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back.gifギリシア語のエノクの黙示録(1/4)


原始キリスト教世界

ギリシア語のエノクの黙示録(2/4)






第11章
11.1.1
 そのときこそ、祝福の宝庫、天の財産を開こう、そうしてそれを業に、人間どもの息子たちの労苦の報いに運びくだるために。
11.2.1
 そのときこそ、真理と平和がもろともに共有されよう、永遠の日々のすべてにわたって、人間どもの世代のすべてにわたって』。

第12章
12.1.1
 これらの言葉に先だって、ヘノークは受け容れられたが、どこに受け容れられたのか、どこにいるのか、彼に何が起こったのか、人間のうちに知る者は誰もいなかった。
12.2.1
 そして彼の業は寝ずの番人たちとともにあり、彼の日々は聖なる者たちとともにあった。
12.3.1
 そしてわたしヘノークは、偉大さの主、永遠〔複数〕の王をほめたたえて立っていた。すると、見よ、偉大なる聖なる者の寝ずの番人たちがわたしを呼んだ。
12.4.1
 『ヘノークよ、正義の律法学者よ、行け、そして云ってやってくれ、天の寝ずの番人たちに — 天の至高者、永遠の叛乱の聖所を見捨て、女たちと身をけがし、大地の息子たちのように、そのようにみずからも為し、自分たちの妻を娶った連中に。「おまえたちは大いなる堕落で大地を台無しにした、
12.5.1
 だから、おまえたちには平安はもとより、赦罪もないであろう」と。そして彼らが喜ぶ自分たちの息子たちについても、
12.6.1
 「彼らの愛する者たちの殺戮を眼にし、自分たちの息子たちの破滅に呻吟し、永遠に縛られるであろう、そして彼らには憐れみや平安を受けることはないであろう」と』。

第13章
13.1.1
 そこで、ヘノークはアザエールに云った。
 『行け。おまえに永安はあるまい。おまえを縛れという大いなる審判がおまえに対して下された、
13.2.1
 寛恕も代願(erotesis)もおまえにはあるまい、おまえが教えた不正事についても、不敬な業のすべて、不正、罪、これらおまえが人間どもに教示したことについても』。
13.3.1
 そのとき、わたしは行って彼ら全員に云った、すると彼らはすべて恐怖し、戦慄と恐怖が彼らをとらえた。
13.4.1
 そして、自分たちのために代願(erotesis)の覚書を書いてくれるよう〔ヘノークに〕頼んだ、自分たちに赦罪がおこなわれるよう、そしてわたしが、天の「主」の御前で代願(erotesis)の覚書を彼らのために読みあげるよう、
13.5.1
 それは、自分たちはもはや話しかけることができず、自分たちの両眼を天に向けて上げることもできないからである、自分たちが罪を犯し有罪宣告された事柄について、恥ずかしさのあまりに。
13.6.1
 そのとき、わたしは彼らの代願(erotesis)の覚書と祈願(deesis)を書きあげた、彼らの霊について、また彼らが縛られる事柄について、彼らの赦罪と執行猶予が生じるようにと。
13.7.1
 そうして、行って、ヘルモーネイエイムの西南にあるダン地方のダン河のほとりに座っていた。彼らの祈願(deesis)の覚書を読んでいた。
13.8.1
 わたしはそのまま眠った、すると見よ、夢がわたしに臨み、幻がわたしにふりかかり、わたしは怒りの幻を見、声が至ってこう言う、
 『天の息子たちに云え、彼らを叱責する〔言葉を〕」。
13.9.1
 そこで、わたしは夢から覚めると、彼らのところに出かけてゆくと、全員がエベルサタ — リバノンとセニセールの中間にある — に集合して、視力を閉ざされて、座って泣いていた。
13.10.1
 彼らの前で、夢に見た幻のすべてをわたしは報告し、正義の言葉を話し始めた。天の寝ずの番人たちを叱責するために。

