シビュラの託宣・第1巻(1/2)
原始キリスト教世界
シビュラの託宣
第1巻(2/2)
|
1.230
だが、全世界を神が豪雨で氾濫させたもうたとき、
その時にまたノアは心に〔考えを〕置いた、不死なるかたの
御心を見るという考えが。ネーレウスの〔賜物には〕うんざりしていたので。
そこで、さっそく側壁の蓋を開けた。
経験的に留め金で正面に嵌められたいたのを。
そして、際限ない水のあまりに多量なのを覗き見て、
いたるところに*ノアは名称なき運命を*目の当たりにして、
怖れをいだき、心臓を激しく震わせた。そしてその時、大気が
ほとんど巻き起こらなかったのは、多くの日々、病み衰えさせたいたからである、
世界全体を水浸しにして。その時、あまりに病み衰えて
1.240
蒼ざめ、血のような午後の空が、火と燃える円盤〔太陽〕を
示した。それでようやくノアは元気になった。
まさにその時、一羽の鳩を引き離して、
放した。心に知るために。はたして大地が
しっかりしてもう現れたかどうかを。だが〔鳩は〕羽ばたき、疲れ、
到る処飛びまわったあげく、またもどってきた。というのは水が
おさまっておらず、それどころか、それぞれのことを成就なさったからである。
しかし、彼は静かにしていたものの、数日して再び鳩をもう一度
派遣した。おびただしい水が止まったかどうか知るために。
するとそれは、飛び立ち、飛び去って、大地に降り、
1.250
しばし休息して、地上で身体を濡らし、 再びノアのところに引き返してきた。オリーブの実を
報告の大いなる徴として携えて。彼は大いに元気を出し、
大いに喜んだ。大地を目にすることに希望をつないで。
まさにその時、その後で、翼の黒い別の鳥を
すぐに*ひそかに派遣した*。するとそれは自信をもって羽ばたき、
よろこんで飛び立ったが、大地に着くと、そこにとどまった〔帰ってこなかった〕。
そこでノアも知った、大地はより近くにあるようになったと。
いや、まさに浪のさざめきがそこここに起こり、
霊妙な術知が海のうねりの上を漂流させ、
1.260
打ちつつ〔水深を測りつつ?〕、わずかな渚に固定させた。
さて、黒い陸地のフリュギアに、
嶮しい高いある山がある。アララト山と呼ばれる。
要するに、この上で全員が助けられることになったからであるが、
この〔山〕で、大いなる渇望が心に浮かんだ。
ここには、大いなる*河マルシュアース河の*血管〔源〕が生まれついていた。
箱舟はこの高い頂にとどまった。
水が引いたときに。その時にまた再び天上から
大いなる神の神々しい声が再び響き渡った。
この詞はこうである。「ノアよ、見守られた者よ、信仰心深き者よ、義しき者よ、
1.270
勇を鼓して出で来よ、息子たち、そしてまた妻、
また3人の若妻たちともどもに。そして大地をすべて満たせ、
増やし、満たし、義しいことどもを相互に
保ちつつ。種族から種族へと、人間どもの全種族が
裁きに到るまで。というのは、万人に裁きがあるだろうから」。
このように霊妙な声が謂われた。そこでノアは寝床から、
勇を鼓して地上に踏み出た。彼といっしょに息子たち
あるいは妻や若妻たち、また這うものたちも鳥類も、
四足獣の種族やその他あらゆるものたちが同時に
木造の家から一つの地に出て行った。
1.280
まさしくこの時、ノアは人間どもの中で最も義しい者、
第8代目として出て行った。201日間
水上で満たしたのは、大いなる神の御心による。
ここにまた、生の新しい世代が興った。
黄金の第1〔世代〕である。これは6代目にして、最善の〔世代〕である。
最初に創造された人が生まれてこのかたであるが。この〔世代〕の名は
天的なである。万事が神の心にかけたもう世代であろうから。
おお、第6の世代の最初の種族よ、おお、大いなる歓喜よ、
後にわたしはその〔世代に〕与った。一途な滅亡を逃れたからだ、
数々の混乱に見舞われ、*わが夫ともども*義理の兄弟、
1.290
