上界の摂理について
ギリシア占星術文書目録4350_114
高みより落下する彗星について。星だと言う者たちもいる。
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[底本]
TLG 4350 114
Peri; tw:n mokhtw:n tw:n piptovntwn ejx u{youV kavtw` kai; levgousiv tineV ei\nai ajstevraV
(excerptum e cod. Harleiano 5624, fol. 276)
Astrol., Nat. Hist.
Date of manuscript = A.D. 15
S. Weinstock, Codices Britannici [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 9.2. Brussels: Lamertin, 1951]: 115-116..
9.
(115)
高みより落下する彗星について。
星だと言う者たちもいる。
彗星は、一部の者たちが言うのと違って諸星ではない、これについても解明して主張しよう、天体の下方にある天の火、いわゆるアイテールであって、大気はこの火よりもさらに下方にある、と。さらに、その火の中に大気が接近することはなく、大気は下方にとどまり、火は上方に分離している。しばしば大気が満ちていることは、†1つのコマ〔彗星の頭部の光が広がって星雲状に見える部分〕†のごとくであって、火に近づくと、一種の崩壊や火の亀裂が見出され、大気が火の中に進入し接近する。他方、接近されると〔火〕自身も燃えあがり、杖状のものになる。しかし、杖状になっても、いつまでも火のままで (116) いられないのは、大気の自然を有するため、再び火から離れ、下方に落ち、杖状になって、大気があるために粉々になり、分界し、細かく大気の中に飛び散らうからである。だが、再び解体して、飛び散らったために冷たくなり、大気中に流出するさまは、先と同様、彗星となる。いったい諸星だとしたら、地上に落ちて見つけられないことがどうしてありえよう。なぜなら、諸星が落ちることは決してないのである、この世の終末にあらざるかぎりは。しかし他の人たちは言う 邪悪な霊である、と。しかしこれも嘘である。なぜなら、現世において邪悪な霊は天界に存しないからである。
2018.09.07. 訳了
[彗星について]
彗星(komh:tai)については、アリストテレースの以下の議論がある。
月に達するまでの天界〔月下界の上方〕は、火とも空気とも異なる物体〔アイテール〕で占められているが、そのうちの或る部分はいっそう純粋であり、或る部分はいっそう不純であって、異なる性質を持っている。……ところで、第1の元素とその中にある諸物体〔諸星〕が円環的に移動するとき、それは下方の世界と物体のうちでつねに自分に接触している部分を運動によって分解させ、これを燃やして熱を生ぜしめるのである。……ところで、火の始原が上からの運動によって……濃い蒸発物の中に落ちてき(て)……それが……あるていど強く、……しかも同時に燃えやすい蒸発物が下から上がってきてこれに加わるとき、その星が彗星となるのである。
(『気象論』344a16f.)
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