ダニエルの黙示(抜粋)
[底本] 8. ヘラクリウス帝の孫・コーンスタンティヌゥポリスの王コンスタンス〔2世。在位641-68〕の御代に、アラビア人たちの始祖ムア−ウイア〔ウマイヤ朝の初代〕は、最多の兵力を率いて出かけてゆき、略奪しつつ、(172) ローマ人たちの領土のロドス島まで下って行き、その全海浜地方を掠奪した。そこで王はこれを聞いて、国民を集合させ、ポイニキアに出向き、このモアビアスと対抗布陣し、開戦した。ローマ人たちが負けたが、同じコーンスタスはやっとのことで生きのび、恥をかいてその都市に撤退した。モアビアスの方は勝利に驕って、近隣地域を叩き潰しつつ、当のコーンスタンティヌゥポリスまでにも押し寄せたが、この書を読み、書かれている内容に驚いて、 6753年に、 神のお助けにより、25章から成るこの書の目録は以下のように構成されている。太陽の蝕について、月の蝕について、太陽の周回について、月の周回について、月の誕生について、彗星の尾の出現について、星々の墜落について、虹の出現について、天の戦刀について、天の赤色について、天における異様な徴について、天における人間の類似にについて、谺とともに雷鳴について、大きな稲妻について、稲光とカウトラについて、完全な雨について、完全な雹について、赤色の雨天???について、蛙たちないし蛆たちの???について、大気の驚異について、昼から夜への変化について、風の乱れについて、天から聞こえる轟について、大地から聞こえる轟音について、我々の母なる大地の地震について。 初め。第1章。オクトーブリオス月[オクトーブリオス月の初め]は31日を有す。この月をヘッラス人たちが1年の初めとして有するのは (173)、太陽の周回がこれから始まるからである。しかし晩秋の初めでもあり、 第1章。太陽の蝕について。もし問題のオクトーブリオス月に太陽が蝕になれば、証明するのは、自分たちの王政に対して将兵を率いて出征した指揮官たちが 愛2章。月の蝕について。もし問題の暦月に月が蝕になれば、証明するのは、日没の (174) 部分に恐怖と困窮と、過剰な死が生じということ。しかしバビュローンの部分には雨が雪まじり、種が寒さに害され、バビュローンの王が不機嫌になって、敵勢の反乱のために乱され、人間どもや爬虫類や魚類の死と眼の痛みと、破壊と人間どもにおける 第3章。太陽の周回について。<もしこの暦月に太陽がまるく周回をなすなら>、証明するのはあらゆる都市と地方の、人間どもの真ん中毎に不安定と騒ぎが生じ、交易商人たちや旅行者たちが、同じ時期に最多の損害を受ける<だろう>、ということである。 第4章。月の周回について。もし問題の暦月に月が丸く周回するなら、宇宙的思いつきと人間どもの和会を証明する。また恐怖と、盗人たちや略樽による損害も生じるが、神は不明な事柄を知っておられる。 第5章。月の誕生について。もし問題の暦月に月がその誕生に際して垂直に現れたら[月が]、同じ年に、地震、病気、人間どもの逃亡が多くあるだろうということを証明する。だがもし月が斜めなら、証明するのは、その終わりまで風の乱れが起こり、来たる年の春の時期に風の襲来で多数の樹木も根こそぎになるほどである、ただし、これらの無力が強化され、根づきよく、その好機によく実るが、水源はこの期間に迸り出ることは別だ。 第6章。彗星の尾の出現について。もし問題の暦月に星が尾をつくれば、とくに西方における人間どもの完全な死と家畜どもの破滅を証明する。また人間どもの真ん中に 第7章。星々の稲妻のごとき墜落について。もし問題の暦月に 第8章。虹つまり弓の出現について。もし問題の暦月に大気から成る弓が東に現れれば、証明するのは諸々の不安定さと、 第9章。天の短刀に似たものについて。そこでもし<問題の>暦月に、東の方に短刀に似たものが現れたら、証明するのは、パルセーとインド内部の地方に窮迫と攻撃が生じ、負傷させられ、戦慄するだろうということである。