万能者にささげる讃歌から(断片)
ヘルメス文書/占星術の作品
草木の諸徳について
De virtutibus herbarum(3/5)
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TLG 1004 003
De virtutibus herbarum (e cod. Monac. 542),
Astrol., Med.
H.-V. Friedrich,, Thessalos von Tralles [Beitr′ge zur klassischen Philologie 28. Meisenheim am Glan: Hain, 1968]: 69, 74, 79, 84, 89, 94, 99, 104, 108, 112, 116, 120, 124, 128, 132, 136, 141, 146, 151, 155, 159, 163, 167, 171.
草木の諸徳について(De virtutibus herbarum(3/5)
003 1 1
t
十二宮の植物、ヘルメースによって伝授されたる
1t
<白羊宮の植物、サルビア>
1
パメノート月[22日]から、ローマではアプリッリス月のカレンズ15日前の日から採集せよ。白羊宮の植物はサルビアである。
2
これは最多の効能を有する。すなわち、血のこみ上げ[や]肺癆患者、脾臓患者、ヒステリーの諸症状に効く。
3
さて、血のこみ上げには、この汁液の3キュアトスに、アッティカ産の蜂蜜1ウンキアを加え、空腹時に服用するよう与えられると、血の吐瀉はすぐにおさまる。
4
また、肺癆患者には丸薬が調製される。コーリュコス産サフラン1ドラクメー、カンショウコウの汁液〔Dsc.I-6, 7, 8〕2ドラクメー、サルビアの種子で火にかけ篩にかけられたもの[3ドラクメー]、長いコショウ〔Dsc.II-189〕2ドラクメー。汁液に調合して、半ドラクメーの丸薬をつくり、早朝の空腹時に3粒と、就寝前に3粒を与えよ。また、早朝には、清浄な水2キュアトスをさらに飲ませよ。
5
脾臓患者には丸薬が次のようにして調製される。
カッパリスの根で刻んで篩にかけられたもの2ドラクメー、黒セイヨウキヅタの果実9ドラクメー、白いギンバイカの果実4ドラクメー、ミルラ〔ミカン科の植物の露滴、Dsc.I-77〕9ドラクメー。搗き砕いて汁液に調合し、丸薬をつくって、早朝に1粒、就寝前に1粒あるいはまた2粒を与えよ。ただし、丸薬1ドラクメーは保持せよ。
6
また、ヒステリーの諸症状に対しては、例えば、ヒステリー性硬化症や帯下患者や慢性的な病人に対しては、外用薬が次のようにして調製される。テュッレーニア産蜜蝋4ドラクメー、鹿の髄8ドラクメー、乾燥したバラで刻んで篩にかけられたもの4ドラクメー、ガチョウの硬脂6ドラクメー、この植物の汁液4キュアトス。溶解したものらが入れ込まれ、乾燥したものらが投入される。汁液はどろどろになるまで〔タルタロスに投げこまれたようになるまで〕煮て、次いで錫の容器に保存せよ。そうして必要なときに用いよ。しかし、症状が[あまりに]ひどい場合は、汁液を根とともに煮て坐浴に使え。
7
また、腎臓患者や座骨神経痛患者に対するより効き目のある軟化薬ができる。蜜蝋8ドラクメー、アムモーンニコン16ドラクメー、カラミンテー〔シソ科ハッカ属の植物、Dsc.III-43〕9ドラクメー、ケドリア18ドラクメー、牡牛の硬脂14ドラクメー、根で刻まれ篩にかけられたもの32ドラクメー。乾燥したものらを湿ったものらに調合して用いよ。
2t
