヨーロッパのマンダラの例

 以下の絵は、患者の治療に当って、本文でのべられたようなやり方で描かれたものである。最も古い絵は1916年の日付である。これらの絵はすべて自然発生的に生じたものであって、東洋の影響によって描かれたものではない。四番目の絵にみられる『易経』の卦は『東方聖書』Sacred Books of the East の中のレッグの翻訳をよんだことに由来しているが、これは、大学教育を受けたこの女性患者にとって、その内容が彼女の人生に特に意味があるように思われたために、絵に描きこまれたまでにすぎない。私は多くのマンダラのコレクションをもっているが、私のよく知っているヨーロッパのマンダラは、どれひとつとして、東洋のマンダラの習慣的また伝統的に確立された調和と完全さにまでは至っていない。そこで私は、無限の多様性をもつヨーロッパのマンダラの中から、十枚の絵をここに選び出した。それらは、少くとも全体としてみれば、東洋の哲学と西洋における無意識的な精神過程との対比を、はっきりと説明しているであろう。

A1

A1.jpg
女性 あらゆる花の中でも最も素晴らしいものとして描かれている黄金の華。

A2

./ptree/JPG/A2.jpg
女性 中心に黄金の華があり、そこから豊穣の象徴としての魚が放射している
(ラマ教のマンダラの電光と対応している)。

A3

./ptree/JPG/A3.jpg
男性 中心に光り輝く華があり、その周囲を星が回転している。華のまわりには、八つの門を
もった壁がある。全体は半透明な窓とみられている。
(訳註 これはユング自身が1927年に描いたもので、彼はマンダラを「永遠の窓」と名づけて
いる。)

A4

./ptree/JPG/A4.jpg
女性 大気の世界と大地の世界(鳥と蛇)の分離。中心には黄金の星をもった華がある。

A5

./ptree/JPG/A5.jpg
女性 光の世界と暗黒の世界の分離。また天上的魂と大地的魂の分離。中心は
観想を描いている。

A6

./ptree/JPG/A6.jpg
男性 中心には、大空に輝く白い光がある。内側の最初の囲いには、原形質のような
生命の芽生え。第二の囲いには、四つの基本色を含んだ回転する宇宙的原理。
第三と第四の囲いには、内と外に向かって働く創造力。外側の四隅の基本方位には、
男性の魂と女性の魂があり、両者はともに、明と暗とに分かれている。

A7

./ptree/JPG/A7.jpg
女性 円運動におけるテトラクテュス(四つのもの)の描写。

A8

./ptree/JPG/A8.jpg
女性 円運動をする、四つの基本色をもった胚胞の中に含まれている子ども。

A9

./ptree/JPG/A9.jpg
女性 中心には、男性の姿をともなう胚胞がある。彼は血管によって養われており、
その血管は宇宙に起源をもっている。
宇宙は、その流出物を引きつつ中心の周りを回転している。
外周には神経組織が拡がっていて,太陽神経叢の中で起っている〔生理心理的〕過程
を示している。

A10

./ptree/JPG/A10.jpg
男性 城壁と水濠で守られた都市のマンダラ。内部に広い第二の水濠があり、
十六の塔で守りを固めた城壁をとりまいている。
その城壁の内側に、さらに第三の内濠がある。この内濠は、黄金の屋板をもつ
中央の城をとり囲んでおり、その中心が黄金の寺院である。
(訳注 このマンダラは1928年にユングが描いたもので、彼はこれを描いた直後に、
ヴィルヘルムから『太乙金華宗旨』の独訳を受けとる。)

2015.02.20. 入力了。

forward.gifゾーシモスの幻像