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原始キリスト教世界

外典のヨハネの黙示録(1)





[解説]
 不明。



[底本]
TLG 1158
APOCALYPSIS JOANNIS
(A.D. 2?)
1 1
1158 001
Apocalypsis apocrypha Joannis, ed. C. Tischendorf, Apocalypses
apocryphae. Leipzig: Mendelssohn, 1866: 70-93.
(Cod: 2,961: Apocalyp., Apocryph.)





外典のヨハネの黙示録

"t"
ヨハネの黙示録
「神-言(ロゴス)」論者・聖イオーアンネースの黙示録

第1章
 わたしたちの主イエースウス・クリストスの復活(analepsis)の後、わたしイオーアンネースはタボール山にいた、そこにおいて、その生粋の神性(theotes)をわたしたちに教示なさった、そのためわたしは立っていることができず、地面に身を投げ出して主に祈って云った。
 「主よわが神よ、わたしがあなたの奴隷となることを認めてくださった方よ、わたしの声をお聞きくださり、あなたの臨在(eleusis)をわたしにお教えください。将来、この地上にやってこられるとき、何が起こることになるのでしょうか? 天と地と太陽と月は、その時期にはどういうことになるのでしょうか? わたしにすべてを闡明してください。あなたの奴隷に耳を傾けてくださるなら、わたしは心強いでしょう。

第2章
 そして7日間、わたしは祈りつづけた、するとその後、光り輝く雲がわたしを山から引っさらい、わたしを天の前に立たせた、すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「見上げよ、わが奴隷イオーアンネースよ、そして知れ」。
 そこで見上げてわたしは天が開いているのを見た、すると天の内側から薫香の数々のよい香りのする匂いが漂ってきて、太陽よりも光輝にみちたすこぶる多数の光の奔流を見た。

第3章
 すると再び声がわたしに言うのを聞いた。
 「観よ、義人イオーアンネースよ」。
 そこで眼を上げた、そして本があるのを見た、わたしのみるところ、その厚さは山7つ分あった。しかしその1辺は、人間どもの理性では把握できず、7つの封印を有していた。そこでわたしは云った。
 「主よわが神よ、この本の中には何が書かれているのか、わたしに闡明してください。

第4章
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。おまえが眼にしたこの書物は、天上のこと、地上のこと、底なしの深淵のこと、そしてあらゆる人間的自然の裁き(krimata)と正義が書かれている」。

第5章
 そこでわたしは云った。
 「主よ、それが起こるのはいつになるのですが、その時節はいったい何が違うのですか?」。
 すると声がわたしに言うのが聞こえた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。その時(kairos)には食い物と飲み物との満足が生じることになろう、それは、かつてこの地上にあったことがなく、これからもあの時節がやってくるまではけっしてあることのないような〔満足である〕。そのとき、穀物の穂は半コイニクス〔の稔り〕を生じ、〔ブドウの〕若枝の腕も千粒を生じ、一粒が半スタムノスの葡萄酒を生じる。しかしそれ以後の年は、全地の面に半コイニクスの穀物も見つけられず、半スタムノスの葡萄酒も見つけられない」。

第6章
 そこで再びわたしが云った。
 「主よ、そのときから何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき現れるのが、否定者(arnetes)、つまり、闇の中に追い払われていた者、いわゆるアンティクリストスである」。  そこで再びわたしは云った。
 「主よ、それはどんな者か、わたしに闡明してください」。

第7章
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「彼の面相は暗い色をしている、彼の頭の毛は矢のように鋭く、彼の眉毛は野人のそれのごとく、彼の右の眼は夜明けに昇る星のごとく、もう片方の眼はライオンのそれのよう、彼の口は1ペーキュスほどあり、彼の歯は数スピタメーあり、彼の指は鎌のごとく、彼の足跡は2スピタメーある、そして彼の額にはアンティクリストスという文字がある。天に届くほど高くのぼり、冥府に届くほど降るであろう、種々の偽りの幻影を見せながら。そのときこそ、天を青銅となそう、大地に露を与えないために。そして隠された諸々の場所に雲たちを隠そう、地上に露をもたらさないために。そして風たちの角を制止しよう、地上に風が吹かぬように」。

