シビュラの託宣・第3巻(3/4)
原始キリスト教世界
シビュラの託宣
第3巻(4/4)
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しかし、さまざまに思い計る人よ。汝はなそうとしてためらうことなく、
身を翻えして神と和解するがよい。
数百匹の雄牛と初子の羊と山羊とを季節が廻るごとに神に献げるがよい。
彼を宥めよ、不死なる神駕彼が憐れんでくださるように。
なぜなら彼だけが神であって、ほかにはいないからである。
3.630
また義を重んじ、決してだれをも圧迫してはならない。
なぜならこれを、神は哀れな人間に命じられるからである。
またこのような時、汝は大いなる神の忿怒を防げ。
すなわちすべての人に疫病のきわみが来、
彼らは打ちひしがれて恐るべきかたの酬いを受け、
王が王を掃え、また領土を奪い、
民が民を荒し、支配者が部族を荒し、
すべての将軍たちは他の地へのがれ、
人々の土地は変じ、異国人の支配が、
全ギリシアを荒廃させ、また肥えた土地から
富を流し尽くし、人々が金と銀のために、お互いに争い合うに至るとき、
金銭欲がやって来て、町々の中に悪を養うだろう。
異国の地で、すべての者が葬られぬままであり、
その間を禿鷹と地に住む野獣が食い荒すだろう。
さて、これらのことが終わると、
広い大地が死からまぬがれた者たちを滅ぼす。
また全地はまくことも耕すこともなく、
みじめにも、すべての人々の嫌うことを告げる。
年が廻り、長い時間が(たつ間)、
盾、長盾、投槍、さまざまな武具を。
また火をともすために森から木を切り出すこともなくなる。
その時に、神は東からひとりの王を遣わす。
彼は或る者たちを殺し、或る者たちに忠実な誓いを果たすことによって全地に悪しき戦争をやめさせる。
また彼は自分の意志でこれらすべてのことを行なうのではなく、
大いなる神の善き教えに従う。
大いなる神の神殿は、はなはだ美しい財宝と、
金と銀と紫の飾りで溢れ、
実りをもたらす大地と海とは、
3.660
善き事で満ちる。すると王たちは
互いに*気性に悪を助長し妬み*始める。
妬みは哀れな人間たちにとって善きことではない。
それなのに民の王らはふたたびこの地をねらい、群れをなし、押し寄せ、
みずからに死を招くのである。
というのは、彼らは大いなる神の聖所ともっとも高貴な人々を滅ばそうとするからである。
この地に到着したときに。
荒々しい王らは町のまわりに、それぞれ自分の王座を立て、不従順な民を所有する。
そこで神はすべての無知な、空しい思いの民に向かって大声で語られる。
3.670
そして大いなる神から彼らのもとに審きが来、
すべての者が不死なるかたの手によって滅びる。
天からは燃える火の剣が全地に降る。
炬火が、大きな光が輝きながら人々の中にやって来る。
またその日にはすべてのものの母なる大地が不死なるかたの手によって震え、海に住む魚と、
地のすべての獣、鳥の無数の種類、
すべての人々の魂、すべての海が、
不死なるかたの顔によって戦慄し、恐れがやって来る。
3.680
彼は巨大な山のけわしい嶺や丘を
裂き、もやもやとした闇がすべての人の前に現われる。
そびえ立つ山では高い所にある裂け目が
死体でいっぱいになる。岩が
血といっしょに流れ、山からの流れの一つ一つが野に溢れる。
敵意をいだく者ども良く作られた城壁もすべて地に崩れる。
なぜなら彼らは大いなる神の律法も、
審きも知らず、おまえたちは愚かな気性によって
皆騒ぎ立ち、聖なるかたに向かって槍を取ったからである。
神はすべての者を戦争と剣と
3.690
火と洗い流す豪雨とによって審かれる。そして、
天から硫黄が降り、そのうえ、石と嵐がやって来る。
それは長く、またつらい嵐である。また死が四足の獣を打つ。
その時人々は、これらの審きを下される、不死なる神を知るだろう。
滅ぶべき人間の嘆きと叫びが広い大地に起こり、
すべて聖くない者は血で洗われ、大地そのものさえが
殺された人々の血を飲み、獣は肉に飽くであろう。
大いなる、また永遠なる神ご自身が、これらすべてのことを
