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back.gif「草木の諸徳について(De virtutibus herbarum)」3/5

ヘルメス文書/占星術の作品

草木の諸徳について

De virtutibus herbarum(4/5)


[底本]
TLG 1004 004
De virtutibus herbarum (e codd. Paris. gr. 2502 + Vindob. med. gr. 23 +
Londin. reg. 16 C II)

Astrol., Med.

H.-V. Friedrich, Thessalos von Tralles [Beitr′ge zur klassischen Philologie 28. Meisenheim am Glan: Hain, 1968]: 195, 199, 203, 207, 211, 215.



草木の諸徳について(4/5)

004 2 prol 1
t

 さて、それぞれの宮(zw/vdion)と、その力能があなたによって明らかにされたからには、7つの星辰の作用(ejnergeiva)と状態(diaqevsiV)も伝授されるのが必然である。

1t
[太陽の植物、キコーリオン]

 太陽の第一の植物は、いわゆるヘーリオトロピオン注2)〔ムラサキ科ダチルリソウ属の植物、Dsc.IV-194〕である。しかし、ヘーリオトロピオンには数多くの種類があるが、そのすべてのなかで、最高の効能を有するのが、いわゆるキコーリオンである。

 これの汁液は、バラ油と混ぜられ、軟膏(suvgcrisma)となる。

 また、心臓病患者に好適であり、病状から放免し、周期的な三日熱や四日熱を解き、オリーヴ油といっしょに、卵と等量ずつが混ぜられると、頭痛を止める。

 また、ひとが日の出の方を見つめながら、(boVln)を勧請し、われに恩恵を与えたまえと願いつつ、この汁液を自分の顔に塗ると、その日1日、万人に親愛の情をいだかれる者となるであろう。

 また、この根からは、心臓病患者や胃病患者に対する — 胃が悪く、[食が進まない人々や、受けつけはしても、消化不良である人たちのために] — 丸薬が{も}調製される。スタキュス〔シソ科イヌゴマ属の植物、Dsc.III-120〕8ドラクメー、サフラン2ドラクメー、ポントス産蜂蜜14ドラクメー、スキノス〔ウルシ科ピスタキオ属の植物、Dsc.I-89〕の花6ドラクメー、ショウガ4ドラクメー、コショウ4ドラクメー、瀝青〔Dsc.I-99〕2ドラクメー、アニス〔Dsc.III-65〕4ドラクメー、マスチック4ドラクメー、この植物の根24ドラクメー。これらを搗き砕いて、最も古いような酒蜜に調合し、1ドラクメーずつを含有するトローチをつくり、[1錠ずつ、心臓病患者には水によって、胃病患者には最美のブドウ酒によって]与えよ。

2t
{月の植物}月の植物、アグラオポ−ティス〔シャクヤク、Dsc.III-157〕

 {これは……}これは、アラビアで、クリマが最多になったときに生じる。そして、月に似たことをこうむる。すなわち、それ〔月〕が満ちると、これ〔シャクヤク〕も生長し、それが欠けると、〔これも〕縮小する。

 欠けたときは、{この植物は三日熱や四日熱に}たいていの〔病状〕に有用である。なぜなら、これの汁液によって、バラ油といっしょに、三日熱患者や四日熱患者にあなたが塗りこめると、あなたはその病状から解放できようから。

 また、ひとがダイモニオンに憑かれてかくかくしかじかのときに、これの根をあなたが燻せば、たちどころにそのダイモニオンは退散するであろう。

 また、上記の病人の或る者に、月が満ちるときは、生長する植物から、結びつけるか燻すかするなら、その病状は{も}より増大するであろう。

 また、嵐のときに、この根を海にむかってあなたが燻せば、あなたは嵐を止められよう。

 また、満ちるとき、欠けるとき、両方の根から膏薬(e[mplastoV)も調製されること、アストロキア〔ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の植物、Dsc.III-4, 5, 6〕の小枝のごとくである。

 そうして、縮小する根から〔調製した〕膏薬は、瘰癧や耳下腺炎やあらゆる(ejpigennhvma)や変態的な成長物(uJpersarkwvma)に効き、成長する根から〔調製した膏薬〕は、残りの潰瘍の回復に効く。

 また、洞察力のある人なら理会できようが、用法の違いから、人類に生じるあらゆる身体的・魂的病状は、この作用を通して増大したり縮小したりできるのである。

3t
土星の植物、いわゆるアエイゾーオン〔「永遠の生き物」の意。ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属の植物、あるいは、ベンケイソウ科キリンソウ属の植物、Dsc.IV-89, 90, 91〕

 これのみは煮ることで汁液を抽出される。煎じ出しの順序をあなたに示すことは余計なことである。ただし、これ〔煎じ出し〕は蜂蜜の濃さをもたなければならない。で、効能は痛風に効く。ただし、痛風に2種類ある。温いものと冷たいものである。冷たいものは、温いものの投与を喜ぶが、温いものは正反対であることで知られている。

 さて、病状の違いを判断したら、温いものには、バラ油と混ぜられた汁液を、{あるいは}脚に塗りこめて用いよ。冷たいものには、シュリア産香油と〔混ぜられたものを〕。

 しかし、あまりに症状がひどい場合は、冷たいものの効能には、ビーバー香〔Dsc.II-26〕を加えて混ぜよ、温いものの〔効能〕には、アルテミシア〔ヨモギ、Dsc.III-127, 128〕の汁液の〔効能を加えよ〕。

2008.10.29. 訳了。

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