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back.gif001 「器具と炉」法について:字母Ωに関する真正な覚え書き

ギリシア語錬金術文献集成

TLG4319

ゾーシモス

002
神的ゾーシモスの〔書〕・作業 I






神的ゾーシモスの〔書〕・作業 I(Zwsivmou tou: qeivou peri; ajreth:V pra:xiV a=)
(e. cod. Venet. Marc. 299, fol. 92v)



2.107."2t"
<作業 I>

2.107.2
 水〔複数〕の構成(qevsiV)、運動、生長、体からの転化(ajposwmavtwsiV)、体への回復(ejpiswmavtwsiV)、身体からの霊(pneuvma)の分離、身体との霊の結合は、余所余所しい〔自然〕、つまり、外から入りこむ自然〔複数〕に属するものではなく、単相的自然〔単数〕(hJ mooeidh;V fuvsiV)そのものであり、ひとりそれ〔単相的自然〕のみが、諸々の金属のかなくそも、植物の搾り出し液も、自身の内に所有しているのである。そして、単相的にしてかつ色とりどりのこの形態(schvma)の中に、万象の探求 — 多くの対話を要する多彩な探求 — が保たれている。ここでは、自然は月下界にあるので、2.108.1自然が〔変容の過程で〕通過する停止(lh:xiV)も生長も、時間的な尺度に服する。

 こういったことをしゃべりつつ、わたしは居眠りをしていて、わたしの前、盃形の祭壇の上に、一人の犠牲祭官(ijerourgovV)が立っているのを見た。そこには、同じ祭壇が、上方への15段の階段をもっていた。そこに神官が立ち、声が上からわたしに言うのをわたしは聞いた。
 「暗く光るこの15段の階段をわしが降りること、光り輝く階段をわしが登ることを、わしは充足した。そして、犠牲祭を執り行う者はまたわしを新しくする者でもあり、身体の嵩を脱ぎ捨て、やむをえず犠牲祭を行って、わしは霊(pneu:ma)を完成した」。

2.108.10
 そこで、盃形の祭壇の中に立っている彼の声を聞いて、何者であるかを彼から学び知りたいと望んで、わたしは尋ねた。すると彼は弱々しい声でわたしに答えて言う。
 「わしはイオーン、至聖所の神官、しかし耐え難い暴力(biva)に耐えている。というのは、夜明けごろ、ある者がまっしぐらに襲いかかってきて、わしを切断しようと、戦刀でわしを手にかけ、階調の結び目にしたがって(kata; suvstasin aJrmonivaV)、切り分けたのである。そして、自分に支配された両刃剣で、わしの頭の皮を剥ぎ、骨を肉といっしょに混ぜ合わせ、ふさわしい仕方で火で焼き尽くし、ついにわしは、体が変成して、霊となったことを学び知った。これこそが、わしの耐え難き暴力である」。
 このことをまだわたしと対話し、わたしも彼に言うことを強いているとき、彼の両眼は血のようになった。2.108.20そして、彼はその肉をすべて吐き出した。そしてわたしは見た — 彼が〔言っているのとは〕正反対に、手足を切断された小人(ajnqrwpavrion)であるのを。そして、自分の歯で自分自身〔の肉〕を噛みきり、倒れるのを。

2.109.1
 そして、わたしは恐怖の念にうたれて眠りから覚め、思案した。
 「いったい、これは水〔複数〕の構成のことではないのか」。
 美しく理会したと自分で納得できたようにわたしは思った。そこで再びわたしは居眠りをした。そして見た — 同じ盃形祭壇、その上でぐつぐついう水、多くの民人が際限もなくそれ〔祭壇〕の方へと向かって行くのを。しかし、祭壇の外にはわたしが質問できそうな人はいなかった。そこで、その光景を見るため、わたしは祭壇を登っていった。そして見た — 〔歳で〕灰色になった、乾燥風呂屋の小人(ajnqrepavrion)がわたしに言うのを。
 「何を見ているのか」。
 わたしは彼に答えた、水の沸騰と、人間が生きたまま焼かれることに驚いているのだ、と。すると彼はわたしに答えて言った。
 「おまえが目にしているこの光景は、入口であり、2.109.10出口であり、変成(metabolhv)である」。
 そこでもう一度わたしは彼に問いただした。
 「いかなる変成ですか」。
 すると彼は答えて言った。
 「いわゆる木乃伊化の実習の場所(tovpoV ajskhvsewV th:V legomevnhV tariceivaV)である。というのは、徳(ajrethv)に与ろうとする人間どもは、ここに入り、身体から逃れて、霊(pneu:ma)となるのである」。
 そこでわたしは彼に言った。
 「あなたも霊(pneu:ma)なのですか」。
 すると彼は答えて言った。
 「霊(pneu:ma)でもあり、霊の守護者(fuvlax)でもある」。
 そして、こういったことでわたしたちが交わっている間に、沸騰が進み、民人が大声で叫んだので、わたしは見た — 銅-人間がその手に鉛の書板を掴んでいるのを。そしてその書板を見ながら、声に出して云った。
 「懲らしめを受けている者ら全員にわれは命ず、静かにするよう、そして、めいめいが鉛の書板を取り、手で書き、眼を上に向け、汝らの葡萄の房〔口蓋垂〕が増大するまで、汝らの口を開けていることを」。

