151 Et. Gen. (p. 19 Calame)=Et. Mag. 117. 14ss.
a[wroV。すなわち長音化したw\roVは意味は違わない。w\roVとは眠り(u{pnoV)のこと。カッリマコス(fr. 177. 28 Pf.)とサッポー。例えば、
ojfqavlmoiV de; mevlaiV nuvktoV a[wroV.....
眼には、夜の黒き眠りが……
152 Schol. ap. Rhod. 1. 727 (p. 61 Wendel)
ejreuqhvessa〔「真紅の」。イアソンの外套を表現するために、アポッロニオス(I-727)によって用いられる〕は、purrav〔「火色の」〕あるいはuJpevruqroV〔「紅の」〕の代わりに用いられるが、サッポーの描写とは逆である。
pantodavpaisi memeicmevna croivaisin
あらゆる種類の色と混じり合ったのを
153 Atil. Fort. Ars 28 (vi 301 Keil)(de metris Horatii)〔Cf. Anacr. 381.〕
……サッポー。
pavrqenon ajduvfwnon
甘き声した乙女
154 Heph. Ench. 11. 3 (p. 35 Consbruch)(p. ijwnikou: tou: ajpo; meivzonoV)
短拍で終わる三歩格、いわゆるプラクシッラ風詩格、これは第1行目にイオニア調、2行目にトロカイオス調をもつものである(ーー∪∪/ー∪ー∪/ーー)。次の例はサッポーのもの。
plhvrhV me;n ejfaivnet= aj selavnna,
aij d= wjV peri; bw:mon ejstavqhsan
月は満ちて現れぬ、
乙女らが祭壇のまわりに立ち並びたるとき
155 Max. Tyr. 18. 9d (p. 231 Hobein)
時には彼女ら(sc. ゴルゴーやアンドロメダ)を誉めたたえ、時には吟味し、ソークラテースのあの皮肉 「ご機嫌よう、イオーン」とソークラテースは謂う〔Pl. Ion 530a〕 そのものを用いる。
povlla moi ta;n Pwluanavktida pai:da caivrhn
どうか、ポーリュアナクス家の娘っ子たちに、ぎょうさんな恵みがありますように
とサッポーは謂う。
156 Demetr. Eloc. 161s. (p. 37 Radermacher)
喜劇における特別な優美さは、誇張に由来するが、誇張はすべて不可能さである、例えばアリストパネース……次のような、「カボチャよりも健康な」とか、「晴天よりも禿げた」といった事例も同種であり、サッポーの詩にも、
povlu pavktidoV ajdumelestevra . . .
cruvsw crusotevra . . .
竪琴よりもはるかにうるわしく
黄金よりもさらに黄金らしく
cf. Demetr. Eloc. 127 (p. 30 Rad.)
サッポーの「黄金にもまして黄金らしき」は誇張法で言われているのであって、不可能な点を含んでいる。しかし、その不可能であることによって魅力を備えている。神のごときサッポーの最も驚嘆すべき点は、彼女がそれ自体は危うく困難である技法を、魅力あるやり方で用いていることである。
Greg. Cor. in Hermog. Meth. (Rhet. Gr. vii 1236 Walz)
醜いことだが、聴覚を喜ばせるのは、アナクレオーンの詩句やサッポーの詩句のような恋事である、例えば、「乳よりも白い」とか「水よりもやさしい」とか「琴よりも調べよき」〔Cf. 117A〕とか「雌馬よりも誇らかな」とか「薔薇よりも素晴らしい」〔Cf. 117A〕とか「素敵な長衣よりもやわらなか」とか「黄金よりも高価な」とかである。
157 Et. Gen. (p. 18 Calam) - Et. Mag. 174. 43ss.
au[wV。hJ hjwvV〔曙〕、つまりhJ hJmevra〔日〕のこと。アイオリス方言ではそう言われる、サッポー。
povtnia Au[wV
曙の女神さま
また(fr. 104a)。
158 Plut. de cohib. ira 456e (iii 167 Pohlenz-Sieveking)
酒宴のおりに黙りこくっている者は、宴席の仲間にとって重荷だが、怒りに駆られているときは、沈黙を守るほど威厳のある者はない、サッポーが勧めるように
skidnamevnaV ejn sthvqesin o[rgaV
mayulavkan glw:ssan pefuvlacqai
胸うちに怒りの煮えたぎるとき、
虚しく吼える舌をおさえることぞよき
159 Max. Tyr. 18. 9g (p. 232 Hobein)
アプロディーテーがサッポーに向かって彼女の歌のどこかで言う。
. . . suv te ka[moV qeravpwn !EroV
そなたと、わたしの召し使いであるエロースとが……
160 Athen. 13. 571d (v. fr. 142)
tavde nu:n ejtaivraiV
tai;V e[maiV †tevrpna† kavlwV ajeivsw.
さあ、この調べを
私のヘタイラたちのために、美しく歌いましょう。
161 P. Bouriant 8. 91ss. (v. A.P.F. 10, 1932, p. 3)
サッポーは……と……の中で
tandefulassete enne[ . . ]oi gavmbroi[ . . . . .]u polivwn basivlheV.
彼女を守れ……花婿たち……諸都市の王たち
162 Choerob. in Theod. (i 193 Hlgard)
アイオリス人たちはこれ(sc. tiVという語)を長くしてtivoVと言う、例えばサッポーの作品で、
tivoisin ojfqavlmoisin ~
どのような目で……?
彼女はtivsinの代わりにtivoisinを用いる……
163 Iulian. Ep. 193 (p. 263 Bidez-Cumont)
あのテオス生まれの抒情詩人の詩〔Anacr. 378.〕にあるように、祈りによって類に変身することがわたしの定めであるならば、わたしはきっとオリュムポス山に飛びゆくことなく、恋を咎めることもなく、あなたがたの山地の丘陵地帯へと飛んでゆくことでしょう、それはあなた、
to; mevlhma tw\mon,
わたしのしたわしいものを
サッポーが謂うように、抱擁するために。
164 Ap. Dysc. Pron. 136b (i 107 Schneider)
アイオリス方言での綴り(o|V〔彼/彼女の〕)は、あらゆる格と性でϜをともなう。
to;n Ϝo;n pai:da kavlei.
彼女はその子を呼び寄せ、
サッポー。
165 Ap. Dysc. Pron. 106a (i 82 Schneider)
アイオリス方言での綴り(oi|〔彼(自身)に〕)はϜをともなう。
faivnetaiv Ϝoi kh:noV.
