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back.gifシビュラの託宣・第3巻(1/4)

原始キリスト教世界

シビュラの託宣

第3巻(2/4)



第一のことが終わるや否や
第二のことが人々を襲うだろう。わたしは何よりも先に叫ぼう。
敬虔な人々に悪がやってくると。それはソロモンの壮大な
神殿の回りに住む人々、また義しい者らの
末なる人々である。この人々の部族とともに
父祖の子孫についてもすべての者の民についても、
すべてのことを注意深く叫ぼう。さまざまの謀りをなす、欺き心の人よ。

カルデア人のウルの地に下ると〔 〕という町があり、
その出身の類稀なる義人の族がいる。
3.220
いつも彼らは善なる意志と良き業をこととしている。
というのも彼らは太陽や月の円運動や
地下の怪物や、
きらめくオケアノスの海の深さや、
くさめの徴や鳥占師の鳥や、
占い師や魔法使いや幻術者や、
腹話術師の馬鹿げた話の騙しごとに煩わされていず、
カルデアの星の予言を学ばず、
星を眺めはしないからである。と言うのもすべての迷いを産んだのは、
思慮なき人々が日ごとに探し求めているものである。
3.230
彼らは益なきことに魂を消耗している。
実に、彼らは惨めな人間たちに迷いを教えたのだ。
そこから多くの悪が地にある人間に生じ、
その結果彼らは善き道と義しい業から迷い出たのである。
しかし彼らは義と徳とに心を用い、
財欲には心を用いない。死ぬべき人間にありとある悪、
すなわち戦争と果てしない飢饉とを生み出すのはこれである。
しかし彼らは村ごとに町ごとに義しい量りを有し、
互いに夜盗を働くこともなく、
牛、羊、山羊の群れを追わず、
3.240
隣人同士その地境を除くこともなく、
はなはだ富んでいても、人が弱者を悩ませることもなく、
寡婦を圧迫せず、かえって逆に、いつも
穀物と酒と油を与えて〔これを〕助けるのである。
民の中の栄え或る者はいつも、持たざる者、
貧しき者に夏の酬いを送り与え、
大いなる神のことば、律法にかなった歌〔の務め〕を果たすのである。
なぜなら天にいますかたはすべての者に平等の地を作り終えられたからである。

さて十二部族の民が神から遣わされた指導者たちによって
エジプトを去り、道を進み、
3.250
夜は火の柱によって、過ぎ行き、
*暁が日を導く時には*雲の柱によって進む時、
神はこの民に指導者、偉大なる人、
モーセをお立てになるだろう。王女は葦陰に彼を見つけ、連れ帰って
育て、わが子と呼んだのである。さて、彼が
民を率いてやって来た時、 — これは神がエジプトから
シナイの山に導かれたのであるが — 神は
いっさいの義なることを二枚の板に書いて、天から律法を与え、
〔これを〕行なうように命じられた。そしてもしも〔これを〕犯す人がいるなら、
律法あるいは人間の手によって報いを受けるか、
3.260死ぬべき者の眼をのがれても神の審きによって滅ぼされるか、である。
3.260
ξξξξξξξξξξξξξξξξξξ
3.263
彼らのためにだけ実り豊かな大地は百倍もの
実りをもたらす。神の量りが生じたのである。
しかしやはり彼らにも悪がおとずれ、疫病を
のがれはしないだろう。そしておまえは必ず、いともうるわしい聖所を棄て、
のがれて行くだろう。聖なる地を棄てることがおまえの定めなのだから。
おまえはアッシリア人の所に引いて行かれ、いとけない子供や、
妻らが、敵意をいだく人々のもとで奴隷となるのを見るだろう。
3.270
生活道具も富もことごとく壊されるだろう。
また地も海も至る所おまえで満たされるだろう。
そしてすべての人がおまえの習慣に立腹するだろう。
(こうしてユダヤの)全地におまえの姿は見えなくなり、囚われた祭壇、
大いなる神の神殿、偉大な城壁は
みな地に崩れるだろう。なぜならおまえは心の中で
不死なる神の聖い律法に従わず、心迷って
見苦しい偶像に仕え、恐れることなく、
すべての神々と人々との父、不死なるかたを
うやまおうともせず、死ぬべき者らの偶像をうやまったからである。
3.280
このゆえに、七〇年間、地は実りをもたらすことがない。
3.281
「天にいます方」が、万人に共通の大地を終わらせ、
信仰も最善の想いも、胸の内に〔終わらせたもうたからである〕。
3.281
至る所おまえの姿はなく、眼を見はるばかりの聖所にも〔おまえの姿はないだろう〕。
しかし善のきわみと、大いなる栄光とがおまえを待っている。
それは不死なる神が〔かつて〕おまえに果たされたように、である。しかしおまえは待つがよい。
大いなる神の聖なる律法を信じつつ。
彼がおまえの疲れた膝をまっすぐに引き起こし、光に向かわせてくださる時を。