わたしに予言するように言われた。これらのことは成就されずにはおかない。
3.700
また神が心に置きさえなされば、それが完遂されぬことはない。
なぜなら神の霊は全世界で偽ることがないからである。
他方、大いなる神の子らは皆、神殿のまわりに
静かに生活し、創造者、正しい審き手、君主なるかたの与えてくださることによって喜ぶのである。
なぜなら彼だけが護ってくださり、強い力をもってかたわらに立ってくださるからである。
それはあたかも彼が周囲に燃える火の壁を持っておられるかのようである。
そして、町でも地方でも戦争がない。
なぜなら、悪しき戦争の手は決して彼らの中にはなく、かえって
彼こそ人々のための不死なる勇士、聖なるかたの手なるかただからである。
3.710
その時こそすべての島々町々は言うだろう、
不死なるかたはどれほどあの人々をいとおしんでいらっしゃることかと。
なぜなら、すべてのことが彼らのために同情し、協力するからである。
天も神によって動かされている太陽も月も。
3.715
また彼らは詩によって、口かち甘いことばを出す。
「さあ、われわれは皆地に伏して、
不死なる王、大いなる永遠の神に祈ろう。
神殿に向かって進もう、彼だけが力あるかたなのだから。
またわれわれは皆、いと高き神の律法を考えよう、
3.714
そしてすべてのものの母なる大地はそれらの日に震われる。
3.720
彼は全地のあらゆるものの中でもっとも義しいのだから。
しかるにわれわれは不死なるかたの道から迷っていたし、
また愚かな心のゆえに手で作ったものや、
滅ぶべき人間が彫ったものを拝んだ」。
忠実な人々の魂はこれらのことを泣き叫ぶ。
[「さあ、神の民ごとに地にロをつけ、
家ごとに詩によって父なる神を喜ばせよう。
全地で敵の鎧を身につけ、
行き交う年の七廻りの間、
小盾、長盾、兜、さまざまな武具、
3.730
不義なる者らの弓矢の束をおびただしく帯びて。
というのも、火をともすために、森から木を切り出すこともないからである」]。
けれども、みじめなギリシアよ、高ぶった思いをやめよ。
大いなる心の不死なるかたに祈り、みずからを守れ。
おまえの思慮なき民をこの町[017]へと遣わしてはならない。
その民は大いなるかたの堅い地から出たのではないから。
カマリナを騒ぎ立たせてはならない。騒ぎ立たぬほうが良いから。
それは洞穴から出た豹だ。悪と出会わぬようにせよ、
かえってそこから手を引け。高ぶった、倣慢な心を胸に抱いてはならない、
激しい戦いへと(心を)はやらせて。
3.740
また大いなる神に仕えよ、これらのことにあずかるために。
3.741
定められた日がこの終極に達すると、
[人々に不死なる神の審きがおとずれる。]
大いなる審きと支配が人々の中にやって来るのである。
なぜならすべてのものを産む大地は、人間に最良の実り、
すなわち、無尽蔵の穀物と酒とオリーブ油を与え、
[また天からは、甘い蜜の甘い飲み物、果樹、果実、肥えた羊、
牛、羊の子、山羊の子を与えられるからである。]
また(大地は)白い乳の甘い泉を噴き出すのである。
3.750
他方、町町は善いことで満ち、田畑は肥える。
地上には剣も騒乱も無くなる。
また大地は重苦しく呻いて揺れ動くこともない。
戦争はなく、また地上にもはや干ばつもない。
収穫の飢饉も災いをなすひょうもない。
それどころか、全地に豊かな平和があり、
王は王に対し時の果てまで睦ぶであろう。
また不死なるかたは星の輝く天にいまして、哀れな人間の間で行なわれていることに関しては、全地に共通の律法を人間のために全うされる。
3.760
なぜなら彼だけが神であって、はかにはいないからである。
彼はまた、火によってかたくなな人々のやからを焼き尽くす。
だから、胸のうちに己の心を励まし立て、
律法にかなわぬ礼拝を避け、生けるかたに仕えよ。
姦淫と、男との見定めのない床とから身を守れ。
自分の子孫である子供たちを育て、殺してはならない。
なぜなら、これらのことを犯す者に対しては、だれであろうと不死なるかたは怒りたもうからである。