あの男は彼自身に似かよって、
サッポー。
一部の者たちによって、31. 1. の正しい読みと考えられている。
166 Athen. 2. 57d (i 134 Kaibel)
サッポーはこれ(sc. w/jon)を三音節にして呼ぶ。
fai:si dhv pota Lhvdan ujakivnqinon
. . . w[ion eu[rhn pepukavdmenon
いいつたえでは、レーダーが昔、ヒュアキントス色した
卵を見つけたという、……におおわれたのを
この卵から、カストールとポリュクスが産まれたと考えられる。白鳥の卵は白いのだが。
167 Athen. 2. 57d (v. fr. 166)
さらにまた。
wjivw povlu leukovteron
卵〔Cf. 156.〕よりずっと白いのを。
168 Mar. Plot. Sacerd. 3. 3 (vi 516 Keil)
アドーニス詩、あるいは、韻脚不完全なダクテュロス詩の二歩格はサッポーによって発明され、サッポー詩としても知られている。これはmonoschematicで、ダクテュロスないし長長格で構成される。
w\ to;n !Adwnin
おお、アドーニスよ
168A (Voigt)=178 L.-P.
168B (Voigt)(=fr. adesp. 976 P.M.G.) Heph. Ench. 11. 5 (p. 37 Consbruch)
しばしば彼らはイオニア韻脚〔長長短短格〕とトロカイオス韻脚〔長短格〕とを交互に使い、時にはイオニア韻脚〔ーー∪∪〕の代わりに第2パイオーン脚〔∪ー∪∪〕を、6拍のトロカイオス脚〔ー∪ー∪〕の代わりに、7拍のトロカイオス脚〔ー∪ーー〕を代用する。例えば、
devduke me;n aj selavnna ∪ I ー∪∪ー∪ーー
kai; Plhi<adeV` mevsai de; ー I ー∪∪ー∪ー∪
nuvkteV, para; d= e[rcet= w[ra, ー I ー∪∪ー∪ーー
e[gw de; movna kateuvdw. ∪ I ー∪∪ー∪ーー
すでに月は入りはて、
プレイアデスもまた。夜は
夜半。刻々と時はそば過ぎゆけど、
われのみは独りし眠る。
[参考]
月は入り
すばるも落ちて
夜はいま
丑満の
時はすぎ
うつろひ行くを
我のみは
ひとりしねむる。
(呉茂一訳)
168C(Voigt)(=fr. adesp. 964 P.M.G.) Demetr. Eloc. 164 (p. 37 Radermacher)
〔文章の〕魅力は、修飾を用いたり美しい言葉を用いたりすることによって生ずる。美しい言葉はその文の雅をますのに大いに役立つ。例えば、
poikivlletai me;n
gai:a polustevfanoV
数多の花冠を戴いた大地は
彩り満たされ
Wilamowitzはサッポーに帰するが、LobelとPageは異議をとなえる。
169 Schol. Il. 14. 241 (ejpiscoivhV) (ii 46 Dindorf)
これはijoivhn〔「わたしは行く」の1人称希求法〕(182)という形に等しい、また
ajgagoivhn
わたしが嚮導するだろう
にも。サッポーの作品。……ejpiscoivhV〔「(饗宴に)おいでになる(折は)」〕は、当然ながら、語尾から2番目の音節にアクセントがある。
169A (Voigt) Hsch. A 1621
ajqhvmata。レスボスの言い廻しで、親族から結婚する乙女に送られる贈り物のこと。
170 Strab. 13. 1. 68 (iii 62 Kramer)
カナイ(Kavnai)は、キュノス出のロクリス人の住む小さな町でレスボス島の最南端に面してカナイ地方に位置する。
この地方はアルギヌッサイ諸島と島より上の方にあたる岬まで伸び、人によるとこの岬を、動物の山羊(アイクス)とおなじ名で「アイガー岬」と呼ぶ。ただし、第二音節はアクター(岬)やアルカー(始まり)のように長音で発音し、アイガーとしなければならない。今日カネやカナイと呼んでいる山も、たしかに全体としてアイガという名になっている。 この山を取巻くようにして麓には南と西に海、東にカイコス平原、北にエライアの地方が位置し、当の山が単独でじゅうぶん小ぢんまりとまとまりながらアイガイオン(=エーゲ)海の方へ傾いている。山の名もこの海に因んでいる。
当の岬が後になってアイガという呼び名を受けたことはサッポーがいうとおりで、残りの地域がカネーとカナイという名になった。
171 Phot. (p. 57 Reitzenstein)=Anecd. Gr. i 370 Bekker
a[kakoV`
無悪な者
悪を経験したことのない者のことであって、有徳者(crhstohvqhV)のことではない。そういうふうにサッポーが。
172 Max. Tyr. 18. 9gh (p. 232 Hobein)
ディオティマは言う、エロースは明知・融通のときは花咲くが、無知・不通のときには死ぬ。このことを彼女(sc. サッポー)は合成して、甘苦きもの(glukuvpikron)(fr. 130. 2)とか
ajlgesivdwron
苦悩の贈り主
と云った。
*Plato, Symposium 203b ff.を参照せよ。
173 Choerob. in Theodos. (i 331 Higard)
ajmavmaxuV、属格はajmamavxuoV(意味は、樹の上に生いる葡萄)。サッポーの作品における属格ajmamavxudoVは異例である。
174 Orion (3. 12ss. Sturz)
[ajmavra〔水路〕]
そういうふうにサッポーについての覚え書き〔おそらくカマイレオーンの作〕の中に。
175 Ap. Dysc. Adv. 596 (i 183 Schneider)
語形変異(metaplasmovV)は名詞の格におこる、例えば、ejrusavrmateV〔戦車を御する〕、li:ta〔麻布〕、サッポーの作品における
au[a . . .