その時こそ天にいます神は[011]を遣わされるだろう。
彼は血と火の輝きとによってひとりひとりを審くであろう。
〔ここに〕一つの王の種族がある。その末は、
つまずくことがないだろう。この種族は廻る年月
3.290
支配し、新しい神の聖所を建て始めるだろう。
そしてペルシアのすべての王が
金と銅と鍛えあげた鉄とを寄進するだろう。
なぜなら神みずからが夜の聖なる夢を(王たちに)与えられるだろうからである。
その時にはかつてあったようにふたたび神殿があるだろう。
3.294
  *   *
3.294
   *

わたしの気性が神の霊感を受けた歌を終え、
大いなる父に、圧迫から休めるように請い願った時、
しかしふたたびわたしの胸のうちに大いなる神のお告げが
3.298
生じ、全地について予言し、
王たちの思いに、来たらんとすることを置くようにわたしに命じた。
3.300
そしてまずこれを語るようにわたしの思いのうちに置かれた。
すなわち不死なるかたがどれほどの深い悲しみをバビロンに対して計っておられるかを。
なぜなら彼らは大いなる神殿を劫掠したからである。

ああ、ああ、バビロンとアッシリアの人種、おまえは禍いだ。
いつの日か罪人らの呻き声が全地に至り、
声を分けて語る者どもの叫び声が、全地方を滅ぼすだろう。
そして大いなる神、讃歌の指導者なるかたの打擲が。

というのもバビロンよ、上天に或る者がいつの日か、上からおまえに到来するだろう。

〔しかも天の聖なる場所からそれはおまえに下るのだ〕。
すなわち永遠の絶滅が気性の子らに(到来するだろう)。
3.310
その時おまえは、かつてあったように、また生まれていなかったようになるだろう。
その時おまえは血で満たされるだろう。ちょうど、かつておまえ自身が
善い人々と義しい人々の血を流したように。
彼らの血は今もなお遥かなる天に向かって叫んでいる。

エジプトよ、激しい打擲がおまえの家に来襲する。
それはいまだかつて自分に至るとは思ってみもしなかったような恐ろしさである。
なぜなら剣がおまえの中をへ廻り[012]
離散と死と飢饉とが猛威を振るうだろうからである。
それは王たちの第七代に達し、そのとき終わるであろう。

おまえは禍いだ、エチオピアの川の中央にあるゴグとマゴグ[013]の地方よ。
3.320
おまえはどれはど多くの血の注ぎを受けることか。
おまえは人々の間で審きの住む所と呼ばれるだろう。
またおまえの湿地がどす黒い血を飲むだろう。

おまえは禍いだ、リビアよ。海も地も禍いだ。
西方の娘らよ、おまえたちはどんなに苦い日へと進んで行くことか。
しかも辛い闘争に追われていくだろう。
恐ろしくつらい(闘争によって)。恐ろしい審きがふたたびあるだろう。
そして必ずやひとり残らず滅びに至るだろう。
それはおまえたちが不死なるかたの大いなる家を破り裂き、
鉄の歯で激しく噛み砕いた報いである。
3.330
このゆえにおまえはおまえの地が死人で満ちるのを見るだろう。
あるいは戦争と悪鬼のもろもろの促しによる、
あるいは飢饉と疫病による、あるいは野蛮な敵の手による死人を。
全地におまえの姿はなく、町々は憤然と立っているだろう。