あるいは舅、姑、姻族ともども、恐ろしい受難に遭っていたけれども。
そこで今話そう。多種多彩な花が
無花果の樹にあるだろう。ただし、クロノスが中央にあろう。王の支配、
王笏のもたらす〔支配〕をもつだろう。だが、3人の大度量の王たち、
最も義しい者たちが、分担を*しかしまたしくじるであろう*。
しかし、年数多き時代を彼らは支配するであろう。義しいことどもを
人々に保ちつつ。この人々が心するのは、労苦と慕われる仕事である。
大地もまた、自生する実りに歓喜する。
それが数多く生え、有り余るほどの穀物の穂を世代にもたらすので。
そしてこの生産者たちは、生涯の日々、不老で
1.300
あるだろう。ひどい悪寒といった病からは遠く、
死ぬであろう、眠りに負かされて。しかしアケローオス河へ、
ハーデースの館に去りゆき、かしこで
名誉を得るだろう。浄福者たちの種族、栄え或る者たちで
あったので。この者たちはサバオートが優れた理性を与えたもうた者ども、
しかしまたこのような者たちと謀を常に共謀なさったのである。
いや、この者たちは、ハーデースの〔館に〕赴いても、浄福で
あろう。しかし、その時また、後になって、重装備で頑丈な
別の、第二の種族が〔生まれた〕。地から生まれた人間ども、
ティーターンたちの〔種族が〕。それぞれの〔世代の〕すべてと同じ形をしていた。
1.310
姿においても大きさにおいても、声もまたひとつに生まれついていよう。
第1世代からこれまでのように、神は〔彼らを〕胸に
1.312
置かれた。しかるに彼らみずからが身の程知らぬ心をもって、
ついに、相談しあうだろう。滅亡を急いで。
星を散りばめた天と、相対で闘い合うことを。
そしてその時、大いなるオケーアノスの流れ、荒れ狂った水の流れが、
彼らの中に起こるだろう。しかし大いなるサバオートは憤激して、
妨げて撃退なさろう。心邪な人間ども相手に、大洪水を起こすとは
今度は約束なさっていないからである。
いや、おびただしい水の際限なきうねり、
1.320
盛り上がる浪の〔うねり〕がてんでに怒りを
やめるとき、大洋の別の深みに
尺度を小さくされよう。諸々の港と荒磯によって
大地のまわりを境界づけて。高きに雷霆をとどろかす方、大いなる神が。
〔Kurfessのテキストから補った。〕
〈1.323a
若い女(damavliV)が至高の神のロゴスを
1.323b
産むが、人の妻がロゴスに名前を与えるであろう、
1.323c
そしてその時、日の出の方にひとつの星が、真日中、
1.323d
煌々と輝きながら、天上から預言するであろう。
1.323e
惨めなはかなく死すべき者たちに、御使いたちの大いなる徴を。〉
1.324
まさしく、そのとき、偉大なる神の御子が、
地にある死すべき人間どもと同じ肉をまとって来られるであろう。
彼は四つの母音を持ち、子音は彼において
2つである。そこでわたしは〔彼の名前の〕全体の数をもあなたに告げよう。
すなわち、一位は8であり、十位も同じである。これに
百位の8が加わって[003]、それらは不信心な人間どもに
1.330
〔彼の〕名前を明らかにするであろう。しかしおまえはおまえの心の中で、
不死なる神のクリストス、至高者の子を思惟せよ。
このかたは神の律法を満たされるであろう。〔律法を〕崩されることはない。
彼は〔神に〕対応する似姿をまとって、すべてのことを教えられるであろう。
このかたのところにやって来る祭司たちが携えるのは、金、
没薬、それから乳香である。というのも、彼はこれらすべてのことをなさるであろう。
しかし、ある声が荒野の地方を通って
届き、はかなき者らに告げ、万人に向かって叫ぶであろう、
道を真っ直ぐにしよう、つまり、心の中から
悪を投げ捨て、水で人間どもの全身を〔洗って〕
1.340
光り輝かそう。新たに生まれて
もはや義の道から決して外れないように、と。
そのとき、あの野蛮な心の持ち主は、〔少女の〕踊りにとらえられて、
