『12の宝石について』

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聖エピパニオスの『祭司の胸当てに
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刺繍された12の宝石について』

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　サルディオンは、バビュローン石と呼ばれ、火と燃える眼のようであり、血のようであるが、アッシュリオイに近いバビュローンに産する。透き通っていて、治療的力能を有し、医者たちは塗油して、これを腫瘍や、鉄によって生じた打ち身に使用する。
　トパジオンはアントラクス石以上に赤い、インドのトパゼーという都市に産する。医術用砥石で磨り潰されると、その汁の色は赤色ではなく、乳白色を呈する。磨り潰す人が好きなだけの数多くの混酒器をいっぱいにしても、重量もその周囲も少なくなることがない。（磨り潰されて）これからできる汁は眼病に役立ち、服用されると、恐水病に、また海の葡萄房〔？〕で狂ったものらにも〔役立つ〕。
　アントラクスは、外観は真っ赤で、アプリケー〔アフリカ〕と呼ばれるリビュアのカルケードーンに産する。噂では、これは昼間ではなく、夜間に見つけ出されるという。というのは、遠くから燈火のように、あるいは、アントラクスが発光し、一瞬休止する。これを探し求める者たちは、それだということを知っているので、それの輝きの方へ赴き、これを見つけ出す。携行されると、外衣のようなもので隠されていても、その輝きが挿入物の外に見える。
　サッペイロスは、紫色をしている、アイティオピアやインディアに産する。磨り潰され、腫れ物の患部に乳といっしょに塗りつけられると、出来物や吹き出物を治療する。また、山中でモーウセースに与えられた律法は、サッペイロス石の上に生じたと言われる。
　イアスピスはスマラグドス石のような緑色をしている、メルモドーン河の河口のあたりや、キュプロスのアマトゥウス近辺で見つけられる。諸々の発作に薬効がある。
　ヒュアキントスはやや火のような色をしている、スキュティアの中心部バルバリアで見つけ出される。スキュティアでは、昔の人たちは北風の方角全体をクリマ(klivma)と呼ぶのを常とした、そこにはゴート人たち(Govtqoi)やダネイス人たち(DavneiV)がいる。さて、そこの大スキュティアの荒野の中にものすごく深い渓谷があり、人間たちは足を踏み入れられず、どこもかしこも岩山にぐるりと取り巻かれ、山々の頂から、城壁からのように上から覗きこむと、渓谷の底を見きわめることができず、深さのあまり一種深淵のように暗くなっていた。この地方に近い王たちによってここに次々と突き落とされたのは、有罪判決を受けて、処刑された者たちである。また、小羊を供犠して、皮を剥いで、上方の岩から峡谷の深淵に投げ落とすと、石がその肉にくっつく。すると、上方の岩陵地帯に棲息しているワシたちが、肉の臭いを察知して舞い降りて、石のついた子羊を運び上げる。こうして、肉を喰うと、石は山の背に残る。そこで、住民たちは観察していて、ワシたちによって肉が持ちあげられたところに行き、こうして石を持ち帰るのである。
　〔これらの石は〕次のような作用力を有する。すなわち、アントラクスの火の上に投げこむと、みずからは損なわれることなく、アントラクスを鎮火させる。そればかりか、この石をとって、木綿でぐるぐる巻にして、アントラクスの上に当てられると、これをつかんでいる者は火がつけられるが、木綿そのものは損なわれないままである。子を産む女たちにとっては安産の薬効があると言われる。
　アカテースはやや暗い色をしている、この石もスキュティアのくだんの地域で見つけられる。磨り潰されて額につけられると、サソリやマムシの咬み傷の痛みを退散させる。
　アメテュソスは深い炎の色をしている、リビュエーの山地の、海岸近くで見つけられる。
　クリュソリトスは黄金色をしている、バビュローンのアケメニスの岸の近く、アプライティス岩の中に見つけられる。というのは、バビュローンと岩のあの縦坑のことを、アケメニスと呼ぶからである。磨り潰されると、差し込み（つまり疝痛）や胃痛に対する治癒力を持っている。
　ベーリュッリオンは灰色をしている、タウロスと呼ばれる山地の頂上付近に産する。
　オニュキオンは黄色をしている、これも同じ山で見つけられる。

2006.06.29.　訳了。