砂漠の師父の言葉 3
[底本] TLG 2742 APOPHTHEGMATA Apophthegmata patrum (Varia) 4 1 2742 004 Apophthegma patrum (e collectione anonyma) (e codd. Vat. gr. 1599, 1632), ed. M. Jugie, "Un apophthegme des pères inédit sur le purgatoire," Mémorial Louis Petit. Mélanges d'histoire et 5 d'archéologie byzantines. Bucharest: Institut Français d'Études Byzantines, 1948: 249-250. (Cod: 409: Eccl., Gnom.) (249.) さて」と彼は謂う、「忘我状態から我に返ると、わたしはひどく苦悩し心痛し、彼のためにできるかぎり慈悲と奉献祭儀とをし、彼を憐れんでくださるよう聖なる神の母に懇願し、人間を愛する神にかれのために懇願しはじめた。されば、スケーティスで苦行し、乾物〔パンと塩と水〕で生きることをはじめ、以後、この老齢に及んだのじゃ。 されば、何日かの後、わしにこう言われる全聖なる神の母を目にした、(250.)「何を悩み、心痛しているのですか、父さん」。そこでわしは云った、「兄弟のせいです、わが貴婦人、彼が悪所にあるのをわたしは見たのです」。すると答えて云われた、「あなたが願ったのではありませんか、彼を見たいと望んで。では見なさい、あなたは知って、確信しているのです」。しかしわしは云った、「いえ、貴女にお願いし、貴女に呼びかけたのは、彼がこういうふうなのを見たかったのではありません。彼が泣き苦しんでいるのを見ることが、わたしに何の役に立ちましょう」。すると聖なる神の母がわしに言われる、「お黙りなさい。あなたの苦行と謙遜と愛ゆえに、わたしはあなたに彼を示したのです、あなたが苦しまないように」。そうして翌日、今度は兄弟が嬉々として、しかも自力で歩いて、笑いながら、わたしのところにやって来るのをわたしは目にした。そうしてわしに言う、「あなたの使者たちが、師父よ、全聖なる神の母をうろたえさせました、あなたをとても愛しておられるからです、そうして救い主を呼んで、わたしを縛りから解放なさいました、わたしが罪の鎖にがんじがらみになっていたものですから」。 以上のことを兄弟が述べたとき、わしは喜びに満たされた、そうしてすぐに全聖なる神の母を見た、そうしてわしに言われる、「あなたは確信しますか、使者よ、今ならば」。そこでわしは云った、「はい、わが貴婦人よ、そうしてとてもわたしは喜んでいます、彼が安らぎの内にあるのを見ましたから」。すると彼女がわたしに向かって云われた、「とにかくお行きなさい、そうして、礼拝と慈悲と奉献祭儀によっていつも兄弟のことをおぼえなさい。なぜなら、慈悲と奉献祭儀こそは、すでに永眠した人をはなはだしく憐れむからです」。 2015.02.07. 訳了。 |