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back.gifギリシア語のエノクの黙示録(2/4)


原始キリスト教世界

ギリシア語のエノクの黙示録(3/4)






第21章
21.1.1
 さらに道を進んで、形の整わぬ〔混沌の地〕にまでいたった。
21.2.1
 そして、そこでも、怖ろしい業をわたしは眼にした。わたしは上界の天を見たのでもなく、わたしが眼にしたのは、土台として据えられた大地でもなくて、形の整わぬ怖ろしい場所であった。
21.3.1
 そして、そこでもわたしは眼にした、天の7つの星たちが縛られ、そこ〔天〕にいっしょにうち捨てられているのを、山々と同じくらい大きく、そして火に包まれて燃えているのを。
21.4.1
 そのときわたしは云った、
 「いかなる理由で、捕縛されているのですか、いったいいかなる理由でこういうふうにうち捨てられたのですか?」。
21.5.1
 そのときウウリエールがわたしに云った、〔ウウリエールは〕聖なる天使たちのひとり、わたしに同行していた — みずからも彼ら〔聖なる天使たち〕を指揮していた — そしてわたしに云った。
 『ヘノークよ、誰のことを尋ねているのか、それとも、誰について真理を熱愛しているのか?
21.6.1
 これは天の星たちに属するものらにして、主の命令(epitage)を踏み外したものら、それでかく縛られている、1万年が充たされるまで、自分たちの犯した罪の期間』。
21.7.1
 さらにそこから道を進んで、この〔場所〕よりも怖ろしい別の場所にたどりついた、そしてもっと怖ろしい業をわたしは眼にした、そこには大きな火が燃えあがり、燃えさかり、その場所は、底なき深淵に達する裂け目を有し、〔その裂け目は〕下向きに燃えあがる大きな火柱に満ち満ちていた。その規模も幅も、わたしは見ることはもとより、想像することさえできなかった。
21.8.1
 そのとき、わたしは云った、「ここは何と怖ろしいところか、何と眼にも恐ろしいことか」。
21.9.1
 そのとき聖なる天使たちのひとり — わたしの同行者だった — がわたしに答えて、わたしに云った。
 『ヘノークよ、何ゆえ怖れるのか? それほどまでに怖じ恐れるのはいったい〔どうしたこと〕か?』。
 そこでわたしは答えた。
 「この場所が怖ろしくて、この外見が恐ろしくて」。
21.10.1
 すると彼が云った。「この場所は天使たちの牢屋である。永遠に至るまで永遠の間、こうやっていっしょに抑留されるであろう」。

第22章
22.1.1
 そこからさらに道を進んで、別の場所にたどりつき、日没の方角に、大きくて高い、硬い岩からできた別の山をわたしに示した。
22.2.1
 その〔場所〕には、4つの窪地があり、深さを有し、ひどくすべすべしていた、そのうち3つは暗黒で、ひとつは光り輝き、これの真ん中には水の源があった。そこでわたしは云った、
 「これらの窪地がすべすべしていて、非常に深く、見た目に暗黒なのはどうしてですか?」。
22.3.1
 そのとき答えてくれたのがラパエール、聖なる天使たちの一人で、わたしの同行者であったが、わたしに云った、
 『これらの窪地は、死者たちの魂たちの霊たちがここに集合させられるためのもの。人間どもの魂たちすべてがここに集合するよう、まさにそのように定められているのだ』。
22.4.1
 そしてこれらの場所は、彼らの受付をなすのだ、彼らの審判の日まで、つまり、大いなる審判が彼らに対して行われるその定めの時、定められた時まで』。
22.5.1
 わたしは死んだ人間どもが訴えるのを眼にしたが、彼の声が天まで達し、訴えていた。
22.6.1
 そこでわたしはラパエール、わたしに同行していた天使に尋ねて、これに云った、
 「訴えているこの霊は誰のですか、彼の声がこのように天にまで達し、訴えているのはなぜですか?」。
22.7.1
 するとわたしに答えて言った、
 『この霊は、兄弟カインが殺したアベルから出たものです、アベルは彼〔カイン〕を訴えているのです、その種が大地の表から破滅するまで、人間どもの種からその種が消滅するまで』。
22.8.1
 そのときわたしは取りまいているものすべてについて尋ねた、何ゆえひとつはひとつから隔たっているのかを。
22.9.1
 するとわたしに答えて言った、
 「これらの3つ〔の窪地〕は、死者たちの霊たちが隔てられるために作られた。そしてこういうふうに隔てられているのは、義しい人たちの霊たちのためである、ここにある水の源は、光り輝いているのです。
22.10.1
 そして、こういうふうに設営されているのは、罪人たちが死んで地中に埋められるとき、彼らの〔霊たちのために〕である、そして審判も、彼らの存命中は、彼らに行われない。
22.11.1
 彼らの霊はここに隔てられ、この大いなる責め苦を受けるのです、審判、つまりは、鞭と永遠に至るまでの呪われた責め苦を受ける大いなる日まで。報いはいつも霊たちの受けるものだ。ここで永遠に至るまで〔神は〕彼らを縛られるであろう。
22.12.1
 またこういうふうに、訴える者たちの霊たちのためにも隔てられている、破滅について告発する者たちが、罪人たちの日々に殺された場合には。
22.13.1
 またこういうふうに、人間どもの霊たちのためにも設営されているのです、敬虔でなく、罪人で或る者たち、そして無法者たちの共犯者となった者たちは。しかしこれらの霊たちは、彼ら〔無法者たち〕ほどには懲罰を受けることなく、審判の日に罰せられることなく、ここで甦らせなおされることもない」。
22.14.1
 そのとき、わたしは栄光の主を祝福し、そして云った、
 「祝福すべきかな、正義の主、永遠の主なる方は」。

