12宮のデカンについて

［底本］
TLG 4350 171
=Epilogh; kaqolikh; tw:n katarcw:n ajpo; th:V SelhvnhV ou[shV ejn toi:V ib v zw/divoiV (sub nomine Hermae Trismegisti) (e cod. Vindob. phil. gr. 115, fol. 117v)
Astrol.

Date of manuscript = A.D. 13
W. Kroll, Codices Vindobonenses [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 6. Brussels: Lamertin, 1903]: 79.

第71．ヘルメース・トリスメギストスの一般的摘要
12宮内にある月によるカタルケーの

　王やスルタンとの謁見に関して、月が白羊宮にあるときは善。金牛宮に〔あるとき〕は美。双児宮に〔あるとき〕は中間。巨蟹宮に〔あるとき〕は同様。獅子宮に〔あるとき〕は美。処女宮に〔あるとき〕は中間。天秤宮に〔あるとき〕は悪。天蠍宮に〔あるとき〕は悪。人馬宮に〔あるとき〕は美。天羯宮に〔あるとき〕は悪。宝瓶宮に〔あるとき〕は中間。双魚宮に〔あるとき〕も美である。

2017.11.16.　訳了

［カタルケー］
　位置を変える天体が及ぼす影響が何であるかを見るために、誕生図を未来に向かって進めること、あるいは、今の出来事や行動について調べるために、その時の図を描き、これを誕生図までいわば逆行させて、同じ手続きを行うことを、古代人は「カタルケー」katarchv（発端の意味。複数形は katarmoiv）と呼び、中世以降は「選択」electio と呼ばれた。……後期ギリシア占星術では、それは実践的な占星術師にとって明らかに最も重要な仕事のひとつであった。しかし、……その妥当性については見解が一致していなかったらしい。……出生占星術が、特にストア哲学の影響下で合理的な天文学的基盤から発展したと思われるの対して、「カタルケー」を扱う占星術の一部は、起源が魔術や迷信にあり、いつもいわば「家族のような顔」をしていた。……「カタルケー」は、例えば旅を始めるといったいわゆる厳密な意味の始まりから、無くした所有物や生贄の結果に関する質問まで範囲が広い。実際これは、他の多くの言葉と同じく、占星術独自の用語になったものである。
　……5世紀末のラオディケイアのユリアヌスは、……「すべての事柄の始まり（カタルケー）は月から、そしてその終わりは月の首座星からわかる」（4350_237「紛失・逃走・借金について」）と断言している。 　　　　　（テスター『西洋占星術の歴史』）