西に星が輝く[014]だろう。人々はそれを慧星とか
人間に対する剣と飢饉と死の徴とか
指導者や偉大な有力者の死滅とかと呼ぶだろう。

さて、ふたたび人々に著しい徴があるだろう。
というのも、深きうねりのタナイスはマイオティスの
海を去り、実りをもたらす水路の溝が深い流れを下って引かれ、
3.340
巨大な流れが首に達するからである。
湾はロを広げているだろう。すると多くの町々が
人もろともに崩壊するだろう。アジアではイアッソス、
ケプレン、ハンドニア、コロフォン、エペソ、ニカイア、
アンチィオケ、タナグラ、シノペ、スミュルナ、マロス、
栄えあるガザ、ヒエラポリス、アスチュパライア、
またヨーロッパでは(聞えも高い〉キュアグラ、王のメロペイア、
アンティゴネ、マグネシア、神々しいミュケナイ。
その時エジプトの破壊の族は滅びに近いと知れ。
またその時アレクサンドリアの人々にとって過ぎ去った年が善いものとなるだろう。

3.350
貢を納めるアジアからロ−マの受けた財宝の
三倍を逆にアジアがローマから受け、
ローマに対して破壊の荒びを報いるだろう。
またイタリア人の家で奴隷として仕えたアジアの人間の
二〇倍のイタリア人がアジアにおいて貧窮の身で仕え、
一万倍ものことを身に招くだろう。

おお、華麗にして黄金に富むものよ、ラティウムの後裔、ローマよ、
処女よ、幾度となくおまえの忘れ難い結婚によって、
酔いしれていたが、女奴隷として化粧もせずに寝所へ引かれて行くだろう。
また、しばしばおまえの優美な髪を女主人が切り詰め、
3.360
復酬を計って(おまえを)天から地に
投げ、また逆に地から天に吊り上げるのだ。
それは人々が思慮のない、不義の生活をいとおしんだからである。

サモス(SavmoV)も砂地(a[mmoV)となり、デロス(Dh:loV)は消え失せ(a[dhloV)、
ローマ(+Rwvmh)は通り路(rJuvmh)になるだろう。この託宣はことごとく成就するだろう。
しかし、スミルナの滅亡については〔語るべき〕ことばがない。それは無法の者となるだろう。
しかし、邪悪な計略と指導者たちの悪事とによって
3.366......................................................................
おだかな平和がアジアの地におとずれるだろう。
その時ヨーロッパは幸いであり、実り豊かな気候は
多くの年月続き、力強く、嵐がなく、荒天もなく、
3.370
あらゆるもの、鳥も地に這う獣ももたらすだろう。
おお、このうえなく浄福なる者よ、男であれ、女であれ、かの時に至る者は。
彼は浄福である、*野山に暮らす伝説の牧者のように*。
というのはまったき善法が、そして公正が、星の輝く天から
人間どもののもとに来るからである。そして公正とともに、
はかなき者らにとって何よりもすぐれているもの、同心、慎み、
滋愛、信頼、寄留者と同市民とからの友愛〔が来るからである〕。
*そして悪法と中傷と妬みと怒りと無思慮と
貧困とは人々の間から逃げ去るだろう。また暴力と*、
殺人と破滅に至る争いと痛ましい反目と、
3.380
夜盗とあらゆる悪とがその日には逃げ去るだろう。

しかし、マケドニアがはなはだしい災禍をアジアに産み、
ヨーロッパには、最大の苦痛が芽生えるだろう、
クロノスの子らの裔と庶子と奴隷の家系から。
それはバビロンの都市をも城塞として建てるであろう。
太陽が照す限りの全地の
女主人と呼ばれながら、悪しき迷妄によって滅びるだろう。
諸方を放浪する後裔に名をとどめる〔ばかり〕で。

いつの日かアジアの栄えある地に(突然)ひとりの人が来るだろう。
彼は肩に紫の布を掛け、
3.390
粗野で、異なった正義を掲げ、炎のようである。というのは雷鳴が
彼の前に光をたたせていたからである。全アジアは悪しき軛を負うだろう。
そして雨に濡れた地が多量の血を飲むだろう。
しかしそれにもかかわらずハデスはまったく秘かにすべての者を癒すだろう。
まことにその末を彼が滅ぼそうと思っていた者たち
の末によって、彼自らの族が滅ぼされるだろう。
すると彼は一つの枝を見捨てる、 — それは滅ぼす者が打つだろう —
一〇本の角から。そして彼は*そのかたわらに別の木を植え*、
紫の種族の父なる戦士を打つだろう。
そしてみずからは〈アレスの定まった心により〉子たちの手にかかって
3.400
滅びるだろう。すると並んで育った角が支配するだろう。

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