曙
176 Athen. 4. 182f (i 398 Kaibel)
〔エウポリオン〔前3世紀頃の叙事詩人にして学者〕が言っている〕というのは、bavrwmoVとbavrbitonのことは、サッポーとアナクレオーン(fr. 472)が言及しているし、mavgadiVやtrivgononやsambuvkhも古い楽器だからである。
177 Poll. 7. 49 (ii 65 Bethe)
beu:doV
サッポーでは、kimberikovn。kimberikovnとは、透けた短い下着のことである。
178 Zenob. 3. 3 (i 58 Leutsch-Schneidewin)
ゲッローよりも子を溺愛する〔女〕
GevllwV paidofilwtevra,
時ならずして亡くなった女たち、あるいは、わが子を愛するあまり、養育の際にそれを儚くさせた女たちについていわれる。というのは、ゲッローは若い女であったが、時ならずして亡くなったので、レスボスの人々は、彼女の亡霊がその子をもとに通ってくるとか、時ならぬ死を彼女のせいにするといい伝えられる。サッポーが彼女について言及している。
おそらくは、強欲なライバルに対して用いられていよう。
179 Phrynich. Praep. Sophist. (p. 60 von Borries)
サッポーは、香水の容れ物や、女の装身具類の容れ物をgruvta〔化粧箱〕と呼ぶ。
180 Hsch. E 1750 (ii 56 Latte)
e{ktoreV〔堅持者(複数形)〕……サッポーがゼウスに与える名前。
181 Schol. Lond. in Dion. Thrac. Art. 6 (p. 493 Hilgard)
他方、アイオリス人たちの間では、d の代わりに z が採られる。サッポーがdiavbatonを
zavbaton
歩いて渡れる
と言う場合のように。
182 Schol. Il. 14. 241 (v. fr. 169)
ijoivhn
わたしは行くでしょう
183 Porphyr. ad Il. 2. 447 (i 41 Schrader) (v. Alc. 412)
たしか、アルカイオスとサッポーは、このような風を
katwvrh
颪
と言っている。吹きおろす動きを有しているからである。
184 Choerob. in Theodos. Can. (i 270 Hilgard)
kivndun、属格はkivndunoV。kivndunoV〔危険〕の対格を、サッポーはそういうふうに謂っている。
cf. Alc. 415
185 Philostr. Imag. 2. 1 (ii 341 Kayser)
. . . melivfwnoi`〔密の声した(複数形)〕
これはサッポーの甘き添え名である。
Aristaen. 1. 10 (p. 25 Mazal)
. . .mellicovfwnoi`〔やさしき声した〕
これはサッポーの最も快適なことば(fqevgma)である。
186 Io. Alex. ton. par. (p. 4 Dindorf)〔鋭アクセントは最後から4番目の音節に決してこないという規則について〕
ただし
Mhvdei&a
サッポーの作品においてこれは除外する。彼女は二重母音eiを採ることを決心したからである。
187 Epim. Hom. (Anecd. Oxon. i 278 Cramer)
ムーサの複数属格は、ラケダイモーンの方言ではMwsavwn、サッポーの作品では
Moisavwn.
である。
Cf. 214B fr. 2 col. i 10.
188 Max. Tyr. 18. 9h (p. 232 Hobein)
エロースをソークラテースはソフィストと言い、サッポーは
muqoplovkon.
話を織る者
189 Phryn. 272 (p. 89 Fischer)
nivtron〔炭酸ナトリウム〕。これはアイオリス語の言い方であって、だからサッポーも n を用いるが、アテーナイ人は l をつけて、livtronと発音する。
190 Schol. A Il. 3. 219 (a[idrei&) (i 152 Dindorf)〔a[i&driVについて〕
しかしながら、e[ciV〔クサリヘビ〕、povsiV〔飲酒〕、o[fiV〔蛇〕のように、活用すべきである。だからサッポーの作品にある
polui<dridi,
充分知恵のある
は間違いである。もちろん、アッティカ語法と同様に語形変化しなければの話ではあるが。というのは、ソポクレースは i[drida〔熟練者〕という形で謂ったからである……
191 Poll. 6. 107 (ii 31 Bethe)
さらにまた、アナクレオーン(496)は、ミルテの花冠をかぶると謂う。また、サッポー(81. 5)も、アルカイオス(362. 1)もそうしたように、イノンドの花冠を。さらに、後者の二人は、セロリ〔Alc. 436.〕にも言及している。
192 Poll. 6. 98 (ii 28 Bethe)
mesovmfaloV fiavlhやbalaneiovmfaloV fiavlhは、その形から命名されたが、crusovmfaloV fiavlhが材質から〔命名された〕ことは、サッポーの作品がいうとおりである。
crusastravgaloi.
黄金の取っ手のついた酒杯
193 Ael. Aristid. Or. 28. 51 (ii 158 Keil)
思うに、あなたはサッポーにも耳を傾けるべきある。彼女が、幸福だと評判の女たちの一人であることを誇り、ムーサたちは自分を本当に祝福と羨望の的であるようにした、そして、死後も忘却されることはないと言いきっているのを。
Cf. 65, 147.
194 Himer. Or. 9. 4 (p. 75s. Colonna)
アプロディーテーの狂宴(o[rgia)は、ひとりレスボスのサッポーに〈のみ〉、竪琴に合わせて歌い、新婚の房室(qavlamoV)を歌に作詩すべく取り置かれた。競演の後、彼女は房室に入って行き、内室(pastavV)を花で飾り、寝台(levcoV)を布き、乙女たちを花嫁の部屋(numfri:on)に†〔集め?〕†、戯れながら、エロースたちの合唱舞踏といっしょにカリスたちの戦車に乗ったアプロディーテーを導く。そして彼女は女神の髪の毛を、額に散りばめられているかぎりのものは除いて、ヒヤシンスに結びつける。残りは、微風の吹くままに波うつにまかせる。彼ら〔エロースたち〕の翼と巻き毛を黄金で飾り、戦車の前で行列を先導する彼らに熱中する。炬火を掲げて動かしながら。
195 Demetr. Eloc. 166 (p. 37 Radermacher)
これが、サッポーが美について歌うと、言葉が美しく快適となる所以である。恋や春や翡翠についても同様で、すべての美しい名辞が、彼女の詩作に織りこまれ、そのいくつかは彼女自身が創作したものなのである。
110(b)に続く。
196 Ael. Aristid. Or. 18. 4 (ii 9 Keil)
この都市〔スミュルナ〕全体にたちのぼる光輝は、サッポーが謂ったように〔31. 11.〕、目をだめにするどころか、むしろ、生長させ、養い、同時に、喜びをふやすのであり、ヒュアキントスの花に似ること(Od. 6. 231)けっしてなく、かつて大地と太陽が人間どもに表した何ものにも似ないのである。
197 Liban. Or. 12. 99 (ii 44 Foerster)
レスボスのサッポーが、彼女のために、夜が常の夜の二倍の長さになるように祈るのを何ものも妨げなかったのなら、わたしにも同様のことことをえさしめよ。
198 Schol. Ap. Rhod. 3. 26 (p. 216 Wendel)
サッポーは〔エロースを〕ゲーとウゥラノスから〔生まれたものとする〕
Schol. Theocr. 13. 1-2c (p. 258 Wendel)
アルカイオスは〔エロースを〕イリスとゼピュロスの子だと〔云った fr. 327〕が、サッポーは、アプロディーテーとウゥラノスの〔子だと云った〕。
Paus. 9. 27. 3 (iii 58 Spiro)
しかしレスボス女のサッポーは、エロースに捧げて、数多くの、しかし相互に一致しないことを歌った。
199 Schol. Ap. Rhod. 4. 57 (p. 264 Wendel)
言い伝えでは、セレーネーはエンデュミオーンに会うために、この洞窟〔カリアのラトモス山にある〕に降りくだってきたという。セレーネーの恋について記録しているのは、サッポーと、ニカンドロスが『エウローペイア』第2巻の中に。
