065 神的なゾーシモスの書/徳について。水の構成について/作業I-VIII
ギリシア語錬金術文献集成
TLG4319
ゾーシモス
066
ゾーシモスの作業 II
|
ゾーシモスの作業 II
(Zwsivmou pra:xiV b')
(e codd. Paris. B.N. gr. 2327, fol. 87v+Laur. gr. 86,16, fol. 93v)
〔004と有意の差は認められない。〕
このとき、やっとのことで、7段の梯子を登って、7つの懲らしめを観たいという欲求が起こり、事情まさしくかくのごとくして、ひと日、わたしは登るための道を急いだ。しかし、何度もやり過ごした後、ついに道に就いて登った。そして、まさにわたしがもどろうとするときにすべての道を失い、わたしはどこからもどっていいのか見つからず、すっかり意気消沈して、わたしは意気消沈したまま、眠りに落ちた。そうして、わたしの眠りの中でわたしは観た、 ひとりの剃刀使い〔理髪師〕の小人(ajnqrwpavrioV)が、紫の長袍と王者のような衣服をまとって、懲らしめの〔場の〕外に立っているのを。そして彼はわたしに言う。
「おい、おまえは何をしているのか」。
そこでわたしは彼に向かって謂った。
「わたしがここに立っているのは、あらゆる道を失って、迷ったからです」。
すると彼がわたしに言う。
「わしについてこい」。
そこでわたしは出て、彼についていった。そして、懲らしめの〔場の〕近くになって、わたしは観た、 わたしを道案内している者、あの剃刀使い〔理髪師〕の小人を。そして見よ、彼は懲らしめの中に投げこまれ、彼の全身は火に焼き尽くされた。
わたしはこれを見て飛び退き、恐怖のあまり戦慄し、眠りからさめて、自分に言う。
「いったい、目にしたことは何なのか」。
そして再び、ロゴスを説き明かしてみて、こう判断した、 あの剃刀使い〔理髪師〕(xurourgovV)の人間は、紫の衣服を着こんだ者は銅-人間である、と。そしてわたしは云った。
「わたしの思いつきは美しい。あれは銅-人間だ。最初に彼を懲らしめの中に投げこまなければならない」。
再び、わたしの魂は、第三の梯子をも登ることを欲した。そして再び、ひとりで道を進んで行き、そして懲らしめ〔の場〕に近くなると、再びわたしは迷った。道が見つからないからで、立ちつくし、自暴自棄になった。
そして再び、等しい仕方で、わたしは灰色の髪をした、非常に白い老人を観た。彼のあまりの白さに、〔わたしの〕眼は見えなくなった。彼の名はアガトダイモーン(=Agaqodaivmwn)と呼ばれた。そして、その灰色髪の者は振り向いて、しげしげとわたしを観た。そこでわたしはこの者に頼んだ。
「まっすぐな道をわたしに教えてください」。
すると彼は わたしの方には振り向きもせず、一生懸命に自分の道を急いだ。そして、ここかしこを通り抜けて、祭壇へとわたしは懸命に急いだ。こうして、祭壇の上に急いだ結果、わたしは観た、 灰色髪の老人を、そして彼は懲らしめの中に投げこまれた。おお、天なる自然〔複数〕の造物主たちよ、たちまち彼は全体が炎となって燃えあがった。まことにそれは、兄弟たちよ、ぞっとする話であった。というのは、懲らしめの多大な暴力によって、彼の眼は血でいっぱいとなった。わたしは問いただして彼に言った。
「そこに横たわっているのは、なぜなのですか」。
彼はやっとのことでその口を開いてわたしに謂った。
「わしは鉛-人間、わしは耐え難い暴力に耐えているのだ」。
そしてそういうふうにして、多大な恐怖からわたしは目がさめた、そして、わたしの内に事の次第を尋ねた。そして再び、自分で判断して云った。
「わたしは美しく理会した、 まさしくこういうふうに鉛は投げ捨てなければならない、そして、真実、幻は湿ったものら(ta; uJgrav)の結合(sunqevsiV)に関するものである、と。
2009.08.02.
|