<金牛宮の植物、ペリステレオーン・オルトス>
1
[暦の]マイオス月14日[前の日]からこれを採集せよ。金牛宮の植物は、ペリステレオーン・オルトスである。
2
これの諸作用も信じられないほどである。というのは、絶望的な目の諸症状を、調製の仕方によって解消するからである。
3
さて、眼病や腫れものや気腫やあらゆる涙目に対しては、これを[眼薬として]用いよ。<……>
4
あらゆる流出に対しては、この植物を根もろとも煮詰め、外用水薬として用いよ。たちどころに治るであろうから。
5
白内障からくる盲目や白内障や見込みのない諸症状に対しては、次のようにして水薬が調製される。パナクスの露滴8ドラクメー、アッティカ産蜂蜜2ドラクメー、[白コショウ2ドラクメー、バルサモンの露滴2ドラクメー]、ペリステレオーンの根で刻まれ篩にかけられたもの6ドラクメー、ハイエナないしヤギの胆汁6ドラクメー、汁液2キュアトス。乾燥したものらを湿ったものらに調合して用いよ。この効能は、先述された諸症状なら3日の内に治し、(pteruvgia)、白斑、(calavzia)や、これらに似たものらなら、1日の内に{治す}。
6
おのおのの効能の称讃を褒め言葉で言うのは簡単ではない。試行が作用を示すはずだからである。
3t
<双児宮の植物、ペリステレオーン・ヒュプティオス>
1
暦月イウゥニオス〔junius〕月13日の前の日から採集せよ。双子宮の植物はペリステレオーン・ヒュプティオスである。
2
これの汁液は同じようにして採取され、結節や、悪性腫瘍、「イチジクの実」と言われる〔腫瘍〕に対して最も効能のある薬が調製される。調製法は次のとおり。サフラン2ドラクメー、乾燥したバラ8ドラクメー、ポントスのメリロートス〔マメ科シャジクソウ属の植物、Dsc.III-48〕12ドラクメー、二つに裂けた明礬〔Dsc.V-123〕8ドラクメー。これらを搗き砕いて、この植物の汁液4ドラクメーを混ぜ、新しい土器で、蜂蜜の濃さになるまで煮よ、そして用いよ。口の中や扁桃腺にできた〔腫れ物〕や、身体にできたあらゆる悪い汁の出る病因をも治療する。
4t
<巨蟹宮の植物、シュムピュトン>
2
これを暦月イウゥリオス月13日の前の日から採集せよ。巨蟹宮の植物はシュムピュトンである。
3
じっさい、これの根や果実の汁液は多大な効能を有する。そこで、根からは軟膏が調製され、これは傷や断裂した[神経]を結合する。[調製法は次のとおりである。]{とにかく}蜜蝋8ドラクメー、鹿の髄12ドラクメー、マンナノキ21ドラクメー、湿った樹脂24ドラクメー、これの根の刻まれ篩にかけられたもの32ドラクメー、バラ油24ドラクメー、アッティカ産蜂蜜6ドラクメー、<サフラン2ドラクメー> 一部の人たちのところでは、蜂蜜はもちろんサフランも入れられないが {サフラン2ドラクメー}。乾燥したものらを湿ったものらに調合して使用せよ。
4
胴の動脈や静脈の傷や、血のこみ上げに対しては、汁液によってトローチが次の仕方で調製される。セリノン〔Dsc.III-74, 75〕の種子6ドラクメー、[アニス〔Dsc.III-65〕4ドラクメー] 一部の人たちのところでは[アニスの代わりに]イノンド〔Dsc.III-67〕{4ドラクメー} 、サフラン4ドラクメー、キショウブ〔Dsc.I-2〕3ドラクメー、これの根で刻まれ篩にかけられたもの13ドラクメー。汁液に調合し、1ドラクメー[ずつ]含有するトローチをつくり、[空腹時に]1粒を与えよ。女の経血も、自然に反して通じる場合には、止めるであろう。
5