200 Schol. Hes. Op. 73c (p. 39 Pertusi)
サッポーが謂うには、ペイトー〔「説得」〕はアプロディーテーの娘であった1と。
1 Cf. 90. 1(a).
201 Arist. Rhet. 1398b (p. 156 RĈmer)
サッポーは謂う、死ぬことは悪いことです。なぜなら、神々がそう決められたからです。そうでなかったら、神々は死に絶えていることでしょうから。
cf. Greg. Cor. in Hermog. Meth. 5 (vii 1153 Walz) = Ioh. Diac. Logoth. in Hermog. Meth. (Rabe, Rh. Mus. 63, 1908, 137)
202 Hdt. 2. 135
ロドーピス1はクサンテスなるサモス人に伴われてエジプトへ来ると、媚びを売って生業を立てていたが、ミュティレーネー人のカラクソスなる者に大金をもって身請けされた。カラクソスはスカマンドローニュモスの子で、かの詩人サッポーの兄である。……カラクソスはロドーピスを身請けしてから国許からミュティレーネーに帰ったが、サッポーはその詩〔Cf. test. 16〕の中で兄のことを大いに責めている2。
1 testt.1, 9, 14-16, frr. 5, 15 をも見よ。2 Cf. test. 16, Tz. Prol. de Com. Gr. 2. 8. 詩は失われた。Suda AI 334 は、カラクソスはロドーピスによって子を得ていたという。このことはサッポーの敵愾心を部分的に説明するかも知れない。
Strab. 17. 1. 33 (iii 379 Kramer)
また、これ〔メンフィス近くにあるピラミッドのひとつ〕はある遊女の墓で、愛慕者たちが築いたという。抒情詩人サッポーはこの遊女をドーリカと呼んで、自分の兄弟カラクソスから恋されていた女人だとし、兄弟の方はレスボス酒をナウクラティス市へ運んできて商売をしていたとしているが、女人の方はドローピス〔Cf. test. 15〕という名で呼ぶ人々もいる。
Athen. 13. 596bc (iii 314 Kaibel)
……有名な遊女はナウクラティスからも出ている。例えばドーリカ。美しいサッポーの兄弟のカラクソスが、商用でナウクラティスを訪れたとき、彼女を見初めて愛人にした。その時サッポーは、詩の中で、彼女が多大な金をカラクソスから搾り取っていると非難した〔Test. 15が続く〕。
Phot. s. vv. +RodwvpidoV ajnavqhma (p. 490 Reitzenstein) = Sud. P211 (iv 297 Adler)
〔ロドーピスは〕生まれはトラキアの女、アイソーポスとともに、ミュティレーネー人イアドモーンの奴隷であった。彼女を身請けしたのが、サッポーの兄カラクソスであった。サッポーは彼女のことをドーリカと呼んでいる。
App. Prov. 4. 51 (i 445 Leutsch-Schneidewin)
ロドーピスはアイギュプトスのナウクラティス地方の遊女であった。彼女のことは、サッポーもヘーロドトスも言及している。
P. Oxy. 1800, fr. 1. 7-13:
test. 1を見よ。
203 Athen. 10. 425a (ii 424 Kaibel)
美しきサッポーも、彼女の兄弟ラリコス〔Cf. testt. 1, 2, 14.〕が、ミュティレーネーの迎賓館(prutaneivon)で酒酌みをしたと称讃している。
cf. Eust. Il. 1205. 18s.
Schol. T Il. 20. 234 (vi 322 Maass)
サッポーが謂うには、生まれよく眉目うるわしい若者が酒酌みをするのが習わしであったと。
204 Schol. Pind. Pyth. 4. 410c (ii 153 Drachmann)
黄金は不壊である。サッポーも1〈ピンダロス〔Fr. 222 Snell〕も言う〉黄金はゼウスの子であると……。
1 黄金に関するサッポーの言葉は失われたが、パウサニアスは、おそらく、この1節を彼女に帰するらしい。
Paus. 8. 18. 5 (ii 301 Spiro)
金が錆に侵されないことは、レスボスの女流詩人も証人となるが、金そのものがそのことを証明している。
cf. Thgn. 450ss.