第8章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、いったいどれほどの年数、その者は地上ですごすのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。その時節は3年間続くであろう、ただし、3年を3カ月とし、3カ月を3週間とし、3週間を3日とし、3日を3刻限とし、3刻限を3刹那にわたしがしよう、預言者ダウイデが云ったとおりに。『彼の王座をあなたは地に投げ捨て、彼の時代の日々を縮め、彼を恥で覆われた』〔詩篇(七十人訳)88_45-46〕と。そのときこそ、彼を非難するために、エノークとヘーリアを遣わそう、そうすれば、彼を嘘つき、ペテン師だと彼らは証明しよう、だが、〔アンティクリストスは〕彼らを供犠の祭壇の上に引きずりあげるであろう、預言者が云ったとおりに。『そのとき、彼らは仔牛たちをあなたの生贄の祭壇に捧げるであろう』〔詩篇(七十人訳)50_21〕と」。

第9章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何が起こることになるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、すべての人間的自然は終わるであろう、そして全地の上に生きた人間はいないであろう」。
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからあなたは何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを遣わそう、そうして彼らは雲の上にある破城槌(krios)の角を持ち上げ、天から繰り出し、ミカエールとガブリエールはあの角笛を吹き鳴らすであろう、預言者ダウイデが予言したとおり、『角でできたラッパの音で』〔詩篇(七十人訳)97_6〕。そしてラッパの音はひとの住まいする地の果てから果てまで聞かされることになろう。そしてそのラッパの音によって、全地が揺すぶられるであろう、預言者が予言したとおりに、そうしてすべての草は『雀の声によって起ちあがる』〔伝道の書12_4〕、すなわち、すべての人間的自然は天使長の声によって甦るであろう」。

第10章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、アダムから今日までに死んだ者たち、また、永遠の〔昔〕から冥府に住んでいる者たちや、永遠の終末までに死ぬ者たちは、どれくらい甦るのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。すべての人間的自然は30年間甦るであろう」。

第11章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、雄と雌が命終し、他には年寄りたちも、他には若者たちも、他には幼児たちも〔命終する〕。甦りの際には、どれくらい甦るのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。例えば、蜜蜂たちがおり、1匹は1匹と異なるところなく、すべてがひとつの種類、ひとつの年齢に属しているように、甦りの際にも、人間はすべて同様であろう。黄色も赤色も黒色もないばかりか、アイティオピア人とか異なった顔とかもない。いやそれどころか、全員がひとつの種類、ひとつの年齢に属して甦るであろう。すべての人間的自然が身体なきものとして甦るであろう、あなたがたにわたしが云ったとおりである、甦りの際には、娶ることもなく、嫁ぐこともない、神の天使たちのようになるのみ、と〔マタイ22_30、マルコ12_25、ルカ20_35〕」。

第12章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、その世界では、お互いを認知しあうことができるのですか、兄弟が兄弟を、あるいは友が友を、あるいは父が自分の生子を、あるいは子らが自分の両親を?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、イオーアンネースよ。義人たちには同認(gnorismos)が生じる、しかし罪人たちには断じて〔生じない〕、甦りの際にもお互いを認知しあうことはできない」。
 そこで再びわたしイオーアンネースは云った。
 「主よ、そこでは、野生のものとか、葡萄の木とか、あるいはほかにこの世にあることとか、そういったものの考え(enthymesis)はあるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。預言者ダウイデが主張してこう言っている。『われは記憶せり、われら土塊なることを。人間は、その日々が青草のよう。野の花のように、そのように咲くであろう、風がその中をよぎると、〔それは〕なくなり、その場所をもはや気づくこともない』〔詩篇(七十人訳)102_14-16〕さらに、同じ人が続けて云った。『彼の霊(pneuma)は出て行き、おのが土に還る。その日、彼の諸々の企て(dialogismos)はみな滅びる』〔詩篇(七十人訳)145_4〕」。

第13章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを全地の面に遣わそう、そうして彼らは大地から取りあげるであろう、あらゆる輝かしいもの、あらゆる貴いものを、さらに7つの聖なる似像を、さらに輝かしく貴い十字架〔複数〕を、さらに諸々の教会の聖なるものらを、さらに神的で聖なる書物〔複数〕を。そうして、貴く聖なるすべてのものが雲たちによって天空に引き上げられよう。そのときこそ、大いなる神厳の王笏 — それによってわたしの両手を広げた — が引き上げられるようわたしは命じよう、すると、わたしの天使たちの部隊すべてがこれを礼拝するであろう。そのときこそ、すべての人間的自然は雲上に上げられるだろう、使徒パウロスが予言したとおりに。『わたしたちは彼ら〔キリストにあって死んだ人々〕とともに雲に包まれてさらいゆかれるでろう、天空で主と出会うために』〔テサロニケ人への第1の手紙4章17〕。そのときこそ、すべての邪悪な霊は、地上のも、底なしの深淵のも、どこであれ、太陽の昇る方角から沈む方角にいたるまで、全地の面にあるものが出てくる、そうして、悪魔から〔差し向けられてこれに〕仕えた者、あるいはアンティクリストスにすがりつき、そして雲たちの上に引き上げられるであろう」。