第14章
14.1.1
 これは、正義と叱責との言葉の書 — この幻のなかで、大いなる聖なる方の言いつけにしたがい、永遠から生まれた寝ずの番人たちに対する。
14.2.1
 これはわたしがわたしの夢のなかで見たことである、今わたしが、肉の舌でもって、わたしの口の息〔"pneuma"霊?〕でもって言おうとすることは、それら〔舌と息〕と心臓の思念(noesis)でもって、人間どもに話すことを偉大な方がゆるしてくださったことである。
14.3.1
 創造をなさったその方は、天の息子たちである寝ずの番人たちを叱責することをおゆるしにもなったのである。
14.4.1
 わたしは汝ら天使たちの代願(erotesis)を書いた、そしてわたしの幻のなかでは、それは示された。だが、汝らの代願(erotesis)は受け取ってももらえなかった、
14.5.1
 そうして、もはやすべての永遠にわたって、汝らは天に登れず、永遠の全世代にわたって汝らを縛るべく大地の牢屋に突き落とされる、
14.6.1
 また、これに関しては、汝らの愛する息子たちの破滅を汝らは見、彼ら〔息子たちから得られる〕喜びも汝らにはなく、〔息子たちは〕汝らの前で軍刀に斃れるであろうということ、
14.7.1
 そして汝らの代願(erotesis)は、彼ら〔息子たち〕についてはもとより、汝らについてもないだろう。そして汝らは泣き、縛られ、わたしが書いた書面にある片言隻句も話すことはできない。
14.8.1
 また幻によってわたしに次のように示された。見よ、群雲が幻のなかで呼び、霧がわたしに声をかけ、星辰の軌道と稲妻がわたしを急き立て、わたしをかき乱す、諸々の風もわたしの幻のなかでわたしを吹き飛ばし
14.9.1
 わたしを上へ引き上げ、わたしを天の中に運びこみ、わたしは霰の石〔"lithoi chalazes"=水晶〕で建てられ、そのぐるりを火の舌で囲まれた城壁の近くまで入っていった。そして恐怖の念がわたしにおこってきた。
14.10.1
 そうして火の舌をくぐって入り、霰の石で建てられた大きな館に近づくと、その館の壁は石版のよう、〔石版〕全体が雪〔=水晶〕からでき、土台も雪〔=水晶〕づくり、
14.11.1
 屋根も星辰の軌道や電光のごとく、その間に火のケルウブたちがおり、彼らの天は水〔のように澄んでいた〕、
14.12.1
 そして燃えさかる火が壁のぐるりを取りまき、扉も火で燃えあがっている。
14.13.1
 その館にわたしは入っていった、
火のように熱く、雪のように冷たく、生き物の食べ物はそこには全くなかった。 恐怖がわたしをつつみこみ、戦慄がわたしをとらえた。
14.14.1
 そのためわたしは震えおののいていた、
そして身をなげだした。わたしの幻のなかでわたしは見つめた、
14.15.1
 すると、見よ、別の扉が開いていて、
わたしの向かい側に、これよりもっと大きな館があった、すべてが火の舌で建てられていた、
14.16.1
 しかもすべてが栄光の点でも名誉の点でも偉大さの点でも抜きん出ているあまりに、わたしは汝らに、それの栄光についても偉大さについても言い尽くすことができないほどである。
14.17.1
 この〔館の〕土台は火ででき、それの上方には、電光と星辰の軌道とがあって、その〔館の〕屋根も燃える火でできていた。
14.18.1
 さらに、わたしは見つめて、高い王座を見た、その形は水晶のよう、輪郭は光り輝く太陽のそれのよう、ケルウブたちの声(oros)〔???〕もした。
14.19.1
 そして、王座の下方へと火の燃えさかる河がいくつも流れ出ており、〔王座そのものを〕わたしは見ることができなかった。
14.20.1
 そして大いなる栄光がそこに座していた。その外套は太陽の姿のよう、どんな雪よりも輝かしく白い。
14.21.1
 そして、どんな天使もその館に近づくことはできず、名誉と栄光のあまりに、その顔を見ることもできず、どんな肉も、彼の、
14.22.1
 ぐるりに燃えさかるその火を見ることもできなかった。大きな火が彼の前に立ちはだかり、彼に近づける者は誰ひとりいない。
彼の御前には、幾万もの〔天使たち〕がぐるりと立っていたが、どんな言葉も彼のもの〔他は言葉もない〕。
14.23.1
 そして聖なる天使たち、彼の近くに或る者たちは、夜間、引き下がらないのはもちろん、〔昼間も〕彼から離れることはない。
14.24.1
 わたしは、そのときまで、わが顔を覆って、ふるえていた、すると主がその口をもってわたしを呼び、わたしに云った、
 『こちらへ近く寄れ、ヘノークよ、わが言葉を聞け』。
14.25.1
 すると、聖なる者たちのひとりがわたしに近づいてきて、わたしを起ちあがらせ、わたしを立たせた、そうしてわたしを王座のところまで連れて行った。しかしわたしはわが面を伏せてうつむいていた。

