title.gifBarbaroi!
back.gifソロモーンの遺訓 05

魔術書

ソロモーンの遺訓 06





[底本]
TLG 2679 006
Testamentum Salomonis (recensio C) (mss. VWSTU) Hagiogr.
C.C. McCown, The testament of Solomon, Leipzig: Hinrichs, 1922: 76-87.




(76)

ソロモーンの遺訓

Recensio C


 1. 王ダウエイド亡き後、その息子がシオーン建設を祈るということが起こった、で、彼が祈ると、声がやって来た、曰く。「ダウエイドの息子ソロモーンよ、汝の父たちの主なる神ご自身が、汝の祈りに耳をかしたまい、あらゆる力を汝に授けたもうた、そして見よ、雪のごとく白くされたあらゆる知恵を、汝と汝の眼前に見ることになろう」。2. これを聞いて、何か光線に照らされたごとく、精神に息を吹き込まれ、神に依頼し要求して次のように曰く。「永遠なる神よ」と彼は謂った、「理解されがたく、創造されざる、目に見えない神、御身の息吹ひとつで万物を創造なさった方よ、御身の僕の要求を心にかけ、御身の手の働きを解き明かしたまえ。3. というのも、神なる御身が造りたもうたかぎりのものら、われわれのあらゆる身体の構成と有益さのために造りたもうたかぎりのものら、つまり、果実をもたらす樹と果実をもたらさぬ樹、獣類と鳥類、また、全自然が息吹を吹きこむ神的な大気そのものをこそ〔解き明かしたまえ〕。4. されば、わが眼が開かれ、御身によって啓示される知恵を見るというあまりの大事に、御身の前で目を伏せます、永遠に祝福さるべき方ゆえに。アメーン」。5. さて、こういうことを祈ったとき、声が (77)〔次のように〕言うのを聞いた。「ソロモーンよ、ソロモーンよ、汝の主なる神が述べたもう。”わが家を、わが天なるシオーンの名において建て始めよ”」。そこで、〔ソロモーンは〕シオーンを建て始めた。

 8. すると〔ダイモーンは〕以下のことを云って、泣きながら謂った。「おまえにお願いだ、ソロモーン王よ、おれを印章で焼きつくしてくれるな、そうしたら、誓っておまえに約束しよう、在りて在る方の名において、ダイモーン的なものらのすべてをおまえに差し出し、諸々の徴と諸々の力と諸々の権力のひとつひとつによって、それを手下としておまえに引き渡そう」。そこで余ソロモーンは云った。「もしそれをするなら、自由となろう」。9. すると余に言う。「未生の黒い仔山羊を、数にして51頭を取れ、そして黒い角でできた三つ枝の新しい戦刀と、その仔山羊の梳かれたのをおれに捧げよ」。10. 次いで、皮が必要とするだけの人間の血が(78)???。


10  トジアンピエル。140柱を統治。過去・現在・未来の事を報告することに活動する。2. パラン。1000柱を統治。せんとすることすべてを満たすことにおいて活動する。空中に火をあげ水中に下げ、星々を指示することに活動する。3. マクゥメト。200柱を統治。人間どもが互いに嘲笑することに活動する。また、四足動物が人間のように喋らせ、無頭の人間として出現させる。また、これらが裸で歩きまわり、しかのみならず、言葉なき家畜が他を野獣のごとく見えさせる。4. ナプゥル。50柱を統治。汝の遭遇する人生や誕生に有利に処する黄金や銀を、ある時まで、瞬く間にもたらすことができる、敗れることのない衣服も同様である。5. ロアプト。400柱を統治。思慮深い者が生まれ、理性を植えつけることに活動する。6. パレル。25柱を統治。樹木が時節はずれに花咲き、また枯木に植物さえ植えることに活動する。(79)7. アスモデオー。60柱を統治。夏に降雪や降雨をもたらすばかりか、サクランボを冬にもたらすことに活動する。

 8. ムペーレト。200柱を統治。パライスティネーのところで何かを為したければ、可能である。9. ラサラク。300柱を統治。戦争、命令、勝利、勇敢さを実行することができる。10. ラアメト。200柱を統治。この〔精霊〕は未来の事を予言し裕福にさせる。11. トゼレポネス。150柱を統治。????作ることができ、また鳥たちの声をも聞くことができる。12. ンタローガン。3000柱を統治。あらゆる汚れを綺麗にし、物乞いたちをも富裕者のようにさせるすることに活動し、もしこの者の手にかかれば、王となる。13. ペローン。1000柱を統治。諸々の要塞、諸都市、諸々の地方を明け渡すことに活動する。14. スゥピエル。1000柱を統治。主人に対して叛逆させ、牢屋の中で捕らわれ人たちや捕囚たちも同様、支配し自由にする際に、別の支配者に引き渡すことに活動する。15. オリエンス。東方の精霊500年柱を統治。あらゆる〔精霊たち〕ができるかぎりのことが、自身も同様にできる。16. アメモーン。500柱の精霊を統治する。自身も同様にできる。

