"t"1
イノシシとウマと猟師(Perry 269)
力が強くても、他の人たちに反抗もできなければ、うまいぐあいに轡をかまされてもいるような者に、次の話(logos)はぴったりだ。
ウマとブタとが牧草地を共有していた。しかしブタは、ウマの水飲み場と牧草をむちゃくちゃにした。
ウマは何度も……
"t"2
羊飼と羊(Perry 208)
他の人たちには善い行いをするのに、友たちには悪いことをする者たちに対しては、次の話がぴったりだ。
牧童が上着を置いて、樹に登って、羊たちのためにドングリの実を叩き落としてやっていた。ところが羊たちは、ドングリの実を争うあまりに、羊飼の着物をぼろぼろにしてしまった。降りてきた〔羊飼〕は、結果を見ていった、「極悪ヒツジどもめ、おまえらは他人には羊毛を……
"t"3
ヘーラクレースとプルウスト〔富の神〕(Perry 111)
悪人同然の富者には、次の話がぴったりだ。
ゼウスが、ヘーラクレースを神々の列に加えるために、他の神々も食事に呼んだ。それぞれの神がやってくるたびに、ヘーラクレースはうやうやしく歓迎したが、ヘーラクレースはこの神には言葉ひとつかけなかった。ゼウスがいぶかって、どうしてそんな態度をとるのかと、ヘーラクレースに尋ねると、こう答えた、「おお父よ、わたしはこの神がいつも極悪人たちといっしょに過ごし、そいつらと相談していたのを知っているのです」。するとプルウトスが言った、「極悪人め、プルウトスがその場にいた時には、行動は何も起こさず、今ごろ、言葉でいきり立っている……
"t"4
梟と小鳥たち(Perry 39)
……とりもちのできる宿り木が生えるのを〔フクロウは〕知って、小鳥たちに、宿り木が生えたら、鳥の種族に悪いことが起こると注意を促した。けれども小鳥たちが、その言葉を軽視していたところ、宿り木が生長し、ひとりの鳥刺がその宿り木からとりもちをとって、狩りをした、小鳥たちは〔これを〕見て考えを改め、フクロウは未来の予見にかけては恐るべき鳥だと言い合った。今も、フクロウを見ると、ほかの鳥たちからは離れていようと、飛びまわって、忠告を請おうとするのである。しかしフクロウは言う、「何とまぁ、ろくでなしの鳥たち、恥をお知り、今でも憶えているでしょう? ……まだ……さえ……なかったとき、けれども……とき、……あんたたちはわたしの忠告に従わなかった。それどころか、かつては、あんたたちもわたしのことを気に留めなかった、今ごろ……さえ……ないときに、……」。すると、この言葉に〔小鳥たちは〕心打たれ、こう言って自分たちの考えをはっきり述べた、「こういうふうに、後になっては何の益もない……
この寓話については、第9章 テクストの変容・挿絵の変容をも見よ。
2002.02.01. 訳了