205 Aul. Gell. Noct. Att. 20. 7 (ii 301 Hosius)
ホメーロス〔Il. 24. 602〕は、彼女〔sc. ニオベー〕には6人の息子と、6人の娘がいたと言い、エウリピデース〔fr. 455N2〕は、それぞれ7人であったと言い、サッポーは9人〔Cf. 142.〕、バッキュリデース〔fr. 20D. 4ss. Snell〕とピンダロス〔fr. 65 Snell〕は10人、ある他の作家たちはたった3人ずつであったという。
cf. Aelian. V. H. 12. 36 (p. 141 Dilts)
206 Serv. in Verg. Aen. 6. 21 (ii 9 Thilo-Hagen)〔「毎年、ミノタウロスの7人の生贄」〕
7人の少年と7人の少女が意味されていると思う人たちがいる、例えば、プラトーンは『パイドン』58aの中で、サッポーはその抒情詩の中で、バッキュリデースはそのディテュラムボス詩〔17. 1 ff.〕のなかで、エウリピデースは『ヘーラクレース』1326の中で。テーセウスが彼ら彼女らを自力で解放した。
207 Serv. in Verg. Ecl. 6. 42 (iii 72 Thilo-Hagen)
プロメーテウスは……人間どもを創った後……火を盗んで、それを彼らに暴露したと言われる。これに神々は怒り、地上に2つの悪 女と病を送りこんだ。このような説明がサッポーとヘーシオドス(Theog. 570 ss., Op. 70 ss., 100ss.〕によってなされている。
208 Himer. Or. 46. 6 (p. 186s. Colonna)
今やあなたの立場は、ムゥサの指導者〔アポッローン。cf. Alc. 307(c)〕そのものにも譬えるべきです。サッポーもピンダロス〔cf. Pae. 3〕も歌の中で、彼を黄金の髪と竪琴で飾り立て、ヘリコーン山に送りとどける白鳥に乗り、ムゥサたちやカリスたちといっしょの合唱舞踏する者として描いている〔アポッローン〕に。
209 Eust. Epist. 42 (Opusc. p. 345 Tafel)
明らかに、友愛というものは遊び人であって、美しき公共性だと思われると、サッポーなら云う1だろう。???〔filiva tiV dhladh; polurevmbastoV kai; kalo;n dokou:sa ei[poi a]n hJ Sapfw; dhmovsion.〕
1 おそらくは、カラクソスとロドーピス(ドーリカ)への言及の際に。
210 Phot. 81. 12s. (p. 274 Naber)
qavyoV〔黄色植物染料材1〕。羊毛や髪の毛を黄色に染める〔染料の採れる〕木。サッポーはこれをスキュティア木(Skuqiko;n xuvlon)と言う。
1 学名Rhus Cotinus。タプソス島から輸入されたので、この名がある。正式にはkokkugeva。『植物誌』III-16.6。「わたしの顔はタプソスのようになり」(Theoc. 2.88)。
211 (a) Ps.-Palaeph. de incred. 48 (Myth. Gr. iii (2) 69 Festa)
パオーンにとって人生は、船と海にかかわりがあった。海とは海峡のことであった。彼はいかなる人からもいかなる非難も受けたことがなかった。じつに穏健な人で、持てる人たちからのみ受け取ったからである。その生活態度は、レスボスの人たちにとって驚きであった。女神はこの人間を称讃した。彼らの言う女神とは、アプロディーテーのことである。そこで女神は、すでに歳老いた人間の女の姿に身をやつし、パオーンと渡海について話し合った。その男はすぐに渡らせ、何ものも要求しなかった。さて、このことに女神はどう応えたか。言い伝えでは、〔女神は〕その人間を変身させたという、つまり、老人を若さと美しさで変身させたのである。これがパオーンである、彼について、彼女〔女神〕の恋を、サッポーはしばしば抒情詩にしている。
(b)(i) Aelian. V. H. 12. 18 (p. 135 Dilts)
人間どもの中で最美のパオーンを、アプロディーテーはトゲジシャ〔Dsc.II-166〕の中に隠した。
(ii) Athen. 2. 69cd (i 163 Kaibel)
カッリマコスは、「アプロディーテーが、アドーニスをチシャの茂みに隠した……」と言っている(fr. 478 Of.)。エウブゥロスも『不能者』の中で言う(fr. 14 Kock)。……この野菜に委ねられたが、アドーニスは死んだ。とはつまり、これは亡者どもが食べるものということなんだ。クラティノスが謂うのは(fr. 330 Kock)、アプロディーテーはパオーンに恋をして、彼を「美しいチシャの茂みに」隠した。しかし歴史家の小マルシュアスによると、それはオオムギの穂の間にだった。
(iii) Comes Natalis Myth. 5. 16 (p. 531 ed. Francof. 1581)
サッポーが記録を残しているところでは、死んだアドーニスはウェヌスによってレタスの中に横たえられたという。
(c) Plin. N. H. 22. 20 (iii 446 Mayhoff)
この植物〔sc. erynge。学名Eryngium planum(セリ科の植物)Dsc.III-24〕について報じられる特性は驚くべきものだ。すなわちその根が時として男性あるいは女性の生殖器の形になることがあり、そんなのは滅多に見つからないが、男根の形のものが男性の手に入ったとすると、その男性は女性にとって好ましいものに見えてくるというのだ。レスボスのパオンがサッフォーの愛をかちえたのはこの手によってであったと言われている。
212 Comes Natalis Myth. 7. 2 (p. 716 ed. Francof. 1581)
サッポーが記録しているところでは、葡萄酒を混ぜ合わせることを発明したのはアケロース〔Alc.450を見よ〕だと。
213 P. Oxy. 2292〔2世紀頃パピルス〕
] . . [ . ] . t . . . [,
. . . [ . . ] . se ema k= =Arceavna[s
sa Govrgw〈 . 〉suvndugo(V)`
〔suvndugoVは〕suvnzuxの代用。プレイストディケーが、ゴンギュラとともに、ゴルゴーの「頸木の友」と名づけられている。なぜなら、既出の名前〔Archeanassa?〕は彼女の普通の名前であり、〔彼女の家名?〕に由来するからである……プレイストディケーは……〔正しい名前で〕呼ばれたのであろう……
213A (Voigt) = S 273-278 (S. L. G.) P. Oxy. 2506
(a)
fr. 8 4 ]. Goggu[l-
(b)
fr. 42(a) 1 dedr]ovmake d= ojn ke[
2 ]nevbroi d= w]V k[
3 ]diai pemyome[
4 ]wi cruvswi t . [
5 ]frenw[
6 ]oV prosde[
7 ]ston Carax[
8 ]ston aujto . [
9 ]pai: Polua-[nakti-
10 ]nan e[sloV[
11 ]hn scevqe . [
(c)
fr. 43 col. ii
2 Ca]raxo[
3 ]kathg[or-
6s. aj]|dikei:n
9 ke mwm[
(d)
fr. 44 col. ii
1s. ]Sapf[ . . .Cavra]|xon di . [
3ss. ejpemp[ . . . pa]|radeix . [ . . . sum]|posivw[
6 htaip . [
7 aujth:i p[ . . .Polu]|anakt[i-
(e)
fr. 45
16 Car]avxou[
24 ]e Cara[x-
(f)
fr. 47 4 Sapf[
(g)
fr. 48 col.ii
5ss. [k]ai; [p]eri; th;n | Klevi&]n u{ste[ro]n kai; tou:to | . . . ]twV l[evg]ei`
〔またクレイスについても、後になって、これを次のように言っている。〕
ajll= ai[ me | . . [ . . ] . eisorhsqa | eigi[ . ] . . n . n[ ]swn pev|fuk[ . ] plou:[t]o[n] qevoi divdoi|sin . . .
