9つの天について
ギリシア占星術文書目録4350_008
第8天球の38の恒星について、風と雨はその働きをどこから得るか?
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[底本]
TLG 4350 008
Peri; tw:n lh' ajstevrwn ajplanw:n th:V ojgdovhV sfaivraV, oJpou: e[xoun ejnergeivaV eijV tou;V ajne;mouV kai; ta;V broxavV (e cod. Petropol. XXAa-8, fol. 159)
Astrol., Nat. Hist.
Date of manuscript = A.D. 17
Vernacular
M. A. F. Sangin, Codices Rossici [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 12. Brussels: Lamertin, 1936]: 109-112.
12.
(109)
第8天球の38の恒星について、風と雨はその働きをどこから得るか?
<マルスの月〔3月〕>
18日、春の昼夜平分日になる〔を常とし〕、鳶星(=Ikti:noV)も沈み1日かその前の2日間、大気か風か雨の大乱が生じる。
同じ暦月の23日にも同じことが生じる。
アプリリス月〔4月〕・タルゲーリオーン月
1日、プゥリア星(Pouvlia)が第8時 に昇りはじめる。
19日、太陽が王支配する時、プレイアデスが隠れる。
21日、太陽が地平線上に昇る時、プレイアデスが地平線上に昇る。まさしくこの日にも?大気の大乱が生じる。
27日、オーリーオーンが第8時に隠れる。
(110)
マイウス月〔5月〕・スキロポリオーン月〔ギリシア暦では1年の最後の年〕
1日、いわゆるヒュアデス〔雨星〕星団が誇らしげに?冬を携え?、太陽の上昇時にみずからも上昇する。
4日、リュラ座が日暮れに隠れ、大気は蔭からすっかり変わって、暑さをもたらし始め、しばしば風も生じる。
6日、いわゆる山羊星団が第1時から上昇し、大気に多くの変化が生ずる。
7日、プレイアデス星団が第1時に見え、2ないし3日前に風が生ずる。
24日、山羊座が VIIIDOM. に隠れ、2ないし3日前に大気に過剰な混乱が生じ、しばしば雨も生ずる。
ユニウス月〔6月〕
2日、いわゆるワシ星座がVIII DOM. に上昇する。
9日、イルカ座が第8時 に上昇する。
25日、オーリーオーン星が第1時から上昇し、この時に夏の食べ物、あるいは、夏期の始まり〔を常とし〕、3日前に大気は数々変化する。
ユリウス月〔7月〕
3日、オーリーオーン全体が昇る。
14日、キュオーン星座が第1時に上昇する。
19日、その日か、2日前の日に、大気の大乱が生じる。
24日、鷲座が日暮れに王支配する。
(111)
アウグゥストス月〔8月〕
15日、リュラ座が第1時に上昇し、この時、秋の食料ないし秋の始まり〔を常とし〕、暑気から涼が始まる。
28日、葡萄収穫者の星座が第1時に上昇し、いわゆる矢座(=O&stovV)がその日に王支配する。
セプテムブリオス月〔9月〕
7日、山羊座が日暮れに上昇する。
17日、熊の番人星あるいは(AujgerinovV)が上昇し、その翌日、大気の大乱が生ずる。
19日、麦の穂座が第1時に上昇し、3日前に、風あるいは雨が生じ、そのため
この月の15日から同じ月の24日まで
28日、秋の昼夜平分日。
オクトーブリオス月〔10月〕
6日、花冠星が第1時から上昇する。
17日、雨星星団が日暮れに上昇し、大気の過剰な乱れが生じる。
23日、太陽が上昇すると同時に、プレイアデス星団が王支配し、1日前、大気の大乱が生じる。
ノエムブリオス月〔11月〕
6日、プレイアデス星団が第1時を王支配し、大気は静まる。
11日、リュラ座が1?まで昇る。
21日、ヒュアデス星団が第1時を王支配し、その翌日、大気の大乱が生ずる。
(112) 27日、オーリーオーンと花冠星が沈む。
デケムブリオス月〔12月〕
1日、キュオーン星が第1時を王支配し、その日に悪影響を与え、大気の乱れが37日間続くが、美しい日になれば、37日間も?????。
10日、仔山羊座が第1時を王支配し、1日後、大気の大乱が生ずる。
21日、冬至〔を常とする〕、つまり、秋分を完成し、冬が始まる。
ヤヌゥアリウス月〔1月〕
4日、イルカ座が上昇する。
5日、鷲座が日暮れを王支配し、2日後、大気の大乱が生ずる。
25日、獅子宮[獣帯の宮]にある〔を常とする〕燭台座が王支配する。
ペブルゥアリウス月〔2月〕
6日、西からの風ゼピュロスが吹く。
22日、矢座が夕暮れに王支配し、大気に過剰な乱れが生ずる。
26日、燕たちがやって来て、この地方で見られる。
28日、熊の番人星が日暮れに上昇する。
[38恒星とは?]