第14章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、わたしの天使たちを全地の面に遣わそう、すると彼らは大地を8千5百ペーキュス焼きつくし、大きな山々も焼きつくされ、すべての岩々も熔解させられて塵のごとくになるであろう、また焼きつくされるであろう、すべての森も、家畜も、地を這うすべての爬虫類も、地の面を腹這いゆくすべてのものも、また空を飛ぶすべての鳥類も、そして震われるようなものは全地の面にもはやなく、大地は不動となるであろう」。

第15章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、日の出の方角の4つの部分を啓こう、すると大きな4つの風たちが出てきて、大地の果てから果てまで、大地の面にあるものをすべて吹き分けるであろう。そうして主は大地から罪を吹き分け、大地は雪のように白くなり、紙のようになり、洞穴とか山とか丘陵とか岩とかをもたず、大地の面は、日の出の方角から日没の方角まで、卓のようになり、雪のように白くなるであろう。そして大地の腎臓は焼かれ、わたしに向かってこう言って叫ぶであろう。『わたしはあなたの御前に処女としています、主よ、わたしの内に罪はありません』。預言者ダウイデが予言したとおりである。『わたしをヒソプで清めてください、そうしたらわたしは清くなるでしょう、わたしを洗ってください、そうしたら雪よりも白くなるでしょう』〔詩篇(七十人訳)50_7〕。さらにまたこうも云っている。『すべての峡谷は埋められ、すべての山や丘陵も平らにされ、高低のあるものは平らとなり、でこぼこ道は平坦な道となり、すべての肉は神の救いを眼にしよう』〔イザヤ40_4〕」。

第16章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、大地は罪から清められ、全地は芳香に満たされるであろう、わたしが大地に降りて行くためである。そのときこそ、大いなる神厳の王笏が、これを礼拝する幾千もの天使たちを引き具して出てくる、わたしが予言したとおりに。『そのときこそ、人の子のしるしが、多大な軍勢と栄光をともなって、天から現れるであろう』〔マタイ24章30〕。そのときこそ、不正の遂行者(ergates)は、おのが従者ともども、これを観、歯の根もあわず、かくて不浄な霊はすべて敗走させられるであろう。そのときこそ、眼に見えぬ軍勢に制覇され、逃げこむところもなく、彼〔不正の遂行者?〕に対して歯を軋らせて彼に言うであろう。『あんたの軍勢はどこにいるのか? どうやってわれわれを惑わしたのか? われわれは持てる栄光から逃亡し脱落した、われわれとすべての人間的自然を裁くためにやってくる方のせいで。ああ、わざわいなるかな、われわれは、彼は外なる闇の中にわれわれを追い出すのだから』」。

第17章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「そのとき、天使を天から遣わそう、すると彼は大きな声でこう言って叫ぶだろう。『聞け、大地よ、そして強くなれ、主は言われる。すなわち、「おまえのところに降りて行く」と』。そうして天使の声はひとの住まいする地の果てから果てまで、底なし深淵の端まで聞こえることであろう。そのときこそ、天使たちと多目(polyommata)の軍勢はすべて揺すぶられ、諸天に大きな騒音が起こるであろう、そうして天の9つの葉がゆすぶられ、天使たち全員のうえに恐怖と茫然自失状態が生じよう。そのときこそ、諸天は太陽の昇る方角から日没の方角にいたるまで引き裂かれ、大地に数知れぬ天使たちの大群が降りて来るだろう、そのときこそ、諸天の宝物庫が開き、あらゆる貴きもの、薫香の薫りさえも降ってくる、そしてヒエルウサレームを、装いを凝らした雲のように彼らは地上に運び下ろしてくる。そのときこそ、わたしの前を幾万の天使たちと天使長たちが行進するであろう、わたしの王座を運びながら、こう叫びながら。『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍(Sabaoth)の主は。天と地はあなたの栄光に満たされた』。そのときこそ、わたしは軍勢と多大な栄光をともなって繰り出そう、そしてすべての眼は群雲の上にわたしを眼にするだろう、そのときこそ、天上の者・地上の者・地下のものらは膝まずくであろう。そのときこそ、天は空(から)となり、わたしは地上に降りて行き、天空にあるすべてのものは地上に運び下ろされ、すべての人間的自然と、アンティクリストスとともなるすべての邪悪なる霊は、裸のまま、首をねじ曲げられて、すべてがわたしの前に立たされるであろう」。