第15章
15.1.1
 すると〔聖なる者が〕答えてわたしに云った。
 『真実なる人間、真理の人、律法学者よ』。
 すると、あの方の声をわたしは聞いた。
 『怖れるな、ヘノークよ、真実なる人、真理の律法学者よ。ここへ近く寄れ、そしてわしの声を聞け。
15.2.1
 行って、おまえを遣わした者どもに云え、「執り成しをしなくてはならぬのは、おまえたちが人間どものためにであって、人間どもがおまえたちのためであってはならぬ。
15.3.1
 何ゆえおまえたちは、永遠の聖なる高みである天を捨てて、女たちと同衾し、人間どもの娘たちと身をけがし、自分たちの妻に娶ったのか? おまえたちは大地の息子たちのようにふるまい、自分たちの生子、巨人の息子をもうけた。
15.4.1
 おまえたちも聖なる者にして永遠の生きる霊であったのに、女の血によって身をけがし、肉の血によって生み、人間どもの血において欲情した。自分たち自身も肉と血となったかのように、〔彼ら=肉と血は〕死ぬ身であり、滅びる者たちである。
15.5.1
 それゆえ、彼らには牝を与えた、それ〔=牝〕に種まき、そういうふうにそれによって生子を出産するため、地上における彼らの業がすべてなくならないためである。
15.6.1
 これに反し、おまえたちは、永遠の生きた霊であり、永遠の全世代にわたって死ぬことはない。
15.7.1
 それゆえにこそ、わしはおまえたちには牝をつくらなかった。諸々の霊は天に属し、天が彼らの住処である。
15.8.1
 ところが今や、巨人たち、霊と肉から生まれた者たちが地上にあって強力な霊となり、彼らの住処は地上にある。
15.9.1
 邪悪な霊が彼らの身体から出てきた、その所以は、上方にあるものらから生まれたからである、そうして、彼らの創造の起源と土台の初めは、聖なる寝ずの番人たちからなっているからである。彼らは邪悪な霊と呼ばれることになろう。
15.10.1
 天の霊たちは、天にその住処があり、地上に生まれた霊たちは、地上にその住処があることになろう。
15.11.1
 そうして、巨人たちの霊は雲たちに不正し、抹殺し、襲撃し、取っ組み合い、巨人たちの耳障りな霊は、ともに地上に投げ飛ばされ、競走し、何ものも喰わず、絶食し渇き、霊たちは躓く。
15.12.1
 そして彼らは人間どもと女たちとの息子たちに反逆する、彼らから出てきたからである。

第16章
16.1.1
 殺戮と破滅と死の日から、霊たちは彼らの肉の魂から出て行き、審判なしに堕落するであろう。こうして、最後の日、大いなる永遠が終わる、大いなる審判〔の日〕まで台無しにし続けるだろう。
16.2.1
 ところが今や、自分たちのために執り成しをするようそなたを寄こした寝ずの番人たち、かつて天にあった者たちに〔云うがよい〕。
 「おまえたちはかつて天にあった、そしておまえたちに開示された秘義をすべて、神から与えられた秘義をおまえたちは知り、これをおまえたちの心の頑なさゆえに女たちに漏らし、この秘義によって牝たちや人間どもは生子を地上にはびこらせた」。そこで彼らに云うがよい。「平安のあることなし」と』。

第17章
17.1.1
 そうして〔天使たちは〕わたしを引き取って、ある場所に連れて行った、そこにいる者たちは火のように燃えさかり、望めば、人間のような姿を現すのだった。
17.2.1
 また、彼らはわたしを暗黒の場所に、山 — その頭が天にまで届く — に連れて行った。
17.3.1
 そしてわたしは見た、光り輝く者たちの場所と、星辰と雷たちとの蔵とを、そして空気の底には、火の弓と矢弾とその矢筒と稲妻とがあった。
17.4.1
 さらに彼らはわたしを水まで、日没の地 — それはすべての日没をもたらすところでもあった — の火まで連れて行った。
17.5.1
 さらにわたしたちは火の河までおもむいた、そこでは火が水のように流れくだり、日没の大海に注ぎこんでいた。
17.6.1
 わたしは大きな河川を見た、そして大河まで、大いなる暗黒までたどりつき、どんな肉も歩きまわらぬところにおもむいた。
17.7.1
 わたしは見た、暗黒の冬の雲たちと、底なしの深淵にあるすべての水の流出とを。
17.8.1
 わたしは見た、大地にあるすべての河川の口と、底なしの深淵の口を。