プトレマイオスの『アルマゲニスト』が同定した恒星〔ヒッパルコスの観測に基づく〕は以下の48恒星である。
[北天星座](21星座)
小熊座/大熊座/竜座/ケーペウス座/牛飼い座/北のリース座/跪く者座/リュラ座/鳥座 (雌鶏座)/カッシエペイアー座 (椅子に座った婦人座)/ペルセウス座/馭者座/蛇を持つ者座/蛇を持つ者の蛇座/矢座/鷲座/海豚座/馬の首座/馬座/アンドロメダー座 (鎖で縛られた女座)/三角座
[黄道星座](12星座)
牡羊座/牡牛座/双子座/蟹座/獅子座/少女座/(蠍の) 爪座/蠍座/射手座/山羊の角を持つもの座/水 (瓶) を担ぐ者座/魚座
[南天星座](15星座)
ケートス座/オーリーオーン座/川座/兎座/犬座/前犬座/アルゴー座/ヒュドラー座/酒器(クラテール)座/烏座/ケンタウロス座/野獣座/祭壇座/南のリース座/南の魚座
他方、占星術で用いるのは、普通、獣帯12星座を3分割した以下の36恒星である。
[牡羊座]三角座/エリダノス座/ペルセウス座
[牡牛座]狼〔野獣〕座/オーリーオーン座/馭者座
[双子座}小熊座/大犬座/大熊座
[蟹座]子犬座/海蛇座/カメレオン座
[獅子座]コップ座/ケンタウロス座/烏座
[乙女座]牛飼座/ヘーラクレース〔膝折る人〕座/北の冠座
[天秤座]蛇座/竜座/定規座
[蠍座]蛇遣い座/祭壇座/南の冠座
[射手座]リュラ座/鷲座/白鳥座
[山羊座]鶴座/イルカ座/南の魚座
[水甕座]小馬座/ペーガソス座/鯨座
[魚座]ケーペウス座/アンドロメダー座/カッシオペイア座
ここで、プレイアデス星団〔後、牡牛座に組みこまれる〕、ヒュアデス散開星団が重視されるのは、農事の目安になる星座だからである。プレイアデス星団は「夏と冬の始まりと耕耘の時の到来とを明示する」(アラートス)。ヒュアデス散開星団は、10月末から11月初めの暦象として有名。ヘーシオドス『仕事と日々』615。
[鳶星とは?]
情報源は、2つ。(1)オウィディウス『祭暦』第3巻3月17日の項。
「鳶星はリュカーオーンの娘なる大熊座の方へ坂を下るように降りてゆきます。この星が今夜見えてくるのです」。
(2)プリニウス『博物誌』XVIII,237 ff.
「3月8日は魚座の北の部分が昇る際に、その翌日にはオーリーオーン座の昇る際に天候が変わる。アッティカでは鳶座が現れるのが見られる。カエサルは3月15日 彼の運命の日であった は蠍座が没することによって標示されることを認めたが、3月18日にはイタリアで鳶座が見えるようになり、3月21日には馬座が朝没すると述べた」。
2017.06.17. 訳了
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