第23章
23.1.1
 そこからさらに道を進んで、日没の方角に、大地の果ての別の場所にたどりついた。
23.2.1
 そうしてわたしは眼にした、駈けぬける火 — 休みなく、走路に欠けることもなく、昼も夜もわかたず〔走り〕続ける火を。
23.3.1
 そこでわたしは尋ねて言った。「休息を持たざるこれは何ですか?」。
23.4.1
 そのとき、ラパエール — 聖なる天使たちの一人で、わたしに同行していた — がわたしに答えた。
 「これは火の走路、日没の方にある火は、天の光り輝くものたちを追いかけるもの」。

第24章
24.1.1
 さらに彼は、夜の間燃える火の山々をわたしに示した。
24.2.1
 さらに、それらの向こう側にわたしは前進していって、7つの山をわたしは眼にした、〔その山々は〕いずれもが輝かしく、それぞれがそれぞれと相違せず、それらの〔山々の〕石は美しさの点で貴く、いずれもが高貴で輝かしく姿よく、3つは日の出の方角に一所に鎮座し、3つは南に一所に〔鎮座していた〕、そうして谷(pharanx)は深く険阻で、ひとつはひとつに接していない、
24.3.1
 さらに山についていえば、第7の山が、それら〔6つの山々〕の真ん中にあって、王座の座席に似て、高く聳え立ち、姿よき樹木がこれを取りまいていた。
24.4.1
 さらに、それら〔の樹木〕のなかには、わたしがいまだかつて匂いを嗅いだこともなく、これを享楽した者もほかに誰もなく、これに似た樹はほかに何もないような樹があった。どんな香料よりもよい匂いのする香りを有し、その葉、花、木〔幹〕は永遠に衰えることがない。果実の房はナツメヤシのそれのよう。
24.5.1
 そのときわたしは云った、この樹はなんと美しく、よい匂いがし、葉はうるわしく、その花も見た目にうるわしい、と。
24.6.1
 そのとき、ミカエールがわたしに答えた、〔ミカエールは〕聖なる天使たちの一人で、わたしに同行していた — 彼もまた彼ら〔天使たち〕を指導していた —

