058 三本腕の蒸留器と管について
錬金論 (Excerptum alchemicum) (sine titulo) (e cod. Venet. Marc. 299, fol. 186v + 187r, 195r) 059 verso 1t M verso 2t 貴女はいたずらに哲学者を非難しました。というのは、彼が何を云ったのか、貴女はわからなかったのですから。「先の覚え書きの中でもわたしが云ったのは、諸々の水の製法(poivhsiV)を云ったのではなく、蒸留(a[rsiV)を云ったということだ」。というのは、製法と蒸留とは別々のことです。そして、これらのうち蒸留のことは惜しみなく彼は云いました。しかし、これらのうち製法のことは誰ひとり説明しませんでした。なぜならこれは明白な神秘であり、これは甚だしく秘匿されていることだからです。 蒸留とは、これらの器具によるものであり、[製法、つまり、この水の結合(suvnqesiV)とは、仕事の平易な仕上げによって書かれており]これら〔両方〕によって水は蒸留されると哲学者は主張しているのです。生成することないし結合することを、貴女のために書くことをわたしはためらいません、女主よ。そこで、諸々の水の製法は、以下のとおりです。硫黄の、雄黄の、密陀僧の、硝石の水、フェクラの水、アスベストスの水、、天然カリウムの水(u{dwr spodokravmbhV)、薄片の明礬の水、尿の、驢馬の乳の、山羊の〔乳の水〕。犬の乳[しばしば]と牛の〔乳〕あるいは男児を産んだ女の〔乳〕、アガトダイモーンによれば、酢も海水も、蜂蜜、ひまし油、堕落していない者たちの尿、コムミ。さて、それぞれの水は義しい塩のような状態にありますが、木灰の上では、石鹸の滴液のようで、この滴液のことは、『Xeirovkmhta』の洗い張り人たちの中で貴女に献呈したものです。しかしもしできなければ、水1コテュレーに試剤1ウンキアを、硫黄1ウンキアを清浄な水1コテュレーに〔結合〕するように、結合しなさい。雄黄1ウンキアは水1コテュレーに。鶏冠石1ウンキアは水<1>コテュレーに。焼いて酢の中で消炎されたフェクラ、イタチの尿の中で消炎されたアスベストス<1ウンキア>は<水>1コテュレーに。海水の中に解かれた薄片の明礬<1>ウンキアは、水1コテュレーに。また火の硝石も同様。そして個別に煮沸して、水少しをいっしょに〔しなさい〕。力を取って、篩にかけるか、他の土瓶(cuvtra)に滴下しなさい。蜂蜜とオリーブ油をいっしょに投入しながら。 そして、白い硫黄が必要なら、水といっしょにキオス島の土、星石(ajsterivthV livqoV)、焼いた月石ajfrosevlhnoVコプトのスティムミ、サモス土、カリア土、キモーリア土ないし輝土(stilbavV gh:)を搗き砕きなさい。青くなったら水を土瓶に入れ、大地に産する大理石と生のミシュ、他にもアスベストスの部分 古の人たちの諸書によれば、2個まで を入れなさい、そうすればこれがアスベストスによるものと言われ、器具を土瓶の上に置いて、水を吸い上げ、そして用いなさい。 さて、黄色い水は次のごとくです。すべての水に、先に明らかにされた重量の加減どおり、もはやアスベストの2個ではなくて、塩1を取り、ひとつずつを煮つめ、混ぜ合わせ、もはや白いga:Vではなくて、黄色いga:Vを搗き砕きなさい。わたしたちの望んでいるのが、黄色い水だからです。ただし、土は次のものらです。アッティカ産の黄土、ポントス産のsinwtivV、焼かれたミシュ、焼かれた緑礬とそれに類したものら。<……>。普通に知られているすべての植物、卵黄、[卵の]黄身、クサノオは2倍。諸々の草は水でひとつにするのではなく、ga:Vだけを〔ひとつにする〕。そして習慣どおり、長くびフラスコを換え、諸々の植物をいっしょに入れ、4日間、器具の上に置いて火で煮て、水を吸い取り、コムミといっしょに用いなさい。そして蓋を取ると、固有の染料すなわち固有の気を発する完全に焼けた草を見出すでしょう。これは、火を通さぬ硫黄の水の力と自然を有している。熱湯で銀を染色すれば、消えないものとなるでしょう。 2010.05.12. 訳了。 |