第7章 近世動物学の画期
1350年ころ、ドミニコ会士Bonerが、『宝石(Edelstein)』と題するイソップ風寓話集をドイツで書いた。これはドイツ語で書かれたもっとも初期の作品である。そして、この作品は、1461年、バンベルクでAlbrecht Pfisterの手によって印刷出版された。これはまた、活字印刷の最初期の作品でもあった。 内容は、よく読めないものの、ロムルスとアヴィアヌスとを集成したものといえる。いってみれば、シュタインヘーヴェルの先駆けをなすわけであるが、シュタインヘーヴェルのウルム本が出るに及んで、この作品は250年間、ほぼ完全に忘れられていた(日本ではほとんど無視されている!)。 第33話 蝿と蟻の挿し絵 右の建物の壁にへばりついているのが蠅、左の壁にへばりついているダニのような生き物が蟻のつもりらしい。 第35話 蟻とGrilleの挿し絵 完全な翻字にいまだ成功していないが、"cicada"は、"Heuschrecke"と訳されているようだ〔図の右、崖の上で遠吠えしているような生き物が"Heuschrecke"、その下に、徳利をひっくりかえしたような白っぽいのが蟻のつもりらしい〕。しかし、本来の写本では、"h[o]ust[o]ffel"となっているはず。刊行するさいに書き改められたと考えられる。 |