Atthis

メランティオス断片集



[底本]
TLG 1491 a 1
1491
MELANTHIUS Hist.
(4 B.C.?: fort. Atheniensis)
2 1
1491 002
Fragmenta, ed. K. M[u]ller, FHG 4. Paris: Didot, 1841-1870: 444.
frr. 1-5.
5
(Q: 194: Hist.)





『アッティス(Atthis)』

t1
《第2巻より》

断片1
Harpocratio
「"Grypanion"〔「腰曲がり」の意〕」の項。
 メランティオスは『アッティス』第2巻の中で次のような言い方で、地震(seismos)が起こったと主張している。「まこと大地が褶曲した(egrypen)」と。


t2-5
『エレウシスにおける秘儀について』

断片2
Athenaeus VII
〔324c-325f〕
 アポロドロスは『神々について』という書物の中で、ヘカテにアカボラ(trigle)が供儀されるのは、名称の類縁性によると主張している。この女神は三相一体(trimorphos)だからである。しかし、メランティオスは『エレウシスにおける秘儀について』の中で、ヘカテは海の女神でもあるので、アカボラもマイニス(mainis)も〔供儀されると〕。

[註] アカボラ(trigle)については、アリストテレス『動物誌』第2巻17章。マイニス(mainis)についてはアテナイオス『食卓の賢人たち』313b-c。

断片3
Schol. Aristoph. Plut. 845

 というのは、入信式の際に(着ていた衣服)、これをさる神に奉納すべしという習慣があったからだが、これはメランティオスも『秘儀について』の中で明らかにしているとおりである。「入信式に際して、身につけていた衣類をも、入信者たちが女神たちに捧げるのは、父祖伝来のしきたりである」

断片4
Schol. Aristoph. Avv. 1073

 くだんの人物〔つまりメロス人ディアゴラス〕は、メロス島陥落後、アテナイに住んだが、この秘儀をけなして、多数の者たちを秘儀入門から逸脱させているといった。このため、アテナ人たちは彼に対して布令を出し、青銅の標柱(stele)に刻んだと、メランティオスが『秘儀について』の中で主張している。

断片5
Ibid.

 メランティオスは『秘儀について』の中で青銅の標柱の写しをも引用しているが、そこには彼にたいしても〔これを〕釈放したペラネ人たちに対しても?懸賞がかけられ、同じことも書かれている。〔つまり〕メロス人ディアゴラスを殺害せし者は、銀子1タラントンを得べし。されど、生き身を連行せし者は、2〔タラントン〕を得べし、と。

[註]メロスのディアゴラス
 前5世紀後期の抒情詩人。
 詩人としてよりも、世に知られた無神論者として名をとどめている。しかしながら、現存している短い詩の断片には、伝統的な敬神の念が吐露されている。

  神よ、神、死すべき者のありとあらゆる行いの前に
  至高の御心をめぐらせたまえ。

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