第25章
25.1.1
 そして〔その彼が〕わたしに云った、
 「ヘノークよ、何を尋ねているのか、いかなる点でこの樹の香りに驚いているのか、いったい何ゆえに真理を学び知りたいのか?」。
25.2.1
 そのとき、彼に答えた、
 「すべてについて知りたいのです、とりわけこの樹については格別に」。
25.3.1.
 すると答えて言った、
 『この高い山、その頂が神の座に似ているこの山は、偉大なる主、永遠の王である栄光の聖なる方が、大地を善の方に監督するために降りてこられるときに座る座席である。
25.4.1
 そしてこの、よい匂いのする樹は、大いなる審判〔日〕まで、肉はひとつとしてこれに触れることはできない、〔この日に〕永遠に至るまで、あらゆるものの復讐と終末とがある。そのとき、義なる人たち神法にかなった人たちに与えられるであろう
25.5.1
 この〔樹の〕果実が、北の方に、選びぬかれた人たちの生命のために〔与えられるであろう〕、そして聖なる場所、永遠の王である神の家のそばに植えかえられるであろう。
25.6.1
 そのとき、彼ら〔義人たち〕は享楽に享楽をかさね、喜び、聖なるところに入ってゆくであろう。この〔樹の〕香りは彼らの骨にしみ、〔彼らは〕汝の父祖たちが求めた長命を地上に求めるであろう、そして彼らの〔人生の〕日々に、責め苦も打撃も鞭も彼らに触れることはあるまい』。
25.7.1
 このときわたしは栄光の神、永遠の王を祝福した、義しい人間どもにこのようなことを用意し、これを創造し、彼らに与えると云った方を。

第26章
26.1.1
 そこからさらに道を進んで、大地の真ん中に至り、祝福された場所を見た、そこには、切り倒された樹の、生き残って芽を吹いた挿し木を有する樹々があった。
26.2.1
 ここでも聖なる山〔シオン山〕を眼にした。その山の麓に水〔シロアムの流れ〕が日の出の方角から南西に〔流れていた〕。〔???〕
26.3.1
 また、日の出の方角に、これよりも高い別の山〔オリブ山〕があり、そしてそれの真ん中に深い谷〔キデロン谷〕があり、〔この谷は〕幅はなかったが、この〔谷〕には水が山の麓を流れていた。
26.4.1
 さらにこの日没の方角に、これよりも低い別の山〔とがの山〕があり、高さはなかったが、それらの〔山々の〕真ん中に、深い、涸れた谷〔ヒンノムの谷〕があり、3つの山々の端の方に、別の深い涸れた谷があった。
26.5.1
 そしてすべての谷は深く、硬い岩から成り、そこには樹木が生えていなかった。
26.6.1
 そこでわたしはこの谷を眼にして、ひどく驚いた。

第27章
27.1.1
 そこでわたしは云った、
 「何ゆえこの土地は祝福され、すべて樹々に満ちているのに、この谷だけは呪われているのですか?」。
27.2.1
 『この地が呪われているのは、永遠に呪われている者たちのせいである。呪われた者たちは全員がここに集結させられるであろう、〔呪われた者たちとは〕自分たちの口で、主に対してみっともない声で言い立てる者、その栄光に関して耳障りなことを話す者たちである。彼らはここに集結させられ、ここが住処となろう。
27.3.1
 究極の永遠の間、真なる審判の日々に、義しい者たちの前で、栄光の主に不敬を働いた者たちは、ここで祝福するのです、永遠の王を。
27.4.1
 彼らの審判の日々、自分たちに分け与えたように、憐れみを祝福するであろう』。
27.5.1
 そのとき、わたしは栄光の主を祝福し、その栄光を明らかにし、偉大な方にふさわしく讃美した。

第28章
28.1.1
 さらにそこから道を進んでマンドバラの中央にいたり、その沙漠をわたしは見た。じっさいに一面の沙漠なのに
28.2.1
 樹々に満ち、種蒔き時には上から水がほとばしりくだり、
28.3.1
 豊かな水流のごとく、北の方と同じく日没の方にも、至る所から水と露を吹き上げている。

第29章
29.1.1
 なおもそこから道を進んで、バブデーラにある別の場所にたどりついた、するとこの山の日の出の方角に行き着き、
29.2.1
 そしてわたしは裁きの樹を見た、〔その樹は〕乳香やスミュルナの香料〔の匂い〕を発散し、それらの樹々はカリュアに似ていた。

第30章
30.1.1
 さらにそれら〔樹々〕の向こうに、遠く日の出の方に行き着き、別の大きな場所を、水のある谷を見た、
30.2.1
 そこにも、スキノスに似た香料の色をした樹々があり、
30.3.1
 そしてこれらの谷の岸にある樹々も香料の肉桂なのを見た。さらにその向こう側、日の出の方角に行き着いた。

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