13ss. ol-|bon
20s. S]ap|fw:i
41 ajpa]lavmnwi
45 a[ran
46s. melaina[ ]an muv|giV
47s. tou:to | tiv moi mevlh . . [ ]lak[
49 zwvoisan e[cei[
(h)
fr. 48 col. iii
36ss. : v. test. 14(i)
fr. 59 1 ] . . Sapf[
7 ].oudian[
(k)
fr. 60 2 =Andro]mevdan[
213B (Voigt) P. S. I. (omaggio all' xi congr. internaz. di papirologia, Firenze, 1965, 16s.)〔fr. 31に対する註(3世紀初め頃のパピルス〕
……わたしを耳鳴りや[眩み]、身体の震えが[とらえ]、その後で彼女は謂う、
clwrot[evra de;
p]oivaV e[mmi, teq[navkhn
d= oj]livgw [[d]] ejpide[uvhV
fa]ivnom= e[m= au[t[ai
わたしは牧草よりも
もっと青くなり、
ほどなくじきに
死んでしまいそう。
213C = Alc. 306D = Anacr. 347A = S 286 (S. L. G.) P. Mich. inv. 3498r (Z. P. E. 12, 1973, 86)〔サッポー、アルカイオス、アナクレオーンの詩の最初の詩行〕〔2世頃パピルス〕
col. ii
deu:t[ev] moi na:son
こちらへ、わたしのもとへ、島を後にして Alc. 34.1
duv= e[rwtevV me
二人の愛者がわたしを Anacr. ?
e{stamen eujch.
わたしたちは立ち……祈りが Anacr. ?
w\ dexamevnh[[i] ke[
おお、受けいれた女よ Anacr. ?
semna; polukl . [
厳かな女、数多の……
povtni= wjravnw
天の女神よ Alc. or Sa.
!ErwV ejpexenwv[qh
エロースはもてなされたり Anacr. ?
deu:t= o[lbiai
こちらえ、さいわいなる〔女神たち〕
tivV e[rwtoV
誰が恋の
h[dh [m=] o[nhar
すでにしてわたしを助けたまい
cai:re [K]ullavnaV
ご機嫌よう、キュレーネーの支配者よ Alc. 308. 1oJ mev[ga]V povnto[V
偉大なる海が
quvw[me]n =Afrod[ivthi
アプロディーテーに供儀したてまるらん Anacr. ?
ejpi; Danaon ti[
ダナオスに
col. iii
aJgnh; mh:t[er
聖母よ
Kuvpri ka[
キュプリスよ、ネーレーイスたちよ、 Sa. 5. 1
ajnevtwjfro[dit-
解放のアプロディーテーに
ejgrevsqw mo[
目覚めさせよ
aijovlon fwn[
a[pec= ou\ron[
gluku; me[
甘き
cai:re ca[i:re
さようなら、さようなら cf. Sa. 116, 117, Alc. 401
ei\don [ ] . [
われは見たり cf. Anacr. 348. 1
gouno[u:mai
nevon t[
新しく
w\ pai: k[
おお、少年よ Anacr. ?
i[qi m . [
おゆきなさい
wp . [
おお、?
214 (L.-P.) = 103C (Voigt) P. Oxy. 2357
fr. 1 4 アルケアナッサは
7 愛しく
fr. 4 2 聞くところによると
3 クランニス〔泉のニンフ〕たちは
4 処女たちに
214A = S 259-261 S. L. G. P. Oxy. 2637
fr. 35 1 老齢について
5 ゴンギュラについて
6 林檎で撃つ
7 サッポーも
11 カッリオペー〔Cf. 124.〕の
fr. 38 ミュティレーネーから
214B = S 261 A. S. L. G. P. Colon. 5860 (Z. P. E. 14, 1974, 114ss.)
fr. 1
2 彼は
6 制覇し
7 ……しかし彼女は平穏な時期は、
最も高貴な少女たちを
10 地元の少女たちばかりでなく、
イオーニア出の少女たちをも 教育した。そして
このことのおかげで、
市民たちの間で尊敬され、ミュティレーネー人
15 カッリアスは、[……]の中で謂った、アプロディーテー……
fr. 2 col. i
10
214C = S 476 S. L. G. P. Colon. inv. 8 (Z. P. E. 13, 1974, 214)
] . . eda[
] podana[
aj]gevrwcoV !At[qiV
]an cariessan[
n e[coisa qu:mo[n
]qalamw . [
k]ai; krotavlwn y[ovf-
]to duswnuvmo[isi
…………
…………
気高きアッティス……
……心をもって……
……房室に……
そしてカスタネットの音
……のろわしいものらに
〔ここに挙げる3編のエピグラム詩はいずれもヘレニズム期のものであろう〕。
157D. Anth. Pal. 6. 269
サッポー作とされる。
子どもたちよ、わたしは声なきものだけれども、尋ねる人がいれば、きっぱり言いましょう、
不断の声〔刻銘〕を足の前の碑に刻銘して。
「サウナイアスの息子ヘルモクリデースの娘アリスタが、
レートーの乙女アイトピア〔=アルテミス〕にわたしを捧げました。
〔アリスタは〕あなたの付き添い、女たちの女王、あなたは彼女〔の肖像〕を喜び、
心してわたしたち一族の栄誉を高めなさい」。
cf. Sud. E 3540 (ii 454 Adler) (v. 6)
158D. Anth. Pal. 7. 489 (Plan.)
サッポーの〔作〕。
これはティマスの塵灰。嫁ぐことなくして逝った彼女を、
セルセポネーの蒼黒い房室が迎えました。
彼女が亡くなったとき、女友だちは、新たに研ぎすました刃で
みなその頭から愛らしい巻き毛を剪りとり、供えたのでした。
159D. Anth. Pal. 7. 505 (Plan.)
サッポーの〔作〕。
漁師のペラゴーンの墓に 父メニスコスが供えました、
梁と櫓を。悪しき人生の記念にと。
Sir Lawrence Alma-Tadema (1836 -, 1912)の"Sappho And Alcaeus"(1881)。 |
〔以下の断片集はアイオリス語で書かれているが、作者がサッポーなのかアルカイオスなのか決める術がない。この帰属問題は、1、7、15、23、24、25C、42ではやや異なる。〕
1 Schol. Hom. Od. 12. 313 (ii 550 Dindorf)=Hdn. i 59. 26ss., ii 154. 22ss. Lentz
〔zah:n(「吹きすさぶ」)が〕'n'なしにzah:でなければならないのは、wJV ajkrah: Zevfupon(「きつく吹きまき鳴りわたる西風を」)(Od. 2.421)と同様である。ところが、'n'をともなうのはアイオリス語法であり、これはアイオリス語法で鋭アクセントをとらねばならない。例えば、
aijnopavqhn pavtrid= ejpovyomai)
わたしは祖国がとんでもない危難にあるのを見るだろう
と、アルカイオスにあるように。
2 Et Gen., (p. 37 Calame)=Et. Mag. 587. 12ss.
mevterra〔「適度な」〕。これはアイオリス話法の形である。例えば、
†aijtiavo† ta; mevterra.