第18章
18.1.1
 わたしは見た、すべての風たちの蔵を、わたしは見た、それら〔風たち〕によってすべての被造物たちと大地の土台とを〔神が〕飾ったことを、そして大地の隅の石をわたしは見た。
18.2.1
 わたしは見た、大地を支える4つの風たちと、
18.3.1
 天の土台を、そして彼ら〔風たち〕は大地と天との間に立っている。
18.4.1
 わたしは見た、諸々の天の風が向きを変え、太陽の回転を合図するのを、そしてあらゆる星辰を〔わたしは見た〕。
18.5.1
 わたしは見た、地上の風が雲を運ぶのを。わたしは見た、大地の果てを、天の上方への支えを。
18.6.1
 通りすぎて、わたしは見た、夜も昼も燃える場所を、そこには高価な石でできた7つの山々が、3つは日の出の方角に、3つは南に横たわっているのを。
18.7.1
 そして、日の出の方角にある〔山々〕は、色つき石からできたのがひとつ。真珠の石からできたのと、石からできたのが連なり、南にあるのは火色の石からできていた。
18.8.1
 また、それらの真ん中の〔山〕は天に達し、神の王座のごとく からでき、王座の頂はサファイア石からできていた。
18.9.1
 また燃える火を見た。これらの山の向こうに、
18.10.1
 大地の果ての場所がある。諸々の天はここに尽きるのであろう。
18.11.1
 さらに、火の柱が幾本もくだってくる大きな裂け目を見た、深さも高さも計り知れなかった。
18.12.1
 そして、この裂け目の向こうに、上に天の天蓋もない場所を見た、その〔天の〕下に土台をなす大地もなく、その〔裂け目の〕下には水もなく、鳥も飛ばず、荒涼たる怖ろしい場所であった。
18.13.1
 そこに7つの星が、大きな山のように燃えているのをわたしは見た、これについて聞くわたしに
18.14.1
 天使が云った、
 『これは天と地の終わるところ。これは星たちと天の権能者たちとの牢獄である。
18.15.1
 この火の中を転がっている星たちも、この連中は自分たちの上昇の初めに、主の命令に背いた者たち — 天の外の場所はむなしいから — 自分たちの適時に出現しなかったからである。
18.16.1
 そこで〔神が〕彼らに怒られ、これを縛られたのである、彼らの罪の完了の時まで、その期間は、1万年間である』。

第19章
19.1.1
 さらにウウリエールがわたしに云った。
 「女たちと交わった天使たちはここに立たされるであろう、そして、彼らの霊たちはさまざまな形をとって人間どもをけがし、精霊たちに供儀するようこれを惑わすであろうが、それも大いなる審判〔の日〕までのこと、その日に裁かれて終わるであろう。
19.2.1
 また彼らの女たちも、天使たちが途を踏み外したのだから、セイレーンたちとなるだろう」。
19.3.1
 これらの光景を、万事の果てを見たのは、わたしヘノークだけである、人間たちのうちひとりとして、わたしが見たように見たものは決していない。

第20章
20.1.1
 軍団の天使たち〔は以下のとおり〕。
20.2.1
 ウウリエール、聖なる天使たちのひとり、世界と奈落に〔配置されているもの〕。
20.3.1
 ラパエール、聖なる天使たちのひとり、人間どもの霊たちに〔配置されているもの〕。
20.4.1
 ラグウエール、聖なる天使たちのひとり、光輝くもの(phoster)たちの世界に復讐するもの。
20.5.1
 ミカエール、聖なる天使たちのひとり、民人の善きものらに配置されている、また混沌を〔つかさどるもの?〕。
20.6.1
 サリエール、聖なる天使たちのひとり、霊に対して罪を犯すような霊たちに〔配置されているもの〕。
20.7.1
 ガブリエール、聖なる天使たちのひとり、楽園と竜たちとケルウブたちとに〔配置されているもの〕。〔以上が〕天使長たち7人の名前である。
 〔ここには6名の名前しかないが、別の写本には、「レメイエール、聖なる天使たちのひとりで、神はこれを反抗者たちに向けて配置した」とある。〕

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