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back.gif055 諸々の光についての解説

ギリシア語錬金術文献集成

TLG4319

ゾーシモス

056
諸々の昇華蒸気について






諸々の昇華蒸気について
(Peri; aijqalw:n)

(e cod. Venet. Marc. 299, fol. 116v)



056 2 250 12t
諸々の昇華蒸気について

 昇華蒸気と言われるのは、下方から上<へ>灰を〔送り〕、高みへと諸々の有〔耐火性物質〕を送るからで、これは諸々の水の上昇(ajnagwghv)を明らかにしている。さらにまた、昇華蒸気と言われるのは、下のものらから高みへと離れるからである。昇華蒸気つまり滴液の吸い出しでこれの説明をする人たちは、土瓶から滓を引き上げて、自分たちから出てくる諸々の魂そのものを投入しながら、搗き砕いた。なぜなら、諸々の魂そのものは、諸々の体から出てくるが、彼らはこれを再び小さな乳房〔蒸留器の蓋〕を通してもとにもどすのであって、251 1 これがイオス化だと主張するのである、長時間持続する腐敗<から>類推して。そして、自余の諸々の昇華蒸気<と>組み合わせた。この〔昇華蒸気〕を彼らは諸体と呼び、わたしたちもまた体とか、神的なものらとか、硫黄状のものら、また、銅とかアセーモスとか金の薄片〔と呼ぶのである〕。じつにそういうふうにして、彼らは下位の質料のための染色を制作したが、それらの第二の基礎についてのロゴスを何ら広げることをしなかった。

 そして、熱灰によって滴下される水を明示して、云う。「そして器具を当てて、熱灰をもとにもどせ」。そこで、熱灰が適切に処理された水である場合には、それゆえまたアガトダイモーンも、「熱灰がすべてある」。しかし煮沸〔融解〕(e{yhsiV)そのもの、あるいはまた焙焼(o[pthsiV)があり、これは搗き砕き(leivwsiV)とも名づけられる。明らかに、腐敗(shvysiV)、分解(ajnaspavsiV)、イオス化(ijwvsiV)、半-焙焼(paropthvsiV)によって全体が完成すると言うのが古の人たちである。そして他の仕方で混合物の作り方が処理されることは不可能である。なぜなら、腐敗や分解を、知識の託宣者たちは搗き砕きとして知っていたからである。そして、イオス化、煮沸であるのに、煮沸と分解を搗き砕きと名づけたのは、はなはだしい縮小化のゆえである。さらにまた火と名づけたのは、加熱、?焼、照射のゆえであり、理性ある人たちによって探究されたものを古の人たちが幼児の玩具とか女の作品と称したのである。しかし、だからといって、火によってイオス化を獲得すべくわれわれは強制するわけではまったくない、染色される石のためのように、つまり水の蒸留のためのように、冷によって完成される紫を。わたしが言うのはまさしく、真実、ひとつの完全で退色しない作品は、乾を完成するということは、経験がわれわれにはっきりと教えるだろうということである。

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 さて、このもののイオスつくり〔イオス化〕に次いで、彼らは昇華蒸気をもとにもどし、後に残された浮き滓<と>組み合わせ、そうやって限界を持ち、そこにおいて乾を諸体に添加したのは、ゾーシモスがこう言っているからである。「すなわち、こういうふうにして、気息は有体化され、死体は、有魂化され、これらから出る魂が再びそれらによって潜りこまれるとき、神的な作品も完成し、両者は互いを支配し、互いによって支配される。なぜなら、逃げる気息は、追い求める体を、火によってすでに耐火的となったことを許されるそれを得たからである。そしてこれこそが、わたしの思うに、アスベストスとか密陀僧とかの哲学者の水、硝石の水、フェクラの水、こしらえ方された硫黄状のものらの熱灰からできる〔水〕、初めに滲出した水である。

 そこでこれ〔昇華蒸気?〕を、石鹸の滴液のように滴下させ、これの水を得なければならない。石鹸の滴液とは、彼が謂うには、けっして昇華抽出されることなく、滴下される。それではいかにして、おお、善き人たちよ、ゾーシモスは謂っているのか、書き手たちの理性は、銅を分解する装置によってでないかぎりは、けっして確実ではなかったと。そして、この術知の限界はそうではなく、このものの凝固の装置にあったのだと。しかし他の人たちは、両方の混合物のために、壜に塗布しただけで、水をもとにもどし、乳鉢の中で搗き砕いた上で、自身のアスベストスによって凝固させた、重量によってではなく、乾が湿を凌駕している分、2ないし3ないし4ダクテュロス分によって。

2010.05.31. 訳了。

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