 そしてこの言葉に行動がしたがい、2.109.20 家長(oijkodespovthV)がわたしに言った。
 「おまえは観た。おまえの首を上に伸ばして、行われていることを見たか」。
 そこで、見たと云った、すると彼はわたしにこう言う、
 「おまえが見たのは銅-人間(xalkavnqrwpoV)、この者は犠牲祭官にして犠牲にされるもの、自分の肉を吐き出したものである。そして彼には、この水と、懲罰を受ける者らとに対する権限(ejxoisiva)が与えられている」。

 そして、こういったことを幻視したのち、わたしは再び眠りからさめた。そして自分に向かって云った。
 「この幻の原因は何か。いったい、白くて黄色い水、ぐらぐら煮える水は、神的な水〔硫黄〕のことではないのか」と。
 そして、ますます美しく理会していることをわたしは見出した。そこでわたしは云った、 — 言うことは美しい、聞くことは美しい、与えることは美しい、受け取ることは美しい、貧しいことは美しい、富むことは美しい、と。いったい、いかにして自然は与えることや受け取ることを学び知るのか。銅-人間(xalkavnqrwpoV)は与え、溶解鉱石(uJgrovliqoV)は受け取る。金属は与え、植物は受け取る。星辰は与え、花は受け取る。天は与え、地は受け取る。雷は、きらめき出る火の〔素であるから〕、与える。そして、万物は組み合わされ、万物は分割され、万物は混合され、万物は結び合わされ、万物は〔葡萄酒が水で割られるように〕割られ、万物は生(き)となり、万物は潤い、万物は渇き、万物は花開き、万物はしおれる、盃形の祭壇の中で。2.110.20 なぜなら、おのおののものは、四元素の道筋(meqovdoV)と重さ(shvkwma)と量(oujgkiasmovV)によって、あらゆるものの化合(sumplokhv)と分解(ajpoplokhv)、つまり、あらゆる紐帯(suvndesmoV)は、道筋(meqovdoV)なしには生じないからである。道筋(meqovdoV)とは自然の道筋であり、息を吸うこと息を吐くこと、道筋の順序を守るもの、増大するもの減少するものである。そして、手短にいえば、万物は分割と合一によって調和し、道筋は何ひとつも欠くことがないから、〔万物は〕自然を変容させる。すなわち、自然は自分で変容して、みずからに向かって転向するのである。これこそが全世界の自然、徳の自然にして、〔全世界の〕紐帯(suvndesmoV)である。

 そこで、あなたのために長々と書くことがないよう、親愛なる友よ、ひとつの岩塊でできた神殿を建てよ、それは白鉛のような、雪花石膏のような、プロコンネーソス産の〔大理石でできた〕かのようで、この建物には初めも終わりもない〔すなわち、球形である〕。しかし内部には、清浄このうえない、太陽の光をきらめかせる水をたたえた泉をもっている。この神殿の入口がどこにあるか精査せよ、そしておまえの両刃剣をとれ、そしてそういうふうにして入口を探せ。なぜなら、入口の開口部になっている場所は狭い。しかも、竜が入口に待ち伏せ、神殿を護っているからである。そこで、これ〔竜〕を手にかけ、まず屠れ。そうして、そやつの皮を剥ぎ、そやつの肉を、骨ともどもに取って、肢体を分割し、神殿の小口に、骨ともども肢体を合わせて、自分のために土台を作れ、そうして登れ、そうして入れ、そうすれば、そこにおまえは探していたものを見つけられよう。というのは、銅-人間である神官が、2.111.20 泉の中に座り、ものを集めているのをおまえは目にする。しかし、それは銅-人間のようではない。2.112.1 なぜなら、それは自然の色を変え、銀-人間になって、おまえが望むなら、しばし後には金-人間になるのをおまえは見出すであろう。

 この序は、下降するロゴスの花 — 諸徳、知恵、知慮の探求、理性(nou:V)の教説、能動的な諸々の道筋、隠された言辞が明らかになる啓示 — がおまえのために花開くための入口である。そして、万有(to; pa:n)を処理するのは、徳の時間である。

 「諸々の自然に打ち勝つ自然」とは、いったいどういうことか、また、「〔自然は〕成就されて、渦巻き状態に至る」とは、また、「次いで、〔自然は〕第一の形から転落して死を思う」とは。また、「〔自然が〕野蛮となって、ユダヤ的な〔自然〕を有するものの真似をするとき、自分の復讐をして、苦しみ(tavlaina)は自分よりも軽くなり、自分の肢体の混合を有する」とは。また、「湿は火とともにまた熟した実を結ぶ」とは〔どういうことか〕。

 自然をはっきりと転向させて、理性のこういった思索の中に立て、そして、多種の質料からなるもの(poluvu&lon)をひとつの質料からなるもの(monovu&lon)のごとくに思量せよ、何びとにもこのような徳を話すことなく、自分で自足せよ、何としても言うことを自分に許してはならない。なぜなら、沈黙は徳を教えるからである。四つの金属、2.112.20鉛、銅、アセモン、銀、錫の、完全な金になることへの 2.113.1 変化を見るのは美しい。塩をとって、歓喜する蜂蜜色の硫黄で潤せ。両者の力を結びつけ、〔第3の成分として〕緑礬水を加え、これらから、白く輝く緑礬水の第一発酵体である酸をつくれ。そして、過程と行程によって、白い銅を必然的に制御し、第五の行動の後に、3つの昇華(aijqavlh)のもとに発見し、続いていわゆる金ができる。見よ、そうすれば、単相的なものを多相的なもののように制御して、質料(u{lh)を所有するであろう。

2009.02.08. 訳了。

forward.GIF003 ゾーシモスが生石灰について言う
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