眼のなかの掩いでできた裂傷や侵蝕に対しては、汁液を使って眼薬ができる。白鉛〔Dsc.V-103〕8ドラクメー、サフラン6ドラクメー、インド産カンショウコウ〔Dsc.I-6〕1ドラクメー、メリロートス〔Dsc.III-48〕12ドラクメー、コムミ〔Acacia arabicaから採れるガム〕10 一部の人たちのもとでは3 ドラクメー。汁液に調合して、眼薬をつくり、用いよ。
5t
<獅子宮の植物、キュクラミノス>
1
アウグゥストス月カレンズ10日前の日から15日までに採集せよ。獅子宮の植物はキュクラミノスである。
2
これの葉は役立たずであるが、根はきわめて驚嘆に値し、湿っぽいことこのうえなく、そのため、これから汁液が採れる。そこで、この汁液等量に蜂蜜等量を加え、{蜂蜜によって}鼻孔に挿入すると、頭や胴体の炎症を止める。
3
また、刻んで、蜂蜜にも{蜂蜜と}汁液にも調合されると、恥部や鼻孔の出来物を治療し、同様に、口にできたのも〔治療する〕。また動く歯をも固定する。また、婦人の経血をおろそうとするなら、この薬で〔処理した〕羊毛に浸し、与えて当てさせよ、たちどころに作用する。
4
また、身体の症状に対しても効く。軟膏はこの根を使って次のようにして調製される。蜜蝋12ドラクメー、松柏類の樹脂6ドラクメー、密陀僧〔Dsc.V-102〕9ドラクメー、この根の篩にかけられたもの30ドラクメー、古いオリーヴ油24ドラクメー。乾燥したものらを湿ったものらに調合して用いよ。
5
これの効能は、瘰癧や膿瘍、{そして}青あざ[と]脂肪腫、粥状の腫瘍[や]小膿瘍や、あらゆるタコ状のしこりを散らし、化膿した部位を凝固させる。また、かさぶたになったら、リュキオン〔クロウメモドキ科の植物、Dsc.I-132〕と蜂蜜を使った上記の効能を用いよ。これが綺麗にし、瘢痕を形成させるからである。
6
{獅子宮の植物の根の煎じ薬は、致死的な病状に、ブドウ酒といっしょに服用される。とくに、塗りつけられると、海の動物や爬虫類の解毒剤になる。}
6t
<処女宮の植物、カラミンテー>
1
これをセプテムブリオス月〔Lat. Septembris〕のカレンズ11日前の日から採集せよ。
2
処女宮の植物カラミンテーは、すこぶる驚嘆できる諸効能を有している。次のような薬が調製される。白鉛〔Dsc.V-103〕を好きなだけ取り、次いでバラ油を〔好きなだけとって〕、ガムの濃さになるよう、この植物の汁液に調合して、焼き膏薬として塗りつけよ、そうすれば治癒させる。意想外なことは、傷跡は見えず、発毛するということ、これである。また、丹毒をもすぐに治すであろう。
3
<この汁液を>バラ油と等量ずつ混ぜて、発熱患者に塗りこめても、その病状から解放できるであろう。また、キモロス土〔Dsc.V-176〕とアロエ〔Dsc.III-25〕<とこの汁液の>等量をそれら〔キモロス土とアロエ〕の等量ずつと調合して、ガムの濃さにつくり、額やこめかみの頭痛患者に塗ると、たちどころに痛みを止められよう。
7t
<天秤宮の植物、スコルピウゥロン>
1
オクトーブリオス月〔October〕カレンズ13日前の日からこれを採集せよ。天秤宮の植物はスコルピウゥロンである。
2
ところで、これには2種類ある。そして、葉によっては判別できない。しかし果実をつけ、一種はキュアモス〔ソラマメ、あるいは、ハス。Dsc.II-127, 128〕に類似しており、もう一種は黒いブドウの房に〔類似している〕。しかしながら、効能は異なっている。†われわれが汁液を採るのは、より青黒くて……〔テキストが壊れているらしい〕
3
