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ギリシア占星術文書目録4350_127

嵐・荒天・風の動きを予報するかぎりの生き物たちによる予兆について





[底本]
TLG 4350 127
Peri; th:V ejk tw:n zw/vn shmasivaV, o{sa ceimwvnaV kai; eujdivaV kai; ajnevmwn kinhvseiV proshmeivnousin (e cod. Paris. gr. 2229, fol. 22)
Astrol., Magica

Date of manuscript = A.D. 13
F. Cumont, Codices Parisini [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 8.1. Brussels: Lamertin, 1929]: 137-140.



8.
(137)

嵐・荒天・風の動きを予報するかぎりの生き物たちによる予兆について。

 山羊たちが駆け足で餌場に入った場合、せっせと牧草を採った上で囲いの方を〔早く集めてもらおうと〕見つめているなら、嵐を予示する。
 山羊たちが集まって盛るのは、まだ終わらぬうちに、嵐が近いことを明らかにする。
 仔羊たちや仔山羊たちが互いに跳ねまわり跳びまわると、晴れやかな日を予示する。
 牛たちは、雨になろうとする場合、右脇腹の上に寝そべる。しかし左脇腹の上なら、逆である。
 牛が鳴き、大地を嗅げば、雨になるのが必然。
 もちろん、牛たちや羊たちが必要以上に食すると、嵐を明らかにする。
 鼬たちや鼠たちがキーキー鳴くと、確かな嵐を予示する。
 鶴たちが海洋から陸に飛ぶと、確かな嵐を予示する。しかし静かに向かって行くなら、大気の好天を〔予示する〕。しかし鳴き声を挙げ、下降し、乱れていると、確かな嵐を予示する。
(138) 蒼鷺がどうやら同じことをするらしく — というのも、鳴き声を挙げながら、群雲から海へと飛ぶと — 天からの雨を予示する。
 嵐の中で梟が歌うと、好天を予示する、好天時に鳴くと、嵐を明らかにするからである。
 大烏が翼をばたつかせ、早口で鳴くと、嵐を明らかにする。
 黒丸烏が鷹のようにふるまって、上へ下へと飛ぶと、寒冷と雨を明らかにする。
 嘴細烏が夕食時に鳴き、その後で静かにしていると、好天を予示する。
 嘴細烏が特徴のない耳障りな声を放つと、嵐を予示する。
 ライオンが果実の豊かな地方に出没するなら、日照りを明らかにする。
 狼たちが荒野を避けて人里を追い求めるのは、嵐に戦慄しているのである。
 兎たちが同じ場所に多数集まると、好天を予示する。
 家鴨たちや鴎たちが飛ぶと、確かな風を明らかにする。
 白い鳥たちが多数現れると、嵐を明らかにする。
 鳥たちが大洋から陸地へと懸命に飛ぶと、嵐を証言する。
 鳥たちや飼っている雄鶏たちが鳴き声を張り上げ、羽をばたつかせ、囀ると、嵐を予示する。
 鳥たちが水浴びすると、風と颶風の襲撃で脅迫する。
 嵐の時に鳥たちが飛びかかったり互いに見つめ合うのは、好天を予示する。
 鳥たちが湖のまわりや河の土手に集まると、嵐を予示する。
 海鳥や湖の鳥たちが陸地に行くと、大嵐を予示する。
 陸の鳥たちが高台へと急ぎ、しかも沈黙していると、好天を予示する。

太陽による諸々の予兆について。

 多彩な太陽が東から〔昇ると〕嵐模様。清浄な〔太陽〕が西に沈むと、次の日も好天。光線状で、真ん中に雲をともなうと、嵐模様。おのれ自身に光線を引き寄せると、嵐模様。黒雲で紅く見えるか,そうなると、粒雨模様。紅い雲か、雲によって圧縮されて (139) 黒くなるか昇るか沈むと、粒雨模様。先の昇る雲をもち、もし……て昇ると、粒雨を象徴する。少し経ってから上り、東方で広くひろがると、好天。日没に近づくと、好天。日没後雲をともなえば、嵐の夜を明らかにする。真ん中に雲をともなって沈むと、嵐模様にして雨模様。いわゆる幻日(これは雲が過度に密集して、太陽によって反射された雲である)が観察され、北方の部分に紅い幻日が観察されるなら、北風を予兆する。だが両方の部分から太陽を真ん中に囲む場合には、降雨と風を予兆する。太陽の周りに円光が構成されると、それ〔太陽〕から充分に離れ、しかも黒くなるのが観察される???場合には、嵐を予兆する。だがもしもっと多くの円光がその周りにあるなら、もっと大きな嵐があるだろう。高く小さく濃密な雲は、南風を象徴する。高層の巻いた見慣れぬ〔雲〕が示されると、嵐の風を象徴する。

月による諸々の予兆について。

 第3日の〔月〕が細くて清浄なら、好天。第3日の〔月〕が両角ともに等しく見えれば、夜通しの好天の風を明らかにする。第3日の〔月〕が細くて赤いと、やがて来る風を明らかにする。第3日の〔月〕が北に清浄なぶぶんをゆうすると、南風を明らかにする。第3日の〔月〕が太い角を有して太いと、南風か嵐を象徴する。紅い〔月〕はやがて来る風の徴。満月において色よい〔月〕は、好天を象徴する。満月において黒ずんでいると雨模様。その〔月〕において端的に黒いのは、はっきりと嵐模様。円光が†(orugnumevnh)黒いと、嵐模様。

虹について。

 虹の赤い部分は風の徴。この緑の部分は大気の徴。その黒い部分は粒雨の徴。
 しかし嵐と風の徴は、全日を象徴しているのではなく、暦月の第3日ないし第4日頃、月が昇った??時に起こるかぎりのことを、半月になるまでの徴を有する。だが、半月が出ている間に生ずるかぎりの (140) 徴は、満月になるまでの間期待すべきである。だが、満月頃に予兆されるかぎりのことは、満月から第8日まで凝視せよ。だが、暦月が終わるとき以後に起こるかぎりのことは、第3日と第4日までに成就する。なぜなら、たいていの徴候???は言われているごとく、当日か次の〔日〕か???

2018.04.02. 訳了


[生き物たちの予報]
 鳥類の予兆は、アイリアーノスの『動物奇譚集』第7巻7章にアリストテレースを典拠に挙げているが、おそらくはテオプラストスの断片『気象の予兆について』が典拠であろうといわれる(中務哲郎訳註)。
 同8章には、動物の予兆が出てくる。
 <"astrol394.html">5002_009 (394)をも参照せよ。

 太陽の予兆については、165を見よ。

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