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back.gif第17章 イソップ伝


インターネットで蝉を追う

第17章(補説)

イソップ伝
(対照表)





[解題]
・Chapter は便宜的に付した。
・Section は、ペリー校訂本の節分けにしたがった。ただし、プラヌウデス本の節分けは異なる。
・◯印は同じような内容の記述があることを、X印は欠落を表す。


Chapter Section Book G Book W PL_Ch. Book PL
[1] 001 生国・容貌 [1] ◯・序
[2] 002 同輩より無花果の盗み食いの罪をきせられる [2]
  003 機転により罪をまぬがれる  
[3] 004 イシスの聖舟運び"hierophoros"への親切 (イシスの神官"hiereus") [3] (アルテミスの神官"hiereus")
  005 聖舟運びの祈り  
  006 アイソーポス、居眠り  
  007 イシスの夢 イシスの恩恵  
  008 能弁の才を受ける  
[4] 009 ゼーナスとのいさかい [4]
  010 ゼーナスの讒言  
  011 ゼーナスに引き渡される  
[5] 012 奴隷商人"somat-emporos"通りがかる (奴隷商人"somat-emporos") [5] 交易商人"emporos"通りがかる
  013 ゼーナス、アイソーポスを売りこむ  
  014 交易商人、アイソーポスを品定め  
  015 アイソーポスの売りこみ  
[06] 016 交易商人の屋敷で  
  017 アシアへの旅支度 [6]
  018 仲間のあざけり  
  019 アイソーポスの先見  
[07] 020 エペソスからサモスに
  021 陳列台の3人  
  022 クサントスの奥方、奴隷をほしがる X「クサントスは先ず学校に出かけ、それから修練を積むため、友人たちといっしょに市場に出かけた」  
  023 クサントス、市場に出かける 配置の妙に感心  
  024 竪琴弾きの品定め  
  025 クサントスとの問答  
  026 アイソーポスとの対話  
  027 購入交渉  
[08] 028 歩きながら小便するクサントス [7]
[09] 029 奥方を丸めこもうとするクサントス [8]
  030 召使い女とアイソーポス  
  031 女主人とのいさかい  
  032 アイソーポス、奥方を説得  
  033 夢の解釈  
[10] 034 菜園で [9]
  035 菜園家の疑問  
  036 アイソーポスの嘲笑  
  037 アイソーポスの回答  
[11] 038 風呂で [10]
  039 クサントス、友人を食事に誘う  
  040 洗足  
  041 レンズ豆の煮物  
  042 クサントスの悪戯  
  043 アイソーポスの機転  
[12] 044 宴会のご馳走 [11]
  045 ご馳走を雌犬に  
  046 復命  
[13] 047 宴会の論争  
  048 羊と豚の難問  
[14] 049 奥方の怒り  
  050 アイソーポスの申し開き  
    (50a)夫婦仲を取り持つ   夫婦仲を取り持つ
[15] 051 豚の舌の料理 [12]
  052 食傷  
  053 アイソーポスの説教  
  054 再び豚の舌の料理  
  055 学者といさかい  
[16] 056 出しゃばらない男  
  057 書を読んでいる男を見つける  
  058 出しゃばりで失敗  
[17] 059 出しゃばらない男2  
  060 農夫とのやりとり  
  061 奥方とのたくらみ  
  062 食卓にて  
  063 女房の火あぶり  
  064 田舎者の提案  
[18] 065 将軍に連行される [13]
  066 本当の人間とは  
[19] 067 心を放り出した男 [14]
[20] 068 酒宴にて [15]
  069 弟子の一人と賭け事  
  070 クサントスの哀願  
  071 アイソーポスの入れ知恵  
  072 弟子の悪口  
  073 首尾  
[21] 074 解放の申し入れ   解放の申し入れ
[22] 075 奥方の誘惑  
  076 (間抜けのクサントス)大部分欠 間抜けのクサントス  
[23] 077 鳥占い  
[24] 077a (West.13)奥方の尻めくり*  
  077b (West.14)知者を招く [16] 知者を招く
[25] 078 墳墓にて [17]
  079 アイソーポスの読解  
  080 アイソーポス軟禁される  
[26] 081 サモスの民会 [18]
  082 サントスの憂鬱  
  083 助けを求めるクサントス  
  084 自殺を図るクサントス  
  085 アイソーポスの助け船  
  086 民会にアイソーポスを紹介  
[27] 087 サモス人の嘲笑  
  088 アイソーポスの前兆解き  
[28] 089 解放要求  
  090 自由をかちとる  
  091 アイソーポスの解釈  
[29] 092 クロイソス王の恫喝  
  093 アイソーポス問われる  
  094 2つの道の譬え  
[30] 095 リュディアの策  
  096 使節団再来  
  097 犬と狼の比喩  
[31] 098 クロイソス王のもとに  
  099 蝉の譬え  
  100 サモス解放  
[32] 101 諸国遍歴 [19]
  102 王たちの謎かけ  
[33] 103 養子の裏切り [20]
  104 アイソーポス、処断される  
  105 ネクテナボーの難題  
  106 リュケーロスの後悔  
  107 アイソーポス赦免  
  108 和解とネクテナボーへの返信  
[34] 109 アイソーポスの教え1 [21]
  110 アイソーポスの教え2  
[35] 111 準備 [22]
  112 ネクテナボーの驚愕  
  113 謎かけ1  
  114 謎かけ2  
  115 謎かけ3  
  116 空中楼閣の建設  
  117 謎かけ4  
  118 アイソーポスの答え  
[36] 119 知者たちの謎かけ1  
  120 謎かけ2  
  121 謎かけ3  
  122 アイソーポスの答え  
  123 アイソーポスの勝利  
[37] 124 アイソーポス、ヘッラスに旅立つ  
  125 デルポイ人の悪口(旅人と薪)  
  126 デルポイ人の(悪口デルポイ人の先祖)  
  127 デルポイ人の策略  
  128 死刑求刑  
[38] 129 悲嘆の譬え(寡婦と農夫)  
  130 友人の問い(なぜ暴慢なふるまいにおよんだのか?)  
  131 愚かな娘の譬え  
[39] 132 デルポイ人たち牢に  
  133 鼠と蛙の譬え  
  134 ムーサたちの神殿に庇護を求める アポロン神殿に庇護を求める   アポロン神殿に庇護を求める
  135 鷲と黄金虫の譬え(鷲に追われた野兎が黄金虫に庇護を求める)  
  136 黄金虫の復讐  
  137 鷲、ゼウスに嘆願  
  138 ゼウスの仲裁  
  139 ゼウスの決定  
[40] 140 年老いた農夫と驢馬の譬え  
  141 娘に恋をした男の譬え  
  142 アイソーポスの最期  