その時こそ彼は人々の上に、永遠に国を建てられる。
彼は敬虔な者に、かつて聖なる律法を与え、彼らすべてに地と善祝福された者たちの世界と門とまたあらゆる喜びと、
3.770
不死なる理性と、永遠の楽しみとを開くと約束されたのである。
すると全地から人々は、乳香と贈り物を大いなる神の家へと携えて来るだろう。
そして、人々の間で、また生まれくる者たちの間で、他の家を尋ねることもない。
その家は神が、忠実な人々に、贈り物にょってご自分をたたえるようにと与えたものだからである。
[すなわち人々はそれを大いなる神の(家と)呼ぶのである。]
野のすべての道も、ごつごつとした丘も、
高い山も、海の荒波も
それらの日には通りやすく、また航海しやすくなる。
3.780
なぜなら、全面的な平和が善なる者たちの地におとずれるからである。
また大いなる神の予言者が剣を奪い去る。
なぜなら彼らこそ人々の審き手、義なる王、だからである。
プルトスさえ、人々の中で義しい者となる。
なぜなら、これが大いなる神の審きであり、支配でもあるから。
娘よ、喜び喜べ。おまえには永遠者の喜びが与えられたのだから。
彼は天と地を造られた。
また彼はあなたのうちに住み、あなたのための不滅のかたとなるだろう。
狼と小芋とは山の中でともに交わり、草を食い、
豹と小山羊とはいっしょに食らう。
3.790
うろつき歩く熊は子牛とともに伏し、
肉を食うライオンは槽のかたわらで、牛のようにわらを喰む。
本当に小さい小供でも彼らを縛って引いて行く。
なぜなら神は地上の獣たちを不自由にされるから。
龍が赤子と蝮とともに寝て、
赤子が害を受けることがない。なぜなら神の手がそのうえにあるから。
それとわかるほどにきわめて判然とした徴を、汝に語ろう、
すべての終末がいつ地に起こるのかという。
星の輝く空に、夜の剣〔星〕が、夕暮れと夜明け近く見える時、
3.800
ただちに塵雲も天から地へと押し寄せ、
日の中ごろ、*天からの太陽の光をまったく隠し*、月の
光線が現われ、ふたたび地上に射し込む。
血と岩から出る水滴によって徴が生ずる。
またあなたがたは雲の中に歩兵や騎兵の戦いを見るだろう、
獣の狩りのような、霧のような〔戦い〕を。
天にいます神は、この戦争の終わりをもたらされる。
しかし、万人は大いなる王に供儀しなければならない。
以上をおまえに、はるかなアッシリアのバビロンの城壁を
3.810
気が狂ったように離れ、ギリシアに遣わされた火として
神の忿怒の原因を、すべての死ぬべき者たちに予言する。
3.811
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かくして、はかなき者らに神的な謎を予言するためである。
はかなき者らはわたしをギリシアにおいて他国の女と呼び、
エリュトライ生まれの恥知らずな女と〔呼ぶ〕。また彼らは、わたしをキルケーを
母とし、グノーストスを父とするシビュュラであり、
気の狂ったうそつき女であると謂うだろう。しかしすべてのことが起こる時、
その時、あなたがたはわたしを思い起こし、もはや誰一人として、
大いなる神の予言者であるわたしのことを、狂った女とは謂わないだろう。
なぜなら神は、かつてわたしの親たちに〔明された〕ことをわたしに明されたのではないのだから。
3.820
最初に起こったことすべてを、*神は*わたしに語り尽くし、
またのちに起こるすべてを、神は心のうちに置かれた。
それはわたしが、やがてあること、かつてあったことを、
死ぬべき者たちに予言し、語るためである。というのは、世界が洪水で洗われた時、
ただひとりの者だけが、よしとされ、木を切って作った家の中に残され、
世界がまた満たされるために、獣や鳥といっしょに水の上を漂っていたからである。
わたしは彼の子の嫁であり、彼の血から作られた。
その彼に最初のことは起こったのである。そして今、すべて終末のことは示された。
そこで、これらすべての真実がわたしのロから語られおわったとせよ。
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