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第18章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、諸天と太陽と、星々とともに月は、どうなるのでしょうか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「観よ、義人イオーアンネースよ」。
 そこで見つめて、7つの眼と7つの角をもった子羊を見た。すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「この子羊が前にやってくるよう命じよう、そして云おう。『この書を開くのは誰か?』。そうすれば、天使たちの全大軍が答えるであろう。『この書を子羊に与えてください、これを開くために』。そこでそのときにこの書が開かれるよう命じよう。

第19章
そして〔子羊が〕第1の封印を開くとき、天の星々が端から端まで落ちるであろう。そして第2の封印を開くとき、月は隠され、それに光はないであろう。そして第3の封印を開くとき、太陽の光は途切れ、地上に光はないであろう。そして第4の封印を開くとき、諸天は崩壊し、大気は形なしとなろう、預言者が主張するとおりである。『諸天もあなたの両手の業(erga)である。それらは破滅するが、あなたはいつまでもとどまる、そしてすべてのもらは着物のように古びるであろう』〔ヘブル人への手紙1_10-11〕。そして第5の封印を開くとき、大地は裂け、すべての法廷は全地の面に闡明されるであろう。そして第6の封印を開くとき、海の三分の二はなくなるであろう。そして第7の封印を開くとき、冥府があらわとなるであろう」。

第20章
 そこでわたしは云った。
 「主よ、最初に尋問され、裁きを受けるのは誰々になるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「アンティクリストスと、その一統の不浄の魂たちである。彼らが外なる闇の中に入るようわたしは命じよう、そこには地下水がある」。
 そこでわたしは云った。
 「主よ、そこはいったいどんな場所ですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。ひとが石を30年間転がし、下方の深みの方に放し、それが20年間滑落し続けても、それは冥府の底に達することはない。預言者ダウイデが予言したとおりである。『闇を自分の覆いとした』〔詩篇(七十人訳)17_11〕と」。

第21章
 そこでわたしは云った。
 「主よ、彼らからは、いったいどんな民(glossa)〔複数〕が尋問されることになるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。尋問されるのは、アダム以来のあの民(glossa)〔複数〕と異教徒(Hellenismos)、また、偶像や太陽や星々を信じたようなものら、また、異端によって信仰をけがしたようなものら、また、聖なる甦りを信じないものら、また、父と子と聖霊を告白しなかったようなものらである。そのとき、彼らを冥府に送りこもう、預言者ダウイデが予言したとおりに。『罪人たち、神を忘れた族民たちはみな、冥府に下って行く』〔詩篇(七十人訳)9_18〕。さらにまた同じ人が云っている。『羊が冥府に定められたように、死が彼らを牧する』〔詩篇(七十人訳)48_15〕」。

第22章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、彼らからは、いったいどれくらいの者たちを裁くおつもりですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのとき、ヘブライ人たちの種族が尋問されるであろう、わたしをば悪人のごとくに木〔=十字架〕に釘付けしたゆえに」。
 そこでわたしは云った。
 「いったい彼らはどんな懲罰を、また、どんな場所で受けることになるのですか、そんなことをあなたにしたせいで?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「彼らは奈落のなかで破滅するだろう、預言者ダウイデが予言したとおりに。『彼らは助けを求めた、しかし救う者はなく、主に向かって〔叫んだ〕が、〔主は〕彼らに耳を傾けられなかった』〔詩篇(七十人訳)17_42〕。さらにまた使徒パウロスも云っている。『律法なしに(anomos)罪を犯した者は律法なし(anomos)にまた滅びる、律法のもとで罪を犯した者は律法によって裁かれよう』〔ローマ人への手紙2_12〕」。

