砂漠の師父の言葉(Σ)
原始キリスト教世界
語録集(Apophthegmata)1
砂漠の師父の言葉(Τ)
(19/24)
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428."16t"
字母Τの初め。
428."17t"
師父ティトエースについて
428.16
1 師父ティトエースについて言われている、 祈りのために立っているとき、その腕をすぐに下げないと、彼の理性は上に引き上げられるのを常とした。そこで、兄弟たちが彼といっしょに祈ることになったら、急いで両手をすぐに下ろして、自分の理性が引き上げられて、時間がかかることのないようにするのが常だった。〔主題別12-13〕
2 師父ティトエースは云った、 異邦人性(xenhteiva)とは、おのれの口がひとを支配すること。〔主題別4-5〕
3 兄弟が師父ティトエースに尋ねた、 どうすれば、わたしの心を守れるでしょうか。これに老師が言う。「どうしてわれわれの心を守れようか、われわれの口と腹とが開いたままで」。〔主題別11-67〕
428.30
4 師父マトエースが師父ティトエースについて言うを常とした、 何らかの事において、自分の口を自分に向けて開く者はいない。しかるに、あたかも純金が秤の上に据えられているように、師父ティトエースもそういうふうであった。
5 かつて師父ティトエースはクリュスマに住持していたが、思惟し深慮して自分の弟子に言う。「ナツメヤシに水をまけ、わが子よ」。しかし弟子が言った。「わたしたちはクリュスマ〔アラビア湾岸のアイギュプトス都市〕にいるのですよ、師父よ」。老師が言う。「クリュスマで何ができよう。わたしをもう一度、山地へ連れて行ってくれ」。
428.40
6 あるとき、師父ティトエースが坐っていたが、彼の近くに兄弟がいた。すると老師が知らずに溜め息をついた。事実、兄弟が自分の近くにいるとは気づかなかった。というのは、脱魂状態にあったからである。そうして悔い改めて言った。「どうかわしを赦してほしい、兄弟よ、わしはまだ修道者になっていない。そなたの前で溜め息をつくとは」。
428.47
7 兄弟が師父ティトエースに尋ねた、いわく。429.1「謙遜へ通じる道とはどのようなものでしょうか」。老師が言う。「謙遜の道とは、自制、祈り、自分自身はあらゆ被造物の下に持すること、これじゃ」。〔主題別15-61〕
429."5t"
師父ティモテオスについて
429.6
司祭である師父ティモテオスが師父ポイメーンに尋ねた、いわく。「アイギュプトスに、売春して、その報酬を施し(ejlehmosuvnh)として与えているある女がいます」。すると師父ポイメーンは云った。「彼女は邪淫の中に留まらない。彼女の内に信仰の果実が見えるからじゃ」。ところで、司祭ティモテオスの母が彼のもとにやって来たことがあった。そこで彼女に尋ねた、いわく。「あの女は邪淫のうちに留まっているのですか」。すると母が言う。「ええ。自分の情人たちにみついでもいます、施しのほかにもね」。そこで、師父ティモテオスは師父ポイメーンに報告した。だが相手は云った。「彼女は邪淫のうちに留まらない」。さて、師父ティモテオスの母がまたもややって来て、彼に云った。「あの淫婦が、わたしといっしょに来ることを求めているのを知っていますか、彼女のためにそなたが祈ってくれるために?」。相手は聞いて、師父ポイメーンに報告した。これに言う。「むしろそなたが出かけてゆき、彼女に会うがよい」。そこで、師父ティモテオスは出かけてゆき、彼女に会った。すると彼女は彼を見、彼から神の言葉を聞いて、打ちひしがれ、泣き、そうして彼に云った。「わたしは、今日から、神に密着し、もう姦淫しません」。売春に身を任せません。そして、直ちに修道院に入り、神に気に入られた。〔主題別13-18〕
2015.12.14.
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