〔その声の主の頭を〕斬って、褒美として与えるであろう。その時、はかなき者どもに
突然一つの徴があるであろう。美しい石がしっかり守られて
エジプトから来るときに。するとこの石に
へブルの民はつまづくであろう。しかし族民たちは、彼の導きの下に
集められるであろう。というのも、高きに統べたもう神を
知るであろう。彼を通して普遍の光の中になる道を。
それは選ばれた人々に永遠の生命を
1.350
示し、律法なき者たちには、永遠の火をおつくりになるであろう。
まさしくこの時、彼は病人を癒し、傷つけられた人々
彼に対し信仰をいだくかぎりの人々すべてのを〔癒されるであろう〕。
盲人は見、足なえたちは歩き、
聾者は聞き、唖者は語るようになろう。
彼は悪霊を追い出すであろう。そして、死人たちの復活がおころう。
彼はまた波の上を歩き、荒野で
五つのパンと一匹の水棲魚で、
五〇〇〇人を満腹させられるであろう。この人たちの残したものは
一二のかごをみたし、人々の希望となるであろう。
1.359
.....................................................................
1.359
.....................................................................
1.360
そしてその時、イスラエルは酔っていて、何一つ悟らないであろう。
また、その小さい耳は遠くなっていて、何一つ聞かないであろう。
しかし、至高者の憤激がへブル人たちに下り、
彼らから信仰を取りあげるとき、
というのは、彼らは天なる神の子を手ひどく扱ったので
そのときイスラエルは打擲と毒のはいった唾とを
汚れた手でこの人に向かって与えるであろう。
食物として胆汁を、飲物として水で割ってない酸っばいぶどう酒を、
彼らは悪しき情熱にその胸と心とを打たれて、
不敬虔にも(彼に)与えるであろう。しかし、彼らはその日で見ることができず、
1.370
もぐらよりも盲目であり、有毒な地を這う
動物よりもおそろしい。彼らは重い眠りにょって枷をはめられている。
しかし、彼が〔十字架上で〕その手をひろげ、万物をはかり、
茨の冠をかぶり、また彼らが棒で(彼の)脇を
刺すとき、そのことのために昼日中、
三時間にわたって、物凄い闇の夜があるであろう。
そしてソロモンの神殿はそのとき、
(つまり)彼が、死んだ人たちの復活を告げに
ハーデースの家に赴くとき、人々に大きな徴を示すであろう。
三日ののち、彼はふたたび光の中に戻り、
1.380
人々に予型を示し、またすべてのことを教えてから、
雲に乗って天の家に赴かれよう。
〔しかし〕彼は世に福音の規定を残して行かれる。
そして、大いなるかたの律法によって導かれる族民たちの中から、
三つの新しい芽がそのかたの御名によって花開こう。
しかしその後知恵ある指導者たちが登場し、
予言者たちはそのとき休みにはいるであろう。
それから、へブル人たちが悪しき夏を刈り取るとき、
また数多の金銀を劫掠するであろう、
ローマの王が。その後さらに、滅びる王たちの
1.390
他の王国が次々に続き、
はかなき者たちを悩ませるであろう。だが、その人々には大いなる倒壊が
あるだろう、彼らがその不正な高慢を始めるときに。
しかし、ソロモーンの神殿が神的な土地で、
外つ国のことばを語る男たち、青銅の胸当をつけた男たちによって投げられて、
倒されるとき、ヘブル人たちはその土地から追われるであろう、
追い立てられ、掠奪されて。しかし彼らはげに多くの雑穀を
小麦に混ぜるであろう。そして、悪しき党争がすべての人々に
あるだろう。そして諸々も都市は、それぞれのことのゆえに暴行され、
互いに泣き叫ぶであろう。悪しき所業に罪を犯し、
1.400
大いなる神の憤激を胸にうけとめて。
2010.07.17.
|