表中、[24]の077aと077bは、W本の異文であるが、077aシュタインヘーヴェル本には採り入れられている。本文は以下のとおりである。

77a (West.13)
 数日後、クサントスはアイソーポスを呼んで、彼に向かって謂った、「わしらのために美しい食事をつくってくれ。弟子たちを呼んださかいに」。そこでアイソーポスは彼らの食事万端整えて、自分の女主人が寝椅子で横になっていたので、彼女に向かってアイソーポス、「ちょっくら食卓を見てておくんなさい、おかみさん、雌イヌめがやってきてご馳走をぱくつかないように」。すると奥方が彼に向かって謂った、「そのことなら何にも気にせんでええよ。あたしはお尻にも眼がついてるから」。

 さて、アイソーポスが別な用事に忙殺されて、再び食卓のところに来てみると、自分の女主人が居眠りをして、食卓の方に自分の背を向けているのを見つけた。そこで彼は、雌イヌが跳び上がって食卓を役に立たなくするのではないかと怖れて、自分の女主人が、「あたしはお尻にも眼がついてる」と云っていたのを思い出し、彼女の内衣(キトーン)をまくりあげて、彼女の背を丸裸にして、そうやって彼女が寝ているままにしておいた。

 やがてクサントスが弟子たちといっしょにやってきて、食事を始めようとした。そして彼女が裸で、居眠りをしているのを見て、一同は羞恥のあまり顔をそむけた。そしてクサントスがアイソーポスに向かって謂った、「これは何としたことか、おお、ろくでなし」。すると彼が謂う、「ご主人さま、あっしは皆さんのご奉公に忙しかったので、あっしの女主人さまに、食卓を見ていてくれるようにとゆ〜たんでがす、雌イヌがのぼってぱくつかないように。したら、おかみさんがあっしにゆ〜たんでがす、『そんなことは何にも気にせんとお行き。あたしはお尻にも眼がついているから』と。ところが、ごらんのとおり、あっしの女主人はすっかり眠っておいでで。そこであっしは、おかみさんをひんむいて、おかみさんの尻の眼が食卓を見られるようにしたってわけで」。

 するとクサントス、「いつもわしに恥をかかせてきたが、この逃亡奴隷め、これほどの恥をかかせたことはないぞ、おまえはわしも、わしの女房も侮辱した。けど、まぁ、呼ばれた人たちの手前、怒るのはやめよう。いつかおりを見て、必ずお前をこっぴどく鞭打ちにして、おまえをくたばらせてやる」。
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