016 仕事の平易な仕上げについて
この術知における有と非有とは何かについて (Peri; tou: tiv ejstin kata; th;n tevcnhn, ousiva kai; ajnousiva) (fort. pars operis Ceirovmhkata) (e cod. Venet. Marc. 99, fol. 149v) 017 2 167 18t また、非有は、火に抵抗することなき硫黄類である。これを火に抵抗させたり耐火性をもたせたりするのは、染液(ohJ zwmoiv)〔複数形〕である。なぜなら、水は火の反対物だからである。それゆえ彼は謂う。「自然は反対物を固有のものとして内有し、強固であるとともに除去できないもの、支配するとともに支配されるものとなる。だから、そういうわけで、手をつけられていない〔天然〕硫黄の水もそれから生じるところの硫黄類そのものも〔反対物を〕固有のものとして保有しているのである。水は火の反対物であるからには、なにゆえ反対物までも〔保有するの〕か。なぜなら、水として流れるものは、火のようなあのものらが煤に還元し逃げ去ることを許さない。いやむしろ、それを湿によって埋葬し、染浴するまで引き留めるからである。そして水の方は、湿であるから、下降する。それゆえ彼は謂うのである、「自然は反対物を固有のものとして内有し」云々。染水によっていかにして火に抵抗するのか、彼は問いただされた。染水とは、硫黄水のことである。 2009.08.22. 訳了。 |