【 注釈】以下の解説については、堀越洋司氏( ギリシア美術・ギリシア陶器の世界)から懇切なご教示をいただいたのみならず、画像も拝借した。心から感謝申し上げる。 盃(kylix) 「キュリクスは水平の把手を持つ高坏で、ワインを飲むのに用いられた。キュリクスという名称はスキュフォスなどを含む酒杯の総称として用いられていた。 キュリクスには口縁部や把手、脚部の形式によっていくつかに分類される」。(ギリシア美術・ギリシア陶器の世界の 「酒杯」の項) 図は、キュリクスの基本的な器形図であるが、詳しい分類については、上記のURLを参照されたい。 もどる コッタボス(kottabos) 酒宴(symposion)の時に、酒盃(kylix)に残った残滴(latax――おそらくは酒の澱のごときものであろう)を、標的に飛ばす遊戯の道具。また、遊戯そのものをもいう。 コッタボスには2種類あって、ひとつは、細長い燭台のような支柱の尖端に、衡皿(plastinx)を危なく載せ、これに残滴を投げ入れて衡皿を落とすもの(左図)。もうひとつは、水盤に皿(oxybaphon)をいくつか浮かべ、これに残滴を投げ入れて、皿をいくつ沈めたかを競うものである。 ここでいわれているのは、もちろん、前者である。 飛ばすときには、酒盃の把手に指をかけ、スナップをきかせて飛ばしたらしい(右図)。 もどる 香油入れ(Plemochoe) 「プレモコエは広く浅い鉢型の胴部に飾りの付いたつまみを持つ蓋と高い脚部を持つもので、恐らく香油を入れた容器だと考えられている。プレモコエという名称は溢れるを意味する「ΠΡΗΜΗ」と注ぐを意味する「ΧΕΩ」からなり、文献からこの形式の陶器に対して用いられていた名前であることが明らかになっている。 プレモコエで像の描かれた例は存在せず、口縁部や蓋に装飾が施される程度である」。(「ギリシア美術・ギリシア陶器の世界」の 「化粧品・小物容器」の項) 大きさは、蓋のつまみも含めて高さが16cm-18.5cm(堀越洋司氏)とのこと。 もどる |