 17. エルトゼーン。北方の精霊500柱を統治する。自身も同様にできる。18. パノーン。これも海の精霊600柱を統治する。自身も風や船において (80) 活動する。19. ブゥル。自身も西方の精霊500柱を統治する。自身も同様にできる。20. アムパトズゥト。自身も1000柱を統治する。あらゆる術知、学問、知慮、文字に活動する。21. アスタロート。2000柱を統治する。立ち去る者ら、出て行く者ら、立っている者らにおいて活動する。また宝物も現れるようにする。22. ルゥペート。5000柱を統治する。聞くことと掴むことと実行すること、獲得することと喜ぶことと眺めることと、場所から場所へ移すことに活動する。23. アポレーン。100柱を統治する。富むことと黄金や銀をたくさんもたらすこととに活動する。24. アステロート。1柱を統治する。諸王国、諸都市、諸々の要塞、諸々の城門、諸々の被造物において活動する。25. ラトゼーペル。3000柱を統治する。明らかにあらゆる支配者たちにおいて、また王たちにおいて活動し、また好きなことができる。26. マゴート。自身も4000柱を統治する。言うこと為すことにおいて活動する。27. カラプ。7000柱を統治する。諸都市と諸々の要塞と家々において活動する。28. ウゥレオス。1つの牢屋あるいは???柱を統治する。高官・貴人たちや眩い衣裳、玩具、奇術具を作り、驢馬たちやその他の、汝の好きなものを動物を人間にする。29. クリネル。???を統治する。男たちや女たちを亡き者にすることに活動し、戦いや騒乱や群衆を作る。30. トゥゲル。600柱を統治する。(81) 都市を愛する都市、人間を愛する人間、女を愛する男をつくる。31. セタリエール。20柱を統治する。宝物を明らかにするが、見えない色のついたもの、誰からも見られないものをも作る。女たちに有用な評判をももたらす。32. パカネル。???柱を統治する。望む者のあらゆる意思において活動する。

 33. オエル。3000柱を統治する。皆ができることは自身もできるが、自身だけが〔できることがある〕。34. レネル。30柱を統治する。黄金や銀をもたらすことにおいて活動する。また、誰からも見られない女たちを連れてくる。35. サラティエル。100柱を統治する。月に憑かれた者らにおいて活動する。月を引き下ろすとも思われている。36. ムゥラトジエル。???柱を統治する。活動するのは、出征や攻囲や諸都市の俘囚において。37. サンソニエール。4500柱を統治する。活動するのは、最大の荒波や激しい風をつくることにおいて。38. アシエル。???柱を統治する。隠されたものらや、盗んだ者らや、何らかの宝物????39. カスティエル。200柱を統治する。活動するのは、あらゆる病弱を健康にすることにおいて。40. メインゲト。60柱を統治する。ヘビ類や (82) ドラコーン類をつくることができる。41. エノダース。50柱を統治する。空中に火を上げ、戦車をまる見えで焼き尽くすことができる。42. アタニアヌゥス。1000柱を統治する。あらゆる術知と知識と知慮を人間どもに与えることができる。

 43. ムランクゥス。30柱を統治する。見えない太陽を捉まえることができる。44. ポトゼティエス。200柱を統治する。人間どもや生き物らを空中で亡き者にすることができる。45. アネト。100柱を統治する。あらゆる岩や真珠を識別し、他にも鉱石をつくる。46. パルタポーテ。???柱を統治する。あらゆる植物について、各々がいかなる活動をし、いかなる有益さを有するかを識別させる。47. サパラトゼール。50柱を統治する。あらゆる鳥類において、各々がいかなる稼動をするかを識別させる。48. タルセウス。60柱を統治する。知らしめるのは樹木と、各々がいかなる活動をするか。49. ナベル。40柱を統治する。知らしめるのは、あらゆる四足動物と、各々がいかに有益か。50. サタエール。5柱を統治する。ワニたちにおいて活動し、〔これらを〕もたらす。51. ナパライコン。5柱を統治する。昼を夜に、夜を昼にさせることができる。52. マカタク。5柱を統治する。活動するのは、羊の群と馬たちを満たすことにおいて。