これの汁液は、果実と葉から採られ、水っぽい丸薬が調製される。クニコス〔Dsc.IV-190, II-128〕の果実4ドラクメー、アロエ8ドラクメー、クニドスのコッコス〔Daphne Gnidium、Dsc.IV-173〕2ドラクメー、スカムモーニア〔ヒルガオ科セイヨウヒルガオ属の植物、Dsc.IV-171〕1ドラクメー。この汁液に調合し、1ドラクメー[ずつ]を含有する丸薬をつくり、空腹時に与えよ。初期症状の患者たちには1粒{ドラクメー}、あまりに膨張した患者たちには2粒{ドラクメー}を。
4
果実の汁液からは、象皮病に対する<薬が>次の仕方で調製される。コロポーニアの〔松柏類の〕樹脂〔Dsc.I-92〕4ドラクメー、ケシ〔Dsc.IV-64, 65, 66, 67〕の樹液8ドラクメー、黒いギンバイカの果実〔Dsc.I-155〕14ドラクメー、スタキュス〔シソ科イヌゴマ属の植物、Dsc.III-120〕8ドラクメー。この汁液に調合し、トローチをつくり、初期症状の患者には{初期症状の患者には}1粒ずつ与え、危篤状態にある患者には2粒当て〔与えよ〕。
5
ひとが平たい腹の虫〔サナダムシ〕とかアスカリス〔ギョウチョウ〕とか注1)何か他のものらを持っていて、断固として一掃しようとすれば、上記のトローチの半分を与えよ、そうすれば危なげなく綺麗にする。
6
これの根からは、水腫や脾臓患者や内的に生じるあらゆる病状に対する軟化薬が調製される。オロボス〔マメ科エルヴム属の植物、Dsc.II-131〕の擂り砕かれ篩にかけられたもの3ドラクメー、蜜蝋30ドラクメー、テレビンティノス〔ウルシ科ピスタキオ属の植物、Dsc.I-91〕の<樹脂>12ドラクメー、ケドリア〔レバノンスギの露滴〕20ドラクメー、これの根の刻まれ篩にかけられたもの30ドラクメー。乾燥したものらを湿ったものらに調合して用いよ。
8t〔なし〕
1
†ノエムブリオス月〔Lat. November〕。オルテー・ペリステラ〔クマツヅラ科クマツヅラ属の植物(Verbena officinalis)、Dsc.IV-60, 61〕の効能は数多く、しかも驚嘆すべきもので、それゆえまた、信じがたいほどである。わたしは、このペリステラ これを聖なる草とも<ひとびとは呼ぶ> が、頭や喉のあらゆる病状や、別の病状に対して本物であることを試してきた。そこで、†マイオス月の14日までと†ノエムブリオス月の10日まで、それも、太陽が雄羊宮にある時の第三時にこれを採集せよ。つまり、オルテー・ペリステラは、雄羊宮<と金牛宮の>ものである。さらにまた蠍宮のものでもある。
2
これの汁液は、太陽が雄羊宮にある期間の満月の時に採集されると、最大の効能を有する。三日熱や四日熱に益するのは、バラ油と等量ずつ塗布される場合である。
3
また、これを使って、月に憑かれた患者たちに対して[も][以下のものが]調製される。ヒヨス〔Dsc.IV-69〕6ドラクメー、イッリュリアの聖なる草〔クマツヅラ科クマツヅラ属の植物、Dsc.IV-61〕14ドラクメー、コロポーンの樹脂9ドラクメー、ホルトソウ〔Dsc.IV-167〕6ドラクメー。搗き砕いて、この汁液に調合し、1ドラクメー[ずつ]<トローチを>の形にし、柄杓に入れて、ロバの乳で{といっしょに}迸らせ、四日熱患者たちと同じように塗りつけよ。
4/5