第23章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、洗礼を受けた者たちはいったいどうなるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「そのとき、キリスト者たちの種族、洗礼を受けた者たちは尋問されよう、そのときこそ、義しい者たちはわたしの承諾によって進み、天使たちも前進し、彼ら〔義人たち〕を罪人たちから〔分かって、罪人たちの〕上に積み重ねるであろう、預言者ダウイデが予言したとおりである、主は罪人たちの杖(rhabdos)が義しい人たちの相続地にとどまることを許したまわず〔詩篇(七十人訳)124_3〕と、そして、義しき者たちはみなわたしの右に立たされ、太陽のように輝くであろう。それは、イオーアンネースよ、天の星々をあなたが見るとおりである、つまり、全体はいっしょであるが、しかし光は異なる、義人たちと罪人たちもそのようになるだろう。なぜなら、義人たちは発光体(phosrer)のように、つまり太陽のように輝くが、罪人たちは暗黒のままとどまるであろうから」。

第24章
 そこでわたしは云った。
 「主よ、キリスト者たちもみなひとつの懲罰を受けるのでしょうか? 王たち、大祭司たち、祭司たち、族長たち、金持ちと貧乏人、奴隷と自由人たちはどうですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。預言者ダウイデが予言したとおりである、『貧しい者たちの堅忍(hypomone)は最後まで滅びることはない』〔詩篇(七十人訳)9_19〕と。しかし、王たちについては、人足奴隷のように追いたてられ、幼児のように泣き叫ぶであろう。族長たちや祭司たちや罪を犯したレビ人たちについては、各人おのおのの躓きかたに応じて、懲罰の中に散らされるであろう、ある者たちは火の河に、ある者たちは不眠の蛆虫のなかに、他の者たちは懲罰の七口井戸のなかに。罪人たちはこのような懲罰によってひきさかれるであろう」。

第25章
 そこでわたしは云った。
 「主よ、義人たちはいったいどこに囲われることになるのですか?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「そのとき、楽園があらわとなり、世界は全一となって楽園はひとつとなり、義人たちは全地の面に、わたしの天使たちといっしょに、あるであろう、聖霊が預言者ダウイデを通して予言したとおりに。『だが義しい者たちは大地を嗣ぐであろう』〔詩篇(七十人訳)36章_9〕、そして永遠の永遠にいたるまでその上で幕営するであろう」。

第26章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、天使たちの大群はどれくらいですか? もっと多いものがあるのですか、天使たちや人間たちよりも?」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「天使たちの大群は、人間たちの種族と同じくらいである、預言者が云ったとおりである。『神の天使たちの数に照らして境界が定められよう』〔申命記32_8、雅歌2_8〕」。

第27章
 そこで再びわたしは云った。
 「主よ、そのときからいったい何をなさるおつもりですか? いったい世界はどういうふうになるのですか? すべてをわたしに啓示してください」。
 すると声がわたしに言うのを聞いた。
 「聞け、義人イオーアンネースよ。そのときから労苦はなく、苦痛はなく、歎息はなく、遺恨はなく、涙はなく、妬みはなく、兄弟に対する憎しみはなく、不正はなく、高慢はなく、悪口はなく、無慈悲はなく、生の思いわずらいはなく、両親や生子に対する苦労はなく、黄金に対する苦労はなく、邪悪な企てはなく、悪魔はなく、死はなく、夜はなくして、いつも昼である。わたしが予言しておいたとおりである。そして他の羊(probata)をわたしはもつ、〔その羊は〕この中庭からのではない、すなわち、その有徳の生き方からして天使たちの類似の人間たちである。それ〔ヒツジたち〕をもわたしは導かなくてはならない、そして彼らはわたしの声を聞き、ひとつの群、ひとりの牧者が生まれよう」。

第28章
 さらに続けて声がわたしに言うのを聞いた。
 「見よ、以上すべてのことをあなたは聞いた、義人イオーアンネースよ。同じことを信仰ある人間たちに述べ伝えよ、彼らがほかの者たちにも教え、そして、軽視しないように。ましてわたしたちの真珠をブタどもの前に投げ捨てないように、それを彼ら〔豚たち〕の足で踏みにじるようなことの決してないように」。
 なおもわたしがその声を聞いているときに、雲がわたしを引き下ろし、タボール山にわたしをもどした。そしてこういう声がわたしのところに届いた。
 「裁きを守る者たち、あらゆる時(kairos)において正義を為す者たちは浄福なるかな。また、この契約があるところ — その家は浄福なるかな、主が云ったとおりである、わたしを愛する者はわたしの言葉を守るであろう〔ヨハネ14章_24〕、わたしたちの主イエースウスのクリストスにおいて。栄光は永遠にそのかたのもの、アメーン。

2004.03.10. 訳了。

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