適度なことを†求めるなら†?
oJ mevtrioVは、彼らのもとではmevterroVと述べられる。
3 Ap. Dysc. Pron. 123b (i 97 Schneider)
〔「われわれに(hJmi:n)」の〕アイオリス語法はa[mmiである。
ajllav tiV a[mmi daivmwn.
されど何らかの神霊が我々に……
4 Epim. Hom. (Anecd. Oxon. i 327 Cramer)
「oJrw:(「見る」)」は明らかに第二変化(-avw)であるが、第一変化(-evw)もし得ることは、アイオリス話法から明らかである。例えば、oijkw:から分詞〔oi[keiV(Alc. 328)〕ができるように、oJrw:からは、
ajll= w\ pavnt= ejpovreiV =Aevlie.
されど、おお、万物を見そなわす太陽よ……
5 Hdn. p. mon. levx. a' 26 (ii 932 Lentz)
一つの言い廻しのなかで、aが、二重のllに直接連結する場合、音節を短く発音することを好む。ただし、会話のなかでhがaに変音した場合は別である。……会話体の例外をなすのは以下である。
(a)†d= ajll= a[n moi† megaluvneo daktulivw pevri
(すてきな)指輪をしているからとて
そんなに自慢するのはおよし……
(沓掛良彦訳)
(b) a[llan †mh; kametevran† frevna
狂った心を……するなかれ
(c) a[bra†deu:te pavschV pavlai†ajllovman
かわゆい少女よ、もう一度わたしは……
6 anom. gramm. ap. Anecd. Oxon. iii 237 (Cramer) (=Hdn. ii 640. 4ss. Lentz)
!ArhVの属格!ApeoVをも、どうして二重母音で述べられるのか探求しよう。われわれは!AreuoVとか!Areui(Alc. 330)と〔二重母音で〕言う。呼格は、
!Areu †oJ fovboV diakteh;r)†
アレースよ、恐ろしい殺戮者よ……
7 Hsch. A 8244
a[ellai(「暴風」複数形)のこと。アルカイオス〔の作品〕に。
a[uellai
8=Alc. 349(d)
9
〔vacat(欠番)〕
10 Hdn. p. mon. levx. a' 23 (ii 929 Lentz)
われわれはptavzw(「怯える」)を例にアイオリス話法に言及した。
e[ptazon wjV o[rniqeV w\kun
ai[eton ejxapivnaV favnenta.
彼らは小鳥たちのように怯えた、突然
現れたすばやき鷲を見て。
11 Hdn. p. klivs. ojnom. (ap. Aldi Thes. Cornucop. 268v: v. Choerob. ii. lxvi 3ss. Hilgard)=cod. Voss. gr. 20 (Reitzenstein Gesch. Et. 367)
実際アイオリス語使用者たちだけが、目的格にnを付けてLhtwvnとすることは、次の用例も明らかにしているとおりである。
!Hrwn ejxedivdaxe†Guavrwn†ta;n ajnuovdromon.)
ギュアロスからの(?)逃げ足速き半神に教えた
〔!Hrwnは〕主格+Hrwvの目的格である。
12 Epim. Hom. (Anecd. Oxon. i 208 Cramer) s.v. iJdrwvV(「甘い」)
この語はアイオリス話法では女性形で言われる……(Sa. 31. 13)。次に、属格は
i[drwV†ajmfovtera†
iJdrou:Vの代わりなのは、aijdou:V〔「畏敬」〕の代わりにai[dwV a[xioV(Alc. 331)であるのと同様である。
13 Ap. Dysc. Pron. 104c (i 81 Schneider)
soiv〔あなたに〕。アッティカ語法。イオーニア語法でもアイオリス語法でも同じ。サッポー(fr. 40)。また独立語では、〔sの代わりに〕t。
kajpileivyw toi
そして御身に灌奠の酒をそそごう……
14 Epin. Hom. (Anecd. Oxon. i 63 Cramer) s.v. a[yea(「四肢」)〔Od. 4.794〕
'u'が複子音の前に来ることは決してない。ただし、u{yoVのみは例外である。この場合、アイオリス語ではi[yoV〔「高さ」〕とかi[yhloV〔「高い」〕
ka;t ijyhvlwn ojrevwn
高き山々より下りて
と言うのがよりふさわし。
ibid. (i 418s. Cramere) s.v. uJyou:〔Il. 1.486〕
アイオリス人たちはuJyou:を、'u'を'i'に変えてuJyoi:と言う(cf. Sa. 111.1)……。語の初めでもアイオリス人たちは'u'を'i'に変える。
†kait=†ijyhvlwn ojrevwn
15(a) Zen. v 30 (i 131 Leutsch-Schneidewin)
「クレーター人が海を」。この諺は、自分たちが抜きん出ている事柄から逃げだすふりをする人たちに当てはまる。クレーター人たちは最もすぐれた船乗りだったからである。アルカイオスがこの諺に言及している。
(b) Schol. in Ael. Arist. Or. 46. 138. 4 (iii 490 Dindorf)
まさに「クレーター人が大海を」……知っているくせに知らないふりをする人たちに使われる諺……竪琴弾きのアルクマーン(fr. 164 P.M.G.)がこの諺に言及している。
16 Heph. Ench. 11. 3, 5 (pp. 35-36 Consbruch)
しかしアイオリス人たちは、(sc. 音節数がより多いイオーニア詩を)二通りの仕方で完全音節数の三歩格に構成する。すなわち、一つは、2つのイオーニア語とトロカイオス詩格から作詩する。例えば、
Krh:ssaiv nuv pot= w\d= ejmmelevwV povdessin
w[rchnt= ajpavlois= ajmf= ejpoventa bw:mon,
そのかみ、クレーターのおとめら、
たおやかな足どりもて
楽の音にあわせ
うるわしき祭壇(やしろ)をへめぐりて舞い踊りぬ、
もうひとつは、1つのイオーニア語とトロカイオス詩格から〔作詩する〕。例えば(inc. auct. 22)……しかし、(彼らの四歩格においては)、第1聯を、3歩格においてのように、時々短い音節でも始めて作詩することは注意しなければならない。
povaV tevren a[nqoV mavlakon mavteisai.