またこの根を使って、神経の無感覚症や関節の萎縮に対する軟化薬ができる。蜜蝋20ドラクメー、テルミントス〔ウルシ科ピスタキオ属の植物、Dsc.I-91〕の樹脂6ドラクメー、バルサモンの木〔カンラン科の植物、Dsc.I-18〕7ドラクメー、アムモーンニアコン〔セリ科オオウイキョウの植物、Dsc.III-98〕8ドラクメー、カルバネー〔Dsc.III-97〕9ドラクメー、これの根で刻まれ篩にかけられたもの10ドラクメー、ケドリア10ドラクメー。乾燥したものらを湿ったものらに調合して用いよ。
6〔欠番〕
7
これ〔オルテー・ペリステラ〕は葉も爬虫類に効く。全体がブドウ酒といっしょに煮られると、口頭蓋のかさぶたをはがし、口の拡大性腫瘍に対してこの汁液が、ヒソップ〔Dsc.V-50〕と煮汁といっしょにうがいに使われると、益する。また言われるところでは、酒宴の席でこの煎じ出しがふりかけられると、心地よくすると〔記録されている〕。また、三日熱患者には〔茎の〕第3節、四日熱患者には第四節が飲むよう与えられる。家に吊されていると便利である。仕事場に置かれていても、好都合である。アルテミシア〔キク科ヨモギ属の植物、Dsc.III-127, 128〕と同様、同じ益をもたらす。また、聖なる草と呼ばれるのは、多くのことに有用で、あらゆる病に対して意想外なほど便利だからである。瘰癧、耳下腺の出来物、頸の結節、横痃に軟膏として塗られる。これの汁液は、硝石と蜂蜜といっしょに洗浄されると、出血を治療し、他の多くのものらをも〔治療する〕。
9t
<人馬宮の植物、アナガッリス>
1
デケムブリオス月〔Lat. December〕の<カレンズの>15日前の日からこれを採集せよ。人馬宮の植物はアナガッリス〔アカバナルリハコベ、Dsc.II-209〕である。
2
これには、火色のものと青黒いものと、2種類あるが、有用なのは、葉から採れるもののみである。より青黒いものの汁液が採取され、蜂蜜と等量ずつが混合され、鼻に挿入されると、頭に由来する炎症や胴に由来する〔炎症を〕散らす。また、歯の痛みも同様にして解消させる。
3
また、バラ油とこの汁液を混ぜ、[おまえの]眼に塗布すれば、何でも快適に見えるであろう。また、蜂蜜とインド産リュキオン〔クロウメモドキ科の植物、Dsc.I-132〕ときわめてきつい酢といっしょにこの汁液を塗りつけるよう女たちに与えれば、眼を輝かせ、伸びやかなもの〔?〕にするだろう。
4
また、火色の方の汁液は、蜂蜜といっしょに混ぜて、てんかん患者や狂気の者、また起座呼吸患者の鼻に挿入されると、通気孔の通りをよくし、治療する。しかし、病状を洞察しなければならない。というのは、同じ効能を有するわけではないからである。というのは、狂気は2倍の熱でおこるが、てんかん症は平熱をともなうということ、この点で相互に異なるからである。
5
さて、この病状は次のようにして起こる。例えば、薄膜の震えによって、湿り気がより多く、また、通気孔を通る直線の進路を持たない場合にも、導管が塞がれると、必然的に精神の変化を準備する。そういう次第で、上記の効能は、自然本性的に刺激的であり、かつ希薄にする効能があるので、押しつけると、通気口の通りをよくし、湿り気の緊張を引き寄せる。このようにして、空気の自然に反した状態になった症状は、回復した通気孔解放を手に入れるのである。
6
また、これからは、眼の雲状の曇り(nefelivV)やあざ(fakovV)や発疹(i[onqoV)や新しい黒い白癩を治療する軟膏も調製される。アルキュニオン〔ひすい科の鳥の糞石、Dsc.V-136〕4ドラクメー、焼いた軽石〔Dsc.V-125〕で刻まれたもの8ドラクメー、ドングリ〔Valonia oakの殻斗果〕の皿12ドラクメー、インド産リュキオン〔クロウメモドキ科の植物、Dsc.I-132〕11ドラクメー、イッリュリア産聖草12ドラクメー、[苦い]蜂蜜6ドラクメー、この汁液15ドラクメー。これらを錫製の容器に入れて混ぜ、あらかじめ硝石〔Dsc.V-130〕で綺麗にしてから、塗りこめよ、そうすれば、あなたは治療できよう。
