062 ゾーシモスの〔書〕・諸々の器具と諸々の炉について
水銀を凝固させる神的な水の蒸発脱水法について (Peri; th:V ejxatmivsewV tou: qeivou u{datoV tou: phvssontoV th;n uJdravgruron) (e codd. Venet. Marc. 299, fol. 188v; Paris. B.N. gr. 2325, fol. 82r + 2327, fol. 80r; Laur. gr. 86.16, fol. 84r) 063 1t そこで、古人たちの誰かがどこかで、このような器具にはたして言及しているのかどうか、わたしの思いどおりにできないのか、わたしは探究しました。そこにおいてわたしは落胆しましたが、あなたの諸書を調べて、イウゥダイオス人の書の中に伝承された器具、いわゆる三本腕の蒸留器(trivbikoV)に近いものと、この器具の図そのものを発見しました。それは先にあるとおりです。139.1 「雄黄を取って、次のようにして白化させなさい。輝く泥を、雲母の極薄の形のように平たくしなさい。そして、狭い穴を、濾し器状に空けなさい。小皿の上にしっかりと置きなさい。この〔小皿〕に硫黄1個を入れなさい。濾し器には雄黄を望むだけ〔入れなさい〕。そして別の小皿で蓋をして、あわせの部分を密封し、2昼夜<煮沸しなさい>。あなたは白鉛を見出すでしょう。これの1ムナに1/4を加え、まる一日昇華させ、アスファルトを少し加え、云々」。これこそが、この器具の準備です。 しかし、わたしは、わたしたちの関心事に向かいましょう、この書では白化はないと、この書から示しつつ。というのは、1刻はおおいに硫黄が蒸発できるのですが、どうやって2昼夜煮沸するよう励まされるのでしょう。いや、このことから、思索の出発点をあなたに与えています。アガトダイモーンも言及していることですが、雄黄こそは全体が化合物であり、これについては『活動力(ejnevrgeia)によって』〔という書〕の煮沸の8章の中で力強く判然とさせたのです。他にも多くの古人たちが言及しました。が、多くの忠告には与しないでおきましょう。[いつか?]。この書の初めが目下の問題について教えています。すなわち、彼は謂います。雄黄の白化は、延長(ejktavsiV)の中で起こる。雄黄ならざるものが白化されると、延長する。無論、「光が過剰になれば、黄色くなる」と云っているデーモクリトスを<……>することはない。しかし今はあなたの役に立たない。あなたが望んでいるのは、体を白化させることなのですから。 いったい、雄黄の形相全体に気づかぬような男とは、何という愚か者でしょう。じっさい、これ〔雄黄〕の薄片(la:mna)は、前述の書が謂っているとおり、そういうふうにして白化されると、見かけ上白いだけではないでしょう。火から逃れることはほとんどなく、それ自体も、その見かけも白いのです。雄黄が鉛を何ら含有せず、それが火によって蒸発するとき、これを追加したり昇華させたりするよう書が命じているのに、雄黄が白化させられれるのに気づくのは、いかにも愚か者ではないでしょう。化合物が鉛様のものを含有しており、昇華だけでなく、アスファルトを付加することをも励まされるのは、あなたが何らかの仕方で鉛化し、浄化し、全体を滑らかにするためです。 これについて言うことがわたしにできるかぎりのことは、あなたがたが証人になっていただきたい。いや、数多くの出発点を手に入れられたからには、これからは教える者にもなっていただきたい。いや、ここまでわたしにとってと同じことをわたしは督励します。わたしもあなたがたから、目的の果実を受け取ったのですから。ですから、慣例にもせよと、この書は謂います。この仕方が、蒸留器様のもの(karkinoeidhvV)なのです。 2010.04.10. 訳了。 |