だがもし西方に観るなら、人間どもの苦悩と流血をとくに西に証明し、西の諸々の王国は彼らの寄寓に対して残酷にして卑劣となり、同じ時期に要求的にして権力的となるだろう。 第10章。天の紅色[の出現]について。そこでもし問題の暦月に、東の方に紅色が現れれば、(176) 第11章。天における異様な徴について。もし問題の暦月に徴や異象が天に現れたら、寄留民の権力や要求を証明し、彼らによって新しい習慣が制定される。しかし同じ時期にあらゆる種類の果実の豊作と、不明な事柄は神が知りたもう。 第12章。天における人間に似たものについて。もし問題の暦月に、人間の本質?に似たものを天に観たら、大いなる王制の死と人間どもの騒動と??? 第13章。雷鳴について。もし問題の暦月において、第1日に雷鳴がとどろけば、生まれるものら多し、第2日と第3日になら同様、第4日と第5日にならアイティオピアの飢饉、第6・7・8・9・10日になら生まれるものらの繁殖、28・29 ・30・31日になら、王国は陰気。 第14章。稲妻について。もし問題の暦月に (177) 稲妻が走れば、 第15章。稲光と火のついた通路について。もし問題の暦月に燃える稲光が襲来すれば、突然死と慟哭と公民の混乱を証明するが、私人たちには掠奪による損害が先行するだろう。 第16章。多雨について。もし問題の暦月に過剰に雨が降れば、水の氾濫と人間どもの体制と好天を証明する。しかし交易商人たちは不和と<なるだろう>が、妊娠中の女たちは安産であろう。しかし魚たちには腐敗が同じ時期に。 第17章。完全な雹について。もし問題の暦月に雹が多量に襲来すれば、その地点における有り余る死と、バビュローンにおいて王に対する捕縛のみならず、が起こることを証明する。 第18章。紅い塵の降雨について。もし問題の暦月に紅い塵が降れば、支配者たちの量られた??消滅を証明する。しかし果実と<実の成る>あらゆる樹木は豊作で、私人たちは王たちの面前から????、とくに同じ場所とクリマに、生じる。 第19章。蛙たちないし蛆たちが降ってくることについて。もし問題の暦月に蛙たちないし蛆たちの降雨も<起これば>、(178) 多量の小麦や豆類の豊作と降雨を証明する。だが四足動物の死と、寄留民、とくに交易商人たちにおいて、王たちから受ける余りの虐待 その何人かは不正から大地を耕せず、公的な罰や、強い人たちの死が。 第20章。我々を取り巻く大気の驚異について。もし問題の暦月に大気が驚異を起こせば、諸々の混乱と人間同士の戦闘を証明する。また水の欠乏と偉大な人間どもの消失と、苦悩と、野良の民の騒動も、内在する同じ期間に〔起こる〕。 第21章。昼から夜への推移について。もし問題の暦月に昼が夜へと変異するなら、窮迫と怠慢と国民の悲嘆を証明する。副食物と食料は美しいが、豆の深刻さと船の難破が同じ時期に。 第22章。風の乱れについて。もしこの暦月に風の乱れが起これば、大プリュギアの消滅を証明する。またそこに流血と多数の悲嘆、だが豆と同類のものはたっぷり、この期間の終わりに人間どもの死、また四足動物の死と破滅もこの時期に生じる。 第23章。天から聞こえる音と声について。もし<生じたらその証明は、敵の王たちの敵対的示威行動と恐怖、土地の私人たちや寄留者たちの恐怖と、交易商人たちや旅行者たちの損害も同じ時期に。 第24章。大地の底から聞こえる声について。この証明は、国民の恐怖と騒動、交易商人たちの損害、???。 第25章。地震について。>もし問題の暦月に地震が (179) 昼間に起これば、たっぷりの副食物を証明する。また菜と秣と野菜も同様である。しかし偉大な人間が絶滅する。だがもし夜間に起これば、病弱としくじりと恐怖と騒ぎ、開戦と羊の騒音を明らかにし、アイギュプトスやバビュローンの王たちが開戦し、両者から多くの人びとが同じ時期に殺害されるであろう。 2019.06.28. 訳了 |