 53. そこで余は、秘密の場所に置いて、神サバオートの聖なる名号の誓いによって、この大いなる神的な秘密をもはや何者かに伝えることなく、(83) 安全な場所に無料の宝物として保持するよう、余の子どもらに遺すことにしよう。多衆に観られることなく隠されたものとして、これらを戦慄するような誓いによって隔離したのである。

 
 そこでベエルゼブゥル — これは余からエントジアンピエルと呼ばれているものである —が問われて 、女のダイモーン的なもの —〔ベエルゼブゥルの〕謂った中に含まれていたのだが — もいるのなら、見たいと望んだ。2. すると件の者は退出して、余の前に連れて来たのはオノスケルウ〔「驢馬の膝」の意〕と呼ばれる、容姿は絶美、身体は色よき女の身体をしているが、脚は半驢馬のそれをしたものだった。3. それがやって来たので、これに謂った、曰く。「そなたは何者か?」。すると相手が余に謂った。「わたしはオノスケルウと呼ばれ、身体化した精霊です。地上では巣にひそみます。黄金のある洞窟に住んでいます。4. しかしわたしは多彩な性格をもっています。あるときは絞殺によってのように人間どもを窒息させ、あるときは???。5. たいていわたしの住処にいます。時々は、わたしが女であるかのように、人間どもと交合し、????。というのも、この連中はこっそり且つ公然と、わたしの星に跪拝するからです」。6. そこで余ソロモーンは相手に問いただした。「どこから生まれたのか?」。すると相手が謂った。「有用な牝馬ベールサベエの声からです」。(84) そこでこれを、4つの巨石の下に密封した。すると相手が大声をあげた。「わたしを出してください、わたしを出してください、そうしたら皿や酒盃のついた食卓をあなたに差しあげましょう、これを取って鞭で叩けば、いいつけられた食べ物や飲み物をあなたにもたらすでしょう」。8. そこで彼女が連行されるよう命じると、碧玉でできた石製の食卓を余に差し出した。その長さは4ペーキュスぐらい、幅も4ペーキュス、隅にも、〔余が〕欲したかぎりのことを余に話しかける4頭のアリライオンがついていた。9. そうして、食卓も酒盃も、????。すると食卓は求められたかぎりの食べ物を、酒盃は求められたかぎりの飲み物を提供したのである。


 すなわち、印章によってパルティエル・トザマルを探し求めると、すぐに現れて余に謂った。「ソロモーンよ、ダウエイドの息子よ、どうしておまえの男奴隷たちや女奴隷たちを試すのか? われわれはみな、おまえの都合のよい時まで、隷従もし服従もすると約束した、われらの名号も安全に保持するよう書き記し、あらゆる力を報告した。9. 命じられることを熱心このうえなく仕遂げるよう何を下命するのか。どうかおまえにお願いだ、底なしの海にわれらを退散させないでくれ」。

 3. そこで余は、死者たちの叛乱があるかどうかこれに謂う。(85) すると大きな声を響かせた、曰く。「ある、ある、強力にして生ける神にかけて。というのは、われわれも以前は光り輝くものでありながら、想見を引きずりまわされて眩まされ、なおも後悔に心を寄せられないでいる。4. そこでおまえにこのことを言おう、おお、王よ、神はただ一人であり、光り輝く天使たちに三度讃美される方である。ご自身でおまえにわれわれを引き渡された、われわれはといえば、われわれの名号を手ずから引き渡し、付け加え、印章にも同様にした。5. そこで何びとであれ、おお、王よ、真実を知れ、3日間己を浄めよ、????。6. ???その上に以下の文字列”ZABARzHV”、そうすればたちまち、不本意ながらも被造物にわれらは従うであろう」。

ⅩⅢ
 ただし、おお、王よ、次のことにもおまえは気をつけねばならん。多くの (86) 人間どもは、

(87)

 10. これを聞いて、余ソロモーンは神に懇願して云った。「父たちの神よ、大いなるアドーナイよ、御身の僕に知恵を賜った方よ、何を為すべきか余に闡明したまえ」。11. すると声がやって来た、曰く。「ソロモーンよ、ソロモーンよ、????」。12. そこで坐して、書いた。「王たらんとするエゼケイアに。王ソロモーンより。ダウエイドの子が、そなたに以下のことをしたためる。パルティエル・トザマルから、そなたと全宇宙に繁栄をもたらす契約を受け取れ。????」。

 13. 以上のことを書いて、トザマルに渡し、

 15. 余ソロモーンは以上のとおりである。続きは強力な神、至高のサバオートが〔知っておられる〕。アメーン。

2018.07.18. 訳了

forward.gifソロモーンの生涯
forward.gif「ギリシア語ヘルメス文書」集成