7
また、蜂蜜、インド産リュキオン〔クロウメモドキ科の植物、Dsc.I-132〕、この汁液{とともに}等量ずつ混ぜて、陰部の導管に擦りこむと、性交がより容易にでき、また、近くの女に快楽を感じさせられよう。
10t
<磨羯宮の植物、ラパトン>
1
この植物は、イアヌゥアリオス月〔Lat. Ianuarius〕の<カレンズ>16日前の日から採集せよ。磨羯宮の植物はラパトン〔タデ科ギシギシ属の植物、Dsc.II-140〕である。
2
これは多くの効能は有さないが、しかし少数の、作用力のきわめて強い〔効能を有する〕。例えば、ひとがこれの汁液をキュクラミノン〔サクラソウ科シクラメン属の植物、Dsc.II-194〕といっしょに擂りつぶして、身体に塗ると、獣たちに咬まれることがなく、イヌたちは彼を避けるであろう。
3
また、誰かイヌに咬まれたら、この根を使って次のように調製される膏薬[によって]療治するであろう。蜜蝋8ドラクメー、[松柏類の樹脂20ドラクメー、カルバネー〔Dsc.III-97〕18ドラクメー、一部の人たちのもとでは12〔ドラクメー〕、豚の硬脂20ドラクメー]、この植物の{この植物の}根30ドラクメー、蘇合香〔Dsc.I-79〕の香油8ドラクメー。
4
また、狂犬病にかかったイヌに咬まれた場合は、この同じ膏薬を用いてはならないが、この汁液を7日間、1キュアトス半ずつ飲むよう与えよ。
5
恐水症になってしまったら、少しずつ飲んではならず、彼を(oJsphvtion)〔?〕になるまで洗い、この汁液とオリーヴ油とを3キュアトスずつ、蜂蜜といっしょに等量に混ぜて、服用するよう与えよ、そうすれば放免できよう。
11t
<宝瓶宮の植物、いわゆるウイキョウ、一部の人たちのもとではドラコンティオン>
1
ペブルゥアリオス月〔Lat. Februarius〕のカレンズ11日前の日からこれを採集せよ。水瓶宮の植物は、いわゆるウイキョウ〔Dsc.III-81〕、しかし一部の人たちのもとではドラコンティオン〔サトイモ科の植物、Dsc.II-196〕である。
2
さて、この汁液で洗浄されると、いかなる獣によっても咬まれることがないであろう。
3
しかし、もしも咬まれたら、この汁液の等量を、ブドウ酒の等量と混ぜて服用させよ、そうすれば〔症状から〕放免されるであろう。[ただし][服用の]量は、獣の力に応じておまえが見当をつけなければならない。
4
また、水薬も調製され、これは視力低下や、眼に生じる暗さに対して効き、その日のうちに解消する。カラミン〔Dsc.V-84〕8ドラクメー、白鉛〔Dsc.V-103〕10ドラクメー、一部の人たちのもとでは12〔ドラクメー〕、[ナツメヤシ〔Dsc.I-148、あるいは、ナツメヤシの苞鞘(Dsc.I-150)のことか?〕の焼かれたもの8ドラクメー、焼いた胴〔Dsc.V-87〕2ドラクメー]、インド産リュキオン〔クロウメモドキ科の植物、Dsc.I-132〕1ドラクメー、苦い蜂蜜〔?〕2ドラクメー。搗き砕いて、さらにこの汁液に注ぎ込むと、蜂蜜の濃さになるので、これを用いよ。
5
{この根は牛糞といっしょに膏薬として塗りこめられると、痛風に益する。}
2008.10.26. 訳了。
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