やさしい、やわらかな草花を
かろがろと踏みながら。
(沓掛良彦訳)
17, 21 Heph. Ench. 14.5 (p. 45 Consbruch)
韻脚不完全な四歩格の叙事詩は、第一韻脚はイアンボス詩格……、第二韻脚はイオーニア詩格ないし第二パイオーン詩格、第三詩格はトロカイオス詩格……、次にトロカイオス詩格と長短共通の音節で終わる(i.e. )。例えば、
(21)
tevoutoV ejV QhvbaiV paviS ajrmavtess= ojchvmenoV
これぞ、戦車を禦してテーバイにやって来た少年
(17)
Ma:liV me;n e[nnh levpton e[cois= ejp= ajtravktw/ livnon
マーリスは、細い糸を錘に紡いでいた
18 anon. P. Oxy. 220 col. ix 7ss. (Heph. p. 405 Consbruch)
(プラクシッラ詩の)第1聯から、詩脚の位置すべてを取り除けば、(アナクレオーン詩と)同様の詩脚を達成できるだろう。とにかく、最初の音節を切りつめられた次の詩行を考察せよ。
(a) Sa. 154
(b) < > ojnivan te kujgieivan
苦痛と健康を…… (c) < > sa fuvgoimi, pai:deV, a[ba
わたしが〔死んで、老齢を〕逃れられたらいいのに、子どもたちよ、若さこそ……
19 Ap. Dysc. Adv. 573 (i 163 Schneider)
アイオリス人たちのもとでは〔o[yi(「遅く」)の〕鋭アクセントの位置も、〔前と〕類似している。わたしが言っているのは、
o[yi ga;r a[rxato
始めるのが遅かったゆえ
20 Zonar. in ajnevw/ge (i 224 Tittmann)
……oi[gwとajnoivgw〔「開く」〕、これをアイオリス人は〔oji<gwとかajnoi<gwというふうに〕分離して発音する。
pavntaV oji<gwn qalavmoiV
すべての部屋を開け放って
21
v. 17 supra
22 Heph. Ench. 11. 3 (p. 36 Consbruch)
もうひとつは(v. 16 sup.)1つのイオーニア詩脚と2つのトロカイオス詩脚から〔詩作する〕。例えば、
tribwvleter` oij ga;r =Arkavdessi lwvba
菱喰いよ。〔そう呼ばれるのは〕アルカディア人たちにとって侮辱ならざれば
23 Philodem. Piet. (p. 42 Gomperz)
サッポー〔の作品〕に、女神〔ヘカテー〕のことを、
crusofavh<n> qer[avpain]an =Afrodivt[aV
アプロディータの黄金に輝く召し使い
とある。
24 Mar. Plot. Sacerd. gramm. iii 3 (vi 517 Keil)
サッポーの祝婚歌のダクテュロス二歩格は一つの形式のみである。それは常に2ダクテュロスを形成する。
(a) !Esper= uJmhvnaon
宵の明星よ、めでたい婚礼よ。
(b) w\ to;n =Adwvnion
おお、アドーニスよ。
25 Schol. Theoc. 1. 55b (p. 50s. Wendel)
何となれば、アイオリス人たちは子音を付加するがならいなればなり。ejptevrugmai(sic)は<peptevrugmai>となるように。例えば、
wjV de; paivV peda; mavtera pepteruvgwmai
わたしは幼子が母のもとへゆくように
あなたの胸のなかへ飛んでゆく……
(沓掛良彦訳)
ヘーローディアノスが『語形変化について』(ii 187. 17ss. Lentz) の中で。
25A(Voigt) Et. Gen. (p. 210 Miller)=Et. Mag. *574. 65
まさしく(sc. アイオリス人たちが)klaivhn〔「泣く」〕の二重母音を廃してklai&hnとするように。
klai&hn davkrusin,
涙を流して泣く
……そうヘーローディアノスが『語形変化について』の中で。
25B(Voigt) Et. Mag. 497. 27
'a'の後に母音が続く場合、アイオリス語では'u'が付加される。ajavtanがajuavtan〔「害」〕となるように。
kai; ta;n ajkovreston ajuavtan.
そして飽くなきアテーを
25C(Voigt) Eust. Il. 326. 38ss.
アテーナイにおけるある飲酒歌がアドメートスの言い伝えにちなんで歌われていることは、パウサニアースもその辞書(A 25 Erbse)の中で謂っているとおり、ある人たちはそれがアルカイオスのものだと謂い、ある人たちはサッポーのもの、ある人たちはシキュオーンの女プラクシッラのものだと謂うと言っている。次はその歌の出だしである。
=Admhvtou lovgon, w\ =tai:re, maqw;n tou;V ajgaqou;V fivlei,
tw:n deilw:n d= ajpevcou
アドメートスの物語を、おお、朋たちよ、学び、善勇の士たちを愛し、
怯懦な連中は避けよ
(=Praxill. 749 P.M.G. Carm. Conviv. 897 P.M.G.)
26=Sa. 103B
27 P. Vindob. 29777a 〔(4th c. A.D.) from Hermupolis〕(ed. Oellacher, M.P.E.R., n.s., Pt. i p.88) fr. i (a)
k]addevketai mevlaina[
]wn ajcevwn ejpauvsqh[
]...i&dai.leeoi.[
かぐろき土アキレウスをば受けとりぬ、
して、渠(かれ)があまたの苦難(くるしみ)もやみぬ、
アトレウスの子らがため担いしものなりしが……
(沓掛良彦訳)
[27-41]
〔欠番〕
42(Voigt) (=fr. adesp. 919 P.M.G.) P. Oxy. 2378〔1st or 2nd c. A.D.〕
7 dolop]lovkw Kuv[p]rid[oV
pros]anevwV pukin[
kl]eevnnaV DivoV ajg[g]evlw..[.].[
10 ]oV MavkaroV e[pelqe na:so[n
] sevmnaV mevgan o[rkon e .[..]e[
.isq .nat..forwq.[.].[.].[
].[.]arop[.] lavmpron w[V
ujpivssw
15 -pev]dill=, ejpeiv